無伴奏チェロ組曲6番 Prelude
いよいよ最後の組曲第6番に辿り着きました。この組曲は、慈愛と歓喜に満ち溢れた天上のチェロ音楽、とでも形容できるでしょうか。6番は5番と並んで間違いなくチェロ組曲中の最高傑作だと思います。
プレリュードは実に輝かしい、交響的とも形容されるほど響きが豊かな曲で、それもそのはず、音域は4オクターヴ近くに及び、演奏は至難を極めます。3連譜、8分の12拍子の、見た目は整然とした譜面ですが、その音楽的奥行きの深さには驚くばかり。マイスキーの録音セットは残響が豊かなようで、冒頭の同音連続から正に交響的に響き渡っています。
本来5弦の小型チェロか、5弦の大型ヴィオラ(バッハが考案したという説があるヴィオラ・ポンポーサ)のために書かれたと言われているので、それを4弦で弾くのは元々無理がある訳です。従って、上のポジションでは左手親指もフル稼動。(アンナー・ビルスマなど、バロック・チェリストは、しばしば5弦の楽器で演奏してCDも出しています)
後半の高音の部分は、スーパー難度の箇所で、プロでも音を外さないように注意深く弾いているのが分かります。前半のミを巡る高い音の動きから降りてくる辺りも、絶美の箇所だと思います。ここも大変な難所で、上手く通せた時はゾクゾクとします^^
低いポジションでも、ポジショニングの美しさにはっと驚きます。バッハの周囲にはチェロの名手が沢山いたそうですが(本人はヴィオラを愛奏していたらしいです)、この楽器を知り尽くした上で書かれているなぁと感嘆してしまいます。
Bach - Cello Suite No.6 i-Prelude
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コメント
ヴィオラ・ポンポーサを製作しています
投稿: okusan | 2008年6月27日 (金) 11時14分
> okusan 様
有難うございます。ヴィオラ・ポンポーサには、個人的に非常に興味があります。ブログもちょっと拝見いたしました。個人的に手に入れることは可能なのでしょうか。(大分先になると思いますが)
投稿: Homayun | 2008年6月27日 (金) 20時20分