ハジ・ゴルバン・ソレイマニ
さて今日からしばらくペルシア古典音楽を離れ、イランの地方の音楽を見て行こうと思います。まずはイラン東北部ホラサーン地方のバフシー(バード=吟遊詩人)としてイランの内外で名高い、農夫兼音楽家ハジ・ゴルバン・ソレイマニのドキュメンタリー・フィルム。
彼は1920年にホラサーン北部のGhuchanの小村Aliabadに生まれたとのこと。もう87歳という高齢ですが、ドタール弾き語りはかくしゃくとしたもの。トルクメンに近い所ですから、トルコ系住民が多く、彼もペルシア語だけでなく、トルコ語、クルド語でも語っているようです。この人の音源はKereshmehから90年代に出ていました。
2弦とは思えない技巧的なドタール演奏ですが、トルクメンの場合のようにテクニックを誇示する感じのパンチの効いた演奏と言うよりは、ホラサーン・バフシーの歌心が豊かに感じられます。ルーミーが生まれたのもホラサーン(現在はアフガニスタン領に入るバルフ)で、この辺りはペルシア文化の揺籃の地でもあるんですね。
ビデオは埋め込み禁止でした。
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コメント
本年の1月、逝去されました。
人間的にも素晴らしい方と聞いております。
ご冥福をお祈りいたします。
投稿: りーず | 2008年4月27日 (日) 01時57分
>りーずさん
そうでしたか。日本までは聞こえてきませんからね。
でもうっすらりーずさんの日記で読んだような気はしていました。コメント有難うございました。
投稿: Homayun | 2008年4月27日 (日) 23時51分
ZeAmiさんでも扱われているMahoorの作品は素晴らしいですね。1月に亡くなられた時は、イランの新聞各紙では勿論のことですが、フランスなどの新聞でも取り上げられていたらしいです(娘さんがフランス在住だということもあるかもしれませんが)。本当に偉大なドタール奏者であったと同時に、人間的にも偉大な人であったことが新聞記事の数々からも偲ばれました。亡くなられるまであまり意識していなかったのですが、ちょうど改めて音源を聴いてみている最中でした。
投稿: elly | 2008年4月29日 (火) 02時29分
>elly様
録音はあの一枚だけなのかも知れませんが、語り分けの精妙さと、2弦とは思えないテクニックに、映像がなくても驚嘆してしまいます。94年に来日歴もあり、キングから音源が出ているGholam Hossein Mirzaiも同様の音楽を奏でるバフシーだと思いますが、イランでの知名度はずっと下がるのでしょうか。
投稿: Homayun | 2008年4月30日 (水) 00時57分