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2010年1月19日 (火)

ロリン・スクラムバーグのシャローム・アレイヘムとニグン

昨日見たビデオの中に出てきたクレズマティクスですが、リヴァイヴァル・クレズマーの雄と言われて久しい存在。器楽の方でも注目のミュージシャンがいますが、やはり特に素晴らしいのはヴォーカルのロリン・スクラムバーグでしょう。クレズマティクス以外のセッションにも面白い作品が多く、最近のスーザン・マッコーエンとの一枚も良かったのですが、02年のTraditional CrossroadsからのアルバムZmiros Project(ズミロスとは、「賛歌」のような意味のヘブライ語「ズミロット」のイディッシュ訛り)辺りからでしょうか、ヘブライ語の宗教的な歌がよく出てくるようになりました。狭義のクレズマーから離れるような方向に向かうきっかけに何があったのか、気になります。
ユダヤ教宗教歌を取り入れたアルバムと言えば、クラリネット奏者のAndy StatmanとDavid GrismanによるSongs of Our Fathers(Acoustic Disc 1995)がありましたが、このエポック・メイキングな名作の影響があったのかも知れません。何故かと言いますと、両作品ともShalom Aleichemで始まっていますから、そんな推測をしてしまったのでした。この歌はユダヤ教の安息日(シャバト)に必ず歌われる歌で、アシュケナジームの代表的な旋律(幾つかヴァリエーションがあるようです)を両方で聞くことができます。スクラムバーグの歌唱は、歌詞はヘブライ語ですが、イディッシュ訛りの強い発音になっていて、その意味でも大変に興味深いものでした。Songs of Our Fathersではやはりシャバトの代表的な歌Adon Olamも聞くことが出来ます。アンディ・スタットマンは後日見ることにして、今日はスクラムバーグで、何本か宗教的な演奏を取り上げてみました。
クレズマー関係の音源はこちら

SHULOYM ALAYKHEM (KLEZFEST ST. PETERSBURG 2004)



04年サンクトペテルブルクでのライヴから、シャローム・アレイヘム(イディッシュ語の発音ではシュロイム・アライヘム)。直訳の意味は「あなたの上に平安を」となりますが、日常的には「こんにちわ」の意味で使われます。アラビア語のサラーム・アレイクムと文字を入れ替えただけというのが、よく分かるかと思います。スクラムバーグの右にはブレイヴ・オールド・ワールドのマイケル・アルパートがいますが、この両氏はリヴァイヴァル・クレズマー中で最高のイディッシュ語歌唱を聞かせる二人だと思います。

NIGN-by Lorin Sklamberg-



これも興味深い映像。コントラバスでハシディック・ニグンを演奏しています。バス歌手が歌っているかのようなエモーショナルな演奏です。ピアノはクレズマティクスのデヴィッド・クラカウアーのようにも見えます。スクラムバーグは編曲のみでしょうか?

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