2020年4月 9日 (木)

コーカサス系のウミット・トクジャン

ウミット・トクジャンについて、もう少し調べてみました。トルコ北部オルドゥ生まれと言うのが気になったので。彼はグルジアのバトゥミから移住したコーカサス地方の家族の息子としてオルドゥに生まれたそうです。それで「チェチェンの娘」と言うトルコ東北部、黒海沿岸のトラブゾン地方の民謡を歌っていたのかもと思いました。1944年生まれですから、キング盤録音当時で36歳、現在は75歳で、若い頃の端正な男前振りからもコーカサス系というのは納得です。トクジャンのCの下にカンマが付けばチャ、付かなければジャの音になりますが、表記は両方あります。
1本目が「チェチェンの娘」、2本目はキング盤音源の3曲目「鶴は寂しく空を飛ぶ」と4曲目「チェチェンの娘」です。3曲目はクルシェヒル地方の民謡で、異郷から飛来した鶴に、失った愛を訴えていると言う内容で、歌詞のメジュヌーンとは中東の名高い悲恋物語「ライラとマジュヌーン」のマジュヌーンを指していて、恋に狂い沙漠を彷徨った主人公をモデルにしています。3本目も3曲目「鶴は寂しく空を飛ぶ」ですが、50代くらいの歌唱でしょうか。この曲はウズン・ハワ(長い歌)の典型でもあります。ウズン・ハワとクルク・ハワについて次回の放送分で解説しようと思っていました。

Yaylanın Çimenine


Ümit Tokcan- Bozlak ve Yaylanın Çimenine (Japonya CD,1980)


ümit tokcan-bozlak (uzun hava)

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2020年4月 8日 (水)

ウミット・トクジャン(ユミット・トクチャン)のウシュクダラ

トルコ軍楽のジェッディン・デデンと並んで、おそらくトルコの曲で最も有名なイスタンブール民謡のウスクダラを一躍有名にしたのは、ウミット・トクジャンの名唱だったと思います。80年の来日時の録音がキングの例の盤に残っています。80年代頃はウシュクダラと呼ばれることが多かったので、この盤でもその表記になっています。しかし、バーラマのアリフ・サー、ウミット・トクジャン共に何と若いことでしょうか!(右から6人目に小泉文夫氏が見えます)
この人の名前は、ウミット・トクジャンで呼びならわされてきたように思いますが、正確な綴りはÜmit Tokçanのようなので、ウミット・トクジャンと言うより、ユミット・トクチャンとする方が元の音に近いと思います。2本目は最近のユミット・トクチャン。ロマンス・グレーの叔父さんになっても、全く変わらない素晴らしい歌声! 驚きました。

Ümit Tokcan & Arif Sağ -Üsküdar(Japonya 1980)


Ümit Tokçan--Nolur Ey Gelin Nolur


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2020年4月 6日 (月)

アリフ・サーのバーラマ

【重要なお知らせ】3日に通知がありまして、FMラヂオバリバリでも感染拡大防止のため4/6(月)からスタジオを閉鎖することになりました。再開予定は4/20(月)とのことですが、状況をみながら延期になるかも知れないようです。このため、ゼアミdeワールドも12日(再放送15日)と19日(再放送22日)放送分はお休みになります。代わりにミュージックバードの番組が流れます。ブログは番組と連動させてきましたので、飛び飛びになると思います。自前のミキサーがあれば、データをメールで送って放送することも可能ですが、急な話ですので、今の所スタジオ再開まで待機する予定です。生放送の帯番組とデータ搬入番組は、上記期間中も放送されます。

ゼアミdeワールド207回目の放送、日曜夜10時にありました。8日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日はバーラマの独奏だけにして、他の曲は、また後日探します。アリフ・サー、サウスポーだったのですね。動画を見て分かりました。

トルコの24回目になります。今回からトルコの民謡の方を取り上げていきます。トルコの伝統的な民謡と器楽で最も有名な盤は、ウスクダラの入った「トルコの民謡~ウミット・トクジャン、アリフ・サー、メフメット・オズベック」だと思いますが、私が持っているのは88年に出た「黒海吟遊 トルコ音紀行」です。現在のキングWRMLのシリーズと音源は同じです。ウスクダラを歌うウミット・トクジャンと、サズの名手アリフ・サーは特に有名で、アリフ・サーはハルク伴奏のトルコ盤でも何点か手元にあります。
まずはトルコ軍楽のジェッディン・デデンと並んで、おそらくトルコの曲で最も有名なイスタンブール民謡のウスクダラからおかけします。80年代頃はウシュクダラと呼ばれることが多かったので、この盤でもその表記になっています。アリフ・サーのバーラマ伴奏です。前回言いましたように、サズは小さいものから順にジュラ、バーラマ、ディヴァンと呼ばれます。撥弦楽器ですが、古典音楽ではウードやタンブールが中心でしたが、民謡ではほとんどがサズです。

<1 Üskdara 3分2秒>

2曲目はアリフ・サーのバーラマ独奏による13分近いメドレーです。自由なリズムのゆっくりした即興から一転して速い名人芸的な部分に入って行きます。アンカラの4拍子の踊りの曲、アンカラの9拍子の民謡「私のアリー、バザールに行かないで」、デニズリ地方の2拍子の踊りの曲と移っていきます。名人芸とサズの音色をたっぷりご堪能下さい。

<2 Bağlama Solo 12分47秒>

Arif Sağ - Bağlama Solo [ Reis Çelik Arşivi © 1986 Tüplü TV ]


一曲飛ばしまして、4曲目の「チェチェンの娘」と言う曲ですが、タンブーリ・ジェミル・ベイの同名の曲とは別で、トルコ東北部、黒海沿岸のトラブゾン地方の民謡です。馬の扱いが上手く、美人が多いことでも有名なトルコに住むチェチェン人を描写した民謡です。

<4 The Girl Of The Çeçen Tribe 2分48秒>

では最後に、3曲目の「鶴は寂しく空を飛ぶ」と言う曲を聞きながら今回はお別れです。クルシェヒル地方の民謡で、異郷から飛来した鶴に、失った愛を訴えていると言う内容で、歌詞のメジュヌーンとは中東の名高い悲恋物語「ライラとマジュヌーン」のマジュヌーンを指していて、恋に狂い沙漠を彷徨った主人公をモデルにしています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3 "Garip Turnalar (Foreign Cranes)" 6分7秒>

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2020年4月 3日 (金)

トラブゾン辺りのホロン・ダンス

アルバトロス盤の音源そのものは、やはりYouTubeには見当たらないので、最初にかけたトラブゾン辺りのトルコ東北部のグルジアに近い黒海沿岸のホロン・ダンスの映像を探してみました。いつ見ても強烈なインパクトのある音楽と踊りです。コーカサスとバルカンの舞踊の両方に似ている部分があると思います。1本目はカラデニズ・ケメンチェとメイの両方、2本目はカラデニズ・ケメンチェによる伴奏です。(以下放送原稿を再度上げておきます)

2002年にキングレコードから出たイタリアのアルバトロス名盤復刻30選の一枚「トルコの歌と音楽」です。まだ関東にいた頃に、プロデューサーの星川京児さんとキングの担当者から依頼を受けまして、私がこの盤とユダヤ音楽の盤、2枚のライナーノーツの翻訳を担当しました。原盤は1978年のイタリア盤で、解説はイタリア語から英語に翻訳されていましたが、ラテン系の言葉からの少々癖のある英訳で、なかなか手強かったのを覚えています。このシリーズは現在は全て廃盤ですが、サンプル盤で30枚全て手元にあります。オスマン音楽や軍楽も入っていますが、民謡と民俗音楽(フォークミュージック)のみおかけします。

まずは周辺部の変わり種の音楽ですが、トルコの後で取り掛かるギリシアの音楽とも繋がりのあるトルコ東北部のグルジアに近い黒海沿岸のホロン・ダンスの音楽です。この地に住むギリシア系のポントス人の伝統的な8分の7拍子の踊りで、アルメニアのドゥドゥクに似た柔らかい音色のダブルリード管楽器メイと、バスドラムのような大型両面太鼓ダウルによる演奏です。ホロン・ダンスは、細長い「黒海のケメンチェ」 (カラデニス・ケメンチェ)で演奏されることが多いので、メイによる演奏は珍しいように思います。

Turkish Folk Dances - HORON


Turkey - Horon dance

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2020年4月 2日 (木)

Dilhayat Kalfa の Evcara Saz Semaisi

セリム3世の時代に王宮で活躍した18世紀の女性音楽家ディルハヤット・カルファ(1710-1780?)の曲は、例のCDから混声合唱付きのサバー旋法のベステをかけましたが、一番有名な曲は今日のエヴカーラ(あるいはエヴジャーラ?)旋法のサズ・セマーイのようです。このマカームはセリム3世が作ったとのこと。神秘的なフレーズに聞き入ってしまう旋律です。「オスマンのモザイク 女性作曲家1」のジャケットにもなっていた、ディルハヤット・カルファの最も有名な肖像画が一本目。2本目は合唱の名もありますが、出てこないようです。演奏はどちらも素晴らしいです。3本目は、半西洋的なスタイルの弦楽アンサンブル込の女性合奏で、珍しいので上げておきます。タンブーリの称号を持つ人ですが、肖像で構えているのはウードのようです。没年は1740年という説もあります。だとしたら、僅か30年の生涯になります。

Evcârâ Saz Semâîsi, Dilhayat Kalfa


Evcârâ Saz Semâîsi, Dilhayat Kalfa


Dilhayat Kalfa Evcara Saz Semaisi

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