カヴァティーナと大フーガ
ベートーヴェンの後期弦楽四重奏もシリーズになりましたが、一応今日までにしたいと思います。最後は13番の弦楽四重奏曲の第5楽章カヴァティーナと、当初第6楽章として作曲された大フーガ。13番は大規模な曲の多い後期のSQ作品の中にあって、比較的小さな規模の6楽章という変則的な構成。その幻想的とも言える音楽は、作曲者の嘆きを映す色調を帯びていますが、そのような弱さを超克すべく6楽章に大フーガが作曲されました。しかし演奏者からの拒否に会い、大フーガは単独の作品として発表されることになりました。余りの演奏困難さ、晦渋さが原因のようです。現在の第6楽章は、後に作曲された最晩年の作品。
Beethoven Quartet no.13 op.130 mov.5 cavatina
大フーガの直前に置かれた第5楽章のカヴァティーナ。この筆舌に尽くせない美しい音楽については、以下の文章を引用させて頂きました。
「晩年の堪え難い寂寥感を映し出した悲しい音楽で、ベートーヴェン自身もこの作曲は涙とともに行い、出来ばえには至極満足であったという。充実した響きの上に、無上の美しい旋律が歌われる。」(ブダペストSQの全集の大木正興氏の解説)
葬儀にはこの曲を(第5楽章「カヴァティナ」) とやかく申すまでもなく、13番での本命は第5楽章「カヴァティナ」です。最終部で啜り泣く一期一会の旋律。・・・今まで数多くの人が、この楽章が奏される中、黄泉路へ旅だってゆきました。(mixiのSQ13番のコミュニティより)
Beethoven/Alkan: Cavatina
ピアノの難曲を沢山書いたことで知られるロマン派の作曲家アルカンによるカヴァティーナの編曲版。
Beethoven GREAT FUGUE op. 133 Leipzig String Quartet
数ある大フーガのクリップの中から、ライプツィヒSQの演奏で。前半のみで残念ですが。この曲の峻厳極まりない「音楽の追求」は、結果的に現代音楽への流れを準備していた所があるようで、例えばアルディッティSQがGramavisionからの89年のアルバムArdittiで、ナンカロウやクセナキスの前に大フーガを入れていました。
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