スクラムバーグのカバラー・ソング?
スクラムバーグ~クレズマティクスの演奏に戻ります。先日興味深く見た一本で、タイトルにはGlorious are our G-dとあります。スクラムバーグの歌唱なのでクレズマー枠に入れましたが、歌詞は明らかにヘブライ語で、映像がユダヤ神秘主義のカバラーを連想させる摩訶不思議なものです。カバラーの思想は、同じくユダヤ神秘主義の一つである近世のハシディズムにも流れ込んでいますが、AD1世紀頃にまで遡りうるカバラーの生まれたのは東欧ではなく、古代の中東。13世紀のイスラム王朝下のスペインで完成された「ゾハル(光輝の書)」の原著者とされるAD2世紀のラビ・シメオン・ベン・ヨハイなどが重要人物です。クレズマーにおいてハシディズムの影響は絶対的なものがありますから、その淵源であるカバラー(「カバラ」と書かれることが多いですがヘブライ語的に正確に綴れば「カバラー」になると思います)との関係も当然の流れとして出てくるだろうと思っていました。伴奏にイスラーム世界の代表的な楽器ウードが用いられているのも、13世紀スペインに遡ることから、誠に似つかわしいイメージだろうと思われます。
Frank London/Lorin Sklamberg : Glorious are our G-d.
以上のような意味で、狭義のクレズマーからは逸脱した曲だと思います。Frank London/Lorin Sklamberg : Mighty, Blessed, Great, Prominent, Glorious, Ancient, Meritorious, Righteous, Pure, Unique, Powerful, Learned, King, Enlightened, Exalted, Brave, Redeemer, Just, Holy, Merciful, Almighty, Omnipotent is Our God. Album is Tsuker-zis.
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