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2009年9月

2009年9月30日 (水)

Suzanne Haik Vantoura

昨日あのような書き方で終えましたが(ラマンディエ自身は「ダヴィデの竪琴」を意識していたのかどうか云々)、後でラマンディエ自身が「ダヴィデの詩篇(Psaumes de David)」というアルバムをAlienorから1992年に出していたことを思い出しました。ここ数年アリエノールの入荷が途絶えているのもありますが、17年も経つと記憶が危うくなるものです(^^;
このアルバムの解釈は、有名なフランスの女流音楽学者Suzanne Haik Vantour(スュザンヌ・アイク・ヴァントゥーラ)のもので、仏Harmonia Mundiから1976年に出たLa Musique de la Bible Revelee(解明された聖書の音楽)以来の一貫したスタイルに従ってエステル・ラマンディエが弾き語っていました。そこで弾いていたのが、おそらくキノール系の竪琴だったと思われます。(他のヴァントゥーラ関係はこちら)ヴァントゥーラで検索したら、かなりyoutubeも見つかりましたので、幾つかアップしておきます。楽譜も出ていて、コピーが手元にあります。おそらくメロディの感じから言って、東欧系の色々なニグン(HMF盤が日本盤で出た時の解説ではニギノトと複数形で書かれていましたが、これはニグンのことだろうと思います)の古いタイプから組み立てられたのではという節です。見事な解釈ではありますが、聖書の生まれた中東のユダヤ・コミュニティーの節がどれくらい考慮されているかどうかは疑問な所がありました。

The Music of the Bible Revealed - NPR Morning Edition

The Music of the Bible Revealed - Numbers 6:22-27



トーラー(ユダヤ教の根本聖典である旧約聖書の最初の5書。モーセ5書とも)から民数記の一節の朗唱。ヘブライ語テキストとその音写、英訳が添えられています。

THE LYRE OF THE ANCIENT HEBREWS...



復元されたリラ(キノール)の試奏? ユダヤ的な旋法を感じさせる調弦になっているようです。

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2009年9月29日 (火)

エステル・ラマンディエの竪琴

古代パレスティナの周辺諸国に広まった竪琴(キノール)は現在のユダヤ人の間では使われなくなったと数日前に書きましたが、これは周知の通り紀元後70年のエルサレム第二神殿の崩壊後、都の消滅を悼んでシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)ではショファル(雄羊の角笛)以外の楽器の使用が禁じられたためとされています。ユダヤ人がディアスポラ(離散)する前の古代イスラエルの神殿時代に、シナゴーグの典礼でキノールが使われていたことは詩篇など旧約聖書の方々に記述が残っています。興味深いことに、現代ではキノールはヴァイオリンを指す言葉にもなっているようです。
竪琴で思い出す歌手が、1984年頃に来日したフランスの女性歌手エステル・ラマンディエです。もっとも彼女の弾く楽器はハープ系で、キノールとは少し系統が違うのかも知れませんが。彼女は、まずセファルディー(スペイン系ユダヤ人)の民謡集のLPで登場したこと、聖書にも出てくるユダヤ人女性に多い「エステル」という名前、どこか東方的でエキゾチックな容姿などから、ユダヤ人説が有力なようです。私も長らくそのように想像していましたが、その後彼女がリリースする録音を見ると、古いキリスト教の伝統を色濃く残すシリア教会やアラム語(ヘブライ語の後に広まり、イエス・キリストも話していたと推測されるセム系の言語)の聖歌を歌ったり、セファルディーの歌との関係も深い聖母マリアのカンティガを歌ったりと、ユダヤ音楽の枠に捕らわれない活動を繰り広げていました。その録音は彼女の母国フランスのAlienorなどから数点CDでも出ましたが、今ではいずれもほとんど廃盤状態で入手困難になって久しくなっています。TVで憂いに満ちたセファルディーの歌を弾き語るこの佳人の姿を見たのも、もう25年程前のことになりました。彼女が弾いていた竪琴、自身では「ダヴィデの竪琴」を意識していたのかどうか、可能ならば聞いてみたいものですが、最近は名前を聞くことすら皆無に近くなっています。

Esther Lamandier La Rosa enflorece circa 1492



おそらく彼女のセファルディーの歌の歌唱の中で一番有名な曲でしょう。増2度音程が入るところがユダヤ的に聞こえます。84年頃NHKでこの歌唱が放送されていたのをはっきり覚えています。邦訳すれば「バラの花開く」で、1492年後にスペインからイスタンブールかブルガリアのソフィアに離散したセファルディーが伝承したロマンセ(恋歌)。数多くのヴァージョンがあるそうですが、このメロディはソフィア説が有力なようです。

Esther Lamandier Noches buenas



ここで弾いているのはオルガンですが、竪琴を構えた図が良いので。歌はセファルディーの民謡です。

Cantiga de Santa Maria



これは中世スペインの「聖母マリアのカンティガ」集から。

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2009年9月28日 (月)

ダヴィデの竪琴系 タンザニア編

「ダヴィデの竪琴」系、最後はタンザニア。まだまだ探せばあると思いますが、とりあえずこの位にしておきます。楽器はケニアと同じでリトゥング(Litungu)です。
この国の場合、一番有名な音楽家はフクウェ・ザウォセ(1938-2003)で、楽器なら親指ピアノのイリンバや、弓奏楽器のゼゼ(ゼゼ・カンバ・クミやゼゼ・カンバ・モージャが有名)でしょう。ザウォセは両方の名手にして名歌手でした。例のキング盤ではリトゥングだけでなく、ザウォセのゼゼ・カンバ・クミ弾き語りなどの忘れられない名演を聞かせてくれました。
キング盤のリトゥングの曲は、71年録音の端正な演奏。これを覚えていたので、今日のyoutubeには驚きました(笑) トランス・ミュージックと見紛うようなリトゥング・プレイで、激しく首を振る聴衆?を見ていると、首がおかしくならないか心配になりました(笑) ダヴィデ王が竪琴で詩篇を詠んでいたイメージから大きく飛躍して、ダンス・ミュージックになっています。
因みに「ダヴィデの竪琴」はヘブライ語ではキノール(他にもいくつか呼名があったかも知れませんが)と呼ばれ、エルサレムの市歌「黄金のエルサレム」(オフラ・ハザの歌唱、最初にこの歌を歌ったシュリ・ナタンの歌唱)の歌詞にも登場します。

Oboist Brenda Schuman-Post with The Kiagata Musicians and Sixtus Koromba



一本目では巨大なホルン状の笛リランディもアンサンブルに入っています。The oboe is made from a tree that grows only in East Africa. Drawing upon a traditional Kurya tune, and aiming for a Western Jazz form, we collaborated to create this great piece that we called Tree of Tanzania. We were still rehearsing when this was filmed and the final version was recorded on CD and is even better. The Kurya instruments are Litungu (lyre), zeze (violin), kirongive (flute), maghorro (shakers), and lilandi ( a horn made from giant squash). The collaboration was made possible by Brenda's Global Connections grant from Meet the Composer (funded by the Ford Foundation) and The African Blackwood Conservation Project which lifts people out of poverty by having them replant and protect the blackwood trees (also known as mpingo, grenadilla, pau preto) from which oboes, clarinets, bagpipes, flutes, some recorders and some guitars are made.

MC Tanzania Litungu Dance



Celebrations after the recent Music Crossroads Tanzania National festival, an interesting and unique style of dance with roots in traditional Tanzanian heritage.

Kurya pre Wedding Street Party



Kurya pre-wedding street party at the groom's home in Arusha, Tanzania. The Kiagata Musicians are playing and dancing. Their instruments are litungu (lyre), zeze (violin) kirongive (flute), maghorro (shakers), and lilandi (a horn made from giant squash).

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2009年9月27日 (日)

ダヴィデの竪琴系 ケニア編

「ダヴィデの竪琴」系を巡っていますが、今日はケニア。タンザニアでも弾かれている楽器ですが、まずはケニアから。綴りはLitunguと、最後にuの音の母音が入って開音節で終わる辺りがいかにもアフリカの言葉という印象です。この辺りはスワヒリ語が広く通用していますが、リトゥングはスワヒリ語でしょうか? 余談ですが、スワヒリとサヘル、更にサハラも、同根の言葉。アラビア語の3語根はSHLでしょう。スワヒリ語と言えば、「こんにちわ」の意味の「ジャンボ」ばかり有名ですが、これは意外に知られてない事実かも。スワヒリは、バントゥー語(ナイル・サハラ系ではなくニジェール・コルドファン系)にアラビア語の影響が加わって出来た言葉です。
リトゥングの音は、キングの小泉文夫氏のLP時代(現在のWRMLシリーズのタンザニア編にも収録されています)から強く印象に残っていた楽器の一つでした。サバンナらしい明るく涼しげな音色が素晴らしいです。エチオピアのクラルは非常に狭い音域と不思議な調律が特徴的でした。リトゥングも7弦と音数は少ないですが、両手を使って彩り豊かな和音を奏でています。

Death of a Loved One (Efwa Lia Mukoko



Performed by Mr. Musungu Hoaghany Wawire on the traditional Litungu of western Kenya. Mr. Wawire currently lives in Meru, Kenya and teaches at Fred's Academy.

Malaria Kills (Bulwale Bwa Malaria)



Performed by Mr. Musungu Hoaghany Wawire on the traditional Litungu of western Kenya. Mr. Wawire currently lives in Meru, Kenya and teaches at Fred's Academy. This song was sang for an anti-Malaria campaign and discusses how Malaria can be prevented. Mr. Wawire took this song and others as far as Uganda to perform for people across Africa.

Litungu: A Traditional Western Kenya Instrument



The litungu is a traditional lyre played by the Luhya ethnic group of Kenya (including the Bukusu subgroup). It has seven strings. Other varieties of litungu are used by the Kuria and Kisii ethnic groups. Demonstrated by Musungu Hoaghany Wawire

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2009年9月26日 (土)

ダヴィデの竪琴系 エチオピア編

「ダヴィデの竪琴」系楽器を辿って少し南下してみます。今日はスーダンの南東隣エチオピア。今回エチオピアのカテゴリーで一本上げておきますが、音楽的に見て重要な国ですので、いずれまた訪れる予定。
Ethiopique16 今日の映像は仏Budaの名物シリーズEthiopiquesの第16集に収録されていた女性歌手Asenakech Werkuのもの。 以下CDの紹介文~Lady with Krarの副題の通り、エチオピアの美人女優として活動したウェルクの竪琴クラルの弾き語り集。歌、演奏とも実に巧みな技術の持ち主。1974年と76年リリースのLPからの22曲。アフリカの音楽に生き続けるダヴィデの竪琴系列の楽器。
ダヴィデやソロモンの頃には竪琴を手に詩篇(ヘブライ語でテヒリーム)などが詠まれたようです。彼ら古代イスラエル民族の末裔である現在のユダヤ人の音楽自体には「ダヴィデの竪琴」は残っていないようですが、パレスティナの地からナイルに沿って南下する方向に住む色々な民族に同種の楽器が伝わっているのが不思議です。この楽器、当時のオリエント世界の流行だったのかも知れません。

Asenakech Werku - Kirar

Asnakech Worku - "Une grande dame d'Ethiopie" - a great artist from Ethiopia

Asnakech Worku was born in 1931, in Addis Abeba, Ethiopia. Since the times of Emperor Haile Selassie I, she has become a legend in Ethiopian music.

New: Asnakech Worku - the great diva from Ethiopia with her lyra : Arada

Asnakech worku - abet abet

映像は悪いですが、歌声の素晴らしさは特筆もの。2本目と同じ曲。少し不思議な音階ながら何処か懐かしい感じを覚えるのがエチオピア民謡。

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2009年9月25日 (金)

ダヴィデの竪琴系 スーダン編

スーダンのみならず東アフリカ一帯に広く見られる竪琴は、前に書いたように旧約聖書に出てくる「ダヴィデの竪琴」の流れを引いていると言われています。昨日出てきたようにヌバ族にも同種の弦楽器がありました。名前はラバーバのようでしたが、一般に多く使われているのは「リラ」という名称が多いように思います。タンザニア辺りのリトゥング(確かこういう名でした)なども同種の楽器で、サバンナらしい音色を発する素晴らしい楽器でした。共通するのは涼しげな音色を持っていることで、その点で西アフリカのコラと似ています。
と言うわけで、今日はスーダンのリラ系楽器を見てみます。

Sideeg Ahmed - Ana Ba3shigak - Tanboor



イスラム服を着ていることからも、中部以北の音楽家(ヌビア人?)では。この辺は十分に仏Institut du monde arabeの音源などにも出てきそうです。一方、手拍子のポリ・リズムとペンタトニックはいかにもアフリカ的。

Tanbour From Southern Sudan



南スーダンの演奏家。ヌバ族かどうか、また楽器名も不明。やはり日本人にもどこか懐かしげに聞こえる5音音階。

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2009年9月24日 (木)

ヌバの昔と今

ヌバ族の住む中部スーダンのヌバ山地と、紛争の中心地スーダン西部のダルフールは、何百キロか離れているようですが、何の罪もないヌバもしっかり紛争に巻き込まれていたようです。今日の1、2本目など見ると痛々しい限りですが、現在は少しは平穏を取り戻しているのでは(3本目は最近の映像でしょう)。
ナショナル・ジオグラフィックのページに以下のような興味深い記述がありました。(~ヌバ族が古代ヌビア人レスラーの子孫だとみている。~古代ギリシャのレスリングとヌバ族のレスリングは類似している~云々)
そもそもヌビアとヌバは関係があるのでしょうか? ヌビア語というのはセム・ハム系だと長らく思っていましたが、どうやらナイル・サハラ語族に入るようです。それにヌバ(アラブ・アンダルシア音楽)との関係も気になります。Nuba Moroとビデオにあるのを見て、同音異義語と思っていたものが俄かに怪しく思えてきました(笑) 「スーダン」というのは本来サハラ南縁のサヘル一帯を指す言葉で、現在のスーダンは東スーダンであることもありますから、サハラの西と東は意外に繋がっていて、どんでん返しのような事実が隠されているのかも知れません。
3,4本目は混乱に陥った祖国を離れアメリカに移民したと思しきヌバ族の青年による伝統楽器の演奏。クリスチャンになっているようなので、歌詞の内容はキリスト教的なものかも知れません。例の竪琴系の楽器なのに、名前がアラブ世界の擦弦に多いラバーバとなっているのも興味深いところ。

以下は例の86年出た新潮文庫の「ヌバ―遠い星の人びと」のアマゾンでの紹介文の引用。大分値段がつりあがっていますが、手に入らないことはないようです。この本は、拙宅の書棚のどこかに眠っているはず(笑)

内容(「BOOK」データベースより)

スーダン中部で、文明から隔絶された昔ながらの暮らしをいまもつづける、“ヌバ”と呼ばれる人びと。白人女性として初めて彼らのもとを訪れた世界的映像作家レニ・リーフェンシュタールは、その魅力の虜となり、ヌバたちと寝起きをともにした。文明の波に押し流され、滅び去ろうとするヌバの文化と日常のすべてを限りない愛情をもって記録した、感動のフォト・ルポルタージュ。

Nuba Suffering - Sudan

The Nuba of Central Sudan. Oxford Interactive Media

Nuba Moro Music and Dancing

Nuba Moro traditional songs with the African Harp and Tamborine

Yohanna and Yaunis Nuba Music 1

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2009年9月23日 (水)

ヌバ

さて、いよいよアラブ、ヌビアから離れて、スーダンのヌバ族(おそらく例のナイル・サハラ語族に入るのでは)の映像を見てみたいと思います。この部族が有名になったのは、前に書いたようにレニ・リーフェンシュタールの写真によるのでは、と思います。「民族の祭典」などの記録映画を撮った、元祖「女性映画監督」ですが、ナチス協力者の烙印が消えず戦後は不遇でした。
そんな彼女が1960年代に出会ったのが、スーダンの一部族、ヌバの人々でした。彼女のカメラが捉えた大地に躍動するヌバの人々の美しさに感嘆した人は多かったはず。80年代には4ADのレマ・レマのジャケットにヌバのレスラーの写真が使われ、私はそれで知った次第(笑)
youtubeも何本か出てきましたので、まずはリーフェンシュタールの写真(80年代に文庫でも出ていました)を思い出させる音楽と踊りの映像から。

Nuba Harvest Celebration

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2009年9月22日 (火)

エジプト現代美術/タール/フレットレスギター

いつもIEとモジラを併用してブログ・アップしていましたが、今日は新しくインストールしたグーグル・クローム(Google Chrome)からアップしてみます。Sleipnirに似た感じの、軽くて使いやすいブラウザという印象で、私的にはお薦めです。

ハムザ・エル・ディン・シリーズは、今日で一応終わりにしようと思いますが、他の特徴的な映像を3本ほど上げておきます。

Museum of Modern Art Egypt & Hamza El-Din



アラブ音楽らしい中立音程が気持ちよく響くハムザの歌をバックに、エジプトの現代美術が紹介されています。イスラームでは偶像崇拝禁止なので、本来はこういう人間を象った絵や彫刻はご法度のはずですが、現代は大分そういうタブーがゆるくなってきているのか、それとも少数民族のコプト教徒(こちらが先住民)の作品なのか、どちらかになるのでしょうか? それにしても、面白い作品が多いです。

Hamza El Din - Hamayala



こちらは枠太鼓、タールの演奏。彼のタール演奏はほとんど初登場です。20年ほど前の来日でクロノスSQのバックで叩いていたのもこんなリズムだったような気がします。エジプトにもある楽器ですが、歌共々ストレートにヌビアも感じさせるように思います。

Ancient Egyptian Arabic Improvisation on Fretless Guitar



このビデオの出品者の演奏だと思いますが、フレットレス・ギターによる即興?  ハムザの音楽にインスパイアされて弾いているようです。

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2009年9月21日 (月)

ミスル×ヌビア

ハムザ・エル・ディンのクリップは意外に少なめですが、彼の音楽性を一通り色々聞けるようには思います。もう少し生映像とヌビア的な曲があれば良かったと思いましたが。今日はエジプト(「エジプト」の名はギリシア語起源で、アラビア語では「ミスル」)対ヌビアで、それぞれの曲がどちらに傾いているか、またブレンド具合などを、独断に基づき判定してみました(笑)

Hamza El Din Sunset

ウードを持って海辺を歩く写真の映像が何点かあります。いずれも比較的音も良いです。「日没」と題するこの曲は、典型的エジプトのアラブ音楽ですね。

Hamza El Din A Wish

ダイゴを思い出してしまうタイトルですが(笑)、これはヌビア20%、残りはアラブといった所でしょうか。

Hamza El Din Greetings

これはもう少しヌビア性が感じられます。乾いた歌声はB.フォンテーヌの相方のアレスキーを少し思い出してしまいました。

Hamza El Din Griffin 2

これはほとんどアラブで、しかもチュニジア音楽にも似て聞こえます。アラブ歌謡の編曲ものでしょうか?

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2009年9月20日 (日)

ハムザのヌビアン・ナンバー

ハムザ・エル・ディンのヌビア的な音楽、早速見つかりました。昨日のようなアラブ的な演奏に対して、音頭とか日本の民謡に似た雰囲気を持った曲だと思いますが(特に1本目)、いかがでしょうか。

Hamza El Din - La Salam

Hamza el Din - Ollin Arageed

これは魅力的な曲ですが、アラブでもヌビアでもなく、トゥアレグのようなノマド的な印象を覚えます。メロディは少しアンダルス的にも聞こえます。From the album Eclipse (1978).

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2009年9月19日 (土)

ハムザ・エル・ディン

さて、いよいよスーダンのヌビア出身の大御所の音楽に行ってみたいと思います。ハムザ・エル・ディンほど民族音楽のアーティストとして日本で親しまれた人は少ないでしょう。北インドのラヴィ・シャンカル、イラクのムニール・バシール、トルコのクドゥシ・エルグネルなどと並ぶ程の影響力を持った大きな存在だと思います。私は80年代の終わり位だったか、クロノスSQと一緒に来日した際のステージを見ました。弦楽四重奏のバックでタール(フレームドラムの方)を叩いていた姿が、今でも鮮明に記憶に残っています。
昨日のスーフィーの歌は、青ナイルで検索して出てきた映像でした。ヌビア人はナイル川沿いに住んでいるようですから、服装などから見てヌビア人だったのかも知れません。ペンタトニックの音階もそう思わせるものでした。しかし、一応ヌビア人の居住エリアは、南エジプト~スーダン北部~首都ハルツーム位までということなので、少し南に下っています。
スーフィーの歌もそうですが、これまで見てきたようなヌビアの音楽には、音頭風あるいは日本の東北辺りの民謡に酷似した面が確かにありました。では、同じヌビア人ですからハムザ・エル・ディンの音楽にも、そういった面が見出されるはずですが、意外にこれがなかなか見つかりません(笑) やはりアラブ古典音楽の演奏家ですから、民謡的なレパートリーは弾かないのかも知れません。彼の音楽には、エジプト系の古典演奏から、更にはアンダルス系のレパートリー(ムワッシャハ)も多く見られるようです。今日はそう言ったオーソドックスなアラブ音楽系をアップしておきます。彼のヌビア的(音頭風)な演奏が見つかったら、また後日アップする予定です。

Hamza El Din - Mwasha

このムワッシャハは、あの有名なラマ・バダ・ヤタサナです。この曲については、これまでに度々取り上げてきましたが、我々が初めて聞いたのは、彼の演奏だったのかも知れません。ビクターJVCのシリーズでは表記がムワシャー(VICG-60327)となっていました。

Hamza el-Din- Taqsim Oud

彼のウードのタクシーム(即興演奏)。いかにもエジプト的な演奏に聞こえます。The late Hamza el-din was a Nubian-Egyptian musician who had performed with the likes of The Grateful Dead and Bob Dylan. He is considered to be the father of contemporary Nubian music. This clip shows him playing a taqsim on one of THE most BEAUTIFUL Nahhat ouds I've seen. You can see pictures of it on his website www.hamzaeldin.com.

Hamza el Din - Ud

これは若い頃の映像でしょうか。弾き語りになると、ヌビアらしさが少し見え隠れしているように思います。

madeeh 8

復習として、昨日のジクルのシリーズの一本を上げておきます。服装はハムザとそっくりですが、歌ってる音階はまるで違います。日本でも古典的な江戸浄瑠璃は都節が多く、民謡は田舎節と、はっきり分かれますから、それと似たような現象かも。

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2009年9月18日 (金)

追分似のジクル

昨日は特徴的なリズム面についてでしたので、今日はメロディの方を。アクセスが少なく、星も付いてない映像ですが、実に素晴らしいです。スーダンのスーフィーのジクル(イスラーム版の勤行のような儀礼歌)になるようですが、節回しが日本の民謡、特に追分に似ているように思います(madeeh 15の方が特に)。いかにアフリカにペンタトニックが多いとは言っても、これほど似てるのは他にはモンゴルのオルティンドー位しか知りません。途中から出てくるダフ?(フレーム・ドラム)のアンサンブルも面白いし、音がクリアで良いです。madeehというシリーズの続き物ですので、ご興味のある方は是非他のクリップも見てみて下さい。

madeeh 15

madeeh 11

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2009年9月17日 (木)

スーダンのハチロク=ヘミオラ

昨日のKamal Tarbasのyoutube映像、沢山あって、これがまたカッワーリ風以外にも色々な曲のタイプがあります。今日はダフを叩きながら歌っているものを上げておきます。併せて注目の男性歌手も。こちらは大衆歌謡ですが、共通しているのは3拍子系(あるいはハチロク=8分の6拍子)だという点。1,2,3|4,5,6とカウントすると把握しやすいです。1,4拍目にアクセントを置けば2拍子的、1,3,5拍目にアクセントを置けば3拍子、どちらにも取れる、いわゆるヘミオラ型のリズムです。ペルシア音楽のレングはサンプルとして有名ですが、ヘミオラは世界中に散見されます。2本目のフセイン・シャンディのコブシですが、発声や装飾のかけ方が少しヌビアと違うように思います。むしろ南のエチオピア歌謡に似ているように思いますが、いかがでしょうか。(2本とも埋め込み禁止でした)

Kamal Tarbas - Y 3yoonee Ma Gultee
手拍子を左の人は3拍、他の3人は2拍で打っています。これぞヘミオラの典型!

Hussain Shandi - Om'dur Aman

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2009年9月16日 (水)

青ナイルのカッワーリ風歌謡

スーダンの首都ハルトゥームで青ナイルと白ナイルが合流し、ヌビア、エジプトと流れていきますが、白ナイル水系の源流がウガンダのビクトリア湖なのに対し、東側に位置する青ナイルの水源はエチオピア高原にあります。青ナイル流域の音源は独WergoのWaza「ベルタ地方の伝統音楽」がありました。しかし、youtubeでもさすがにこういうプリミティヴな映像はなかなか見つかりません。そしてSudan MusicにBlue Nileを足して検索すると、見たことのないスーフィー歌謡風な映像が出てきました! これは音源でも聞いたような記憶がありません。昨日の旋回舞踏に続いて、今度はカッワーリ~ガザル風な歌。音階的にもかなり似ていると思います。いやぁ、やっぱりスーダンは面白い国ですね(笑) 

Kamal Tarbas - Naseem Shabbal

ヴァイオリンやダラブッカ、アコーディオンなどを使っているのに、ノリはカッワーリに似て聞こえます。巨大なターバンが印象的な歌い手のカマル・タルバスは、アラブかヌビアだと思いますが、ここでもミュージシャンは全員?黒人です。From Sudan's Blue Nile TV with co-guest Al-Sirr Gadour. 3azzama 3ala 3azzama!

Kamal Tarbas - Safiry

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2009年9月15日 (火)

スーダンの旋回舞踏

音頭風な歌以外のスーダン音楽のyoutubeはないかなと探してみました。割とすぐに見つかったのが、野外でのスーフィー儀礼の映像で、アフリカとアラブが入り混じったような印象の太鼓の伴奏で唱えられ、中には旋回している人も見えます。彼らはやはりダルヴィーシュ(イスラームの修道僧)なのでしょうか。旋回舞踏と言うと、トルコのメヴレヴィー教団が余りにも有名ですが、私の知る限りでは少なくともシリアやエジプトにも存在します。今日の映像でスーダンにもあることが判明しましたが、コメントによると1本目が首都ハルトゥーム、2本目は紛争が長く続いたスーダン西部のダルフールでの映像のようです。比較のために、トルコとシリアの映像を併せて載せておきます。スーダンの踊りはトルコやシリアの舞踏のように洗練されてなくて荒削りなだけに、傍で見ると恐い位の迫力がありそうです。

Tanzende Derwische

حمدالنيل _أمدرمان_2

Derwish Ritual Dance

トルコのメヴレヴィーの旋回舞踏。

The Mevlana Rumi derwishes of Damascus

シリア、ダマスカスの旋回舞踏。仏Chant du monde盤などでお馴染のカーヌーン奏者ジュリアン・ジェラールッディン・ヴァイス中心のアンサンブル・アル・キンディの演奏。

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2009年9月14日 (月)

スーダン音頭の大御所

スーダン~ヌビアの音頭調の歌謡の大御所を一人忘れていました。アブドゥル・アジズ・アルムバラクです。(この人の名もアブド・アル・アジズ・アル・ムバラクなど、複数の表記が可能で、統一されてないと思います)この人とアリ・ハッサン・クバーンが二大巨頭でしょう。ヨナ抜き長音階のメロディは、随所で河内音頭にそっくり。アラブとアフリカの狭間に生まれた摩訶不思議な歌謡という印象を、日本人なら誰しも持ってしまうのでは。2本目は1984年の映像。1951年生まれですから、まだ30代前半です。こちらはエチオピアの歌謡にも似ているかも。
この人のプロフィールがよく分からないので、ヌビア人なのかどうかが不明です。明日以降は、この謎を少し明らかにして、ヌバなどのプリミティヴな(勝手な思い込みかも知れませんが)民族も巡って行こうかと思っております。

Abd Alaziz Almubarak - Ta7remni Minnak

Abdulaziz Al-mubarak - Leah Ya Galpee Leah

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2009年9月13日 (日)

ラシャ&アリ・ハッサン・クバーン

ヌビアのポップスで何かCDのリリースはないかと探してみました。エジプト側ヌビア出身の、余りに有名なアリ・ハッサン・クバーンは別格だと思いますが、他の歌手を思い出せません。ぐぐってみるとラシャという女性歌手のCDが出ていました。仕入れ可能なレーベルですので、近々HPのスーダン、エチオピア・コーナーにアップしておきたいと思います。ラシャのyoutubeが見つかりましたので、今日はアリ・ハッサン・クバーンと一緒にアップしておきます。

Rasha - Sudan

この人の歌声は大らかで安定していて実に素晴らしい。これなら大手のレーベルからのオファーも来るでしょうね。この映像のように、やはりウード伴奏位で聴けるのがベストです。the international sudanese singer - part of concert in Sudan Sponsered by Dal Group

Mabruk by Ali Hassan Kuban

エジプトの首都カイロに住むヌビア系移住者たちのコミュニティで生まれたのがアリ・ハッサン・クバーンの音楽。彼は上エジプト(南エジプト)、ヌビアの出身。ドイツのレーベル、ピラニアのCDの解説にAli Hassan Kuban was born in 1933, in Gotha, Egypt, a small village in the heart of Nubia near Aswanとありました。ヌビア音楽の代名詞のような存在で人気を博しましたが、2001年に亡くなりました。Mabrukは彼の代表曲。

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2009年9月12日 (土)

ウード演歌?

さらにスーダン歌謡をヌビアに限らず調べてみました。演歌っぽいのはヌビアだけかと思いましたが、ヌビア以外にも結構あります。一本目のウード伴奏の男性歌手の歌は、ヨナ抜き長音階にピョンコ節(タッカ、タッカという付点リズム)が目立ち、何だか浪曲や河内音頭、演歌にそっくりです(笑) しかも、このオジサンの顔立ちもアラブ離れした東洋的な風貌。アラブやハム系と黒人しかいないはずのスーダンで何故?と思ってしまいます。よく分からなくなってきました(笑) 
歌われているジャンルは、ウードだけの伴奏ですから歌謡曲と言うよりは、日本で言えば浪曲のような、もっと伝統的な音曲ではと思います。

Sudanese song

Al ustaz Mohamed Wardi & Amal Alnoor

Men Ala3maq- sudanese song

アーフィア・ハッサンも歌っていたようなタイプの歌謡で、音階も近いですが、アーフィアのようなアラブ的な節回しは聞こえないように思います。この少女歌手はヌビア人でしょうか? 同じようなステージで出身地や部族ごとにこのように変るのだとしたら、大変に興味深いものがあります。まぁ日本でも例えば奄美と津軽では同じ国とは思えませんが(笑)

Sudan

この少女歌手もアーフィアと同じセットで歌っています。アーフィア・ハッサンの伴奏もしていた漆黒の肌のスーダン系?黒人楽隊の伴奏。スタジオはドイツにあるのでしょうか? スーダン移民向け歌謡番組ということでしょうか? とにかく分らないことだらけです(笑)

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2009年9月11日 (金)

ヌビア民謡2

ヌビアとスーダンの人々と音楽の違い、少し明瞭になってきたように思います。ヌビアの歌の素朴さに対して、アーフィアの歌はどこか都会的。彼女はおそらく首都ハルツーム辺りのアラブ系スーダン人なのでは。歌詞も抑揚的にアラビア語に聞こえました。比較的肌の色も白かったのに対して、ヌビア人は黒人ではないけれども、とにかく色が黒い! そんな彼らが白装束を身にまとった姿は特徴的です。
アラビア語の故郷、サウディ・アラビア北西部のヒジャーズ地方は、紅海を挟んでエジプトやスーダンの対岸。意外に近いのです。スーダンのアラビア語の方言度がどのくらいなのかが分ると興味深いですが。
今日はもう少しヌビアらしさの垣間見れるビデオをアップしてみます。

Nubian music

Nubian Song And Dances

ヌビアのこういう音楽は、どうしても河内音頭に似て聞こえてしまいます(笑)

Somalia's Halima Magool Sings Sudanese/Nubian Song

解説によるとソマリアに住んでいるヌビア系の女性歌手のようです。とても興味深い一本。This is Halima Khalif Magool, most famous Somali female singer singing a very beautiful Sudanese/Nubian Song. Enjoy it. Sorry for the poor quality of the video

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2009年9月10日 (木)

ヌビア民謡

少し北スーダンのヌビアの音楽を見ておきたいと思います。ヌビアと言えば、やはり一番有名な音楽家はハムザ・エル・ディンですが、ハムザの演奏は後日に回して、まずアーフィア・ハッサンとの比較のために女性歌手の映像を追ってみました。3本を見て思うのは、イスラム色(スーフィーか?)が強そうという点と、ローカルな印象が強いこと。5音音階はともかく、アラブ歌謡的な洗練された感じがアーフィア・ハッサンの歌にはありましたが、その点今日のヌビアの素朴な歌唱には少し異なる印象を覚えます。いかがでしょうか。

sudanese nubian music

旧約聖書に出てくる「ダヴィデの竪琴」の流れを汲むと思われる竪琴の伴奏で歌われるヌビアの民謡。この系統の弦楽器は、スーダンやエチオピア中心に東アフリカの方々で見られます。アーフィアの歌と比べると、ずっとローカルで素朴な印象です。

Nubian Music from Sudan - 2

少しポップなスタイルのヌビア民謡。

Nubian Music From Sudan

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2009年9月 9日 (水)

アーフィア・ハッサン 八重洲~土浦

8日の夜に戻りました。今回はコンサートではなく、手術の付き添いでした。6日夜に友人と八重洲のダバ・インディア(南インド料理)に行っただけで、後は全て付き添いを全うしました。他には何も出来ず、土浦と八重洲に下りただけですが、これはこれでとても満たされた思いです。後はYさんの回復と無事の帰還を祈るばかりです。 
噂の本場南インド・カレーは最高に美味でした(^-^) タマリンドの入ったラッサム以外は知らないカレーばかりで、それらをレインボー状態?にかけて手で食べるのですが、どうしても抵抗があるのでスプーンにしました。八重洲の変貌振りにもびっくり仰天。正にスカイスクレイパーそのもののような高層ビルが林立し、低い建物に慣れてしまった現在では、見上げると目が廻りそう、というか何か落ちてくるんじゃないか、という恐怖を覚えました(笑) 地元に戻った時、今治一のノッポビル、国際ホテルが浅草十二階(凌雲閣)のように思えてきました(笑) 友人のNさんは自宅から折りたたみ自転車で東京駅まで来られたとのこと、好奇心の強い私は頼んで乗らせて貰い、しばし自転車での銀ブラ(八重ブラ?)。一輪車感覚で乗れてしまうこの自転車が非常に気に入ってしまいました。(^-^)。

さて、今日はスーダンの二日目ということにしたいと思いますが、5日にアップした女性歌手アーフィア・ハッサンの他の映像をもう少し見てみます。この人の歌もヌビア系(南エジプト~北スーダン)の歌謡ということになるのかどうか、何か分ったらまたアップする予定です。

عافية

タイトルにはアラビア文字で「アーフィア」(あるいはアーフィヤ)とだけ書かれています。二文字目に長母音を表すアリフが入っているので、アーと伸ばすのが正しいと思います。この歌は先日の一本目と同じ曲で、スタジオ録音の際の映像でしょうか。アラブ歌謡的な間を少しずらすような色っぽい節回し、裏声の巧みさだけでも魅力的ですが、チャーミングな手の表情もなかなか目を引きます。

sudanese singer... Afia Hassan

これはハチロクのリズムになると思いますが、サハラ周辺にもこのリズムは多いですね。しかし伴奏陣が何故このように黒人ばかりなのか不思議です。

عـــاافية حـــسن

タイトルには彼女の名前だけが書かれています。これもハチロク(6/8拍子)ですね。この曲辺りは演歌とかライに似て聞こえたりもします。解説にAfia-Eshnak Honaとありますが、これは曲名でしょう。

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2009年9月 5日 (土)

スーダンのディーヴァ Afia Hassan

先日youtubeのお薦めで上がってきて知った女性歌手ですが、かなり良かったので、今日はスーダンのカテゴリーを作ってみました。この国は広大で、あの強烈なヌバのレスリング(4ADのRemaRemaのジャケットで初めて知りましたが)があるかと思えば、河内音頭と聞き間違えそうなアリ・ハッサン・クバーンなどのヌビアの歌、ハムザ・エル・ディンの古典的な演奏など、民族文化は実にヴァラエティに富んでいます。今後色々アップしてみようと思います。
そして今日のアーフィア・ハッサンの歌声。コブシ回しはアラブ歌謡的ですが、伴奏陣はヌバ族かと思うほど色の黒い黒人が中心。音階はヌビア歌謡とも似た五音音階で、日本人ならどこか懐かしい感じを覚えるはず。可憐な美貌のアーフィア・ハッサンの面立ちは、アラブをベースに黒人も若干混じっているように見えます。そう言えば、クレオパトラも地中海系(ギリシア人かセム系?)と北アフリカの血が混じった人だったとか。北アフリカの黒人やハム系民族と、アラブなどのセム系民族との混血は、我々が想像する以上に歴史が長いようです。
この女性歌手の音源ですが、今の所見た記憶がないです。こんな魅力的な歌手の音源がないなんてもったいないと思ってしまいますが、最近の歌手の音源は最初からCDになっていないことも多いようで、例えば前に北コーカサスの時に取り上げたチェチェン・ポップスのMakka Sagaipovaなどもダウンロードかyoutubeがほとんど。音盤も出てはいるようですが、現地ではVCDかCDRで流通していることが多いようです(ロシア盤はあったかも知れません)。このようにテクノロジーの進化と共に、最近のマージナルな音楽の状況もどんどん変りつつあるようです。

さて、HPに告知してあります通り、明日6日から8日まで、所用で久々に上京するため、当ブログもお休みします。今日はサハラからちょっと趣向を変えて東に振ってみました。遅れてしまっているカタログですが、戻り次第大急ぎで出す予定です。大変申し訳ございませんが、どうぞ宜しくお願い致します。

Afia Hassan - Ya Haneen

Sudan music

Sweet young Sudanese girl sings good tune ash--ash--ash

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2009年9月 4日 (金)

トゥーマストについて

謎の多いToumastについて少し調べてみました。
リーダーのMoussa Ag Kenyaは、ニジェールでトゥアレグのレジスタンス兵として訓練され、同じゲリラ兵仲間で「砂漠のブルース」の旗手的なバンド、ティナリウェンのメンバーと出会うことによって音楽に開眼。そして砂漠のギターヒーローとなってキャンプ地を回ってライヴ活動を展開。1993年には、右足に銃弾5発を受け下半身の一部が不自由な身体となってしまったそうです。
バンド名のトゥーマストは、トゥアレグの言葉で、アイデンティティ(あるいは自治民族)という意味とのこと。(以上はどこが出所か判然としませんが、ぐぐると必ず出てくる紹介文です) 
元ゲリラと知って納得しました。あの鞍馬天狗のような衣裳は、確かにそんな趣きがあります。それに「強きを挫き、弱きを助ける」存在という点で、鞍馬天狗とイメージ的に似てくるようにも思えます。(^-^)

Toumast - Womad 2008 Las Palmas GC 2008

映像の状態は良くないですが、比較的トゥアレグらしさを強く感じさせる曲です。

Touareg

ニジェールのトゥアレグらしさを滲ませた曲。映像も秀逸。同じニジェールのグループですが、ウォダベ族との混成グループであるエトラン・フィナタワとは違って、やはりストレートにトゥアレグ調。

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2009年9月 3日 (木)

再びティナリウェン

Toumastというグループ、もうほとんどトゥアレグ・ロックと言って良いのではと思うほどでしたが、一方大御所のティナリウェンを見てみると、やはりトゥアレグ魂が生き生きと躍動していることを強く感じます。トゥアレグらしい歌心溢れるベースラインなども素晴らしいです。しかし、あれほど伝統的な装いに見えるToumastが、何故にかくもロックしているのか、逆に気になってきます。

Tinariwen - Aman Iman (Water is Life) - (6) Toumast
前作のアマン・イマン(水こそ命)から。やっぱりこのエネルギッシュなプレイは特別! ここではトゥーマストとは曲名。どういう意味なのか気になります。

Music of Resistance - Tinariwen - 10 Feb 09 - Part 1

ティナリウェンの音楽の、レジスタンス音楽としての面についてのドキュメンタリー。

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2009年9月 2日 (水)

Toumastと鞍馬天狗

今日はまた別のトゥアレグのグループ、トゥーマストへ。こちらも一本目は前にアップしたかも知れません。彼らをパッと見て思ったことですが、鞍馬天狗(嵐寛寿郎の)ような男性のルックスが何といってもインパクト大です(笑) そう思われた方、実は凄く多いのでは? 苦みばしった表情はアラカンさんそっくり。(あなた一体何歳?と言われそうですが)音楽よりもそちらの方が気になって仕方ありません。どんなことをやっているのだろうか?という想像を楽しく掻き立ててくれます。彼らの音楽、youtubeで聞く限りは音楽的にはティナリウェンより更にロック色が強いように思います。紫頭巾は新内の名曲「蘭蝶」に出てきますし、しかもアラカンにそっくりと、どうも見かけでは「和」を思い出さざるを得ません(笑) いわゆる「砂漠のブルース」のイメージを担っているグループだと思いますが、「和」の侘び寂びもどこかで感じさせるようにも思えてきますから不思議です。国はマリ、ニジェールのどちらかでは。

Toumast - Ammilana (album ishumar 2006 )

Toumast

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2009年9月 1日 (火)

タルティット

マリのトゥアレグのグループ、タルティトの映像はまだまだありますので、幾つか上げておきます。素晴らしい映像のものが多いので、それらを中心に。このグループ、タルティットとも表記されています。検索で出てくるように両方上げておきます。

Abacabok

日本の瞽女唄を聴いているような錯覚を覚える歌唱。とにかく日本の民謡に音階的には似ています。国内仕様で出たアバカボクからのようです。

Tartit - Ansari (album abacabok)

こちらもアバカボクから。この素晴らしく美しい山はタマンラセットの山では? この歌などイタコを連想してしまいそうですが(笑)

Tartit - (Ichichila)Ichichila

独Network MedienからのアルバムIchichilaからと思われます。リリースはまだ90年代だったように思います。このサウンドはティナリウェンに似た感じ。

Tartit - (Ichichila)Taliyate

同じくIchichilaからと思われます。この弓奏楽器はイムザッドでは? こちらは一転してルーツそのもののような音楽。

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