« 2007年11月 | トップページ | 2008年1月 »

2007年12月

2007年12月31日 (月)

無伴奏チェロ組曲6番 Gigue

ついに大晦日です。今TVでは紅白をやってますが、ようやく今日のブログに取り掛かれました。いよいよ今日で無伴奏チェロ組曲シリーズも最終回。
第6組曲のフィナーレ、ジーグです。
深刻な5番の後、神々しいほどに天上的な音楽が続いた6番を締めくくるのは、天才バッハの高笑いのような底抜けに明るいジーグです。こんなめちゃ明るい踊りを最後に持ってくるとは。フロイデの合唱が響き渡る頃ですが、こちらも大晦日にふさわしい大団円の一曲ということで^^
拙いガイドでしたが、もしこのシリーズを36曲全部見ていただいた方がいらっしゃいましたら、本当に長い間有難うございました。
カタログ作成も無事完了しました。到着は3日頃でしょうか。
取りあえずは、めでたしめでたし。 

皆様、良いお年を!

Bach - Cello Suite No.6 vi-Gigue

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2007年12月30日 (日)

無伴奏チェロ組曲6番 Gavotte

今日は6番のガヴォット。いよいよ今年も後2日。無伴奏チェロ組曲も34曲紹介し終わりましたので、残り2曲です。4番の最初に書きましたが、大晦日に終わるようになっておりました^^ 作業の都合で早めのうpです。
4番のブーレを思い出させる楽しい楽章。重音奏法のゆったりした中間部を挿んで演奏されます。でも弾き方によってはお遊戯のようになってしまう気がしますので、マイスキーのように歯切れよく、ノーブルなイメージを持って演奏することが肝要だと思います。Mercuryから出ているシュタルケルの全集では、このガヴォットに関してはラジオ体操第2のように聞こえて仕方なかったです。分散和音くらいだと奥ゆかしいのですが、名手の手にかかると3つの重音が一度に聞こえてしまうからでは。余りリズミカルに弾くのも、考えもののような気がします。
メロディはお遊戯っぽく親しみやすくても、やはり6番の曲。ハイポジションでの重音の連続で、テクニック的には非常に難しいです。

Bach - Cello Suite No.6 v-Gavotte

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月29日 (土)

無伴奏チェロ組曲6番 Sarabande

今年も後3日です。新しい入荷分もカタグル(中国訛り? 「カタログ」をこう言っていたシナの知人がおりまして)に盛り込まないといけなくなり、猫の手も借りたい状況ですが、取り合えず今日は6番のサラバンド。頭の中は海胆状態ですが、せめて5分間の平安を^^;

ノーブルな響きが素晴らしいサラバンドです。これ程深い味わいのサラバンドも少ないでしょう。ほとんどが重音奏法で、しかもハイポジションでフラジオレット(ハーモニックス)を混ぜながらの曲で、どえらく難しいです。親指も出たり入ったり。チェロのハイポジションは、大変な握力が必要です。

Bach - Cello Suite No.6 iv-Sarabande

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月28日 (金)

無伴奏チェロ組曲6番 Courante

28日の忙しい日に雨でした。こんな日は爽やかな6番のクーラントをどうぞ。
クーラントらしい軽快な曲ですが、やはり音域が広く、最低音のドからかなり高い音まで急速に上がったり下がったりするので、弾くのは大変。フラジオ(ハーモニックス)も所々入ります。それだけに音程がぴたっと合ったときは快感!
マイスキーは快速テンポで完璧に弾いていて、まさに職人芸です。ちょっと音程が彼流のところもある気がしますが。(1箇所だけかも? しかし時々音程が平均率と少し違うと気が付く人はいるようです)主音に戻って終わるときに導音(主音の半音下)を間に入れて、テロレーと終わるのも彼独自です。

Bach - Cello Suite No.6 iii-Courante

今日は諸々支払いその他で、このクーラントのようにあわただしい一日でした。掲示板にも書いたことですが、重要なお知らせですので、こちらにも書いておきます。(ブログだけ見ていただいている方、済みません。)
VDEですが、1月の2週目の入荷に決まりました。大変お待たせ致しました。
カタログは、今日版下にジャケットが入って、明日土曜印刷の予定ですので、年内には全て投函、到着は2008年になってからということになりました。大変お待たせ致しました。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年12月27日 (木)

無伴奏チェロ組曲6番 Allemande

今日は6番のアルマンド。G線上のアリアを思い出させる、天上的な美しさに溢れた名曲です。マイスキーはとりわけゆったりと9分近くかけて演奏しています。6番全般については昨日の記事をご覧下さい。
これは特異なアルマンドで、6曲中最もゆっくりしたテンポで、音符は細かく細分化されている曲。他のアルマンドと聞き比べると分かりますが、音域が1オクターブ高いです。ピアノのように場所を移動すればいいだけの楽器ではないので、左手が大変になってきます。
無伴奏チェロを練習するなら、まずアルマンドをしっかりね、とはよく言われることらしいですが、確かにテクニック的に入りやすいし、バッハ演奏の表現の核を含んでいると思います。1番でも移弦が多く意外に難しいプレリュードより、アルマンドの方が入りやすいでしょう。クーラントやジーグは早くて左手が大変、サラバンドはゆっくりだけど表現力の深さを問われるので、確かにアルマンドでしょうか。サラバンドとジーグの間にはオプションの舞曲が挟まれますが、そのガヴォットも高難度。とにかく6番は全て難しいです。

Bach - Cello Suite No.6 ii-Allemande

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月26日 (水)

無伴奏チェロ組曲6番 Prelude

いよいよ最後の組曲第6番に辿り着きました。この組曲は、慈愛と歓喜に満ち溢れた天上のチェロ音楽、とでも形容できるでしょうか。6番は5番と並んで間違いなくチェロ組曲中の最高傑作だと思います。
プレリュードは実に輝かしい、交響的とも形容されるほど響きが豊かな曲で、それもそのはず、音域は4オクターヴ近くに及び、演奏は至難を極めます。3連譜、8分の12拍子の、見た目は整然とした譜面ですが、その音楽的奥行きの深さには驚くばかり。マイスキーの録音セットは残響が豊かなようで、冒頭の同音連続から正に交響的に響き渡っています。

本来5弦の小型チェロか、5弦の大型ヴィオラ(バッハが考案したという説があるヴィオラ・ポンポーサ)のために書かれたと言われているので、それを4弦で弾くのは元々無理がある訳です。従って、上のポジションでは左手親指もフル稼動。(アンナー・ビルスマなど、バロック・チェリストは、しばしば5弦の楽器で演奏してCDも出しています)
後半の高音の部分は、スーパー難度の箇所で、プロでも音を外さないように注意深く弾いているのが分かります。前半のミを巡る高い音の動きから降りてくる辺りも、絶美の箇所だと思います。ここも大変な難所で、上手く通せた時はゾクゾクとします^^
低いポジションでも、ポジショニングの美しさにはっと驚きます。バッハの周囲にはチェロの名手が沢山いたそうですが(本人はヴィオラを愛奏していたらしいです)、この楽器を知り尽くした上で書かれているなぁと感嘆してしまいます。

Bach - Cello Suite No.6 i-Prelude

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年12月25日 (火)

無伴奏チェロ組曲3番 Gigue

いよいよ3番も最後の曲、ジーグです。
3番のアルマンドがインド象のダンスなら、ジーグはさしずめアフリカ象のダンスか?w  
しかもワルツと同じ3拍子。(猛烈に速いですが)
カザルスの演奏ではそんなことを感じましたが、マイスキーは格闘家のような激しい演奏を展開しています。
youtubeですから、移弦の激しい部分では映像が追いついていません。ほとんどちび黒サンボのトラ状態ですw
明朗かつ重厚な3番を締めくくるにふさわしい堂々たるジーグです。

Bach - Cello Suite No.3 vi-Gigue

Janos Starker - Bach: C Major Suite - Gigue

前にコダーイとカサドのチェロ曲をアップしましたが、ハンガリーの巨匠ヤーノシュ・シュタルケルの弾く3番のジーグ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年12月24日 (月)

無伴奏チェロ組曲3番 Bourree

第3組曲のブーレ。昔からチェロ組曲中、一番ポピュラーな曲でした。1番のプレリュードがブレイクするまでは。
この愛らしいメロディー、どこかで耳にしたことがある人が多いのでは。
中間部は短調に転じますが、マイスキーはかなりテンポを落として演奏しています。このソフトな弱音、聞かせます! 
全体に、ポリフォニーを際立たせる弓さばきの巧みさが光る演奏。

Bach - Cello Suite No.3 v-Bourree

マイスキーについて、ここら辺でちゃんと紹介しておきましょう。(以下Wikipediaより引用)

ミッシャ・マイスキー(Mischa Maisky, 1948年1月10日 - )はラトヴィア(旧ソビエト連邦)出身のチェロ奏者。名前はミーシャとも。
現在もっとも活躍している世界的チェリストのひとり。初期には格調高い表現にスケール感や陰影に富んだ演奏を聴かせていたが、歌謡性やより自由で情熱的な表現を重視したスタイルへと変わってきている。同じリガ生まれのヴァイオリニスト、ギドン・クレーメルはマイスキーの1年「先輩」にあたり、クレーメル主宰のロッケンハウス音楽祭には定期的に出演している。マルタ・アルゲリッチとの共演をはじめ、室内楽にも精力的に取り組んでいる。レパートリーは幅広いが、メロディの要素を重視する傾向が見られる。チェロ用に書かれた作品はもちろん、フランツ・シューベルトの歌曲をチェロで演奏するという試みもある。

* リガ生まれ。ユダヤ人の家系で、8歳からチェロを始める。マイスキーがチェロを持ったのは、姉がピアノ、兄がヴァイオリンを習っており、3人でピアノ三重奏曲が弾けるという親の意向であったらしい。
* リガ音楽院を経て1962年にレニングラード音楽院付属音楽学校に入学。マイスキーは少年時代からヨハン・セバスティアン・バッハの音楽に惹かれていたという。
* 1965年、17歳で全ソビエト連邦音楽コンクール優勝。同年、レニングラード・フィルハーモニー交響楽団と協奏曲を弾いてデビューする。
* 1966年、チャイコフスキー国際コンクール6位入賞。このとき、コンクールの審査員だったムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(1927年3月27日 - 2007年4月27日)に才能を認められ、モスクワの自宅に招かれて指導を受けることになる。
* 1969年、姉がイスラエルに亡命したことにより、マイスキーの一家はソビエト当局の監視下に置かれることになる。
* 1970年、マイスキーは逮捕され、ゴーリキー郊外の強制労働収容所で18ヶ月間の生活を強いられる。師のロストロポーヴィチも別荘でアレクサンドル・ソルジェニーツィンをかくまい、ソビエト当局から演奏活動を停止させられている。出所後も兵役を命じられたマイスキーは、ユダヤ人医師に相談、医師はマイスキーを精神病院に入院させることで、兵役を回避したという。
* 1972年、国外移住を認められて11月に出国、渡米する。
* 1973年、イスラエルに移住。同年カサド音楽コンクール優勝。カーネギーホールでリサイタルを開催する。リサイタル後に招かれた匿名の老紳士宅で演奏したマイスキーは、紳士から1720年製のモンタニャーナのチェロを贈られたという。マイスキーは現在もこの楽器を使用している。
* 1974年、ロストロポーヴィチから「ピアティゴルスキーと会えるチャンスがあったら、絶対に逃してはいけない。」といわれていた言葉を守って、グレゴール・ピアティゴルスキー(1903年4月17日 - 1976年8月6日)の最後の弟子となる。
* 1975年、フランスのヴァンス音楽祭で、マルタ・アルゲリッチと知り合い、以降二人は音楽上の重要なパートナーとして数多く共演、録音する。
* 1984年から85年にかけて録音したバッハの無伴奏チェロ組曲全曲(旧盤)の録音がドイツ・グラモフォンレーベルより発売され、世界的な名声を確立する。

以下に二人の師匠の同じブーレの演奏をアップしておきます。両方かなり古い時期の映像です。全曲はマイスキーしかありませんが、3番のブーレは有名なので、他の人の演奏もかなり見つかります。

Rostropovich plays Bach´s Bourree - Suite No 3

Gregor Piatigorsky plays Bach Bourees

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月23日 (日)

無伴奏チェロ組曲3番 Sarabande

今日は組曲3番の緩徐楽章、ゆったりとした3拍子のサラバンドです。
重低音をたっぷり活かし、高音部での泣きの節は崇高さに溢れ、実に素晴らしいです。
やはり6つのサラバンドの中で一番有名な曲でしょう。
マイスキーの研ぎ澄まされた音色と技巧に魅了される一曲。

と、ここまでならいつものような記事内容ですが、ここで一つ問題提起を。
この3番は私の見方では5番、6番と並んでキリスト教の感性を色濃く感じる曲ですが(上記の崇高さの辺りとかアルマンドの所々)、旧ソ連出身のユダヤ人であるマイスキーは、その辺どう感じるのか、もし可能であれば本人に聞きたいものです。
先日アップしたポゴレリッチは、キリスト教が分からなければ(あるいは信じていなければ、でしょう)バッハは本当には分からないとよく言っていたなぁと、思い出しました。一方ある知人(ユダヤ人ピアニスト)は、バッハの音楽はキリスト教なんて超えている、普遍的な価値を持った音楽だ、とよく言っていました。きっとマイスキーも同じ意見なのでしょう。この曲集はチェロの旧約聖書とまで言われていますし。(新約はベートーヴェンのチェロ・ソナタ)
私も今では賛成ですが、大好きな3番のアルマンドを弾きながらも、ん?と思うことが時々あります。それは違和感と言えるのかも知れませんが、自分でもよく分かりません^^

Bach - Cello Suite No.3 iv-Sarabande

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年12月22日 (土)

無伴奏チェロ組曲3番 Courante

伊予では雨、というより嵐に近い状態。昨日の打撲は何とか無事そうですが、下にあったスピーカーをトゥ!してしまったので、爪先が赤く腫れ上がっています。イテテw  ハコは無事でした。
今日は第3組曲のクーラント。実に爽快かつ痛快な一曲。
急速なアルペジオで駆け下り、また駆け上がったりの、移弦が大変な曲です。マイスキーは弓の元の方で半とばしにしていますが、もう少し弓を多く使って弾く人が多いように思います。でもさすがマイスキー上手いな~。この人の弓使いは非常に勉強になります。
後半のしおる部分の哀愁味がなかなかに良いんです。ここはもうちょっと「しおって」欲しかったかもw

しおる=謡曲の用語で、ふと一瞬短調に転じて詠嘆や悲哀を表すフレージング。チェロにも当てはまりそうと思って使ってみました^^

Bach - Cello Suite No.3 iii-Courante

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月21日 (金)

無伴奏チェロ組曲3番 Allemande

今日は第3組曲の2曲目、アルマンドです。
これは高い音と低い音のメリハリのきいた、とても素晴らしい曲です。
練習していてもワクワクします。アルマンドのルーツは前述したようにドイツ風舞曲ですが、チェロで弾くと象のダンスのようでもあります。
20年ほど前に一時チェロを所有していた時に、ヘ音記号もちゃんと読めないのに、指板をまさぐって弾こうとした思い出深い曲。3番を聞いて一番最初に耳に残っていたということでしょう。チェロは諸般の事情で18年ほど手元にありませんでしたが、2年前に中国製の格安楽器で買い戻しました。丸一年弾き込んだヴァイオリン編曲版無伴奏チェロ組曲に飽き足らなくなったからですが、東京生活の最後に良い先生に巡り会ったのも幸運でした。今はほとんど独学。隣町の松山に一応新しい先生はいますが、なかなかレッスンに行けません。
先程階段から転げ落ちて、全身打撲。方々痛いので、今日はこれまで。年末の忙しい時に何で? (TOT) 衝撃で祖父の形見が壊れました。

Bach - Cello Suite No.3 ii-Allemande

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月20日 (木)

無伴奏チェロ組曲3番 Prelude

今日からは無伴奏チェロ組曲の第3番。
明朗かつ豪快な曲で、ヨーヨー・マが1番のプレリュードをポピュラーにするまでは、昔からチェロ組曲中一番有名な曲でした。
まずは最初のプレリュード(前奏曲)から。
ハ長調なので、下からド・ソ・レ・ラが開放弦のチェロの重低音を存分に活かせる曲です。
聞いていても弾いていても熱く燃えてくる曲です。
後半のソの低音を中心とするアルペジオ部分(オルゲルプンクト)では、左手指が4本では足りないので、親指が登場します。親指と小指は最大22センチくらい開き、初心者は皆こんなことさせるのか、とギョっとする難所です。最初は拷問のように思いますが、段々快感に変わってきます^^  お聞きの通り、演奏効果抜群のプレリュードですが、演奏者にはスタミナが要求される曲です。

無伴奏チェロ組曲は奥さんのアンナ・マグダレーナの写譜のみで、バッハ自身の自筆譜が残っていないので、昔から色々な解釈がありました。特に往年の演奏家(パブロ・カザルス、ピエール・フルニエ、ポール・トルトゥリエなど)では、所々ですが音の異なりがあって、聞いていてエアポケットに落ちたように驚くことがしばしば(2番や5番に多かったように思います)ありますが、3番では比較的少なかったと思います。カザルスやヨーヨー・マの全曲を持っている方が、一般的には多いかと思いますが、是非聞き比べてみてください。

Bach - Cello Suite No.3 i-Prelude

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月19日 (水)

無伴奏チェロ組曲5番 Gigue

いよいよ5番もフィナーレのジーグです。
深遠なムードの5番を締めくくるのは、独特なスイング感のあるジーグ。
この曲にはドラマがあります。一人で弾きますが、声部が分かれているので対話しているように弾くのが肝要。対話の内に最後の方で長いトリルが出てくる辺りでクライマックスに達し、最後は力強く最低弦のC線を響かせて終わります。
演奏家によってはフワッと静かに終わりますが、マイスキーは、このC線を長く伸ばして、ドラマを熱く締め括ります。弾き終わった彼のポーズによく表れています。

この映像はおそらく88年頃(最初の無伴奏収録の前後位では)のものだと思いますが、彼のドイツ・グラモフォンからの再録では更に最後のC音を伸ばしています。全体にかなりテンポを揺らす演奏で、賛否両論ありますが、この5番に関しては更に素晴らしいと思います。

プレリュードの時に書きましたが、何かカタルシス(浄化)を感じさせる曲だと思います。辛い局面を通り過ぎた後の虹のような。
でも短調のままゴーっと最も低い音を鳴らして終わっている。それがこの曲の特異な所でしょうか。全曲を通しで聴くとカタルシスというのも分かるかな~と思います。マタイ受難曲の終曲を思い出すんですね。そういう所が。

マタイは92年頃だったか、ヴィンシャーマンが来日した時に抜粋のコンサートに行きましたが、ラストのコラール(合唱)の後は、涙が溢れ、どうやって会場の外に出ようか困った程でした^^  連れはあっさりした反応でしたが。 
※この5番のジーグでも、マイスキーのようにドラマティックに弾かれると、ついウルウルしてしまいます。 涙腺肥大でしょうかw  自分でもよく弾きますが、どうも納得が行かないです^^ 
クリスチャンではありませんが、それでも激しく揺り動かされる曲なんですね。西洋音楽の最高峰と言われるのも納得が行きます。リヒター新旧やミュンヒンガー、メンゲルベルクの演奏など通しで聞いてきましたが、ヴィンシャーマンもなかなか良かったと思います。もし名指揮者カール・リヒターが生きていたとして、アルヒーフからの旧録を生で聞けたとしたら。。。考えただけでも恐い気がします。マタイはまた機会が巡ってきたらアップしたいと思います。

Bach - Cello Suite No.5 vi-Gigue

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月18日 (火)

無伴奏チェロ組曲5番 Gavotte

今日は5番のガヴォット。一瞬の発音の閃き、響きのバランス、しなやかさなど、繊細なテクニックが求められる曲。
最初の音が残念ながらちゃんと入っていませんが、マイスキーは最弱音から弾き始めます。中間部の3連譜の流れるような美しさは特筆もの。はっと驚くフィンガリングも随所に。
ハイポジションで少しずつ上がったり下がったりして重音を取らなければ弾けない難曲中の難曲。人差し指と3度の間隔の小指で2本5度で押さえる3重音など、過酷なフィンガリングを要求する曲です。
ガヴォットといえば、どこか可愛らしい舞曲のイメージがありますが、この曲にはそんな感じは微塵もなく、「魂のガヴォット」とでも言えましょうか。J.S.バッハの書いた絶唱の一つだと思います。

Bach - Cello Suite No.5 v-Gavotte

05 - Pogorelich - Bach - English suite no.3 - Gavotte

一昨日アップしたポゴレリッチのイギリス組曲3番からガヴォット。この曲も素晴らしいです。最初の和音のインパクトは20年以上経っても忘れられません。どちらかと言えば、グールドの演奏で覚えている曲です。

Jacques Loussier plays Bach, gavotte b minor

ジャズ・バッハで一世を風靡したジャック・ルーシェの演奏。 ガヴォットで引っかかりましたが、これは無伴奏ヴァイオリンのパルティータ1番のブーレです。ガヴォットは間違い。
しかし面白いアレンジです。ルーシェにはジャズ・マタイなんていうのもありました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月17日 (月)

無伴奏チェロ組曲5番 Sarabande

今日は5番のサラバンド。これほど音数が少なく、簡潔に書かれた曲も少ないです。
それだけに演奏者の状態を鏡のように映し出す恐い曲。

ルキノ・ヴィスコンティの映画「地獄に堕ちた勇者ども」(副題は「神々の黄昏」)の中で、ナチス台頭に伴い堕落・没落する財閥一族の当主の誕生パーティーでこのサラバンドが演奏されました。混沌と黄昏を暗示するかのように。

イングマル・ベルイマンの映画「叫びとささやき」でも、深層心理を描写するように使われたようです。

無駄な音をそぎ落としたシンプルな作りが、かえって映像作品では生きたようです。
深遠な魅力の5番の中にあっても、特に印象に残る一曲です。

Bach - Cello Suite No.5 iv-Sarabande

Glenn Gould - Bach - BWV 828 - 5 - Sarabande

こちらは長調ですが参考までに。鬼才グレン・グールドの弾くJ.S.バッハのパルティータ4番のサラバンド。いつものように歌いながら弾いていますw  グールドは80年代前半によく聞きました。懐かしいです。こうしてyoutubeで再会するとは。
ゆったりした3拍子なのは、チェロの場合と同じ。どちらもサラバンドのルーツのスペイン風な所は、最早感じられないですねw

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月16日 (日)

無伴奏チェロ組曲5番 Courante

今日は第5組曲のクーラント。
クーラントらしい疾風のように過ぎ去る楽章ですが、音の動きが早く、難曲揃いの5番の中でも明後日予定のガヴォットと並んで一番難しい曲だと思います。後半は左手が4指で足りないので、所々親指も登場します。
この曲をこのテンポで弾けるようになるには、後どの位かかるでしょうか?(タメイキw
5,6番は本当に難しいです。

2本目は同じ短調のクーラントということで、参考までにイギリス組曲第3番のクーラント。やはりリズム形が似ているように聞こえますね。演奏は旧ユーゴ出身のピアニスト、イーヴォ・ポゴレリッチ。80年代は大変な人気でしたが...。

Bach - Cello Suite No.5 iii-Courante

03 - Pogorelich - Bach - English suite no.3 - Courante

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月15日 (土)

無伴奏チェロ組曲5番 Allemande

今日は5番のアルマンドです。
アルマンドと言えば本来は泥臭いドイツの農民の踊りですが、5番らしい深遠な音楽に昇華されています。骨太で重量級のアルマンド、チェロらしい響きの曲です。後半の展開は特に素晴らしいです。
マイスキーの弓使いの巧みさには目を見張ります。先弓でもどうしてあんなに良い音が出るのか? スラーのかけかた(音符のつなげ方)、重音の鳴らし方など、独自の工夫を色々やってますね。さすが名手の妙技という感じです。

Bach - Cello Suite No.5 ii-Allemande

Bach - Allemande

こちらは同じくバッハの無伴奏フルート・ソナタ、冒頭のアルマンド。オーレル・ニコレのビデオとかあれば良かったのですが、こちらもなかなか良い演奏。同じ短調の曲なので、ご参考までに。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月14日 (金)

無伴奏チェロ組曲5番 Prelude

今日から第5組曲、バッハの全作品中でも屈指の名曲でしょう。
6曲の無伴奏チェロ組曲中、2番と並んで短調の曲です。
荘重なフランス風序曲の後、2分50秒くらいから速い後半部分に入り、ここはフーガになっています。 チェロ一本でフーガですよ!w
 (フーガとは同じ旋律が複数のパートに順次現れるのが特徴で、カノンをもっと複雑にした楽曲形式)
一番高い弦をラからソに下げるように指定(変則調弦=スコルダトゥーラ)がありますが、響きが悪くなるため現在ではそのままの平行5度調弦で弾かれることがほとんど。ソに下げると運指は簡単になりますが、ラのままで弾こうとすると指の開きが大きくて大変。本当は5弦用に書かれた6番と並んで難曲とされる所以です。
天皇陛下にもチェロを教えた名チェリストで、御年92歳の青木十良さんの推測では、このプレリュードにおいて、キリストがゴルゴタの丘を十字架を背負って登っていく所や、とどめの杭が打たれる所(2つのコーダ=終結部)が描写されているのではとのこと。確かにコーダ辺りの音楽の密度の高さは圧巻で、音楽に引き込まれながらも(弾いていると特に)、息苦しさのような感じを覚える箇所です。プレリュードはそこで終わります。
この後にアルマンド、クーラント、サラバンド、ガヴォット、ジーグと続きますが、最後の2曲はマタイ受難曲に喩えるなら、最後のコラールでしょうか。極限の苦悩の先にカタルシスを感じ、癒されて曲が終わる点では似ているように思います。
(本稿は、地元のSNS、イマソウにアップしていた記事の転載)

Bach - Cello Suite No.5 i-Prelude

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月13日 (木)

無伴奏チェロ組曲4番 Gigue

いよいよ4番の組曲も、フィナーレのジーグです。
ユーモラスという形容を見かけたことがありますが、どうでしょう?
タララ、タララ、タララ、タララ、タララ、タララ、ター
の最後のターが低音に急に下がる辺りが、象のダンスを彷彿とさせるからでしょうか。
陽気で力強いフィナーレであることは確か。
速い8分の12拍子の曲で、4拍子の一拍が3連譜になっているパターンです。
後半の短調に転調して、もとに戻る辺り、本当に素晴らしいラインを聞かせます。弾いていてもぞくぞくします。マイスキーは冒頭ハイポジションで弾いて深い響きを出していますが、フィンガリング(左手)とボウイング(右手)の美しさに見とれてしまいます。
(本稿は、地元のSNS、イマソウにアップしていた記事の転載)

明日から無伴奏チェロ組曲の中でも、チョモランマ級の名曲、第5組曲へ。順に行けば3番ですが、5番を後に持ってくるとちょうどクリスマスに5番の後半があたります。5番のプレリュードは十字架を背負ってゴルゴタの丘を登る所とか、磔刑されたキリストに最後の杭を打つ所を描写しているという説があり、受難節なら向きますが、生誕節には不向きと思い、5番を先にしました。明朗かつ豪快な3番がクリスマス辺り、慈愛と歓喜に満ちた6番を最後に持ってきて今年の締めくくりにする予定です。ちょうど最後のジーグが大晦日に来ます。

Bach - Cello Suite No.4 vi-Gigue

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月12日 (水)

無伴奏チェロ組曲4番 Bourree

今日は第4組曲のブーレ。
アンナー・ビルスマというバロック・チェリストは、猛スピードで演奏していましたが、マイスキーは極めてノーマルなブーレのテンポで、ノーブルに演奏。
低音が程よくブレンドされて、聞くのも弾くのも楽しい曲です。E-flat Majorの音階練習を繰り返さないと指が回らない難しい曲ですが。せわしい指使いの前後と、中間部の重音奏法の対比が見事です。中間部では重音を取るため低いポジションで左手親指が登場。3,4,5番組曲では所々出てきます。(6番では親指もフル稼働)

変な喩えですが、このブーレを聞いてロンパールームを思い出してしまうのは私だけでしょうか?w
ロンパールーム=昭和40年代の幼児向け番組。ブーレのような遊戯性に溢れたテーマ曲と、おやつのミルクとビスケットが美味しそうで、子供の頃に鮮烈な印象を持った人も多いはずw  あのテーマ曲はマザーグースの歌か?

Bach - Cello Suite No.4 v-Bourree

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月11日 (火)

無伴奏チェロ組曲4番 Sarabande

今日は4番のサラバンドで、演奏はラトヴィア出身の名手ミッシャ・マイスキー。
私的には全6曲のサラバンド中、一番好きな曲です。
(弾くのも6曲のサラバンド中一番難しいと思います)
この曲は緩徐楽章なので、弓の動きがゆっくりですが、しばしばその一弓の途中で重音が出てきて、これが大変。美しく響かせるのは至難の業です。右手(ボウイング)のコントロールが最大の難関だと思います。
しかしこのサラバンド、穏やかな表情の中に、しみじみと胸に迫るものがあります。
静かな感動を呼び起こす一曲を、どうぞご堪能下さい。
(本稿は、地元のSNS、イマソウにアップしていた記事の転載)

※4番が終わったら民族音楽に戻ろうかとも思っていましたが、一日一楽章で日数と曲数を合わせてみると、ちょうど大晦日に6番の終曲のジーグが来ますので、このまま継続することにしました。8日から24日連続になります。組曲は4,5,3,6番の順で考えています。民族音楽ファンの方、済みません。年明けにはザカフカス(Закавказ)などを予定しておりますので。

Bach - Cello Suite No.4 iv-Sarabande

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月10日 (月)

無伴奏チェロ組曲4番 Courante

ミッシャ・マイスキーの弾く無伴奏、今日は4番のクーラント。
クーラントらしい速度の4分の3拍子の曲。一拍の分割が2つ、3つ、4つと交互に出てくるし、早いのでかなり難しいです。後半の音程が跳躍する辺りは、弾くには難所ですが特に素晴らしい所だと思います。
それを聞く人に感じさせず、軽快なクーラントらしく、そよ風のように弾く、これがコツでしょう。

Bach - Cello Suite No.4 iii-Courante

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月 9日 (日)

無伴奏チェロ組曲4番 Allemande

今日は4番のアルマンド。
アルマンドと言えばその名の通りドイツ風舞曲が起源ですが、J.S.バッハにおいては前奏曲の後に来る緩徐楽章のようなものと捉えれば良いでしょうか。4番のアルマンドは、弾いていて清々しいとても良い曲です。
ただし変ホ長調は開放弦が余り使えないし、指の開きが大きくてチェロで弾くには辛い調。5番のハ短調程じゃないですが。
属調から始まる後半が短調に転調してまた戻る辺りは、なかなか聞きもの。
J.S.バッハの二つの無伴奏音楽はチェロの方が後で書かれていますが、ヴァイオリンより少ない音数でこれだけ聞かせる音楽を書くのは、凄いという他ないと思います。単旋律のようでも、実は他のパートが隠れていて、それだけ上下に音を散らしてもいる訳ですね。それが飽きがこない秘密だと思います。弾き手は他のパートも意識しながら弾くことが必要だと思います。
(本稿は、地元のSNS、イマソウにアップしていた記事の転載)

Bach - Cello Suite No.4 ii-Allemande

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月 8日 (土)

無伴奏チェロ組曲4番 Prelude

北コーカサス・シリーズもひと段落しまして、次はザカフカス(英語のTheではなく「向こうへ」の意味のロシア語のザ<за>)、つまりロシアから見てカフカスの向こうの三国(グルジア、アルメニア、アゼルバイジャン)の伝統音楽や舞踊巡りを予定していましたが、これはまた腰を据えてやろうと思っていますので、地元SNSへの記事の転載でしばらく行く予定です。年末でちょいとしばらく余裕がないもので。

インターリュード(間奏)としてJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲を久々に持ってきました。9月に1番、2番をアップして以来です。組曲第4番変ホ長調のプレリュードから。演奏は名手ミッシャ・マイスキー。廃盤になったDVDの映像だろうと思われます。(地元では演奏の素晴らしさもさることながら、ラモスに似ているともっぱらの評判でした)

4番は全6曲中、一番知名度が低いかも知れません。私もずっと晦渋な曲だな、と思っていましたが、聞き慣れると(また弾き慣れると)これが実にいい曲。バッハの田園と言ってもいいのではないかと思われる、牧歌的なムードがあります。1番や3番のように開放弦を豪快に鳴らせない調なのも渋さの秘密かも知れません。
しかし晦渋さの一番の理由は、プレリュードの分裂気味な性格かも。
晴れやかに始まったかと思うと、段々雲行きが怪しくなり、急などしゃぶり、そしてまた快晴に戻って終わるという、つかみ難さ。この謎を解くのはこれからの楽しみです。 
かなりの難曲で、後半の激しく展開する辺りは音を鳴らすのがやっとの状況。
冒頭のアルペジオは一音ずつ切って弾く人が多いですが、マイスキーは2つつなげてスラーで弾いています。

Bach - Cello Suite No.4 i-Prelude

(本稿は、地元のSNS、イマソウにアップしていた記事の転載)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月 7日 (金)

砂漠の調べ?

昨日Yedidya AdmonのEtz Harimon(歌はオフラ・ハザ)を紹介しましたが、このイェディドヤ・アドモンという人、Shdemati(シェデマティ)という歌の作曲者でもありました。シェデマティは、ちょうどエッツ・ハリモンと合わせてアップしようと思っていた曲でした。何という偶然。
この曲、大昔LPの頃にドゥダイームという名フォーク・デュオの歌唱 で聞いたことがありました。LPには古代イスラエルを連想させる、という感じのコメントがあったように思います。確かに古風なメロディ・ラインの印象的な曲です。特に後半の平行5度で動く辺りは、他に類を見ないようなエキゾチックで強烈な響き。
オフラ・ハザもレパートリーにしていたようですが、残念ながらyoutubeは見つからず。現代イスラエルの2人の女性歌手の映像でどうぞ。(以下昨日のヘブライ・ソング歌詞サイトからのヘブライ原文と英訳)
※一度アップした後にドゥダイームの歌が聞けるサイトを見つけました。アブラハム・シェデマティというページです。アクセスするとこの曲が流れます。昔の音源とは違いましたが。

MY FIELD
Shedemati, Im shahar z'ratiha b'dim'ah, Tfilat ha'yogev nishma'ah. Shedemati, Ravtah t'lalim shahra me'or chamah, Lifnei kotser shahah kamah. B'tsa'ad rav chermesh kallal yunaf el al

My field, At dawn I sowed it in tears, Let the prayer of the farmer be heard! My field, It is saturated with dew, It is intoxicated by the light of the sun. The grain bends low in front of the reaper. The strides are long, The burnished scythe is raised high.

Marina Maximilian & Din Din Aviv "Shdemati"

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2007年12月 6日 (木)

オフラ・ハザsingsエッツ・ハリモン

今日は今は亡きイエメン系ユダヤ人の歌姫オフラ・ハザの歌う「エッツ・ハリモン」(ざくろの木)。大昔に女性歌手ネタニア・ダヴラツ(Netaniah Davrath。確かロシア系ユダヤ人)の歌で聞いた曲ですが、1,2世代後の歌手オフラ・ハザさんの美しい歌声にもやはり聞き惚れます。
前にマイミクの白拍子静さん(天台大原流声明/作曲家/白拍子)とのやりとりで、イエメン系ユダヤの節をイメージして作曲された静さんの曲と、先日アップしたホセイン・アリザーデのBirds(おそらくバヤーテ・エスファハーン旋法)の節が似ているというのがちょっと話題になりました。それで思い出しましたが、「11月14日にアップしたアゼルバイジャンのアッシリア民謡と、イスラエル民謡のエッツ・ハリモンも似ていますよ。そういう類似って結構ありますよね」、という話になりました。

そのエッツ・ハリモンですが、ウズベキスタンのブハラ系ユダヤ人の伝承を元に作曲されているようです。アッシリア民謡は現代アラム語、エッツ・ハリモンはヘブライ語で歌われますが、両方北西セム語族に属し、これら2つとアラビア語も兄弟言語です。ユダヤの中ではイエメン系とブハラ系はとても古い伝承を今に残すグループ。静さんの自作曲も、エッツ・ハリモンも、聖書の雅歌の雰囲気を持った曲で、これは興味深い一致だなぁと思いました。

作曲者のYedidya AdmonはEtz Harimonの他にShdemati, Meshiv Haru'ach, Kach Holchim Hashotlim, Shoshanat Ya'akov, B'tset Israel Mimitsrayim, Avadim Hayinu, Chad Gadya, Saleinu Al Ktafeinu, Ayil ben Karnayim, Hafleh Vafeleh,を書いているそうです。ペサハ(過ぎ越しの祭り)の歌Chad Gadyaなど数曲は色々な人が曲をつけている定型文です。

Ofra Haza - Etz Harimon (Rimon Tree)

ザクロの木は エリコと死海の間で芳香を放っている。
我が城壁(エルサレムのこと)よ、貴神の兵士たちは遠征から戻った。
我が愛しい娘よ、あなたの愛する人は戻った。

あなたのためにオフルの宝物を、ギレアデの没薬を、エジプトの戦車を獲た。
ナイル川からヨルダン川まで、あなたに盾として千の賛歌を掛けよう。

◎幕屋イスラエル・ソング集 (キリスト聖書塾 非売品)より
91年頃から教文館のヘブライ語講座に通いましたが、上の訳文は、その頃に先生から分けていただいた貴重なヘブライ・ソング集からの引用です。
なお「オフル」というのは現在のアフリカのソマリランドに当たります。 
英訳他解説はこちらで。ここはお薦めサイトです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月 5日 (水)

レズギンカと剣の舞

これまで何度も登場したレズギンカですが、一番最初に引合いに出したハチャトゥリアンのバレエ「ガイーヌ」の映像がまだでした。結構良いのが見つかりましたので、今日はそれをアップしました。

Aram Khachaturyan's Gayane 1 of 4 - familiar tune

これがガイーヌの中のレズギンカです。2006年アルメニアの首都エレヴァンでの公演。手の構えとか動きとか、流石にコーカサス舞踊の本場だなぁと感心します。大昔に所属していた大学オケでこの曲をやりましたが、スネアドラムのY君がハッスルする姿がいまだに目に焼きついていますw 

 

Khachaturian - Sabre dance

同じガイーヌからお馴染みの「剣の舞」。小沢征爾指揮ベルリン・フィルの演奏。剣は英語ではサーベル(Saber)になりますが、フランス語の影響かSabre(サーブル)となっている方が多いようです。分かっていても、何となく洋風センベイを想像してしまいますw

Dance with daggers - Танец с кинжалами

こちらは先月の17日にアップしたアディゲの国立舞踊団ナルメスのソリストによる「短剣の踊り」。ロシア語でターニェツ・ス・キンジャラミ(短剣を持った踊り)となっています。類似の北コーカサス版「剣の舞」は、北オセチアの時にもアップしましたが、実は伝統舞踊としてコーカサス各地にあります。推測ですが、クルドに剣の舞が入ったのも(今も本当にあるのか不明ですが)、コーカサス諸族からの影響かも知れません。シリアやイラン、トルコのクルド族にも「剣の舞」があればクルド・ルーツかも知れませんが、コーカサスのクルドだけに特有だとすれば、コーカサス系からの影響なのでしょう。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2007年12月 4日 (火)

鶴 (Журавли)

今日は11月30日のダゲスタンの回でアップしました「鶴」のロシア語版を。
この哀切な歌の元になった詩を書いたのは、先日の記事の通り、ダゲスタンのアヴァール人民族詩人のラスール・ガムザトフでした。彼は1965年に来日した際に広島の原爆資料館を訪れ、その強い衝撃をモチーフにこの詩をアヴァール語で書いたそうです。
それをいつもコンビを組んでいたユダヤ系詩人のナウーム・グレーブニェフがロシア語に訳し、それを読んだ歌手のマルク・ベルネス(「暗い夜」(チョームナヤ・ノーチ)などで有名な映画スターでもあります)の依頼で、ユダヤ系作曲家のヤン・フレンケリが作曲し、1969年にヒットしました。日本にはダーク・ダックスが紹介しました。
このビデオはマルク・ベルネス自身の歌唱のようです。元コーカサスの歌で、ロシアでも知られるようになった歌には、他に「スリコ」(グルジア民謡)や「つばめ」(アルメニア民謡)があります。この2曲は元のメロディのままロシア語でも歌われています。いずれまたそれぞれアップしたいと思います。
参照文献:黒い瞳から百万本のバラまで~ロシア愛唱歌集  山之内重美著(東洋書店 ユーラシア・ブックレット)

Журавли(ジュラーヴリ) - Moscow Unknown Soviet Soldier Song

  つる   山之内重美 訳詩 
1.見上げる夕暮れの空に 白いつるの群れ
  あれは遥かな戦さの地に 倒れ帰らぬ兵士(あなた)
  ふるさとの空に抱かれ つばさ広げて飛ぶよ
  大空高く呼ぶ声 いとしい人いずこ

2.空をゆく渡り鳥の群れとともに 私も
  いつの日か飛び立つだろう この世の命終えて
  ふるさとの空に抱かれ つばさ広げて飛ぶよ
  大空高く呼ぶ声 いとしい人いずこ
  あ・・・ 空をゆくつるよ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月 3日 (月)

バラライカによるレズギンカ等

昨日のコーカサス音楽の弦楽器編に追加で二本。
ロシアのバラライカと北コーカサス(チェチェンだけかも)の弦楽器Dechk pondarの演奏。素朴ながら華やかな音色のバラライカと、少し渋いけれども、まろやかな音色のDechk pondar。両方チェチェンの若者の演奏のようです。

Dechk pondar + Balalajka

デチク・ポンダルと呼ぶのでしょうか、チェチェンのトラッド・グループの演奏で目にした楽器です。これが昨日名前が不明と書いた胴の細長い弦楽器です。この男性もチェチェン人のようですね。仏ArionのEnsemble Aznachもそうでしたが、チェチェンではバラライカをよく持ち代えで使うようです。

Dechk Pondar In Chardaq

チェチェンのデチク・ポンダルとカフカス・ドラムのデュオ。今年の夏の映像のようです。奏法が分かって興味深いクリップ。カフカス・ドラムは、北コーカサスではドールというのかジャンベクというのか結局不明のままでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月 2日 (日)

コーカサスの弦楽器、打楽器

今日はコーカサスの弦楽器、打楽器編。レズギンカなどのコーカサスのリズム面を担当する重要な楽器です。予習になりますが、グルジアの映像を交えて見て行きましょう。

Pankisuri

これはグルジアの弦楽器ソロ。パンドゥーリが有名ですが、少し違う名前のようです。北コーカサスでもこれと似た音色のもっと胴が細長い弦楽器が使われます。結局楽器名は分からずですがw  メロディライン、リズムもコーカサス系同士でそっくりです。

Lezginka / Lekuri (Лезгинка)

オランダ在住(サーカシアン移民では?)のコーカサス音楽の愛好家の演奏。ギターによるレズギンカ。

Adige Nise

アディゲかカバルダの古い貴重映像。グルジア風の男声合唱のバックには、チェロのように構える擦弦楽器が見られます。これは現代では余り使われないのでは。

sukashvili-lekuri

踊りも跳躍が多く見ごたえがありますが、打楽器群が強力で低音豊か。これもグルジア側の映像のようです。

Kavkaz - Dhol Virtuoso's

これもおそらくグルジア。ドールの四重奏。盛り上げ方、曲芸的な所作がいかにもカフカス。太鼓ごとのピッチの違いを上手く生かしているようです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年12月 1日 (土)

北コーカサスのアコーディオン

北コーカサス・シリーズも国別には一応見終わりましたので、締めとして楽器別に少し見てみようと思います。今日はメロディの中核を担当するアコーディオン。
アコーディオン、とは言わず、ガルモンとかプシャーシェと呼ばれているようです。コーカサス音楽特有の音の重ね方やコード進行、哀愁味のある古風なメロディ・ライン、3連譜の多い躍動するリズム等、とても魅力的だと思いますが、いかがでしょうか。

adige psase

アディゲのプシャーシェ独奏。両手ともボタンのアコーディオン。左の扇子の束のような音具は、テンポ・キープでよく使われているようです。踊りは17日の記事をご覧下さい。

abida 'omar circassian accordionist

女性アコーディオニスト、アビダ・オマルさんは、ヨルダン在住のサーカシアン(アディゲ、チェルケス、カバルダのいずれか)移民。彼らは19世紀のロシア南下の際に、命からがら北コーカサス各地から逃げた人たちの末裔が多いようです。ディアスポラ・サーカシアンの哀しみが聞こえてくるような演奏です。以下youtubeの解説文:abida 'omar the best circassian accordionist from jordan playing one of her compositions. may allah have mercy on her soul. (thanks to apesh ahmed)

Nalmes Kafe

サーカシアン(特にアディゲ)のアコーディオン曲を披露するこの女性のビデオ・クリップは沢山ありますが、その中からナルメスのカフェ(カーファのことでは?)。17日にアップしたアディゲ国立ナルメス民族舞踊団のカーファの伴奏音楽です。
ナルメスのオフィシャル・サイト  http://www.nalmes.ru/eng/index.php

islamey

もう一曲、イスラメイ。これも17か18日にアップした中に舞踊があったと思います。

CeCeN by KuPSeJ

チェチェンの若者の合奏。戦火の中でもこうやって弾き継がれて来たのでしょう。ポップスの中にもレズギンカのリズムが躍動しているのを聞くと、ある種羨望のようなものを感じます。日本の場合は邦楽的な要素はどんどんなくなってきていると思いますので。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年11月 | トップページ | 2008年1月 »