2019年9月16日 (月)

ドランのムカーム

ゼアミdeワールド178回目の放送、日曜夜にありました。18日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。YouTubeは、一本で台湾Wind Music盤全曲です。

テュルク(トルコ)系のウイグル族の音楽の5回目です。今回は、先週の終わりにかけました仏Inedit「中国のトルキスタン ドランのムカーム」以外に、もう一枚、台湾のWind Musicからもドランのムカームの録音が出ておりますので、同じムカームで聞き比べをしてみたいと思います。ドランのムカームは、各2時間を要するウイグルのムカームよりずっと短く、各6~10分位で合計9つなので、イネディ盤には全てのドラン・ムカームが入っていましたが、Wind Music盤にも全て入っているようです。演奏はMakit Dolan Muqam Troupe of Makit Countyとなっています。Kavichandran AlexanderによるMakitでの24bitの録音です。今回も売り切れで手元にないので、アップルミュージックからの音出しになります。


ドランはモンゴル起源とも言われるウイグル内の少数民族で、その音楽はどこか東アジア的だったり、コーラスする辺りはパキスタンやインドのカッワーリにも似ていたり、本当に同じウイグルかと思う程でもあります。楽器では何よりも楊琴(ヤンチン)型ツィターのカルーンの音色が独特で、この音揺れがどこか中国風に聞こえる秘密かと思います。ドランのラワープは他の地域のこの楽器にはない共鳴弦が付いているようです。演奏者の顔立ちは、確かに日本人と見紛うような東洋的な風貌の人が多いのですが、ウイグルの辺りは古代にはインド系やイラン系のいわゆるアーリア系の人々が住んでいて、テュルク系の侵入後に彼らが言語的にテュルク化したようですので、ドランの方が元はモンゴル高原に西からテュルク、モンゴル、トゥングースと並んでいた内の、テュルク族の直系なのかも知れません。

ドラン・ムカームでは常に踊りを伴い、解釈は極めて自由で、即興的にパラフレーズして演じられるということでした。前回2曲予定していましたが、イネディ盤の最初のBash Bayawanのみで終わりましたので、2曲目のZil Bayawanからおかけします。

<2 中国のトルキスタン ドランのムカーム Zil Bayawan 6分39秒>

次にWind Music盤のZil Bayawan Muqamをおかけします。

<2 Zil Bayawan Muqam 5分45秒>

次に、演奏の際に必ず最後に演奏されるというJulaをおかけします。イネディ盤の方では、通しで聞くと、確かに何か終止形に近いものを感じます。

<9 中国のトルキスタン ドランのムカーム Jula 6分35秒>

次にWind Music盤のJulaをおかけします。こちらではDugamet Bayawan MuqamとHudek Bayawan Muqamを後に回して7曲目に入っています。何か理由があるのでしょうか? この盤の方がカルーンの響きや弦楽器のフレーズも、一部でより中国風にも聞こえます。

<7 Jula Muqam 5分46秒>

では最後に、Wind Music盤でも冒頭を飾っているBash Bayawanを時間まで聞きながら今回はお別れです。9曲のドラン・ムカームの内、3曲を2枚の音源から並べて比較しましたが、芸風の違いは聞き取れましたでしょうか。私が思うには、イネディ盤の方が総じてカッワーリのようなヘテロフォニックとも形容されるコーラスが強力に展開し、Wind Music盤の方はどこか中国風な少し涼しげな器楽の音色が目立っているようにも思いました。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Bash Bayawan Muqam 5分11秒>

Uyghur Makit Dolan Muqam - Bayawan Full Album

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2019年9月15日 (日)

ウイグルのボウルダンスと12ムカーム

いよいよリフォームの終わり間近で、家の片づけに追われ、ブログは書けない日が続きました。月曜だけは放送内容をアップしますが、この状態が後1,2週間は続きそうです。という訳で、異例の日曜アップです。
今日の一本目の大変に美しい「ウイグルのボウルダンス」は、10年程前から何度か上げたように思いますが、2本目の12ムカームの中間部に類似の箇所(おそらく同じ曲)が出てきているように、どれかのムカームの一部のようです。例の12ムカーム(オンイッキ・ムカーム)のウイグル盤VCDは、各2時間、合計24時間ほどありますから、この1時間23分の演奏も抜粋ではと思います。しかし、一つのムカームの中に、器楽独奏、美しい舞踊、合奏など、何と見せ場が多いことでしょうか!

Beautiful Uyghur Dance

uygur 12 muqam

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2019年9月11日 (水)

女性歌手Ayshamgul Mamat

「ウイグルの音楽 イリとカシュガルの伝統」に出てきた女性歌手Ayshamgul Mamatで検索したら、イネディの音源以外にウズベキスタンのタシケントでの割と最近のコンサート映像がありました。この人の名前はAyshigül Mämät (aka Ayshämgül Muhämmäd)など、色々綴りがあるようで、ドイツのDreyer Gaidoから出ていた「女声によるウイグルのムカームと民謡/エィシングル・メメット The female voice of Uyghur muqams and folk songs/Ayshemgul Memet」と同一人物のようです。イネディ盤では解説をよく読まないと出てこない名前だったので、今回検索して初めて気が付きました。併せて放送でかけられなかったイリの歌を上げておきます。イリ地方はウイグル北部とカザフスタンに跨っているようで、これも話を複雑にしています。Ayshamgul Mamatがドタールを弾き語っているDreyer Gaido盤は、次回の放送で取り上げる予定です。こうしてライブ映像を見ると、改めてウイグルとウズベクの音楽の類似性に驚きます。全く違和感がありません。

ayshigul in Tashkent (3)

Chants d'ili/ili songs

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2019年9月 9日 (月)

イリとカシュガル ドランのムカーム

ゼアミdeワールド177回目の放送、日曜夜にありました。11日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日はとりあえず「イリとカシュガル」から、ドランはまた探してみます。ニヤズさんの動画と曲は、やはり見当たらずです。

テュルク(トルコ)系のウイグル族の音楽の4回目です。

今回はウイグルの初回にかけましたアブライティ・ムハメドニヤズの「ウイグル・タンブールの音色」の後半にも、なかなかいい曲がありますので、それらを少しおかけしてから、12ムカームの合奏の例としてフランスIneditの2枚からご紹介したいと思います。

「ウイグル・タンブールの音色」の10曲目のゾフラジャニム(私の命ゾフラ)と言う曲ですが、解説に以下のようにあります。「1945年に22歳でアクスで殺害されたイリ生まれのウイグルの革命家リ・ムタリブがアクスの獄中で作った曲。彼はウイグルの自由を取り戻すため戦ったが、思いを果たせず囚われた。いつの日かウイグル社会に目覚めて欲しいと、自分の恋人ゾフラを思いながら、自由への希望を詩に込めている。」こういう曲です。

<10. Zohrajanim 3分50秒>

15曲目のヘスレトという曲は、ウイグル語で傷心とか悲哀を意味し、遠く離れて暮らしている愛する母が亡くなったとの知らせで、込み上げる悲しみを表した曲。とのことです。

<15. Hasrat 4分37秒>

12ムカームの歌と合奏の方に移りますが、先ほどの曲に出てきたイリの街が出てくる音源で「ウイグルの音楽 イリとカシュガルの伝統」という仏Inedit盤からいくつかご紹介します。前に言いました通り、ウイグルの盤は売り切れで手元にないものが多いので、iPhoneのデータからの音出しになります。まずこの盤についてゼアミHPに書いた拙文を読み上げてみます。

*中国西部のトルコ系ウイグル族の音楽で、タクラマカン砂漠周辺の代表的オアシス都市の伝統音楽演奏。演奏者は名前を見る限りロシア名が多く、隣国のウズベクを中心に活動している音楽家のようで、彼等のような言わばディアスポラ・ウイグルの音楽家の方が、ウイグル音楽本来のスピリットをより良く保っていると言われる。どんなに長い腕でも低いフレットにはまず届かない超長棹のタンブールを中心としたアンサンブルやソロを伴奏に、悠久の中央アジア節がたっぷりと堪能でき、ウズベク音楽との比較でも興味が尽きない。弦楽器のゆったりとくゆらすような音が中央アジアしていてたまりません。

この録音から、女性歌手Ayshamgul Mamatがフロントに出たMuqam Rokhsari : muqam bashiと2曲目のChants de Kachgar(カシュガルの歌)の途中まで続けておかけします。これまでソロで聞いた撥弦楽器のタンブール、ラワープ、ドタールの他に、擦弦のギジャクが活躍しています。

<1 Muqam Rokhsari : muqam bashi 4分20秒>

Muqâm rokhsari


<2 Chants de Kachgar 10分14秒 抜粋>

Chants de kachgar/kashgar songs


もう一枚、2000年代に入って「中国のトルキスタン ドランのムカーム」という盤も仏Ineditから出ておりまして、こちらはモンゴル起源とも言われるウイグル内少数民族のドラン族の音源です。どこか東アジア的だったり、コーラスする辺りはカッワーリにも似ていたり、本当に同じウイグルかと思う程でもあります。この盤についてゼアミHPに書いた拙文を読み上げてみます。

*タクラマカン砂漠の新疆ウイグル自治区(=東トルキスタン)の音楽。行政区分としては中国に含まれるが、独自の文化を保持し、ムスリムのウイグル人が多くを占める新疆ウイグル自治区。キルギス、カザフ、インド、パキスタン等と接しており、その音楽の様相も中央アジアのそれと近いものがあります。本作はなかでも辺境の、ドラン地区のムカームを収録。楊琴型ツィターのカルーン、弓奏弦楽器のギジャック、ラワープといった弦楽器の伴奏に、枠太鼓ダップをもった歌い手、という編成。繊細な弦の音と、コブシをきかせながら野太い声を張り上げて歌う男たちの合唱とのコントラストが印象的。

では最後に、この「中国のトルキスタン ドランのムカーム」から、Bash BayawanとZil Bayawanを時間まで聞きながら今回はお別れです。最後の9曲目以外の全ての曲のムカーム名の終わりにBayawanという言葉が付いています。(意味は今のところ不明です)

各2時間を要するウイグルのムカームよりずっと短く、各6~10分位で、合計9つなので、このCDには全てのドラン・ムカームが入っているということになります。それらは常に踊りを伴い、解釈は極めて自由で、即興的にパラフレーズして演じられるそうです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Bash Bayawan 5分47秒>

<2 Zil Bayawan 6分39秒>

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2019年9月 6日 (金)

ミャオ族 芦笙舞~トラジ~チベットの仮面劇

最初に上げた動画のサムネイルが入るので、インパクトのある苗族の映像から上げておきます。中国南部各地に住む少数民族、苗(ミャオ)族の音楽から、日本の雅楽に用いられる笙のルーツに当たる蘆笙(ろしょう)を吹きながら踊る曲「楽しい蘆笙舞」という曲を番組でかけましたが、この映像は近いように思います。苗(ミャオ)族と同系統のモン族などが、タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナムなどの山岳地帯に住んでいて、笙のルーツに当たる楽器は、ラオスなどインドシナの方にも見られるので、苗(ミャオ)族もタイ系などインドシナ系統の民族かと長年思っていましたが、どうも独立した語族のようです。

ミャオ族舞踊 芦笙舞を舞う



朝鮮の曲では、何といってもアリランが一番有名だと思いますが、その次がトラジだと思います。「トラジとは桔梗の花の意味で、純朴な山の花ではあるが、他の花よりずっと強い生命力を持ち、どんな悪条件にも負けず育つ姿は、朝鮮族の象徴とも考えられている。」と言うのは、「シルクロードの音楽」の解説で初めて知りました。擦弦のヘーグムと両面太鼓のチャンゴの演奏を探してみました。東日本大震災チャリティコンサートの奈良朝鮮初中級学校卒業生の演奏では、右側に琴が見えますが、これは伽耶琴(カヤグム)だと思います。崔勇(ツィ・イョン)の演奏が見当たらないので、こちらを上げておきます。ヘーグムは以前胴の形が違っていたと思いますが、こういう丸い胴の胡弓に似た形の楽器が増えているようです。

110508-03 도라지/トラジ


チベット族の歌舞劇の音楽、ウンパドンという曲の映像は見当たりませんが、チベット僧院での宗教的な踊りの映像が一番多く見つかりました。それらとは違いますが、この映像は番組でかけたのと、似たイメージがあります。有名な超低音の仏教声明ではなく、独特なヴィブラートを伴った歌唱を聞けます。

Masked tibetan dance Ngonpa - Rigna by TIPA

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