ムニール・バシール
昨日はイランのウードを見ましたので、対比として今日はアラブ音楽のウード奏者で最も有名な、ムニール・バシールの演奏を見てみましょう。彼のyoutubeもかなり出てきています。
ムニール・バシールは97年に急逝したイラク出身のウード奏者で、晩年までかなり長くハンガリー(カトリックが多い国)を中心に活動していたようです。これはイラクのシリア正教の家系に生まれたことと無縁でないようにも思います。また彼の演奏には、アラブ音楽のバイタリティ溢れるイメージから少し離れた感じの洗練美があるのも、そこに秘密があるのかも知れません。息子のオマル・バシールとのデュオも出てますが、今日は親父さんのインスピレーション溢れる演奏の模様を。映像で見るとまた格別な味わいがあります。
二、三本目はタクシーム(即興演奏)。どちらかと言えばトレモロが多いように思うイランの場合と違って、音は少なく、間を有効に生かした演奏。音の飛翔にたまらない魅力がありますが、フラメンコっぽくなってくる辺りは好みが分かれると思います。
一本目の前半はインタビューですが、後半は1992年のブダペスト・ライヴで披露していた曲。ここからはクリスチャンとしての一面を強く感じます。(以下そのCDのコメント拙稿より)
イラクのシリア正教徒の家に生まれた、今は亡きウードの巨匠、晩年のライヴ。タクシーム3曲(ヒジャズ・カル、アジャ ム、ラハーウィー)とユニークな編成のナハーヴァント。ウードが紡ぎ出すナハーヴァントの哀愁の旋律に、バッキアーナス・ブラジレイラス(ブラジル風バッハ)No.5のアリア 風女声の母音唱法が答え、そのバックで教会の鐘とオルガンが遠く響き渡ります。非常に独創的な「ウード・スピリチュアル」とでも言えそうな音楽です。
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