パミール音楽の粋 ファラク
バダフシャン(パミール)の音楽様式にFalak(ファラク)というのがあります。キングの「タジクの音楽」の浦本先生の解説によると、1000年以上前に遡るものだそうで、パミール音楽のパミールらしさを表現する中核的な様式ではないかと思います。その非拍節的で緊迫感溢れる節は、一聴すると忘れられない強烈な印象を残すものだと思います。聞く人によっては、何か底知れぬ畏怖の念のような印象を持たれるかも。「世界の屋根」パミールの山並みをそのまま音楽にしたような、その峻厳な曲調は、ちょっと近寄り難い印象を持たれるかも知れませんが、山岳タジクの心を知るには必聴の音楽だと思います。
音源としては、キング盤の他に、VDE-Galloのドタールの名人、TopicのFalak: the Voice of Destiny - Traditional Popular and Symphonic Music of Tajikstanなど、探せば結構あると思います。(音源情報) 特にTopicの2枚組みでは現代的で秀逸なアレンジを施された、現代曲かと思わせるような鋭く聞き手に訴えかけてくる絶唱も聴かれます。これは形容し難い感動に襲われる演奏です。
今日の3本のビデオは、いずれもファラクそのものかファラク的に聞こえた曲です。2,3本目はアフガニスタン側の映像。
Shoi Nozir
これは久々にタジキスタン側の映像。ルボップにしてはフレットレスで弦が多いようですが。dedicated to the Great Pir of Kuhistan
Shughnani Falak
a beautiful shughnani falak by Munawar Shughnani
Afghan Song Dambura and ghajek
ファラクはアフガン音楽を通じて北インドのラーガに流れ込んでいるかも、と思わせる部分がありますが・・。そんな神秘的なラーガ、確かにあります。例えばPilooとかどうでしょうか? Afghani music dambura and Ghajek Najmodin Farkhari great singer of Samte shamal
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コメント
一番目のビデオのアップで、最初に出てくるのが、右から2人目の演奏するタンブール、次に出てくるのが、左から2人目が演奏するパミール・ルバーブですよね。
投稿: hasuge | 2008年10月 8日 (水) 16時50分
>hasuge様
このところ色々ばたばたしていて、記事を書くので手一杯で、コメントのお返事が遅れ勝ちですm(_ _)m
若林忠宏氏の民族楽器大博物館を見ると、両方ルボップとなっていました。ただその写真には両方フレットがありました。タンブールの定義は、爪を右人差し指にはめて弾き、弦は金属弦、ということのようですが、これはウズベクにのみ当てはまるのでしょうか。この映像では、両方プレクトラム(ピック)の類を使っていますね。パミールに入ると、何が何だかよく分からなくなってきますf^^; 荒削りな楽器が多いし。
投稿: Homayun | 2008年10月11日 (土) 01時23分
The Institute of Ismaili Studies のサイト iis.ac.uk の Gallery の Musical and Poetry from the Pamir Mountains に出ているタンブールが、正にこれではないかと思ったのですが。違うでしょうか。
投稿: hasuge | 2008年10月11日 (土) 09時10分
>hasuge様
イスマイル派の研究サイトがあるんですね。驚きました。
確かに同じに見えます。あの楽器はタンブールなのですね。しかし、パミールのものは北インドのサロッドに形がかなり似ています。サロッドと言えば、アフガン・ラバーブが元になっていると言われてきたと思いますが、その辺も興味深いです。
投稿: Homayun | 2008年10月11日 (土) 16時18分