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2007年9月25日 (火)

鳥の歌

今日はJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲を復活させた往年のチェロの巨匠、パブロ・カザルスが晩年に愛奏していた「鳥の歌」です。
祖国スペインのフランコ政権に反対し、母の故郷であるカリブ海のプエルトリコに亡命していた晩年の映像。望郷と平和への祈りの絶唱です。
ピアノ伴奏は再婚した奥さんか?
この映像は以前出ていたDVD収録のものですが、現在は廃盤。

CANT DELS OCELLS

ヨボヨボの95歳の老チェリストが、1971年の国連平和デー記念音楽会でのライヴで語った以下の言葉(英文の箇所)は余りに有名。このライヴの音源もありますが、さすがにyoutubeに同じ映像はなかったです。故・五十嵐一さんはあの「悪魔の詩」の訳者で、筑波大学内で91年に殺害されてしまった当時気鋭のイスラーム学者でした。この本では「鳥の歌」からイランのゾロアスター教の話(鳥葬)に展開していきます。

 (以下 五十嵐一著「音楽の風土」中公新書 より)

「私は、およそ十四年もの間、公開の席で演奏はしておりません。しかし今日は演奏をしてみたい気がします....。曲は私のふるさとカタルーニャ地方の民謡で『鳥の歌』です。この鳥は、高く空を翔び、『平和、平和、平和』と鳴いているのです....」
老人は手を高く差し上げ、あたかも鳥が翔ぶように振りながら、

The Bird sings, Peace, Peace, Peace 

と繰り返した。この老音楽家の名はパブロ・カザルス。

この挨拶の後に続いたチェロの独奏について、私の筆はそれを十分に伝える力がない。そこで響いたのはチェロであってチェロではなかった。天高く翔ける鳥がニューヨークの国連会議場を飛び立って、スペインの空に舞い、そして日本の茶の間にも訪れた。チェロの響きという以上に、音楽そのものを聴いたような感動に打ち震えて、私はテレビの画面に映し出された人々と同じく、涙に溢れていた。
 (中略)
彼の音楽は、イズムとイズムのぶつかり合いの中に生き、一つのイズムが他のイズムを打ち負かすことによる平和しか考えていない多くの人々の遥かに上を抜き、ほとんど絶対の境地での平和を鳴り響かせた。

(本稿は、地元のSNS、イマソウにアップしていた記事の転載)

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