「ソ」だけに♯の入るアハヴォ・ラボ
今晩はミュージカルの方に行こうかと思っていましたが(多くの方はすぐにタイトルはお分かりだと思います)、なかなかに魅力的なジューイッシュ・クラシックの方に入りましたので、もう少し見てみます。
大昔に知人からNY土産でもらったハシディック・ソングの楽譜が手元にあります。Hassidic Treasury - 101 Hassidic Dance Tunes (Renanot 1988)という本ですが、見ていると五線譜のソだけに♯が付いた譜面がかなり出てきます。周知の通り、西洋音楽では嬰記号はファ、ド、ソの順に付きますが、ソだけに付くというのは通常ありえません。ミから始まる音階の中でソだけ♯にすれば、これが例のアハヴォ・ラボ旋法になります。アハヴォ・ラボとは、和訳するとすれば「大きな愛」の意味で、意訳するなら「至上の愛」でしょうか。これではコルトレーンを思い出してしまいます(笑) アハヴォ・ラボとは、「我らの主よ、あなたは大いなる愛で我らをいつくしんで下さった」というユダヤ教の朝の祈祷文の出だしの言葉で、その朗唱旋法であることから、イデルゾーンがこう名づけました。
ニグンだけでなく、クレズマーにもいかにこの音階がよく出てくるか、熱心なリスナーの方はよくご存知だと思います。そんなアハヴォ・ラボが実感できる弦楽器(チェロとヴァイオリン)によるユダヤの宗教歌、今日もブロッホの曲など、アップしてみました。
Jewish Prayer
これはブロッホの曲ではないと思いますが。Sonia Wieder-Atherton plays a jewish prayer
Niki Vasilakis - Vidui (Composer Ernest Bloch)
艶やかな若手美人ヴァイオリニストNiki Vasilakisの演奏によるブロッホのヴィドゥイ(告白とか懺悔の意)。オーストラリア出身のようですが、名前から察するにギリシア系では。エモーショナルな名演。
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