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2007年10月 8日 (月)

デデ・エフェンディの名曲

今日はオスマン・トルコの大作曲家イスマイル・デデ・エフェンディが書いた、ラスト旋法のシャルク(古典歌曲)の名曲 Yine bir Gülnihal。 
パックス・オットマニカ (オスマン帝国の平和) を彷彿とさせる名調子です。

1本目はÇankaya大学のトルコ古典音楽合唱団とアンサンブルの演奏。
2本目は、サナート(軽古典音楽)の女性歌手、セチル・アクの歌唱。

Çankaya Üniversitesi Türk Sanat Müziği Korosu

Yine bir Gülnihal(seçil ak)

Ud_metodu

Yine_bir_gulnihal この曲の楽譜を添付しておきました。Mutlu Torunの定評あるウードの教本からです。調性が変わって何度も出てきます。ユーチューブにも、合唱や独唱だけでなく、ギターでの演奏など、様々なクリップがあって、今でもとても愛好されている曲のようです。

トルコの古典音楽では理論上1音(例えばドからレの間)を9つに分けますが、180度反対のフラットは、シから9分の1音下げた音、シャープは9分の4なので、通常の半音より少し低めです。このように、オスマン音楽ではとても微妙な音程が使われています。微妙に下がったり上がったりする音から、オスマン音楽らしい芳醇な味わいが生まれると思います。1音を4つに分けるイランやアラブより更に細かくしたのは、2つの偉大な先輩文化へのライバル意識もどこかにあったのでしょうか。

<この曲が入った参考盤>
Dede Efendi / Fasil   (Buyuk Bestekarlar Serisi 5)   Kemal Gurses (Sef)
COSKUN    CD 105
Dedefendicoskun ファスル(古典組曲)は爛熟期オスマン文化の粋のような形式である。混声合唱の陰影に富んだ表情が実に素晴らしい。ユニゾンで動くメリスマティックな合唱(西洋的では絶対にない)を中心に、トルコ古典楽器の総出演。間に各楽器ごとのタクシーム(即興)も挿まれる。このジャンルは欧米盤ではUnesco位にしか見当たらないが、トルコでは10枚位のシリーズで幾つも出ている。まだまだオスマン帝国時代に生まれた人も多いトルコでは、年輩を中心に根強い人気があるようだ。この盤は作曲家別シリーズの1枚で、19世紀の大作曲家イスマイル・デデ・エフェンディの作品。優美で感傷的な3拍子の佳曲Yine Bir Gur Nihalを初め、極めつけの名演。
※音楽之友社刊 「世界の民族音楽ディスク・ガイド」の拙稿から

常々バルカンの民謡には「9分の1音下げる音」が残っているように感じていました。トルコ領だった時の名残でしょうか。例えば、クストリッツァの「ジプ シーの時」の印象的な挿入歌Eerleziとかにも。終わりから3つ目の音を微妙に低めに取っていると思いますが、いかがでしょうか。その微妙な音程が、 歌の寂寥感を増すように聞こえます。

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