倍音唱法~モンゴル系
倍音唱法(喉歌)の世界、二日目はモンゴル系のモンゴル、ブリヤート、カルムイク。ついでに韓国もありましたので一緒に載せました。
大揺れの大相撲では、モンゴルやロシア周辺諸国の力士が大活躍。何でこんなに多いのでしょうか。グルジア、ロシア、ウラジカフカス(多分北オセチア?)、ブルガリア、と壮観です。次はカルムイク辺り?w
把瑠都と朝青龍(白鵬でもOKですが)は、国で言えばエストニア対モンゴルですが、これはウラル対アルタイですねww エストニアはフィン系(ウラル諸語の一つ)ですから。
Mongolian Incredible Throat Singing 呼麦
「草原のチェロ」と形容されたりもした馬頭琴(モリンホール)弾き語りでのモンゴルのホーミー。Humaiという人の演奏ですが、モンゴルらしい大らかで雄大な演奏を聞かせてくれる名手です。
buryat song featuring throat singing
ロシアのバイカル湖周辺(イルクーツクの近く)に住むモンゴル系少数民族のブリヤート族の男性歌手と、モンゴルの馬頭琴奏者のデュオ。ブリヤートといえばInedit盤のようなもっとプリミティヴな歌唱もありますが、それはさすがに見当たりません。
O. Tsahan Zam
ヨーロッパ・ロシア内に存在する唯一のモンゴル系の国カルムイク。カスピ海の北、ヴォルガ河の下流域にあり、カルムイク人は明らかにモンゴル帝国の末裔です。モンゴルから遠く離れたこの地でも、チベット仏教が信奉されているようです。カルムイクの喉歌歌手と言えばまずこの人、オクナ・ツァハン・ザム。欧米盤ではInedit盤に入っていたのが初めてだと思いますが、近年は単独盤が色々出ています。しかし見事な倍音唱法ですね。
판소리 (Throat Singing)
昨日書いたようにシャーマニズムは喉歌のルーツのようですが、韓国でも国楽(日本の雅楽のルーツ)、農楽(サムルノリは有名)と並んで巫楽(ふがく)というジャンルがあって、そこでは現在でもエネルギッシュなシャーマニズムが息づいています。確かに浪曲のような喉を絞るような歌い方からは、倍音が豊富に出てくると思います。しかし、このビデオどこに喉声が出ているか、よく分かりませんね。
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コメント
韓国の喉声とは西洋で言うビブラートのことではないでしょうか?クラシックの先生に「ちりめん」とか呼ばれて直されてしまいますが。
投稿: katute | 2007年11月20日 (火) 16時28分
>katute様
コメント有難うございました。
シナウィやパンソリなどで聞かれる歌は、喉を緊張させ絞めて発音しているように聞こえますが、それを指しているのではないでしょうか。韓国のビブラートのような揺らし方は、西洋より大きい振幅でゆったりかけていますね。西洋音楽のように細かくかけると、違うのでしょうね。
投稿: Homayun | 2007年11月20日 (火) 18時56分
>韓国のビブラートのような揺らし方は、西洋より大きい振幅でゆったりかけていますね。
音としては「ゆり」と言うよりは「泣き」に近いでしょうか。カラオケで年配の人が歌う演歌みたいな感じです。
器楽や舞踊では肩を使って揺するようですが、繊細な微分音は失われているようです。
中にはアフリカと似てるねと言う人もいましたが、肩ではなく、アフリカのリズムはもっぱらふくらはぎを使ってるように感じられ、粘りが違うようです。
コーカサス地方、愉しみに読んでます。
投稿: katute | 2007年11月22日 (木) 17時38分
>katute様
大きな揺りは、義太夫や浪曲などには残っていると思います。古い世代の人は、ギターを弾く時も大きくヴィブラートをかけるし、間の取り方が若い人間と違っていて、こういうのは段々廃れてしまうのだろうなと寂しくなることがあります。韓国の音楽には豊かに残っている気がします。
アフリカの場合は、やはりロックやジャズの文脈でないと、日本人には直感的には分かりにくいかも知れません。「大きな揺り」を忘れて、みんなそっちに行ってしまうと、日本のアイデンティティの一部が失われそうな危惧を覚えるのは私だけでしょうか。日本のものも色々紹介したいですが、youtubeは貧弱なので難しいです。日本の場合、著作権問題がからむのもあるでしょうね。
投稿: Homayun | 2007年11月22日 (木) 19時55分