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2007年10月31日 (水)

ウラル・アルタイの話

昨日はコダーイが登場しましたので、少し飛躍しますが、今日はウラル・アルタイ語族の小話を一つ。
ウラル系とは、ウラル・アルタイ諸語のブランチの一つですが、アルタイに入るのがトルコ系(チュルク系)諸語とモンゴル系、ツングース(満州語等)、ウラル系はハンガリー、フィンランド、カレリア、ラップ、エストニア、モルドヴィン、チェレミス(マリ)などです。よくハンガリーはアジア系と言われますが、人種的にはオイロピーデ(白色人種)がベースで、若干モンゴロイドの要素が入った程度のようです。シベリア北西部のサモエード(ネネツ、セリクプ等)もウラル系に入るようで、北方のシベリアにおいては東のサハ(旧ヤクート)やトゥヴァがチュルク系なのと対照的です。サモエード以外のウラル系はフィン・ウゴル語族と言われます。

ヴォルガ流域~ウラル山脈にかけては、ウラルとアルタイの少数民族がモザイク状に住んでいるエリア。ウラル系はモルドヴィン、チェレミス(マリ)など、アルタイ系(ほとんどがチュルク語系)はタタール、バシュコルトスタン、チュヴァシなどです。このように、ハンガリーの遠い親類に当たるような人々が、ロシアのヴォルガ流域にいる訳ですね。チュルク系の方はイスラム教徒が多く、明治時代に「白系ロシア」として来日した人にも、実はタタール人が多かったようです。あの井筒俊彦氏がタタール人のイスラーム学者からアラビア語の手ほどきを受けたのは有名な話。ロシア現代の作曲家グバイドゥーリナはタタールとのハーフです。

何より、ロシアの中にウラルとアルタイの少数民族がいたり、イスラーム世界が内在していることはもっと知られて良いと思います。
youtubeを探してみましたが、チュルク系はかなりありますが、ウラル系はほとんど見当たりません。これは面白い傾向だと思いました。トルコ繋がりでyoutubeも沢山アップされるのでは、と思います。
以上、今回は散漫ですが、非常に興味深いテーマなので、少しずつビデオも参照しながら色んな角度から当たって行ければと思っています。

Zoltán Kodály-Dances of Galánta (Rajkó orchestra)

コダーイの代表作の一つ、ガランタ舞曲をブダペストのユダヤ教会(シナゴーグ)のメンバーが演奏しています。おそらく名高いドハーニ街のシナゴーグでしょう。皆祈祷帽のキパを被っています。ハンガリーはウラル系なので、苗字・名前の順に綴るのが正しいようです。バルトーク・ベラとかコダーイ・ゾルタンのように。

Kodály-zenei

コダーイへのインタビュー。この人とバルトークがいなかったら、その後の民族音楽研究はかなり違ったものになったのでは。ハンガリーは20世紀前半においてはシーンを牽引していたと思います。ヨーロッパとアジアの境であるハンガリーにそのムーヴメントが起こったことは、とても重要なポイントでしょう。

Chuvash Kids On Their Folklore

チュヴァシの民族衣装を着けた少女。

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