Davlatmandとファラク
フランスの名門レーベルIneditからアルバムが出ていたダヴラトマンドのビデオが見つかりましたので、今日はそれらを一挙に。イネディではデュオでしたが、youtubeでは様々なアンサンブルで披露されています。首都ドゥシャンベ(「月曜日」の意味)の歌手ですが、高く張り上げる歌い方(ファラク的!)と音階はバダフシャン風に聞こえます。Inedit盤は以下のジャケットのもの。下記の解説は、音楽之友社から2002年に出た「世界の民族音楽ディスクガイド」掲載の拙稿。
何ともパワフルで魅力的な語りを聞かせてくれる、首都ドゥシャンベの音楽院出身の男性2人組。歌とセタール(またはギジャク)のダヴラトマンド・ホロヴと打楽器タブラクのA.アブドゥッラーエフのデュオ。セタールはイランのものをもっと棹を長くした感じで、インドのシタールとのちょうど中間のような楽器。擦弦楽器ギジャクの共鳴胴は長方形。歌は3拍子が支配的で、この辺もペルシア系を連想させる。詩はペルシアの大詩人ルーミー、ハーフェズの他に、今世紀タジク詩人らしき人も。その他は民間の詩。音楽的にはアフガンのパシュトゥーン等のものにも近いように思われる。そういえば、故マスードもタジク族だった。
Davlatmand Holov
Davlatmand SUFI
Davlatmand SUFI
Davlatmand SUFI
Charkh-O-Falak a Fragment by Mahdi Jami 2007
冒頭近くタブラ伴奏で歌っているのは、イネディ盤の一曲目。これは実に興味深い内容のビデオで、英語字幕付が有難いです。Falak music and whirling dancers of Tajikistan,dawlatmand chark-o-falakと 解説にありますので、彼が歌っているのはやはりファラクの一種(あるいはそのもの)ということでしょうか。
Tajik folk music
こちらは幾分ポップなアレンジで歌っているクリップ。
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コメント
ファラクは、バダフシャーンだけに見られるものではなく、クーラーブ(クリャブ)をはじめとするタジキスタン南西部でも広く見られるジャンルです。
調べてみたところ、ダウラトマンド・ハーロフは、現在はドゥシャンベを中心に活動していますが、もとはクーラーブに隣接するシューラーバードの生まれだそうで、子供の頃よりファラクを歌ってきたそうです。まだソ連時代の1989年に、苦労の末ようやく政府当局から許可を取り付け、クーラーブで自身のグループ、その名も「ファラク」を結成し、現在に至るとのことです。
投稿: shay | 2008年10月20日 (月) 00時43分
shay様
いつも有難うございます。やはりそうですか。ファラクはタジクの山岳地帯に見られる様式なのでしょうか。逆にシャシュマコームが聞けるのは北西部(比較的標高の低い)が中心なのでしょうか。
投稿: Homayun | 2008年10月21日 (火) 00時29分