無伴奏チェロ組曲5番 Gigue
いよいよ5番もフィナーレのジーグです。
深遠なムードの5番を締めくくるのは、独特なスイング感のあるジーグ。
この曲にはドラマがあります。一人で弾きますが、声部が分かれているので対話しているように弾くのが肝要。対話の内に最後の方で長いトリルが出てくる辺りでクライマックスに達し、最後は力強く最低弦のC線を響かせて終わります。
演奏家によってはフワッと静かに終わりますが、マイスキーは、このC線を長く伸ばして、ドラマを熱く締め括ります。弾き終わった彼のポーズによく表れています。
この映像はおそらく88年頃(最初の無伴奏収録の前後位では)のものだと思いますが、彼のドイツ・グラモフォンからの再録では更に最後のC音を伸ばしています。全体にかなりテンポを揺らす演奏で、賛否両論ありますが、この5番に関しては更に素晴らしいと思います。
プレリュードの時に書きましたが、何かカタルシス(浄化)を感じさせる曲だと思います。辛い局面を通り過ぎた後の虹のような。
でも短調のままゴーっと最も低い音を鳴らして終わっている。それがこの曲の特異な所でしょうか。全曲を通しで聴くとカタルシスというのも分かるかな~と思います。マタイ受難曲の終曲を思い出すんですね。そういう所が。
マタイは92年頃だったか、ヴィンシャーマンが来日した時に抜粋のコンサートに行きましたが、ラストのコラール(合唱)の後は、涙が溢れ、どうやって会場の外に出ようか困った程でした^^ 連れはあっさりした反応でしたが。
※この5番のジーグでも、マイスキーのようにドラマティックに弾かれると、ついウルウルしてしまいます。 涙腺肥大でしょうかw 自分でもよく弾きますが、どうも納得が行かないです^^
クリスチャンではありませんが、それでも激しく揺り動かされる曲なんですね。西洋音楽の最高峰と言われるのも納得が行きます。リヒター新旧やミュンヒンガー、メンゲルベルクの演奏など通しで聞いてきましたが、ヴィンシャーマンもなかなか良かったと思います。もし名指揮者カール・リヒターが生きていたとして、アルヒーフからの旧録を生で聞けたとしたら。。。考えただけでも恐い気がします。マタイはまた機会が巡ってきたらアップしたいと思います。
Bach - Cello Suite No.5 vi-Gigue
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