« ブルガリアのスペイン系ユダヤの歌 | トップページ | Hija mia mi querida、La rosa enflorese、Noches, noches »

2010年9月15日 (水)

Una Pastora (羊飼いの女)

昨日のブルガリアのセファルディーの歌「ウナ・パストーラ」(邦訳は今日のタイトル通り)は、何人の歌手が歌っていたか覚えられないほど、音源もあったと思います。そのしみじみとした哀感は日本人の耳にも馴染みやすいはず。今日は而立書房から96年に出ていた「セファラード」(リリアーナ・トレヴェス・アルカライ・著、谷口勇・訳)から、解説と訳詩を転載しておきます。セファルディーの音楽についての名著で、刊行から14年経っていますが、まだ入手できるようです。

Dina Roth - Una pastora yo ami

僕は恋した。

一人の羊飼いの女、優しい少女に。

子供の時から愛してきた、

ただ彼女だけを。


ある日庭の中に座っていた時、

僕は彼女に言った、「甘い花よ、

お前への愛のせいで、僕は死にそうだ。」


彼女は両腕に僕を抱きしめ、そっと口づけした。

僕に優しく答えて言った。

「あんたは恋するには若すぎるわ。」


僕は大人になり、彼女を探した。

彼女は結婚していて、僕は彼女を失った。

彼女は僕のことを忘れてしまったが

僕は今でも彼女を愛し続けている。

ソフィア由来の歌。青春期の恋人なるテーマはセファラードの伝統的な詩では稀ではない。実際このテーマは多くのロマンセにおいて見出されるのである。はなはだ年下の男に惚れ込まれた、大人の女なるテーマも、たとえば、アリアルダのロマンセにおけるように、しばしば見られるものである。

|

« ブルガリアのスペイン系ユダヤの歌 | トップページ | Hija mia mi querida、La rosa enflorese、Noches, noches »

ユダヤ音楽」カテゴリの記事

バルカン」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Una Pastora (羊飼いの女):

« ブルガリアのスペイン系ユダヤの歌 | トップページ | Hija mia mi querida、La rosa enflorese、Noches, noches »