Una Pastora (羊飼いの女)
昨日のブルガリアのセファルディーの歌「ウナ・パストーラ」(邦訳は今日のタイトル通り)は、何人の歌手が歌っていたか覚えられないほど、音源もあったと思います。そのしみじみとした哀感は日本人の耳にも馴染みやすいはず。今日は而立書房から96年に出ていた「セファラード」(リリアーナ・トレヴェス・アルカライ・著、谷口勇・訳)から、解説と訳詩を転載しておきます。セファルディーの音楽についての名著で、刊行から14年経っていますが、まだ入手できるようです。
Dina Roth - Una pastora yo ami
僕は恋した。
一人の羊飼いの女、優しい少女に。
子供の時から愛してきた、
ただ彼女だけを。
ある日庭の中に座っていた時、
僕は彼女に言った、「甘い花よ、
お前への愛のせいで、僕は死にそうだ。」
彼女は両腕に僕を抱きしめ、そっと口づけした。
僕に優しく答えて言った。
「あんたは恋するには若すぎるわ。」
僕は大人になり、彼女を探した。
彼女は結婚していて、僕は彼女を失った。
彼女は僕のことを忘れてしまったが
僕は今でも彼女を愛し続けている。
ソフィア由来の歌。青春期の恋人なるテーマはセファラードの伝統的な詩では稀ではない。実際このテーマは多くのロマンセにおいて見出されるのである。はなはだ年下の男に惚れ込まれた、大人の女なるテーマも、たとえば、アリアルダのロマンセにおけるように、しばしば見られるものである。
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