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2009年6月

2009年6月29日 (月)

チュニジアの夜(Dizzy Gillespie)

梅雨末期らしい蒸し暑さの続く今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。根詰め過ぎ?て少々疲れてきましたので(笑)、この辺でちょっと間奏曲を入れます。チュニジアと言えば、一番有名なのはやはりこの曲でしょう。私も80年代前半までは、「チュニジア」と付く曲で知っているのは、この「チュニジアの夜」だけだったと思います(笑) この曲は往年のビバップ期ジャズの名トランペッター、ディジー・ガレスピー作の名曲です。
80年代の前半までは、モダン・ジャズ界隈の音楽もよく聞いたものです。と言っても、チャーリー・クリスチャンからアルバート・アイラーまでで、フュージョン以降は殆ど興味がなくなりましたが。この曲、アラブ・モードに関係があるのかどうか、そもそもチュニジアと関係があるのか(笑)、調べてみれば分るかも知れませんが、取りあえず今日は曲だけ上げておきます。

Jazz Classics: Dizzy Gillespie - A Night In Tunisia

いつも、二こぶラクダのようなほっぺたに目が釘付けです(笑)

The Jazz Messengers - A Night in Tunisia

アート・ブレイキーのドラム、最高! ウェイン・ショーターも若い!  これは最高の演奏ですね。Wayne Shorter , Lee Morgan,Art Blakey , Jymie Merritt , Walter Davis Jr. dvd"PARIS 1959"

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2009年6月28日 (日)

ジェルバ島のユダヤ宗教歌

ジェルバ島の映像をもう少し探してみた所、いくつかユダヤ宗教歌のビデオも見つかりました。一本目の真ん中辺りで一瞬出てくるのは、詩篇唱独唱と葡萄酒を聖別するキドゥーシュでは? 二本目は祈祷歌の類だと思いますが、祝祭日の歌唱でしょうか、野外で歌われています。トーラー朗唱や詩篇唱のように古くはないですが、周囲のアラブの音楽から受けた影響が聞き取れるように思います。三本目は古いヘブライ語の詩Ana Ghribaによるピユート(宗教詩)では。アラブ風な大衆音楽のようにも聞こえますが、やはりシナゴーグで歌われる賛歌の一つだと思います。

TJC's "La Ghriba" Trailer

An engaging look at the unique, 2,500-year-old Jewish community on the Tunisian island of Jerba. They call their community "miraculous" -- an isolated island where Jewish identity is forged by a shared sense of equality, rather than one of persecution.

hilloula de rebbi chimone à jerba

Chanson pour La Ghriba
こちらは埋め込み禁止。Achermizrahiに歌詞が載っていますが、通常の聖書ヘブライ語と違うように思います。アラム語ではないと思うので、ミシュナー・ヘブライ語か、もっと下った時期のヘブライ語では。

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2009年6月27日 (土)

チュニジアのユダイズム

ジェルバ島のシナゴーグの映像を昨日はアップしました。更に詩篇唱やトーラー朗唱などあれば良かったのですが、さすがにそこまではyoutubeもないようです。ジェルバ島は、ヨーロッパからの観光客で賑わうリゾート地として一般には知られていますから、そちらの映像が多いようです。今日はいくつかこの地のシナゴーグ関連映像を上げておきます。
ジェルバにユダヤ人が住み着いたのは昨日書いたように旧約聖書時代の説もあるようですが、実際にこの地のユダヤ人の記録が文書で残っているのは10世紀頃からのようです。
ユダヤの古い聖歌の有名なエピソードに、カイロ・ゲニザ文書があります。12世紀にキリスト教からユダヤ教に改宗したオバディヤという名のノルマン人が中東に旅し、イラクのバグダッド辺りでユダヤ教徒の歌う聖歌を、ネウマ譜(グレゴリオ聖歌の記譜法として知られています)に書き付けた羊皮紙が、ケンブリッジ大学図書館のカイロ・ゲニザ文書の中から発見されたというもので、このネウマ譜を解読した結果、旋律や旋法が、現代のミズラヒームやセファルディームの聖歌と完全に一致していたというもので、極めて古いジェルバの聖歌との類似性もかなり見出せるようです。少なくとも800年の間、ほとんど変化せず口伝で歌い継がれてきているというのは驚異的なことだと思います。
ジェルバの録音はVDE-GalloからCDが最近出ましたが、この盤には聖書朗唱は入ってなかったようです。上記カイロ・ゲニザの聖歌の復元演奏は、オランダのFidelioからのCD「Hebrew Melodies」に収録されていて、このCDは数年前に出たキングの宗教音楽ライブラリーに入っていましたが、残念ながら廃盤になったようです。実はFidelio盤にカイロ・ゲニザの音源が入っていますよ、と水野先生にお知らせしたのは私でした。参考文献は先日も登場した水野信男氏の「ユダヤ音楽の旅」(ミルトス)と「中東・北アフリカの音を聴く」(スタイルノート)で、前者ではディスコグラフィー作成で協力させて頂きました。

Judaisme en Tunisie / Judaism in Tunisia

歌はオフラ・ハザ風のヘブライ・ポップスですが、貴重な映像が色々出てきます。

Djerba Ghriba

La greba

シナゴーグでの祭日の風景等を記録した映像では。宗教歌は古めかしくても、世俗的な音楽はほとんど完全にアラブ音楽。

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2009年6月26日 (金)

ジェルバ島のシナゴーグ

チュニジアのガーベス湾の南部に、ジェルバ島という淡路島を小ぶりにした位の島がありますが、ここは古い伝統を残すユダヤ教徒がいることで知られています。一説にはソロモン王の時代(BC1000年頃)か、数百年下ってカルタゴの頃とも言われています。いずれにしてもセファルディーがスペインから離散した15世紀より遥か前からこの地に住み着いていたユダヤ人のようです。セファルディー(あるいはスファラディー)とはヘブライ語で「スペイン」の意味ですから、ジェルバのユダヤ人はセファルディーではない、ということになると思います。
明日はもう少し詳述してみたいと思いますが、まずは一本、ジェルバのシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)の映像をどうぞ。この地のユダヤ宗教歌は、最も古い伝統を保っているものの一つと考えられていますが、ここで流れているのは、ユダヤの宗教歌とは直接関係のないアラブ的な音楽ではと思います。マグレブらしくユーユーも聞こえます。ビデオの解説にある02年の事件については、ここで初めて知りました。大変に悲しい事です。

El Ghriba Synagogue, Djerba, Tunisia

Video of El Ghriba Synagogue in Djerba, Tunisia, home to the oldest Torah in the world. The synagogue was bombed by Al Qaeda in 2002, killing nearly two dozen people and wounding more than 30 others.

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2009年6月25日 (木)

チュニジアの戦前の女性歌手

チュニジアの戦前の女性歌手の中で、特に名高いサリーハ(1914-1958)と、ハビーバ・マスィーカ(1893頃-1930の映像を見てみます。それぞれ一本ずつ見つかりました。サリーハはClub du Disque ArabeからCD(AAA 068)も出ていましたが、ハビーバ・マスィーカについては、先日の松田さんの記事で初めて知りました。「ユダヤ系歌手たちの一人。容姿も魅惑的でたいへんな人気があったが、恋人に殺されるという悲劇的な結末で生涯を終えた」という辺りにとても興味を覚えました。

Saliha - Frag ghzali

サリーハはアルジェリア生まれで、民謡的な歌も得意にしていたとのこと。ここではフリーリズム部分の多いガザルの一種でしょうか。ハスキーな歌声が個性的。

Hommage à Habiba Msika
マスィカはMsikaと、母音を付されないことが多いようです。タグのachermizrahiというのも気になります。ミズラヒとはヘブライ語で東方の意味ですので。確かに余りアラブ的に聞こえないような、独特な歌声に魅了されます。フランス語ですが、コメントに以下のようなプロフィールがありました。Habiba Messika ou Hbiba Msika (حبيبة مسيكة), née en 1893 à Tunis et décédée le 20 février 1930 à Tunis, est une chanteuse, danseuse et comédienne juive tunisienne. Née Marguerite Msika, elle est la nièce de la chanteuse Leila Sfez. Elle naît dans un quartier juif de Tunis au sein d'une famille pauvre. Ses parents Daïda et Maïha travaillent dans le commerce du fil. Elle épouse son cousin Victor Chetboun mais leur union durera peu de temps. Maîtresse du prince Fouad d'Égypte à la même époque,..etc

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2009年6月24日 (水)

Parfum de Gitane

アヌアル・ブラヘムの映像、更に見てみると、Parfum de Gitane(直訳すれば「ジプシーの匂い」ですが・・・)という曲があって、初出は91年リリースのBarzakh(ECM)ですが、01年の「アストラカンのカフェ」にも入っていて、2本目はこのアルバムからでは。
特に一本目ではウードだけでなく、名手ベシール・セルミの弾くヴァイオリンの細かい装飾技巧も聞き所です。しかし、哀愁味溢れる印象的な曲ですね。アヌアル・ブラヘム以外の演奏でもよく耳にする曲で、日本のどなたかの演奏でも聞いたような記憶があります。常味さんか松田さんだったように思いますが。お二人ともアリ・スリティ氏の弟子でした。アヌアル・ブラヘムとは兄弟弟子通しということになります。
「アストラカンのカフェ」には、アストラハンやジプシーだけでなく、アシカバード(トルクメンの首都)やグローズヌィ(チェチェンの首都)、ホータン(ウイグル南部)、ダル・エス・サラーム(タンザニアの首都)、カラコルムのような地名が見えます。チュニジアのブラヘム氏、01年の時点(更に9.11以前)でそんなマージナルな都市が視野に入っていたとは驚き。どんな風にイメージを膨らませているのか聞きものです。未聴でしたので、至急入れなければ。

Anouar Brahem - Parfum de gitane

Anouar Brahem, Parfum de gitane, Gipsy Girl

Anouar Brahem Trio

Anouar Brahem Trio ja kappale Parfum de Gitane

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2009年6月23日 (火)

アヌアル・ブラヘムの静謐な世界

数枚のECM盤でワールド・ミュージック・ファンの間には割とよく知られている(と思われる)アヌアル・ブラヘム(あるいはブラヒム)は、映画や舞台の音楽も担当してきたチュニジア出身のウード奏者兼作曲家。この人のyoutubeはかなりあります。フランスの前衛シーンのミュージシャンとの共演が多いのも特徴的。タイトルは「アストラカンのカフェ」「黒猫の足跡」と、極めて印象的で、アンビエントな雰囲気の音楽にウードが自然に溶け込んでいる感じ、と言えば近いでしょうか。ヨーロッパに近いアラブからしか出てこない才能のようにも思います。

Anouar Brahem Trio - Astrakan Café

2000年のアルバムから。アストラカンとはヴォルガ河下流がカスピ海北西部に注ぐデルタ地帯にある町、アストラハンのことだと思います。子羊の毛皮アストラカンの名で一般には知られているでしょうか。

anouar brahem_le pas du chat noir

Anouar Brahem - Oud
Francois Couturier - Piano
Jean-Louis Matinier - Akkordeon

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2009年6月22日 (月)

アリ・スリティとアヌアル・ブラヘム

更にチュニジアン・ウードの幻影を求めてyoutubeを探してみましたが、他にはどうも見当たりません。何かの本で構えている所を見たことがありますが、マンドーラとの違いは、後者が平べったい胴なのに対して、チュニジアン・ウードはやはりウードですから、胴の後ろが丸くなっていたように思います。音もマンドーラより円やかなのでは。チュニジアとイタリアは目と鼻の先ですから、マンドリンのルーツがこの両者辺りにあるだろうことも容易に想像が付きます。
さて、今日はチュニジアのウードの名手のデュエットを上げておきます。弾いているのは通常のオリエンタルのウードです。年配のアリ・スリティ(1918-2007)は、ル・クラブ・バシュラフのウード奏者松田嘉子さんの師匠でもありました。チュニジア音楽界屈指の巨匠でした。弟子のアヌアル・ブラヘムはドイツのECMからの数枚のアルバムで欧米でも人気の高い人。「アンダルシアの夜」と題された演奏は、フラメンコ・モードを鏤めながらも飽くまでアラビア音楽。即興的なラーヤーリのスタイルで演奏しているようです。ムニール・バシールの場合とは一味違う迫力あるプレイで、やはりチュニジアはアンダルシアにより近いなと今更ながら思います。

Ali Sriti & Anouar Brahem - Nights of Andalusia

Layaly Al Adalus (Nights of Andalusia)
Composer: Farid Ghosn
A oud duet between Anouar Brahem and his master Ali Sriti(1918-2007).
taqasim oud taqsim ud improvisation

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2009年6月21日 (日)

チュニジアン・ウード

昨日名が出た4コース8弦のウードは、マグレブの中でもチュニジアのものが特に有名で、チュニジアン・ウードと言う名で知られています。アルジェリアにも4コースの弦楽器はありますが(マンドーラもその一種か?)、他の名が付いていたように思います。早速チュニジアン・ウードでyoutubeを調べてみましたが、なかなか見つかりません。それもそのはず、この楽器、弾かれていたのは主に19世紀までで、20世紀に入ると通常のオリエンタルのウードが主流になったようです。そう考えると、20世紀に入ってからの1932年にカイロ会議で記録されたことは、楽器の面でも貴重なものと言えそうです。
この楽器で検索にかかったのは、往年のユダヤ系の歌手シェイフ・エル・アフリートの映像でした。仏Club du Disque Arabe盤がありましたが、最近仏Budaからも往年の録音がCD化されています。構えているのはチュニジアン・ウードのようですが、サウンド・ホールの菱形からはマンドーラを連想してしまいます。音楽は正にアンダルス系ど真ん中という印象です。

Lalgilla Sidi Khouya- Cheikh El Afrit

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2009年6月20日 (土)

その他のマルーフ

マルーフのビッグネームが二人出た所で、他の人の演奏も少し上げておきます。スタイルの違いがよく分かるかと思います。例のカイロ会議の音源には、チュニジアのマルーフもありました。(Club du Disque Arabe AAA094) この演奏など聞いていると、いかにもアンダルシア系ということがよく分かりますが、最近のチュニジアの演奏には少なくなっているようにも思えるのが不思議です。カイロ会議のCDには三味線か琵琶と聞き間違えそうな音色の演奏があって、あれはおそらくマグレブに残る古いスタイルの4弦ウード(4コースの復弦なので実質8弦)ではないかと思います。通常の11か12弦のウードに比べて素朴で明るい音色が特徴的。この楽器も最近余り見かけないように思います。

Dorsaf Hamdani - Tunisian Maluf

ウード伴奏で独唱されるマルーフ。モロッコのラバトでの演奏。Dorsaf Hamdani & Khaled Ben Yahia live in Rabat

El Azifet - Tunisian Maluf

レディース楽団の演奏ですが、これはアンダルシア系とはっきり分る旋律。El Azifat is a female band directed by Amina Srarfi. The band performs Arabic-Andalusian music.

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2009年6月19日 (金)

チュニジアのディーヴァ ソニア・ムバレク

チュニジアのマルーフで検索していて、もう一人ビッグネームを見かけました。チュニジアの若きディーヴァの呼び声高いマルーフ歌手のソニア・ムバレクです。彼女の録音はドイツのNetwork MedienとフランスのClub du Disque Arabeから出ていました。ネットワーク盤ではワスラなどを歌っています。ワスラと言えば、シリアの至宝サブリ・ムダッラルを思い出しますが、彼の音源と聞き比べるのも一興かと思います。
このように、アンダルシア系のアラブ古典歌謡は環地中海的に広がっているようにも思えますが、これは何世紀か前にアンダルシア・スタイルの歌が広くアラブ世界に流行ったため、東のアラブにも伝承されてきたようです。ジルヤブの創造したジャンルが東に里帰りしたかのようですが、どうやらルーツ自体がシリアにもあった(移った)のではなく、流行現象のようです。(しかし、この件につきましては調査中ですので、詳しい情報をお持ちの方、コメント頂けましたら幸いです)
彼女の歌は、非常にメリスマティックでエモーショナル。youtubeで視聴するだけでも、ぞくぞくっとくるような素晴らしい歌の節です。カバーするジャンルはマルーフだけでなく、色々多岐に渡るようです。

Sonia Mbarek - Ya droub el hayet

Sonia Mbarek - Elli taada w faat
Sonia Mbarek - Elli taada w faat
Lyrics: Mahmoud Bourguiba
Composer: Hedi Jouini
Sonia M'Barek began singing Maluf - traditional Tunisian court music - as a child. She trained in the Tunis conservatory. While rooted in the traditional maluf repertoire, M'Barek steps beyond it. She also pens many of her own compositions, and collaborates with great artists such as Anouar Brahem , Naseer Shamma and Simon Shaheen. Along with Anouar Brahem and Lotfi Bouchnak, she is one of the greatest Tunisian talents. She has won many prizes in Tunisia and France, including the Diapason d'Or for her third CD Takht. In the last decade, she has taken part in many music festivals in the Arab world, in Europe and in the USA .

Sonia Mbarek - Horriya (Freedom) Carthage 2006

Sonia Mbarek sings Lorca - Anhar thalatha (The three rivers)

これは何とスペインの詩人ガルシア・ロルカの詩を歌ったもの。フラメンコ的な歌曲です。

Sonia Mbarek - Zahr Laymoun

Lyrics: Mohamed Bouthina
Composer: Mohamed Triki

Sonia Mbarek - Kalimet (Mnawar Smadah)

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2009年6月18日 (木)

ロトフィ・ブシュナーク

昨日に続いて06年に来日したチュニジアの音楽家、ロトフィ・ブシュナークの他のビデオをまとめて上げておきます。以下ペーストが多くて済みません。(時間がなくて(^^;) 3年ほど前に国際交流基金のコンサートで来日したロトフィ・ブシュナークの歌うマルーフ。移転後で私は残念ながら行けませんでした。(同じ交流基金の04年のナスィール・シャンマには行きましたが) 彼のトルコ風な名は、家系がボスニアのトルコ人コミュニティー出身であることを表しています。オスマン朝の全盛時代は、チュニジアも、バルカン半島のボスニアも、オスマン帝国に入っていましたから、今では意外とも思える人の移動もあったのでしょう。彼のCD情報はこちら

[Tarab] Lotfi Bouchnak -Khayef men elayam

Lotfi Bouchnak - Hiya albadrou hosnan (Tarab)

Lotfi Bouchnak - Hathil zouhour live @ Carthage

lotfi bouchnak el'ain elli...

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2009年6月17日 (水)

チュニジアのマアルーフ

さて、これからしばらくはチュニジアの音楽を見て行きたいと思います。この国にも中世アンダルシアに生まれたナウバが伝承されていますが、チュニジアに移住したグループは、早い段階でアンダルシアを去った知識層や商人達が多かったそうです。チュニジアのナウバ関係を聴いていてまず思うのは、モロッコやアルジェリアとは音階が違うなぁという点。マシュレク(東のアラブ)の音楽に近いようにも思います。モロッコのナウバ楽団が演奏しているような、明るくて茫洋とした感じすら覚える、悠久の調べのイメージとはかなり異なるように思いますが、いかがでしょうか。東のアラブ音楽的なエキゾティックさが直に伝わってくるように思います。これはオスマン・トルコ統治時代が長かったからでしょうか。
今日はそのチュニジアのナウバから、中核的な声楽の部分、マアルーフ(マルーフとも)のビデオをいくつか上げておきます。

malouf tunisien

こういう合唱スタイルは、トルコのファスルも思い出させます。wasla esba3ain

Lotfi Bouchnak - Tunisian Maluf

3年ほど前に国際交流基金のコンサートで来日したロトフィ・ブシュナークの歌うマルーフ。移転後で私は残念ながら行けませんでした。(同じ交流基金の04年のナスィール・シャンマには行きましたが) 彼のトルコ風な名は、家系がボスニアのトルコ人コミュニティー出身であることを表しています。彼のCD情報はこちら

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2009年6月16日 (火)

グララのアハリール、ティミムーン

アルジェリア中部にあるグララ地方は、何枚かの音源はあるものの映像などは全く目にすることもなく、神秘のヴェールに包まれた感がありましたが、youtubeにはそんなグララのものまで出てきて驚かされます。昨日少し触れたアハリールのビデオもありました。マウリド(ムハンマドの生誕祭)で有名な町ティミムーンの珍しい映像も併せて。ご覧の通り、息を呑むほど美しい所でした。

Ahallîl de Gourara - Maestro Hadj Barka El Foulani

これがディスクアラブから音源が出ていた「グララのアハリール」。ポリフォニーと言うより、ホモフォニーかヘテロフォニーに聞こえますが、演奏形態がよく分かる映像です。

Ahellil - Chant polyphonique du Gourara (Algérie)

ahellil

左の男性が吹いているのが木笛タムジャでは。

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2009年6月15日 (月)

サハラのオアシス、グララの音楽

チュニジアに更に入っていく前に、アルジェリアで忘れていた所がありましたので、今日はそれを行ってみます。アトラス以南の住民はベルベル人と黒人が中心のようですが、特によく知られている地方としては、アルジェリア南東部のタッシリ・ナジェール、中部のグララがあります。タッシリ・ナジェールからマリ北東部、チャド北部のサヘル、ニジェール、リビア南部などは、いつかまとめて回りたいと思いますので、今回はグララのみにする予定。
グララの音源はUnescoとInstitut du monde arabeから出ていました。いずれも旧宗主国フランスからのリリース。グララには古来ユダヤ教徒やハム系黒人が住んでいたそうですが、イスラーム侵攻以降は遊牧アラブのヒラール族が移住。現在のグララは100ほどのオアシスから成っているようです。この地方で伝承されている音楽では宗教的な内容のものが有名で、イスラーム聖者のマラブーへの賛歌や、ティミムーンのマウリド(ムハンマドの生誕祭)などがよく知られていて、タムジャという木笛などの伴奏で語られます。Institut du monde arabe盤で演奏しているアハリール(「夜の人々」の意)とは、音楽ジャンルであると共に、演奏集団を意味しているとのこと。グララの音楽は、音的には北のアラブではなく、いわゆる「砂漠のブルース」のイメージに近く、更に南の黒人音楽との繋がりを強く感じさせます。
参考文献:世界の民族音楽ディスクガイド(音楽之友社)の関根謙司氏の上記2枚のレビュー

Le Sahara:De la Saoura au Gourara:

gaada diwan bechar- Gourara

グララ発のこういう音楽は初めて知りました。ここで聞こえるのはタムジャではなく、スパイク・フィドルの一種か?

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2009年6月14日 (日)

ムワッシャハのリズム

チュニジアの女性歌手ナアマの歌唱を更に見ていて、ムワッシャハを歌っているビデオを発見。伴奏楽器陣のコーラスとの交唱のスタイルといい、リズムのサイクルといい、かの有名なラマ・バダ・ヤタサンナにそっくりでした。ラマ・バダ・ヤタサンナの起源はよく分かっていないようですが、恋愛詩の内容、コール&レスポンス(おそらく本来は)のスタイルなどから見て、典型的ムワッシャハなのでしょう。
そのラマ・バダ・ヤタサンナを演奏している一本目のモノクロ・フィルムは、前にヴァイオリン・シリーズの時に取り上げた超絶技巧のAbood Abd il Aal。そして二本目にナアマの歌唱です。こうして見比べると、いかにリズム・パターンが似ている(全く同じ?)かよく分かるかと思います。

عبود عبد العال - اسطورة الكمان

非常に美しいメロディ・ラインで大人気のラマ・バダ・ヤタサンナは、10拍子のサイクルが特徴的。

Ne3ma - Mala alkassat

Ne3ma muwashah Mala alkassat
Composer: Mohamed Othman (1855 - 1900)

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2009年6月13日 (土)

チュニジアの歌姫

昨日の女性歌手は、やはりナアマさんでした。5本目のビデオの解説に簡単なバイオグラフィーが出ていました。1934年2月23日Azmour生まれで、50年代にRachidia (Conservatory of traditional Tunisian music)に入り、チュニジアのラジオでソリストとして活躍、またたくまにチュニジアのみならずマグレブ諸国で名声を得たそうです。彼女の名前のNaamaとは、「神の賜物(godsend)」の意味のアラビア語で、巨匠サラーフ・アル・マハディ(先日出てきたパストラルの「アラブ音楽」の著者)が彼女の歌声を聞いて名付けたとのこと。以来ステージ・ネームになりました。
以下は彼女のレパートリーについて。She was the muse of several major Tunisian composers such as : Mohamed Triki, Salah Al Mahdi and Chedly Anouar... Her repertoire comprises more than 360 songs in all themes and in different genres, ranging from folk to classical Tunisian music and popular songs... She sang poems of major Tunisian poets such as Mohamed Boudhina, Ahmed Khaireddine, Mahmoud Bourguiba, Mostfa Khraief and Mnawar Smadah... She also sang a poem of Nizar Qabbani "taloumoni donia".

Ne3ma - Nari 3la Zarzis

ディスクアラブのチュニジア音楽コンピレーションVol.1に入っていた曲。10年ほど前に私が最初に聞いたのは、別なアラブ歌謡のコンピレーションに入っていた歌でした。レーベル名もすぐに出てきませんが、その歌でぐっと来ました(笑) 残念ながらyoutubeはありませんが。

Ne3ma - Labastek men atfi

風の強い時のライヴのようですが、この巧みな節回し、とても素晴らしいです。解説にLyrics: Ahmed Khaireddine Composer: Chedly Anouarとありました。

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2009年6月12日 (金)

ナアマ?

マグレブ・シリーズが果てしなく続いていますが、ちょっと息抜きにアラブ歌謡の女性歌手の甘美な歌声をいかがでしょう。ディスクアラブからチュニジアの音楽のコンピレーションが2枚ほど出ていました。そのどちらにも入っていた女性歌手で、Naamaという人がいまして、個人的にかなり気に入っていました。youtubeを調べてみましたが、Ne3maという名で似た人の映像がいくつか出てきました。カタカナだけでなくアルファベット表記も全く定まらないアラビア語ですから、この位の綴りの異同も十分にありうるのでは。「3」はアラビア語特有の喉から出す音の表記が、文字化けしたものではと思います。歌はもっと妖艶でパワフルだったように思いますが、今日は何本かアップしておきます。
という訳で、そろそろアルジェリアを後にして、チュニジア以東に移ろうかと思います。

Ne3ma - Gamri

Ne3ma - Howa yamma

Ne3ma - Lelliri ya manna

Ne3ma - Layya3teni

Ne3ma - Ellila ah ya lil

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2009年6月11日 (木)

ハジ・アル・アルビ・ベン・サアリ

5月23日にカイロ会議でアップした際に、Rodwaneという音楽家のビデオをアップしましたが、これは息子の名のようで、中心人物は父のハジ・アル・アルビ・ベン・サアリ(1883-1965)という人でした。訂正を兼ねて、この人の別なビデオを一本アップしておきます。ラバーブとクウェイトラを弾いたそうですが、トレムセンのみならずアルジェリアの伝統音楽(アンダルシア音楽だと思いますが)の最重要人物と目されていた人です。ディスクアラブから出ていたGharnata-Congres du Caire 1932(AAA 098)では、表記はElarbi Bensari&Rodwaneとなっています。上記カタカナ表記はサラーフ・アル・マハディ著、松田嘉子訳の「アラブ音楽」(Pastoral出版)より。
ベン・サアリは、トレムセンの音楽家で、カイロ会議におけるアルジェリア代表でした。モロッコのアンダルス音楽とは一味違う雅な音楽です。

Cheikh Larbi Ben Sari de Tlemcen

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2009年6月10日 (水)

ビスクラの辻楽士

5月27日にアップしましたバルトークのヴァイオリン二重奏による「アラブの歌」ですが、ようやくその原型に少しイメージ的に近いかなというビデオを一本見つけました。ビスクラの辻楽士のようです。ヴァイオリン(カマン)は、どういう調弦で張ってあるのかも分らないほどぼろぼろで、演奏もよろよろしたものですが、この音階は近いかも。これはアンダルシア系ではなく、ベドウィンのラバーバ弾き語りに近いように思います。併せて例のバルトークの曲とシェイフ・ハマダも再度アップしておきます。アルジェリアではガスバの吹奏が、ラバーバ(サウディアラビアなどの)に対応するものだろうと思います。

(biskra)براكة بسكرة

Givens/Tao - Bartók Violin Duets Live (2/2)

バルトークの44のヴァイオリン・デュオから。4分54秒辺りからが「アラビアの歌」。

Cheikh Hamada, "Had El Djil Chbah Ou Hema"

併せてアルジェリアのベドウィン歌謡の名歌手にしてライのルーツとも言えそうな、シェイフ・ハマダの歌唱。4回目くらいの登場ですが、このビデオは確か初アップ。先日取り上げたように、同じようなスタイルでオランのハウズィも歌っていましたが、聞き分けるのがなかなか大変(^^;

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2009年6月 9日 (火)

ギリシアのセファルディーの踊り

今日は偶然youtubeのお薦めに入ってきたビデオをご紹介しておきます。セファルディー(スペイン系ユダヤ人)は、前に書きましたように1492年のイベリア半島でのレコンキスタ完了後は北アフリカやバルカン半島、トルコ、近東諸国などにディアスポラ(離散)した訳ですが、バルカンやトルコなど東地中海では当然そちらの音楽の影響を濃厚に受けています。
今日のビデオのホロンというのは、ギリシアのセファルディーに伝承されていた踊りのようですが、これは明らかに旧ユーゴ諸国やブルガリアのホロやルーマニアのホラに近い舞踊でしょう。ホラ自体は意外に新しい舞踊のようで、20世紀初頭にバルカン諸国に流行したようです。(水野信男著「ユダヤ音楽の歴史と現代」アカデミア・ミュージック刊、より)
しかしこのギリシアのホロンというのは、もしかしたら古代ギリシアにまで遡りうるものかも知れません。またいつかその辺りも探ってみたいと思います。伴奏しているのはリバイバル・クレズマーの中心的存在、Brave Old Worldのアラン・ベルン(バーン)とステュアート・ブロットマン他。

Sephardic dance: Horon

Horon, sephardic dance from Greece, demonstrated by Erik Bendix during the Klezmer dance workshop at the Yiddish Summer Weimar 2007. It is normally danced in a circle holding hands. The band: Alan Bern, accordeon - Sanne Möricke, accordeon - Christian Dawid, clarinet - Stuart Brotman, bass / trombone - Aaron Alexander, drums. For professional quality filming, more dances and dance descriptions, see DVD for sale at www.klezmer-wochen-weimar.de

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2009年6月 8日 (月)

短歌はウード、夏はナイ

もう二曲ブリジット・フォンテーヌの「ラジオのように」から、タンカとレテ・レテ(夏)。タンカは日本の短歌をテーマにした歌のようでしたが、面白いことにアレスキーが伴奏で弾いているのはウード。カーヌーンの音も聞こえます。これはアルジェリアのベルベル辺りの音楽に近いと思います。アンダルシア系ではないでしょう。ブリジットのサラヴァのシリーズは、故・間章(あいだあきら、またはAquirax Aida)氏の素晴らしい解説で思い出される方も多いことでしょう。我が家のブリジットのサラヴァからの4枚のLP(いずれも絶品)は、どこに入れたか見つからないため、残念ながら詳細を今すぐ再確認することができません。余り古物をいじり回しているとカイカイに襲われそうなので、止めておきます(笑) 「ラジオのように」はCDも持っていたはずなのに、これまた行方不明(笑) こちらには間章氏のライナーはなかったように思います。

久しぶりに聞いてみて、やはり北アフリカの乾燥した空気感がぴったりくる歌(シャンソン)です。夏、ではナイを模したような?サックスの音が、蚊取りの音に聞こえなくもないです。と言う事で、一足早く、夏らしい2曲が並びました。

Tanka Ⅰ(短歌Ⅰ)/ Brigitte Fontaine

L'été L'été(夏) / Brigitte Fontaine

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2009年6月 7日 (日)

ラジオのように

今日は少し大胆な仮説めいた話を一つ。  前衛的なシャンソン歌手として、一部のリスナーにカリスマ的な人気を集めたブリジット・フォンテーヌですが、3,4枚目以降の共演者はアルジェリア系のアレスキーでした。今日のビデオの曲「ラジオのように」を収めた同名アルバムはSaravahからの2作目で、彼女の代表作として知られています。共演しているのは前衛ジャズ集団のアート・アンサンブル・オブ・シカゴ(略称AECだったと思います)。フォンテーヌとのコラボでアレスキーやAECがやっている音楽、特に後者はブラック・アフリカがルーツと見られていたように思いますが、実は熱帯雨林系ではなく、サバンナより北の、昨今人気のエリア「砂漠のブルース」の世界に近いものに聞こえます。昨日のビスクラのディワンも、もしかしたら少し重なる世界かも、と思った次第。
因みに、80年代にブリジット・フォンテーヌ、AEC共にそれぞれ来日公演があって、両方行って来ました。

Brigitte Fontaine - Comme à la radio 1969

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2009年6月 6日 (土)

ビスクラのディワン

ビスクラのディワンについて、もう少し調べてみた所、モンドミックスでライヴ映像が見つかりました。youtubeにもそれらしきものがありましたので、併せてアップしておきます。ディワンは見つかりましたが、バルトークの件の曲のタイプはなかなか見出すのが大変なようです。粘り強く探してみたいと思います。

Le diwan de Biskra, Musiques Nomades, Nouakchott 2004

こちらはモンドミックスから。モーリタニアの首都ヌアクショットでの2004年ライヴ。いかにグナワに似ているかがよく分かると思います。

LOOP KILLER & VOLCANO Feat.Diwan Slam En Concert Le 05/11/2008

これはディワンとラップのフュージョンでしょうか?

 

BISKRA

何も説明がありませんが、これはディワンだと思います。

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2009年6月 5日 (金)

バルトークがビスクラで聞いたのは・・・

バルトークのアルジェリアでのアラブ音楽調査旅行の話からヴァイオリンにそれていました。マグレブに戻って、その調査旅行が行われたビスクラの現在の音楽状況を少し見てみます。この町はアトラス山脈の南麓に位置し、サハラへの入り口と言ってもいい場所になると思います。住民もアラブだけでなく、ベルベル、黒人まで混じって住んでいるようです。当然音楽の状況もヴァラエティに富み、仏Ocoraから黒人系儀礼ディワンのアルバムが出ていましたが、これはグナワのアルジェリア版とでも言えそうです。
しかし結局バルトークがビスクラで聞いた音楽は、明確には分からないままです。アラブ・アンダルス系のナウバ(ヌーバ)を聴く機会があったのは確かなようですが、先日の無伴奏ヴァイオリン二重奏の中の「アラブの歌」がナウバでないことは確か。

Biskra's TamTam ;O )

これはダラブッカ、ジャンベ、バグパイプなどによる演奏で、単なる偶発的なセッションではなく、この土地の伝統的な音楽ではないかと思います。黒人音楽の要素が多分に感じられるように思います。

Alhane wa Chabab 2008 Biskra by DrTaK34

これはビスクラののど自慢大会のようなものでしょうか? アラブにブラックが少し入り混じった印象を受ける歌があります。イスラーム色を強く感じさせる歌、ライとは異なる印象を受けるポップス?など(シェブ・ハレドの歌も一曲出てきますが)。かなり興味深い映像です。

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2009年6月 4日 (木)

シュロモ・ミンツのパガニーニ

シュロモ・ミンツの名が出た所で、ちょっとクラシックに寄り道。いや、寄り道の寄り道でしょうか(笑) 彼の演奏で80年代に話題を集めた一つが、パガニーニの24のカプリースの録音でしょう。無伴奏ヴァイオリンのための曲集で、10度の重音、左手のピツィカートなど、ありとあらゆる超絶技巧のオンパレード。ジプシー・ヴァイオリンなどとは異なる難技巧の数々で、映像で見るとまた凄まじいものがあります。それをミンツ氏は軽々と弾いてしまっています。昨日書いたように、しっとりしたブラームスのソナタ2番も絶品でした。ただし個人的にはJ.S.バッハのシャコンヌなどは、重音が一つに聞こえてしまって、どうしても馴染めませんでした。

Paganini: Caprice No. 5 (Shlomo Mintz)
猛烈に速くて難しいスケール中心の華麗な5番。

Paganini: Caprice No. 20 (Shlomo Mintz)
バグパイプを模したような穏やかな重音の叙情的な20番。

Paganini: Caprice No. 24 (Shlomo Mintz)
一番有名な24番。主題の後、様々に変奏されます。

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2009年6月 3日 (水)

ハティクヴァ

ユダヤのヴァイオリンで検索していて、イスラエル国歌「ハティクヴァ」をエルサレムの「嘆きの壁」の前で合奏している素晴らしいビデオを見つけました。中心でヴァイオリンを弾いているのは、名手シュロモ・ミンツ。80年代の来日の際にブラームスのヴァイオリン・ソナタ第2番などを演奏していた頃のイメージが強いもので、20年余りの歳月が経った今、ハティクヴァのyoutubeで再会するとは感慨深いものがあります。
ヘブライ語のハティクヴァとは直訳すれば「希望」の意味。ハが定冠詞、ティクヴァが希望です。1878年にボヘミア系ユダヤ人のサムエル・コヘンが自身のパレスティナ移住の際に、巡歴詩人ナフタリ・ヘルツ・インベルの詩に付けた曲。オーケストラ編曲は、「三文オペラ」で有名なクルト・ヴァイルによるもの。この曲、スメタナのモルダウに似ているとの意見がありますが、同じボヘミアだからかも知れません。1933年からはシオニスト・アンセムとなり、イスラエル独立後に国歌になりました。70年代のTV映画「ホロコースト 戦争と家族」では、パルティザン・ソングとして出てきましたが、荘厳で情熱に溢れた旋律の悲愴美に、とても感銘を受けたのを今でもよく覚えています。

Hatikva national anthem played on restored jewish Holocaust violins

Amnon Weinstien's restored violins from the Jewish Holocaust period ; a 2008 special concert in Jerusalem, with Shlomo Mintz and Ernst Simon Glaser,

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2009年6月 2日 (火)

ジューイッシュ・ヴァイオリン

今日は少しユダヤの方もヴァイオリン演奏を見てみます。これまた非常に候補が多く、クレズマーまで入れるとそれこそ星の数ほどあると思いますので(笑)、今回はクレズマーを除いて、ぱっと見てこれはと思った数本をかいつまんで取り上げてみました。「屋根の上のヴァイオリン弾き」(バイオリン弾き、とした方が検索に多くかかりそうな気もしますが)のような物語が生まれるほど、東欧系ユダヤ人(アシュケナジーム)とヴァイオリンは切っても切れない関係にあったと思います。特に一昔前までの西洋のクラシックにおいては、ヴァイオリニストに石を投げればユダヤ人に当たるのでは、と思うほど、ユダヤ人の名手が多かったです。ヤッシャ・ハイフェッツ、ユーディ・メニューヒン、レオニード・コーガン、ナタン・ミルシタイン、イツァーク・パールマン、シュロモ・ミンツ・・・上げ始めると、きりがありません。

jewish music - itzhak perlman violin \ israel zohar clarinet - klezmer soul

ハシディックの音楽に取り込まれたルーマニアのドイナ・スタイルの演奏だと思います。イツァーク・パールマンと、イスラエル・フィルの主席クラリネット奏者だったイスラエル・ゾハルのデュオ。95年頃にIn the Fiddler`s HouseというCD、ビデオが出ましたが、その頃の映像か? さすがパールマン、上手い、上手すぎ!

Jewish Violinist Leon Schwartz

テクニックはともかく、とても味わい深い演奏。古いスタイルのクレズマー音楽の生き証人のような人では。Recorded in his living room by folklorist Itzik Gottesman.

Chassidim playing violins

黒ずくめのハシッド派の人々の歌うニグンに、ヴァイオリンが合わさったような演奏。今回見つけた中で一番驚きの一本です。上手い下手でなく、とにかく衝撃的な映像でした。こんな映像が見れてしまって良いのでしょうか。

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2009年6月 1日 (月)

アブド・ダゲル

ちょっと続き過ぎの感もありますが、もう一日アラブ・ヴァイオリンで行ってみます。Ad Vitamというレーベルから最近CD, The Egyptianの出たアブド・ダゲルは、20世紀のアラブ界を代表する歌姫ウンム・クルスームの楽団で長年共演し、“Malik At-Taqasim”(即興演奏マスター)と称され、国際的に活動を続けてきたアラビアン・ヴァイオリンの巨匠(1936-、エジプト生まれ)。この人のビデオも何本かありました。しかし、この辺りになるとコメントはほとんどがアラビア語。いかに内容的にマニアックかということでしょう。ドローンをバックにした演奏を聴いていると、ヒンドゥスターニ(北インド)のヴァイオリン演奏を思い出してしまいました。アラブのヴァイオリン演奏にも色々なスタイルがあるようですね。

Abdu Dagher

こういうドローンを中心にした演奏は、どこか北インド古典ヴァイオリンに似て聞こえますが、後半は特に凄いプレイです。Arab violin legend "Abdu Dagher ",king of taqaseem.. in Switzerland ...

abdou dagher 2001

عبده داغر abdo daqer

これも少しインドのラーガ演奏を思い出してしまいます。

3عبده داغر - كمان

タイトルには、アブドゥ・ダーゲル-カマン3、と書いてあります。

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