2019年4月22日 (月)

パリサーのマーフール

ゼアミdeワールド157回目の放送、日曜夕方に終りました。24日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。日本のライブ録音と同じマーフールの曲はなさそうですので、他の曲でしかもタスニーフのみですが、パリサーのマーフールの歌唱を上げておきます。サントゥールのメシュカティアンとの2本目は、かなり前から見かける動画で、旋法はマーフールではないと思いますが(バヤーテ・トルク辺り?)、若い頃のパリサーの貴重な生映像の一つでしょう。



前回はパーソナリティ名にしているペルシアのホマーユン旋法の代表的な演奏として女性歌手パリサーの名唱と、往年の名歌手マフムード・キャリーミーの独唱、アリザーデとダリウーシュ・タライーのセタール独奏によるラディーフの該当箇所を聞き比べました。



今回は、春らしく明朗で美しいマーフール旋法の聞き比べです。まずはファーテメ・パリサーの「ペルシャ絶唱~イスラム神秘主義の歌声」の1978年東京でのライブ録音ですが、この盤はパリサーのマーフールに始まり、名男性歌手ラザヴィ・サルヴェスターニのセガーとマーフールが続き、前回おかけしたパリサーのホマーユンで終わります。ペルシア古典声楽の素晴らしさを知らしめた伝説のライブ録音です。伴奏は、タールがジャラール・ゾルフォヌーン、ネイがモハンマド・ムーサヴィー・シューシタリー、トンバクがモルタザー・ハージェアリー・アーヤンです。



<1 ペルシア絶唱~イスラム神秘主義の歌声 マーフール旋法 10分41秒>

Parissa : Tasnif "Tabeh Banafseh"_Dastgah eh Mahour





parisa & meshkatian





この曲は、導入のダルアーマドに始まり、グーシェはゴシャーイェシュとデルキャシュが続き、リズムがある明るく晴れやかなタスニーフ(歌曲の一種)で終わります。詩はハーフェズが中心で、タスニーフの部分はサファヴィー朝の詩人シェイーヒ・バハーイーです。ハーフェズは、彼の影響を受けてドイツの詩人ゲーテが西東詩集を書いたことでも知られるペルシアの大詩人です。マーフールについては、ビクター盤にグーシェ名の記載がありますので、その部分を中心に聞き比べたいと思います。



まずはパリサーの師匠のマフムード・キャリーミーのラディーフ5枚組の独唱ですが、ダルアーマドの後にセタール版にはないゴシャーイェシュが入っております。その後4つグーシェが続きますが、飛ばして7曲目のデルキャシュをおかけします。デルキャシュというライトクラシカルの女性歌手もいましたが、本来の意味は「魅惑的な」になります。明るいマーフール旋法の中では、少し曇った感じの転調の妙が聞ける重要なグーシェです。



<1 Mahmud Karimi / Vocal Radif of Persian Classical Music Vol.4 Homayun / Daramad 2分46秒>

<2 Mahmud Karimi / Vocal Radif of Persian Classical Music Vol.4 Homayun / Goshayesh 1分24秒>

<7 Mahmud Karimi / Vocal Radif of Persian Classical Music Vol.4 Homayun / Delkash 3分30秒>



続いて、ホセイン・アリザーデのセタールによるラディーフ5枚組からマーフールのダルアーマドとデルキャシュの部分をおかけします。この盤では1曲目と8曲目になります。



<1 Hossein Alizadeh / Radif Vol.4 Mahur / Daramad 41秒>

<8 Hossein Alizadeh / Radif Vol.4 Mahur / Delkash 3分33秒>



セタール独奏の比較で、ダリウーシュ・タライーのラディーフ5枚組から、同じくマーフール旋法のダルアーマドとデルキャシュを時間までおかけします。



ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週



<2 Dariush Talai / Radif Vol.4 Mahur / Daramad 58秒>

<9 Dariush Talai / Radif Vol.4 Mahur / Delkash 1分45秒>

| | コメント (0)

2019年4月19日 (金)

モルタザー・マハジュビーの伴奏によるホマーユン

ホマーユンと言えば、パリサーの名唱と並んで1980年の柘植元一先生のNHKFM「世界の民族音楽」で聴いた中に、ペルシアン・ピアノのモルタザー・マハジュビーの独奏もありました。このLP録音を探すこと25年。確か2005年にイランのMahoor Institutから、件のホマーユンの独奏の入った盤が登場した時は、正に狂喜乱舞したものです。今回の放送分に対応するyoutubeが少ないので、マハジュビー(あるいはマフジュビー)が、名歌手バナーンやアディブ・ハンサリを伴奏している映像を上げておきます。マハジュビーのペルシアン・ピアノは、明らかに微分音調律していて、通常のピアノでは出せない驚異の音響を響かせています。正にサントゥールの代わりに演奏しています。多分自分で旋法ごとに調律を変えながら弾いていたのでは、と思いますが、どうなのでしょうか。ダシュティ旋法の名歌「デイラーマン」の名唱と、黒メガネで知られるバナーンは、若い頃はタイロン・パワー似の超二枚目です。アディブ・ハンサリも1901年生まれですから、マハジュビーとは同世代。Mahoor Institutの彼の3枚組は、タールだけの伴奏でしっとり聞かせる逸品でした。
3本目は、パリサーの同じ1978年の歌唱ですが、歌の師匠のマフムード・キャリーミーがセタールで伴奏するシーンが出てきて、このワンカットはとても貴重だと思います。

Banan & Mahjoobi: Saz o Avaz - Homayoon

Adib Khansari & Morteza Mahjubi - - Avaz Homayun

Fatemeh Vaezi Parisa sings Hamayun: Poem of Hafez

| | コメント (0)

2019年4月15日 (月)

パリサーのホマーユンと各ラディーフ盤の聞き比べ

ゼアミdeワールド156回目の放送、日曜夜に終りました。17日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。以下の理由で今週はブログアップもほとんど出来ないと思いますm(. .)m アリザーデではかけたことになっている短いBidad-e Kotも、時間が足りずカットしました。タライーの演奏は「ライラとマジュヌーン」までは入らず、ちょうどネイダーヴードで終わりました。



前回カシミールのラバーブ、北インドのサロッド、イランのセタールで、ラーガ・キルワーニとホマーユン旋法の聞き比べをしましたが、最後のホセイン・アリザーデのセタール演奏がビーダードの途中で終わってしまいました。せっかくですので、もう少しお聞かせしたいと思いますし、ちょうど家の工事が始まる前後で、更には18日にはトークトークでの9回目の終活カフェでの弦楽合奏、20日には西条の樹木葬朗読会でのチェロ伴奏とありまして、14日と21日放送分の準備には余り時間がかけられないと思います。年度初めですし自己紹介を兼ねて、パーソナリティ名にしているホマーユンの代表的な演奏として女性歌手パリサーの名唱と、往年の名歌手マフムード・キャリーミーの独唱、アリザーデとダリウーシュ・タライーのセタール独奏によるラディーフの該当箇所を並べてご紹介したいと思います。実はペルシア音楽は枚数的には手持ち資料が民族音楽では最も多く500枚前後はありますので、ペルシア音楽だけで1、2年はゆうに出来ますが、15分枠の最初に10回ほどごく一部をかいつまんでかけただけですので、折に触れて戻って取り上げたいと思います。



まずはファーテメ・パリサーの1978年の日本公演の歌唱から、ホマーユン旋法です。私がこの録音を初めて聞いたのは1980年の柘植元一氏のNHKFM「世界の民族音楽」の番組で、これが民族音楽に本格的に目が向くきっかけになった録音です。柘植氏の師匠で世界的民族音楽学者だった故・小泉文夫氏が、ペルシアの古典声楽を「世界で最も美しい歌」とか「死ぬ前に聞きたい歌を二つ選ぶとすれば、一番にペルシアの歌、二番目に日本の新内節」と語ったことに大きく影響を受け、その後両方に近づくきっかけになりました。



15分枠の時は抜粋でしたが、今回は10分余りのハーフェズの詩「恋人の巻毛から結び目を解け」によるこのホマーユンの演奏をノーカットでおかけします。裏声を絶妙に操るタハリール唱法を駆使した蠱惑的な絶美のアーヴァーズ(歌唱)です。



<4 ペルシア絶唱~イスラム神秘主義の歌声 ホマーユン旋法 10分12秒>

Parissa : Classical Vocal Art of Persia (Dastgah eh homayoun)





このビクターJVC盤には、パリサーの歌唱はマーフール旋法もありますので、次回おかけします。因みにゼアミdeワールドのオープニングにかけているのも、シャヒーディーとパイヴァール他のマーフールの演奏です。



では、ホマーユンの聞き比べとして、セタールの前にパリサーの師匠のマフムード・キャリーミーのラディーフも5枚組で出ておりますので、彼の独唱で、ネイダーヴードとビーダードの2曲をおかけします。パリサーが日本のライブで歌った中には確かにこの2曲があったと思います。12の各旋法の規範となる楽曲集成のようなラディーフは、沢山の小楽曲あるいは伝統的旋律形のグーシェで出来ております。各グーシェを雛形として、それを即興的にパラフレーズして演奏されます。ホマーユンには通常10~20余りのグーシェがありまして、ネイダーヴードとビーダードはその内の2つです。キャリーミーのラディーフ集成は、併せて楽譜も出ております。



<24 Mahmud Karimi / Vocal Radif of Persian Classical Music Vol.2 Homayun / Neydavud 1分39秒>

<25 Mahmud Karimi / Vocal Radif of Persian Classical Music Vol.2 Homayun / Bidad 1分10秒>



ホセイン・アリザーデのセタールによるラディーフ5枚組からホマーユンの部分をおかけします。前回途中になったビーダードからどうぞ。その後Bidad-e Kotを挟んでネイダーヴードが出てきます。



<36 Hossein Alizadeh / Radif Vol.2 Homayun / Bidad 2分11秒>

<37 Hossein Alizadeh / Radif Vol.2 Homayun / Bidad-e Kot 27秒>

<38 Hossein Alizadeh / Radif Vol.2 Homayun / Neydavud 1分52秒>



セタール独奏の比較で、ダリウーシュ・タライーのラディーフ5枚組から、同じくホマーユン旋法のビーダードと、Bidad-e Kotを挟んでネイダーヴードをおかけします。キャリーミーでは逆でしたが、タライーはアリザーデとこの部分の曲順が同じです。雛形ではあっても、二人の個性の違いがよく表れているように思います。ダイナミックで一瞬の閃きが光る天才肌のアリザーデと、緻密で職人技的なタライーと言えるでしょうか。



<29 Dariush Talai / Radif Vol.2 Homayun / Bidad 2分10秒>

<30 Dariush Talai / Radif Vol.2 Homayun / Bidad-e Kot 29秒>

<31 Dariush Talai / Radif Vol.2 Homayun / Neydavud 1分51秒>



ダリウーシュ・タライーの演奏では、ネイダーヴードの後も20曲近くホマーユン旋法のグーシェが続きますので、時間までおかけします。この中には「レイリー・マジュヌーン」(ライラとマジュヌーン)もあります。



ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

| | コメント (0)

2019年4月11日 (木)

パシュトーのラバーブ

アフガニスタンの中部・南部とパキスタン北西部にまたがって住んでいるイラン系のパシュトゥーン人のラバーブ演奏のようですが、おそらくどちらもアフガニスタン側の演奏のようです。スイスのVDE-Galloからアフガニスタンの「ヘーラートのラバーブ」という盤が出ていました。ヘーラートはアフガニスタン西部のようですが、この辺りもパシュトーになるのでしょうか? 言葉は最近パシュトー語と言われることが多いようですが、昔はパシュトゥー語と言っていたように思います。1本目では太鼓はタブラがメインで両面太鼓ドーラクも出て来ていますが、やはりアフガニスタン側のようでした。パキスタン側では、ラバーブでもほとんどカッワーリのようなエキサイトした演奏もあるようです。

Pashto Rabab mast saaz 2016

Habib on Rabab

| | コメント (0)

2019年4月10日 (水)

スブハーン・ラートルのラバーブ

キング盤のラーガ・キルワーニが鮮烈だったカシミールのラバーブ奏者スブハーン・ラートルさんの動画は、先日の一本だけのようですが、静止画像のyoutubeは幾つかありました。中でも面白かったのが一本目の菜の花畑のような映像で、おそらくガザルになるのだろうと思います。カシミールの音楽は、インドを向いた音楽と、パミールや中央アジアも感じさせる音楽とあるように思いますが、この曲は前者でしょう。しかしタブラが入ってなくて、リズムパターンが一種独特です。2本目はタブラも入ってもっとストレートにインドを感じさせます。この曲はカリヤニ・ロイだったか、シタールの演奏で聞いたような気がします。3本目はキング盤収録の3拍子のガザルで、ラバーブ弾き語りも巧みにこなすラートルさんの好演を堪能できます。しかし、この曲があるのに、ラーガ・キルワーニが上がっていないのが不思議です。

WALAA MIANE POSHE MADNO

Kalam . ABDUL AHAD AZAD BY SUBHAN RATHER

Mohammad Subhan Rathore & Abdul Ghani - Ghazal "I Did Not Know the God"

| | コメント (0)

«キルワーニとホマーユン