Denis Cuniot
ハシディックな世界と、イディッシュの民謡や演劇の世界を少し覗きましたので、クレズマー音楽にそれらがいかに大きな影響を及ぼしているか、少し実際の演奏で見てみたいと思います。
ジャズの巨匠デューク・エリントンの曲に、『スイングがなければ意味はない』がありますが、「ブルースが核になければジャズじゃない」というのも言えるのではと思います。それに倣って言えば、「ハシディック・スピリチュアルがなければ、クレズマーじゃない」というのも言えそうです。ジプシー(ロマ)や東欧ロシアの伝統音楽との違いも、そこにあると思います。そのスピリッツを忘れたら、それは最早、形骸化したクレズマーと言えるのかも知れません。一般聴衆の注目を集めるのも大事ですが、核を常に内に秘めていて欲しいものです。
今日の映像は、クレズマー音楽の注目作を仏Buda等から色々出しているフランスのユダヤ系ピアニスト、ドゥニ・キュニオの演奏。レクチャーかワークショップだと思いますが、彼の音楽の秘密が色々感じ取れる映像です。モダンなセンスの内に溢れ出るハシディック・スピリッツに惹き込まれます。クラリネット奏者のナノ・ペイレとのデュオが出たのは、もう20年近く前になると思いますが、最近出たConfidential Klezmerでは、ソロで彼の音楽世界の深淵を覗かせています。
以前取り上げたイディッシュ・ソング、Oyfn Pripetshikもレパートリーに入っていて、For the love of Nigunsではそのまま出てきますが、Confidential Klezmerでは1曲目のDer Alef-BeyzがOyfn Pripetshik。アレフ・ベイスとはその歌詞の一部、しかも一番印象的なサビの部分であるのは、1月12日に見た通りです。
クレズマー音楽
その他のユダヤ音楽
cuniot_piano.flv (8/11)
cuniot_influences.flv (6/11)
cuniot_final.flv (11/11)
この曲はクレズマー・クラリネットの名手ギオラ・ファイドマンも吹いていた有名なハシディック・ニグン。後半は上記のオイフン・プリペチク。
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