ラーガ・キルワーニー
今日は伊予では夏かと思わせるような暑さでした。松山からのお客様が帰られた後、夜になって、さぁブログアップしておこうと思ったら、何故か繋がらない。youtube自体で何かトラブルがあったのでしょうか。と言うわけで、一昨日の記事にコメント頂いたちまきさん、皆様済みません。今日は映像なしです。
代わりに96年と言う大昔の拙稿ですが、転載しておきます。インド通信に掲載された一文です。松山から来られた門屋さん、斉藤さんもインド音楽をお求めでしたので^^
インド音楽CD探訪
「落日」の音楽~ラーガ・キルワーニーを求めて
日没の美しさを表現した音楽は、洋の東西を問わずあると思う。西洋だと、ブラームスの弦楽六重奏曲第一番の第二楽章、ペルシア音楽だとホマーユン旋法の古典声楽(パリサーが78年に日本で歌ったあの曲のイメージ)などはそれにあたるだろう。ルイ・マルの映画「恋人たち」にも使われた若きブラームスの「憂愁と情熱」、ハーフェズのガザルを歌った名歌手パリサーの歌の官能的な美しさは、到底他の音楽で置き換えられるものではない。ではインドではどうだろうか。
その機会は偶然に巡ってきた。ラヴィ・シャンカールが95年1月に福岡で行ったコンサートでキルワーニー(KirvaniまたはKirwani)と言う夕方のラーガを演奏した。ロマンティックで情熱的な非常に美しいラーガで、私はすぐに魅了された。このラーガは南インド起源(72メーラカルターの21番目)で 、R.シャンカルとアリ・アクバル・カーンが北インドに広めた人気のあるラーガと言うことだが、CDは以外に少ない。調べてみたら(96年当時)ニキル・バネルジー盤、アムジャッド・アリ・カーン~ザキール・フセイン盤、クリシュナ・バット~ザキール・フセイン盤、アリ・アクバルの息子アーシシュ・カーンとインドラニル・バッタチャリア盤(サロッドとシタールのジュガルバンディ)、M.S.スッブラクシュミ/メーララーガマーリカー(ほんの一瞬です)、スダ・ラグナタン/Stars of a Stalwart(南インドの若手女性声楽家)など本当に数枚だけだった。
大体ダルバリ・カナラやカマジ、シュリーのような夜系のラーガでまとめたものが多いが、アムジャッド盤はキルワーニーと北インドのピルーが似ていることを踏まえ、繋げて演奏した意欲作。南インドの本家本元は、やはり「南」らしいクールな演奏。「北」のロマンティックな香気はないが、Kirwaniのオリジナルを知るには(語源的にも)、聴いておかなくてはいけない格調の高い音楽でしょう。それにしてもこの「香気」は、やはりムスリム~ペルシア文化との混合の産物でしょうか。
(上の絵はMoment Recordsから出ていたBhimsen JoshiのCDのジャケットから。ラージプート絵画では。何となくKirwaniのイメージだなぁと思いまして)
| 固定リンク
「インド音楽」カテゴリの記事
- Ilyas Malayev シャシュマカームとシタール(2018.12.13)
- Rimpa sivaのタブラ(2017.07.06)
- クマール・ボースとキシャン・マハラージ(2017.07.05)
- タブラ聞き比べ クマール・ボース、スワパン、ヌスラット(2017.07.03)
- ニキル・バネルジー&アニンド・チャテルジー(2017.06.16)
コメント