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2008年1月21日 (月)

ロシアの吟遊詩人~ヴィソーツキー

これから数日、ロシアのバード(吟遊詩人)の歌を見てみましょう。1回目は余りに有名なウラディーミル・ヴィソーツキー。今日のビデオクリップは、彼の自作弾き語りの「奴は戦闘から戻らなかった」ですが、この曲は80年代に新星堂から2枚組みLP「大地の歌」が出た時に、冒頭に収録されていた曲。なので、個人的にはとてもインパクトの強かった歌です。ちょうどyoutubeも見つかりましたので。
ウラディミール・ヴィソツキーと表記されることも多いようですが、原語の発音に近いのは「ウラディーミル・ヴィソーツキー」です。彼の奥さんは女優のマリナ・ヴラディですが、彼女はJ.L.ゴダールの映画(「彼女について私が知っている2,3の事柄」他)などへの出演でも知られています。夫婦でデュエットしたアルバムも出ていますので、興味のある方は是非聞いてみて下さい。こちら 以下のロシア語歌詞はyoutubeから、訳詩は新星堂の「大地の歌」からの転載です。

visotsky - tolko on ne vernulsya iz boya  奴は戦闘から戻らなかった

Почему все не так? Вроде все как всегда:
То же небо - опять голубое,
Тот же лес, тот же воздух и та же вода,
Только он не вернулся из боя.
Мне теперь не понять, кто же прав был из нас
В наших спорах без сна и покоя.
Мне не стало хватать его только сейчас,
Когда он не вернулся из боя.
Он молчал невпопад и не в такт подпевал,
Он всегда говорил про другое,
Он мне спать не давал, он с восходом вставал,
А вчера не вернулся из боя.
То, что пусто теперь, - не про то разговор,
Вдруг заметил я - нас было двое.
Для меня будто ветром задуло костер,
Когда он не вернулся из боя.
Нынче вырвалась, будто из плена, весна,
По ошибке окликнул его я:
- Друг, оставь покурить! - А в ответ - тишина:
Он вчера не вернулся из боя.
Наши мертвые нас не оставят в беде,
Наши павшие - как часовые.
Отражается небо в лесу, как в воде,
И деревья стоят голубые.
Нам и места в землянке хватало вполне,
Нам и время текло для обоих.
Все теперь одному. Только кажется мне,
Это я не вернулся из боя.

なぜどこが違うのか、大体はいつもの通りなのに
空も同じ、また晴れている
森も同じ、空気も同じ、水も同じなのに
ただ奴だけが戦闘から戻らなかった

俺には今や分からない - 俺たちのどっちが正しかったのか
よく夜を徹して論じ合ったものだったが
俺ははじめて奴の存在を感じてる
奴が戦闘から戻らなかった今になって

調子っぱずれに黙り込んだり
調子っぱずれに歌をあわせたりした奴
いつも人と違うことを喋りだす奴だった
奴は俺を眠らせてくれず、太陽と同じ早起きだった
それなのに、昨日は戦闘から戻らなかった

今は空虚になった - そんなことじゃないんだ
急に俺には分かったんだ - 俺たちが二人だったことが
俺にとっちゃ、焚火が風で吹き飛ばされたようなものだ
奴が戦闘から戻らなかったことは

急に解き放たれたように、あたりは春めいてきた
間違って俺はつい声を掛けてしまったよ
「おい、そのタバコ俺にも吸わせろ」、でも返事はない
だって奴、戦闘から戻らなかったんだ

俺たちの死者は、俺たちを不幸にさせない
俺たちの戦死者は、番兵のようなもの
空は森に映っている、水に映るように
そしてそびえ立つ木々は青い

塹壕は俺たちには十分広かった
時間は俺たち二人のために流れていた
それがみんな一人用になって、俺には思えるんだ
戦闘から戻らなかったのは俺じゃないかと

訳詩:宮沢俊一

以下http://www.geocities.jp/f4_ttm/vis1.htmlより

Владимир Высоцки
ヴラジミール・ヴィソツキー(1938~1980、旧ソ連)
詩人、俳優。シンガーソングライター。生前には、1冊の詩集も1枚のレコードも出すことを禁じられていたにも拘わらず、彼はヒーローとなり、同時に良心であった。彼の歌を収録したカセットテープは何度となくコピーされ、人の手から手へと渡され、ソ連中に広まった。モスクワから遠く離れた小さな村の家の窓からさえ、彼の歌は鳴り響いていたという。真実の詩と情熱と勇気とを、ギターをかかえ、しわがれた声で歌うヴィソツキーは、一人で全体主義的管理と状況に立ち向かい、42歳の若さで逝った。葬儀の行われたタガンカ劇場の周りには、前代未聞の20万人の人々が許可なく集まり、夭折を惜しんだ。代表作に「奴らは戦場から戻らなかった」「狼狩り」「大地の歌」「俺はマガダンに行った」「07」等。俳優としては「ハムレット」「ガリレイ」が代表作。日本では、LP「いまだ日が落ちず」「大地の歌」が発売されている他、90~91年にかけてTV-CMに「暗闇で」が使われ話題となった。NHKでは五木寛之氏をホストに「モスクワは忘れない~吟遊詩人ヴィソツキーの歌」を放映。
(以上、VHSを販売した(株)クエストの紹介文から引用)

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