2023年9月22日 (金)

ザハヴァ・ズィーヴァルトのその後

ザハヴァ・ズィーヴァルトのその後の活動を追ってみると、2003年のラディカル・ジューイッシュ・カルチャー盤から、ちょうど10年後の2013年(ストリーミングではそう表示されていますが)にリリースされたFrom My Mother`s Houseでは、このタイトル通り内容的にはセファルディ関連のはずですが、音的にはアシュケナジームはもちろんセファルディからも離れて、コンセプチュアルなコンテンポラリーミュージックに近づいているように聞こえました。その中からNiemand (Psalm)=詩篇と題する曲と、1999年にリリースされていてCDを入れられてなかったイディッシュの盤の2枚目からも一曲In Kamf、3本目Hamisha Asarは昨日のセファルディ関係のライブ映像のようですが、出てくる楽器が両方不明で、特に奇妙奇天烈な管楽器に目が行きます。クルムホルンの一種でしょうか? おそらく4コース8弦の弦楽器は、キテラでしょうか? 終わりまで見ると、弦楽器はリュート、管楽器はSerpent(蛇の意味)と出て来ました。セルペント(サーペント)と言うのは聞いたことがありましたが、この弦楽器がリュートと言うのは少々納得が行きません(笑)

Antiphona / Niemand (Psalm)

Zahava Seewald & Psamim — In Kamf

Hamisha Asar by Zahava Seewald, Michaël Grébil & Christophe Morisset

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2023年9月21日 (木)

ザハヴァ・ズィーヴァルトのセファルディ

やはりツァディクのZahava Seewald & Psamim / Kovedの方はYouTubeでは見当たりませんので、今日は彼女の動画を貼っておきます。1本目はSong based on a text from Samuel Hanagid. Melody by John Zornとありますので、ジョン・ゾーン関連です。2本目はセファルディ(スペイン系ユダヤ)関係ですが、1本目はどちらでしょうか。リズムはオリエンタルな感じですし、2本目のようにセファルディ関係では伴奏にウードが入ることが多いので、その方向性の作品ではと思います。2本目で弾かれているのは、一見ウードのように見えますが、リュートに似た細い音でフレットがあるのでラウートでしょうか。

Zahava Seewald & Zohara I would lay down

A la Puerta del Rio by Zahava Seewald & Michaël Grébil

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2023年9月20日 (水)

アニム・ズミロット

ザハヴァ・ズィーヴァルトのSub Rosa盤のラストに入っているシャバト(安息日)のヘブライ語の歌「アニム・ズミロット」ですが、いくつか旋律を知っていますが、これはこの盤だけで聞くメロディでした。彼女の両親がモロッコ系のセファルディとポーランド系のアシュケナジームなので、そのどちらかの旋律でしょうか。他に聞いた旋律は、CDではドイツのCalig(カーリヒ)から出ていた「シャローム イスラエルの歌」と言う盤に入っていたシュリ・ナタンの歌唱だけだったかも知れません。YouTubeにありましたので、そちらを一本目に、二本目はザハヴァ・ズィーヴァルトの歌唱です。この盤を締め括るに相応しい名旋律です。
ズミロットと言う言葉は「賛歌」のような意味ですが、これはクレズマーの後半のズマー(あるいはゼメル)と同語根で、3語根のZMR(ザイン、メム、レーシュ)が両方の単語に入っています。ズミロットの最後のTをSの音に替えるのは、イディッシュ語の特徴でしょう。
アニム・ズミロットですが、広尾のシナゴーグを知人とシャバトに訪問した際、93年前後に聞いたかも知れません。その時は、アドン・オラムなど、シャバトの名曲をたまたま日本に来られているユダヤ人の歌唱で聞き、何度も聞き惚れました。30年経っても忘れられない、素晴らしいバリトンヴォイスを何度か聞きました。ヤー・リボンなど、知っている曲は一緒に歌いました。

Shuly Nathan - An'im Zmirot (Israeli Song)

<21 Amim Zemiros 1分45秒>

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2023年9月18日 (月)

Zahava Seewald & Psamim

ゼアミdeワールド377回目の放送、日曜夜10時にありました。20日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。Amim Zemirosは、別メロと併せて水曜以降に。Zahava Seewaldは、英語風に読めばザハヴァ・スィーワルドかも知れませんが、イディッシュですからドイツ語風に読んでズィーヴァルトが近いと思います。ザハヴァは、「黄金のエルサレム」のヘブライ語タイトル、イェルシャライム・シェル・ザハヴのザハヴ(金)の女性形です。

東欧系ユダヤ音楽の17回目になります。今回は90年代前半によく聞いたイディッシュ・ソングの盤で、ザハヴァ・ズィーヴァルトと言う女性歌手のベルギーSub Rosa盤(Zahava Seewald & Psamim / Ashkenaz Songs)中心におかけしたいと思いますが、2003年にジョン・ゾーンのプロデュースするツァディク・レーベルのラディカル・ジューイッシュ・カルチャーからも彼女のCDが出ていますので、こちらからもかけたいと思います。サブローザ盤については、99年に音楽之友社から出たユーロルーツポップサーフィンにレビューを書いていましたので、読み上げてから、文中の数曲をまずおかけします。

この盤は演奏の鮮烈さ、選曲の妙で光る。彼女はベルギーのアントワープの正統派ユダヤ教徒の家に生まれた。鮮やかな印象を残すゲットーの歌やハシディームのユダヤ神秘主義の歌の数々だが、あまり採り上げられない佳曲が多い。ベツニ・ナンモ・クレズマーの演奏で日本でも知られる「アレ・ブリデル」「パピロシュン(煙草)」、アハヴォ・ラボ旋法の結婚式の歌、最後のシャバトのヘブライ語の歌「アニム・ズミロット」の独唱も良い。モダン・ミュージックの良質なレーベルとして知られるサブローザ盤なので、パッケージもなかなかアーティスティック。

<8 Ale Brider 1分28秒>

<19 Papirosn 4分56秒>

<21 Amim Zemiros 1分45秒>

シャバトのヘブライ語の歌「アニム・ズミロット」は、いくつか旋律を知っていますが、これはこの盤だけで聞くメロディでした。1曲目の結婚式の歌は特に素晴らしいのでおかけしておきます。

<1 In Rod Arayn 2分28秒>

ザハヴァ・ズィーヴァルトが生まれたのはアントワープの正統派ユダヤ教徒の家と言うことですが、オランダPanのPlanet Flandersの解説によると、両親はモロッコ系の母とポーランド系の父とのことですから、モロッコ系のセファルディとポーランド系のアシュケナジームと言うことだと思います。ラディカル・ジューイッシュ・カルチャーから出ている盤(Zahava Seewald & Psamim / Koved)には、イディッシュだけでなくセファルディも16曲中2曲入っているのは、おそらくどちらにも馴染んできたからではと思います。ドイツ語に似たイディッシュ語とスペイン語に似たラディノ語の両方が、一人の歌い手によって一枚のCDから聞こえる不思議があります。今は東欧系ユダヤの特集ですので、今回はイディッシュ語の歌のみ取り上げます。まずは、ブレイヴ・オールド・ワールドの名演でも有名なルーマニアのドイナのスタイルによるバサラビエ(ベッサラビア)からおかけします。Sarah GorbyのLPを参考にしたという事で、他の演奏とは少し違っています。伴奏のサミームの編成はアコーディオン、ヴァイオリン、コントラバスです。

<1 Besarabye 4分31秒>

9曲目のヴェタヘル・リベイヌはヘブライ語の宗教歌、7曲目のHad Gadyaはアラム語の過ぎ越しの祭りの歌で、Vetaher Libeynuの旋律は東欧系ユダヤの有名なメロディです。ヴェタヘル・リベイヌに続いて、「ルーマニアのバルガー」は典型的なクレズマー・レパートリーで、その後はイディッシュの歌が続きます。12曲目のA Yidish Klarineteleと、16曲目のVesomahto Behogekhoを時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 Vetaher Libeynu 2分48秒>
<10 Roumenian Bulgar 3分13秒>
<12 A Yidish Klarinetele 3分17秒>
<16 Vesomahto Behogekho 2分56秒>

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2023年9月14日 (木)

AlfieとClose To You

バート・バカラックの曲を聞いて思う事は、金管楽器やストリングスの印象的な使い方で、I Say A Little PrayerやAlfieはその代表曲でしょう。すかすかのトランペット(あるいはフリューゲルホルン?)の爽やかな音を聞いて「晴れた午後(放課後)の誰もいない校庭」を長年勝手に連想していました(笑) 究極のリラックス・サウンドと言えるでしょうか。独特なストリングスも、後のアメリカのTVドラマ(チャーリーズエンジェルとか)などで類似の音楽をよく耳にしたように思います。
彼はアカデミックな作曲技法をダリウス・ミヨー、ヘンリー・カウエルに師事したそうですが、そう言えば、ミヨーも金管を上手く使った作品がありました。ヘンリー・カウエルにも確か金管の曲がありました。今回調べて興味深かったのが、50年代に多くの曲を書きためながら不遇だった時期に大女優のマレーネ・ディートリヒがバカラックの才能を見抜いてバックに起用したことで、一緒に写っている写真も見かけました。余談ですが、マレーネ・ディートリヒは大阪万博にも来てコンサートを行ったそうです。これは聞きたかったです! リリアーナ・カヴァーニの映画「愛の嵐」の挿入歌も歌ったかも知れません。当時8歳ですから何も分からないでしょうが(笑) 
今日の2本は、トロンボーンによるジャズ風のアルフィーと、カーメン・マクレエによるClose To Youです。カーペンターズの歌唱の邦題は「遙かなる影」でした。明日Don't Go Breaking My Heartの動画が見つかって、上げる時間があれば良いのですが。

Alfie

They Long to Be Close to You (Live)

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