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2009年1月 4日 (日)

晋平節と古賀メロデー

皆さんは正月三箇日はいかがでしたでしょうか。どなたもやはり正月には大なり小なり日本のイメージが恋しくなるのでは。松の内くらいは、今年も和物で行こうかと思います^^  元旦に奈良光枝さんを取り上げましたが、今日は流行り曲の元祖と言えそうな中山晋平の代表曲4曲と、その後に続いて流行り歌の世界を確固たる物にした巨匠、古賀政男の名歌「影を慕ひて」を取り上げてみました。いずれも30年位前までなら間違いなく日本の愛唱歌のベスト10を占めるような名歌ばかり。現在はどういう結果が出るか分かりませんが(笑)  「影を慕ひて」は、中山晋平の唄を沢山歌って世に広めた佐藤千夜子(さとうちやこ)のオリジナル歌唱と、藤山一郎のリバイバル・ヒット・バージョンのカップリング。西洋的唱法を取り入れた千夜子さんの晋平節の歌声3曲、中でも「東京行進曲」は、モガ的イメージの歌唱と言えるのでは。

影を慕いて (埋め込み禁止)
佐藤千夜子の「影を慕いて」と、 藤山一郎の「影を慕いて」を続けてどうぞ。最近なら森進一版が最高峰でしょうか。この曲や、「酒は泪か溜息か」「湯の町エレジー」などの古賀メロの憂い節には、新内の影響が濃厚なように思います。新内の上調子の手に余りに似た箇所が目立ちます。

波浮の港

唄  佐藤千夜子(1928)

作詩 野口雨情
作曲 中山晋平

磯の鵜の鳥ゃ 日暮れにゃかえる
波浮の港にゃ 夕焼け小焼け
あすの日和は
ヤレホンニサ なぎるやら

船もせかれりゃ 出船の仕度
島の娘たちゃ 御神火ぐらし
なじょな心で
ヤレホンニサ いるのやら

島で暮らそうにゃ とぼしゅうでならぬ
伊豆の伊東とは 郵便だより
下田港とは
ヤレホンニサ 風だより

風は潮風 御神火おろし
島の娘たちゃ 出船のときにゃ
船のともづな
ヤレホンニサ 泣いて解く

磯の鵜の鳥ゃ 沖から磯へ
泣いて送らにゃ 出船もにぶる
明日も日和で
ヤレホンニサ なぎるやら 

さすらひの唄 佐藤千夜子

北原白秋:作詞、中山晋平:作曲。昭和九年。奈良光枝さんもカヴァーしていた名歌。トルストイの「贖罪」を戯曲化した「生ける屍」の劇中歌。

東京行進曲 佐藤千夜子

西條八十:作詞、中山晋平:作曲。昭和四年。晋平&千夜子コンビの最大のヒットの一つ。モボモガの時代を彷彿とさせる歌です。銀座の柳は今もありますね^^

天竜下れば

市丸(1969年)  去年の元旦にも取り上げた市丸さんの「天竜下れば」。これは中山晋平作曲の新民謡。

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コメント

佐藤千夜子はストレートなオペラ調。藤山一郎は美しい響きでポルタメントを入れ、歌唱技術が豊か。単純さのなかに奥深さがある。佐藤千夜子の古賀政男の才能発見は素晴らしい。それを開花させた藤山一郎の登場はそのおかげ。『永遠の歌姫佐藤千夜子』(東北出版企画・菊池清麿・著)今までの佐藤千夜子像を否定。凋落のドラマを期待する人には不満かも。

投稿: ああ東京行進曲 | 2009年1月19日 (月) 07時55分

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