2009年11月13日 (金)

エンタ・オムリ

今日はウム・カルスームの代表曲としてまず名の上がることの多い「エンタ・オムリ」に行ってみます。1964年カイロ初演ですから、カルスームの活動後期の歌になります。作曲はムハンマド・アブデルワハブ。この二人は仏Club du Disque Arabe(AAA)から1920年代以降の録音が各10枚ずつ出ていた同士です。エジプトのアラブ歌謡を見る上で、最重要な二人ということになります。「エンタ・オムリ」のマカームはクルド、歌詞はフスハーではなくアーンミーヤ(つまりエジプト方言アラビア語)のようですが、古典アラブ詩の押韻形式とリフレイン形式によっているようです。曲名を邦訳するとすれば、「あなたは我が人生」となります。参照しているのは例の水野信男氏のカルスーム研究書と言っても良いアラブ音楽解説書「音楽のアラベスク」。当時の先端楽器だったエレキ・ギターを巧みに用いながらも、古くからのアラベスクの美学を60年代的に推し進めた名曲です。以下に反復節とリフレインの部分のみ、「音楽のアラベスク」から転載しておきます。

あなたの瞳は私に古き良き時代を取り戻させた。
それは過去とその傷をいやす方法を私に教えた。
あなたに出会う前に私が経験したこと。
それはみんな昔のことなのだ。どうしてそれを数えられよう?!
あなたは我が人生。そしてあなたの光で、朝ははじまった。

oum kaltoum enta omri

冒頭のインスト部分がほとんど。終わり間近に歌が出てきます。

Omm Kalthoum-Inta Omri

インタ・オムリと表記されることもあります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月12日 (木)

廃墟の別テイクとインタビュー

エジプトの往年の大歌手ウム・カルスームに少しこだわってみたいと思いますが、先日聞いた「廃墟」、別の映像がありますので、まとめてアップしておきます。同じ曲のはずですが、それぞれ特色のある生気に溢れたステージになっていると思います。このマカームの謎めいたムードは、例えばペルシア音楽で言えば、チャハールガーを思い出します。彼女へのインタビューの珍しい映像が見つかりましたので、併せて上げておきます。静かに語る姿を見るだけで、感動ものです。なお、カルスームの名前の表記ですが、ウンム・クルスームとすることが最近多いように見受けられますが、70年代から「ウム・カルスーム」と言い続けて馴染んでいたため、そちらで統一させて頂きました。ウンム・クルスームだと、何かピンと来ません(笑) 当時の小泉文夫氏や水野信男氏のラジオでも、「ウム・カルスーム」と読んでいたと思いますが、最近は原語に近い発音に変ってきたようです。例の水野先生の本から、この曲の歌詞の第1節を以下に掲載しておきます。全部で10節からなる詩ですが、各3行構成で、8節と10節だけ4行になっています。

(第1節)
1.我が心よ、愛がどこへ行ったかと問わないで
それは私の夢の中の建物で、もはやくずれおちてしまった
2.飲み物を下さい。杯をその廃墟にそそごう
そして涙のかわくまで私について語ろう
3.どのように、そんな愛が過去のものとなり
愛の哀しみの物語となったかを

Oum Kalthoum - Al Atlal

Um Kalthoum Al Atlal أم كلثوم الأطلال Part 1

先日もアップした映像。

Um Kalthoum Al Atlal أم كلثوم الأطلال Part 2

Om Koulthoum Interview

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月11日 (水)

カルスームの歌唱とベリーダンスの場合

昨日一緒に上げておいても良かったのですが、後でウム・カルスーム自身が「アリフ・ライラ・ワ・ライラ」を歌っているクリップが見つかりました。併せてこの曲によるベリーダンスもアップしておきます。

Oum kalthoum " Alf Lila wa Lila"

こちらは前奏のインスト部分。

oum kalsoum 1000 koul leilas Alf Layla We Layla

2分過ぎからカルスームの歌が出てきますが、正に燻し銀の歌声です。アラビアン・ナイトと関係があるのかどうか、歌詞の意味が知りたいところです。

Alf Leila Wa Leila Om Kalthoum Bellydance Sydney Lina

Lina from Hungary dancing to Alf Leila Wa Leila at the Sydney Middle Eastern Dance Festival 2008 gala dinner.とありました。ハンガリーのダンサーですね。オスマン帝国の時代にはぎりぎりハンガリー位までダンサーがいたのかも知れません。オーストラリアのフェスティヴァルの映像だそうで、本当にベリーダンスはワールド・ワイドになったものです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月10日 (火)

アリフ・ライラ・ワ・ライラ

更にリアド・アル・スンバティで検索してみました。今度は「千夜一夜物語」(アラビアン・ナイト)のアラビア語名、「アリフ・ライラ・ワ・ライラ」が出てきました。しかし、スンバティ作曲ではなかったはず。この曲が収録されたベリーダンス音楽としても一級品の「ジャリラのラクス・シャルキ3」Jalilah`s Raks Sharki3(ドイツPiranha)を見てみると、Balah Hamdyがウム・カルスームのために書いた曲で、往年の名ダンサーSouhair Saki(スヘル・ザキ)が70年代に踊ったのがこの曲の最初のベリーダンス・ステージのようです。いかにもアラビアン・ナイトを想起させるエキゾチックさと妖艶さがあります。ピラニア盤にはモノクロの踊り子の絵が載っていて、高いポックリのようなサンダルを履いた踊り子(ガワジー?)と、伴奏のナイルの音楽家が一緒に描かれていますが、これが非常に秀逸だと思います。リリースから12年ほど経ちましたが、この絵と共に思い出す曲になっています。

Alf lela u Lela

Ensemble Tarab Orquesta Árabe de Cámara. Concierto SCD Vespuccio 2008, Santiago de Chile. Grabación en vivo de "Clásicos de la Música Árabe". www.ensembletarab.scd.cl

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 9日 (月)

名曲ロンガ・ファラファザ

しかし、スンバティと言えば、やはりこのロンガが一番有名でしょう。ロンガ・ファラファザは最高にノリが良くて哀愁のメロディが耳に残ります。キングのワールド・ルーツ・ミュージック・ライブラリーの一枚「エジプトの近代歌謡」でも冒頭を飾っていました。今日はアマチュア(かセミプロ?)と思われる若者の演奏で。一本目がウードとダラブッカ、二本目はカーヌーンのソロです。この開放的なまでのポピュラリティーと、昨日見たような深遠な世界がスンバティの音楽に共存しているのが面白いです。
旋法はファラファザ(おそらくトルコ音楽側から見た場合)になっていたり、ナハーヴァンド(例えば上記「エジプトの近代歌謡」)になっていたりしますが、どちらにしても日本人にも馴染みやすいメロディ・ラインだと思います。余談ですが、私も12年ほど前にウードを手に入れたばかりの頃、まず弾いてみたくなった一曲でした。

Longa Riad Farahfaza Rehearsal

Ali Amr playing Longa Riyad - Riyad al Sunbati

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«「廃墟」をスンバティの弾き語りとカルスームの歌唱で