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2008年2月27日 (水)

アラブ・アンダルシア音楽でも

コーカサスを南下しグルジアを巡っていた訳ですが、この地の音楽でもマウンテン・ジュー(Juhuloとも呼ばれるカフカス系ユダヤ人)のユニークさが見えてきました。しかし、Juhuloの音楽は明日に回して、昨日偶然に見つけたアラブ・アンダルシア音楽を演奏するユダヤ人アンサンブルの演奏を見てみたいと思います。グルジア音楽にはその後に戻ります。寄り道が多くて済みません^^
アラブ・アンダルシア音楽(ナウバ)は、中世末期のイスラム王朝下スペイン南部で花開いた古典音楽。1492年のレコンキスタでキリスト教勢力によってユダヤ人、イスラム教徒共にスペインから追放され、ユダヤ人は北アフリカ(マグレブ)のモロッコ、アルジェリア、チュニジア、当時のオスマン帝国の版図(旧ユーゴ、ギリシア、ブルガリア、トルコ、パレスチナ)、オランダなどに離散していきました。モロッコなどでは白装束の楽士たちによって、現在も盛んに演じられていますが、マグレブの地で特異な発展を遂げたようです。この楽団編成がルネサンス期のイタリアに伝わり、西洋の「オーケストラ」というもののヒントになったと言われています。仏Ineditの大河シリーズのようなセットものCD群には、その壮麗な古典音楽体系が記録されています。
ナウバはマグレブの様々な音楽に大きな影響を及ぼし、現代アルジェリアの歌謡、シャアビやライもその流れを強く汲んでいるようです。ナウバにおいては、イスラム教徒だけでなくユダヤ人音楽家も大きな役割を果たしたと見られています。ユダヤ人音楽家は、西洋の場合も非常に大きな存在ですが(特にヴァイオリンなどの弦楽器)、アラブ音楽やオスマン古典音楽などにおいても同様だったようです。余りにも美しいアルハンブラの建築が生まれた中世のスペインでは、パレスチナ問題(西洋列強がからんでから拗れて顕在化したものです)などはないので、ユダヤとイスラムが角を突き合わせるようなことはほとんどなく、むしろユダヤ人は啓典の民として大目に見られていたようです。ユダヤ教はセム一神教(古い順にユダヤ教、キリスト教、イスラーム)の先輩宗教ですから。

Musica Judia - Jewish Music

このコブシは紛れもないアラブ・アンダルシアの節回し。しかし、歌われているのはユダヤ教の祈祷歌「イェディッド・ネフェシュ」でした。ユダヤ教徒の男性は、祈祷帽のキパを被っています。以下にヘブライ語歌詞対訳を付しておきます。昨日と同じ幕屋イスラエル・ソング集の訳ですが、こちらは東欧系ユダヤの場合ですので、後半は異なるようです。
 イェディッド(愛する方) ネフェシュ(魂の) アヴ(父) ハラハマン(憐れみ給う方)
 メショフ(導いて下さい) アヴデハー(あなたの下僕を) エル・レツォネハー(あなたの御思いのままに)
 ヤルーツ(飛び走るだろう) アヴデハー(あなたの下僕は) ケモー(~のように) アヤール(鹿)
 イシュタハヴェ(ひれ伏すでしょう) ラララ・・・ エル・ムール・ハダレハー(あなたの栄光の前に)

Israeli Andalusian Orchestra

同じ楽団による器楽合奏の部分。ヴァイオリン、チェロ、ウード、カーヌーン、カマン(ヴァイオリンを立てて弓奏)、ダラブッカ、レク等という編成。弦楽器2本は名前が不明。一本はクルドのテンブールかバンジョーに見えますが。因みに伊予弁でカマンは、「良いです、結構です」の意味なので、ちょっと笑ってしまいますが^^ イラクなどではカマンジャという名の胡弓型の楽器があります。

♫ Lamma Bada ♪

中世スペインでユダヤ人音楽家が盛んに詠んだムワッシャハと言われる恋愛詩の形式は、レコンキスタ後離散地域に広まりますが、近世以降にシリアのアレッポ辺りではムワッシャハが古典音楽として発展し、この名旋律もその頃生まれたのではと言われています。書いたのはユダヤ人音楽家だという説が濃厚なようです。という訳で、その名曲「Lamma Bada Yatathanna」によるベリーダンス。名曲故、収録音源は枚挙に暇がありません。

Maria del Mar Bonet - Lamma bada

そのラッマ・バダ・ヤタサンナを、スペインのカタロニア地方の名歌手マリア・デル・マール・ボネットが歌ったクリップ。From the "Amic, Amat" show held on 22nd july 2004 at Barcelona's GREC Festival (Forum of Cultures'04) with the excepcional collaboration of the Cantiga Chorus (Catalonia) and the Cham Ensemble from Damascus (Syria). Directed by Jordi Cerdà

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コメント

Zeami様
 ご無沙汰しています。
 このイェディッド・ネフシを歌いたいと思っています。歌詞をヘブライ語でもしご存知でしたら、教えて頂けませんでしょうか?
 どうか、よろしくお願い申し上げます。

 桜井真樹子

投稿: 桜井真樹子 | 2012年1月29日 (日) 07時31分

桜井様
コメント有難うございます。ご無沙汰してます。
イェディッド・ネフェシュの歌詞は例のイスラエル・ソング集に出てますが、1本目youtubeの歌詞は少し違っているようです。この辺まで必要ですか?
ヘブライ文字が今の環境では入力できないので、ローマ字表記で宜しければまたお知らせします。
アシュケナジームのあの有名な節ではなく、1本目のようなセファルディーのアンダルシア音楽のメロディで歌われるのでしょうか?

投稿: Homayun | 2012年1月30日 (月) 01時16分

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