高貴な後期SQ
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、クラシック中のクラシックと言えると思います。だからZeAmiブログで取り上げるのは、意外に思われる方もいらっしゃるかも知れません。クラシックなら古楽か現代というイメージで見られ勝ちですが、間の古典・ロマン・民族楽派・近代もしっかり聞いてきました。文字通り、グレゴリオ聖歌からジョン・ケージまで。その中で、これまでに取り上げたJ.S.バッハの無伴奏作品や、後期のベートーヴェン、中でも弦楽四重奏やピアノ・ソナタの普遍的価値は、世界の音楽の中においても燦然と輝いていると思います。20年ほどクラシックを余り聞かなかったとは言え、これらの作品への尊敬の念は薄れたことはありません。最初に聞いた後期SQは、中では比較的ポピュラーな15番だったと思います。破格の楽章形式と3楽章の賛歌には深い感銘を覚えました。その後ブダペストSQ(メンバーは全てロシア系)の全集をよく聞いたものです。SQ曲16番はJ.L.ゴダールの「カルメンという名の女」に使われていましたし、ピアノ・ソナタはグレン・グールドの定番レパートリーになっていました。偉大で難解な作品群にも意外にそんなエピソードが散見されます。今日はそんな後期のSQから14番の1楽章と6楽章を。第9交響曲も荘厳ミサ曲も書き上げた後の、文字通り最晩年の作品の中の最後の曲です。
Beethoven Quartet op 131 1st movt - Budapest Quartet (1943)
ブダペスト弦楽四重奏団の演奏で14番の1楽章。この曲は全部で7楽章という変則的な構成。その幽玄かつ峻厳な美しさは喩えようがないです。管弦楽編曲版もあって、バーンスタインやミトロプーロスが入れていました。
Band of Brothers - Why we fight
映像はTVドラマ「Band of Brothers」。弦楽四重奏曲14番6楽章が使われています。出品者が音楽を合わせたようですが、何ともぴったりに思えます。
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