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2007年9月30日 (日)

ゴリラ

今日はブラッサンスの第2弾で、名曲「ゴリラ」。

Georges Brassens - Le gorille

ちょっとエッチで痛快な死刑廃止のアピール・ソング。
直球でぶつけるのではなく、ユーモアでくるんだ滑稽譚になっています。こういうエッチで豪快な滑稽譚はゴロワズリーといって、「ガルガンチュア~パンタグリュエル」の作家ラブレー以来の伝統。(フランス・タバコのゴロワーズは関係ありかも) それをステージでまじめくさった顔で歌うので、かえって笑いを引き起こしたそうですw

  太い格子ごしに
  土地の小母はんどもが
  見つめていたのは逞しいゴリラ
  何と言われようと気にもとめず
  恥ずかしがるどころか このおかみさん達
  しかもある決まった一点に横目を使っていた
  そこは僕の母さんがきびしく
  口にするなと禁じてた場所
  ゴリラにご用心

  そのハンサムなゴリラが住んでいる
  閉まってた檻が
  うまく閉まってなかったのか
  突然開いて
  ゴリラが檻を出ながら
  今日はあれを失くしちまおうかと言った
  あれとは童貞のことらしい
  皆さんのお察しどおり
  ゴリラにご用心

  飼い主の親爺が
  取り乱して叫んだ こりゃまた
  困ったこった だってこのお猿さん
  まだ雌を知らんのだから
  女どもはゴリラが童貞なのを
  知るやいなや
  絶好のチャンスに見切りをつけて
  あたふたと駆け出した
  ゴリラにご用心

  ついさっきまで特に物欲しげな目付きで
  奴を見ていた女どもまで
  妄想はもうこれっきりと
  逃げ出した
  で彼女等の気がかりはフイになったわけ
  ゴリラの抱きしめ方は
  人間の男よりずっとすごいとか何とか
  それは女達がメシより好きな話
  ゴリラにご用心

  みんな逃げ出して
  さかりのついたゴリラを避けたのだが
  よぼよぼ婆さんと
  若い判事だけが森の中で
  みんなが逃げるのを見ていた
  するとこの霊長類は
  身体をゆさぶりながら
  婆さんと司法官に迫ってきた
  ゴリラにご用心 

  まさか と百歳婆さんはため息をついた
  こんなわたしに気があるなんて
  これはただごとじゃない
  滅相もない
  判事は判事でたかをくくって
  私を雌猿の代わりにするなんて
  それは全く有り得ないこと
  ところが結果は彼の思わくとは逆
  ゴリラにご用心

  もしあなたがこのゴリラのように
  判事か婆さんを
  犯すとしたら
  二人のどちらを選ぶだろう
  同じ選択を
  四日以内に迫られたら
  僕が選ぶ相手は
  きっと彼女の方だったろう
  ゴリラにご用心

  けれど困ったことにこのゴリラは
  あのほうのテクニックは凄そうだが
  そのわりに好みと思い入れは
  一筋縄では行かぬ性癖のほうで
  この際婆さんには目もくれず
  行き当たりばったり
  判事の耳たぶひっ掴まえて
  森の茂みへ連れ込んだ
  ゴリラにご用心

  結果は愉快なことに相成るのだが
  残念ながら
  申し上げかねる
  ただ一寸笑わせるのは
  その間際にあの判事野郎
  母さん と泣き喚いたそうな
  まるでその日
  自分が縛り首にした男そっくりに
  ゴリラにご用心  

  共訳:奥地 睦二・佐藤 哲生・小川 和洋

 ブラッサンスとゴリラとは体格的にもイメージが合った。彼が舞台に現れる時、オーケストラが奏でるのは、いまだにゴリラのあのテーマである。彼が家で犬や猫を叱る時には「ゴリラに用心しろ」と怒鳴るのだという。<母さん と泣き喚いた>判事を強引に犯して、裁きをつけるゴリラは、何を隠そうブラッサンス自身なのだ。その判事たるや、<その日自分が縛り首にした男そっくり>の泣きを見る。八節余りの詩句のあと、見事に急転直下するギロチンのこの終句。その拒絶と反逆。これを完璧な悪ふざけと言ってしまうには惜しい。<ゴリラにご用心>は、死罪への拒否と威喝なのである。  解説:ルネ・ファレ

訳詩とルネ・ファレ氏の解説はジョルジュ・ブラッサンス全集より
http://www7a.biglobe.ne.jp/~k_ogawa/

(本稿は、地元のSNS、イマソウにアップしていた記事の転載)

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