バンドゥーラの妙技
ウクライナの弦楽器バンドゥーラは、これまでにも何回かアップしましたが、今日のVictor Mishalowという人は、見た中では一番の名手です。器楽的に可能性を探求しているように見えますので、民族色は希薄かも知れませんが。彼はオーストラリア生まれで現在はカナダ在住のようです。結構ウクライナ人も外に出ているんですね。(バイオグラフィーは名前のリンクをご参照下さい)
何本か最近の収録と思われる独奏をアップしておきます。この楽器、どういうチューニングになっているのでしょうか。多分クロマティック(半音)になっているのでしょうが、謎は低音の部分で、フレットレスの棹は押さえることもあるのでしょうか。下のふちにアジャスター(というかペグ自体か?)が並んでいるように見えます。
Victor Mishalow: The Captives' Market
演奏は真ん中辺りから。エリック・サティのグノシェンヌ風のエキゾチックな音階。あの曲はルーマニア音楽にヒントを得て書かれていますが、西ウクライナにはルーマニア風の音楽がありますから、このモードが出てきて不思議ではないように思います。
Victor Mishalow: Turkish Dance
こちらはトルコ風の演奏。確かにカーヌーン的にも聞こえます。
Victor Mishalow: Snow Dance
こちらは一番スラヴ的な曲調。バンドゥーラのイメージに一番ぴったりに聞こえます。
| 固定リンク
「東欧」カテゴリの記事
- バンドゥーラ弾き語り(2022.04.01)
- 赤軍合唱団、バンドゥーラ弾き語り合唱、弦楽合奏のРеве та стогне Дніпр широкий(2022.03.31)
- 広きドニエプルに吹き荒ぶ嵐(2022.03.30)
- Реве та стогне Дніпр широкий(2022.03.28)
- PANFILI & FRIENDS(2019.07.30)
コメント
このバンドゥーラの音ですが、たしか「オノ セイゲン」と言うひとのCDで似た音の楽器を使っていたような・・・
聞いてみよっと(^^)
投稿: ひち | 2008年2月 9日 (土) 22時45分
>ひちさん
オノセイゲンは、コムデ・ギャルソンですか?
あのアルバムは店にいた頃、よく売れていましたが、手元にはありません。確認取れたら教えて下さい。
投稿: Homayun | 2008年2月10日 (日) 20時21分
オノセイゲンのCDは手元に二つ有ります。
三枚組みの「la movida]
二枚組みの「コムでギャルソン」
(黒のジャケット)
よろしかったら・・・。
投稿: ひち | 2008年2月10日 (日) 21時07分
はじめまして、バンドゥーラ愛好家の佐久間と申します。
このバンドゥーラは、現在見かける楽器の中では少数派のポルタバ・バンドゥーラというものです(他の言い方もあります)。彼が使っている楽器は新しく、カナダで作っているものです。
いわゆるコザックが弾いていたバンドゥーラというのがこれの原型に当たります。
バンドゥーラは地方により弾き方などが代わってきます。一般に見かけるバンドゥーラはチェルニヒヴと言うところで作られていたキエフ・モデル(スタイル)と言います。それは体に対して垂直に構えますが、この楽器は体に対して平行に押し付けるように構えます。通常、肩掛けのストラップもが付いています。
この楽器は駒の部分に半音上げるレバーが付いていて、それにより調子を決めますので、通常ダイアトニックになります。特徴としては弦毎にレバーで音程を決めるため、オクターブ上がった音階は違う調子にする、と言う事も出来ますし、そうすべき曲がウクライナかバンドゥーラにあるといいます。
棹の弦は押さえる事はせず、指で開放弦を弾きます。押さえる楽器もありますが、それはコブザと言って別の種類の楽器です。お役に立てれば幸いです。
投稿: sakuma | 2008年4月14日 (月) 07時42分
>佐久間様
初めまして。詳細な情報有難うございます。
コブザというのはルーマニアのコブサに似ていますが、別な楽器なのでしょうね。コブサはウードやリュートの系統の弦楽器でした。ウクライナ音楽の情報は本当に貴重なので、今回のコメント、大変有り難く拝読しました。
投稿: Homayun | 2008年4月14日 (月) 22時28分