アシクケリブの音楽
ちょっとアラブ・シリーズをお休みして、先日あるお客様から問い合わせのあった映画「アシクケリブ」の音楽について見てみたいと思います。前にコーカサス枠のアルメニア音楽を見ている時に「ざくろの色」を取り上げたことがありました。同じセルゲイ・パラジャーノフ監督の映画です。不思議な映像美は勿論、イランなどの中東と中央アジア、コーカサス、ロシアのクロスする土地ならではの豊穣な音楽にも耳が釘付けでした。私も90年代に話題になった頃に見た覚えがありますが、この映画に流れる音楽がどこのものなのか、結局よく分からないけど、どこなのでしょうという問い合わせでした。改めてyoutubeをいくつか見て気がついた音楽は、アルメニアのカーヌーン、アゼルバイジャンかイランのアーヴァーズ、ドタール弾き語りのアシュクなどですが、それらが断片的に引用され、アマルガムのようになっているという印象でした。中では北の方に当たるグルジアの多声合唱などは出てこなかったように思いますから、やはりザカフカス(南カフカス)の、特にアゼルバイジャンの要素が強かったと言う印象です。もし具体的な音源情報などご存知の方がいらっしゃいましたら、コメント頂けましたら有難い限りです。
Ashik Kerib
これなどは、かなりインド的な印象を覚えます。メインの弦楽器はシタールでしょうか。パラジャーノフ(または音楽担当)がオリジナルにコーカサス風に演奏させたものではと想像したりもしますが。
Ashik Kerib Paradjanovi finali
この太鼓の音色は、イランのズルハネ用の大型トンバクでは。コーカサスそのものというより、イランやインドの楽器を使ってコーカサス風に演じているという印象も持ちます。
Ašik Kerib - scena iz filma
これはトンバクやダフなどのイランのリズム楽器の合奏と、アゼルバイジャンのアシュク、イランのアーヴァーズの歌声を合わせているように聞こえます。
| 固定リンク
「コーカサス (カフカス)」カテゴリの記事
- Trio Mandili - Hey sokoły! (Polish folk song)(2024.01.04)
- トリオ・マンディリによる詩篇唱(2023.12.28)
- 仮面舞踏会とレズギンカ(2022.02.17)
- 現代コーカサスの音楽文化とその概要(2021.08.31)
- バレエ「ガイーヌ」の自作自演(2020.06.24)
コメント