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2009年3月18日 (水)

神秘な障壁

昨日のスコット・ロスの記事で名前が出ましたので、ちょっと寄り道してフランソワ・クープランのクラヴサン名曲「神秘な障壁」。「神秘的なバリケード」とか「神秘な防壁」とも言われています。1980年だったと思いますが、偶然FMで耳にして大変に魅了された一曲、というかバロック音楽とは思えない程のモダンさに衝撃を受けました。ベースラインは60年代頃のシャンソンやフレンチ・ポップスに受け継がれているようにも思います。掛け止めといわれる独特なシンコペーションの連続、クープラン特有の装飾技法など、この小曲には色々仕掛けがありますが、譜面自体何と美しいことでしょうか! この曲だけは弾きたいと思って、楽譜を手に入れ中間部以外は暗譜しましたが、ピアノは習ったことがないもので、中間部を乗り越えられないまま、早25年ということになっています(^^;  82年頃にはフランスの女流ピアニスト、アンヌ・ケフェレックのリサイタルでこの曲がアンコール演奏され、主な演目自体、J.S.バッハのパルティータ2番、ブラームスの間奏曲(確か)、ラヴェルの「夜のガスパール」と、偶然私の愛好曲の好演が続いた後だったので、更に強い感銘を受けました。
「神秘な障壁」は両手ともヘ音記号で書かれているので、低い音のみから出来ているわけですが、チェンバロ(フランス語でクラヴサン、英語でハープシコード)のストップの音色のためでしょうか、それ程低音に聞こえないです。80年に聞いた女流名手ユゲット・グレミー・ショーリャック(フランスのCharlin盤)の演奏は、ギターのようなストップの爽やかで軽やかな音色がとても印象的でした。この陰影とニュアンスに富んだ、流麗な演奏に勝る演奏は今まで聞いたことがありませんが、スコット・ロスの演奏(今日の一本目)は比較的近いようにも聞こえます。Ottavaのプレゼンターの一人、林田さんの「クラシック新定番 100人100曲」(アスキー新書)にも、クープランの一曲としてこの曲が取り上げられていました。(「ポップなまでに現代的で朗らかな表情を持ち、知らぬ間に意識を遠くへ連れ去ってくれる和声の精妙な展開のあるこの曲を好む人は多く、(中略)~心が不安や緊張に苛まれるような時には、私の場合神秘的なバリケードを聴くのが一番の特効薬である。本当にこの曲は、疲れた心に高い治癒能力を示すのだ。」(クラシック新定番からの引用)
この曲については、当ブログの最初の方で取り上げたかも知れませんが、今日上げる動画は初のはず。しかしこの曲、タイトル自体が神秘的。どういう深意があるのか、知りたくなりますが、そんな無粋な詮索をしないのが「フランスのエスプリ」なのでしょう^^

Couperin: Les barricades mystérieuses / Scott Ross

スコット・ロスの録音は、確かフランスのStilからクープランのクラヴサン曲全集がありました。そうです! 南インドのフルートの鬼才T.R.マハリンガムの音源が出ている、あのレーベルです(笑) 久しくクラシックから離れていたのでよく分かりませんが、他のレーベルからも彼の音源は出ているのでしょうか?

Marcelle Meyer plays Couperin Les barricades mystérieuses

往年の名女流ピアニスト、マルセル・メイエによる演奏。ショーリャックよりもテンポが速いかも。素晴らしく美しい演奏です。

François Couperin - Les Barricades Mystérieuses

François Couperin (1668-1733) Les Barricades Mystérieuses Francisco Ricardo - Cravo Lisboa, Dezembro de 2008 Cravo Neupert de dois manuais afinado a 415 Hz

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