« 悲しき天使 | トップページ | 女性と子供のコサック歌謡 »

2008年1月31日 (木)

ドン・コサック合唱団

コサックとは元々チュルク語で「自由な民、放浪の民」の意味で、カザフと同語源です。15世紀頃までタタール(モンゴルとチュルク)に苦しめられた、所謂「タタールのくびき」後、ロシアでは農奴制が進みましたが、その抑圧から逃れ辺境の地で自治的に暮らした自由民を、またチュルク語で呼んでいるのは興味深い点だと思います。コサックと言えば、日本では中腰で腕を組み足を出し入れする「コサック・ダンス」のステレオ・タイプなイメージが強いと思いますが、実際は踊りもあのステレオ・タイプとは大分異なります。現在伝承されているコサックの民謡も、かなりヴァラエティに富んだものです。(その他、コサックの歴史についての詳細はこちらで)
歌の方では、特に有名な団体が今日のドン・コサック合唱団でしょう。1896年生まれのセルゲイ・ジャーロフが率いた男声のアカペラ合唱団で、リーダーのジャーロフは、ロシア革命ではレーニン率いる革命軍(赤軍)に対抗する帝政ロシア軍(白軍)側についたため、白軍の将校として内戦後はトルコに亡命、1930年代には全団員がアメリカの市民権を取得しました。以来「祖国への望郷の思い」を歌うこの団体は、ロシア民謡の中心的存在でしたが、1974年に彼が引退してからは往年の厚みのある歌声が聞けなくなってしまったようです。この合唱団の特徴は、ファルセット(裏声)の高い声があるかと思えば、チベット聲明並みの超低音まで出ている点でしょう。近世においてコサックの近くにいたグルジア人の男声合唱の影響もコサックの多声音楽には入っているようですが、ドン・コサックの合唱はその最も典型的な例と言えるように思います。赤軍合唱団とは一味違う、帝政ロシアの豊かな響きをお楽しみ下さい。

Don Kosaken Chor Sergej ZHAROV Sergei Jaroff , Berlin 1930

全盛期を築いたセルゲイ・ジャーロフの指揮による1930年代の貴重な映像。ロシア正教の宗教歌を歌っています。

Heintje - Don Kosaken Chor Cossack Serge Jaroff 1

"Mein Bester Freund"から。詳細が不明ですが、ジャーロフが辛うじて現役だった頃の映画出演のワンシーンでしょうか。カリンカが高らかに歌われます。

|

« 悲しき天使 | トップページ | 女性と子供のコサック歌謡 »

ロシア」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ドン・コサック合唱団:

« 悲しき天使 | トップページ | 女性と子供のコサック歌謡 »