« 2010年12月 | トップページ | 2011年2月 »

2011年1月

2011年1月31日 (月)

サースチャーヴァーシュ・バンドとポリフォニー

現在はルーマニア領のエルデーイ(トランシルヴァニア)でしばらく見ていますが、今日はエルデーイのベテラン・ロマ・グループの一つ、サースチャーヴァーシュ・バンドと、この900人ほどの寒村独自のコーラスを。サースチャーヴァーシュ・バンドはLive in Chicago他数枚CDがありましたが、メンバーのチャーニ・シャーンドルには、ゼルクラとの共演盤もありました。トランシルヴァニアのハンガリー人、ルーマニア人、ザクセン人(ドイツ系移民)と、異なる民族のために演奏してきたプロ集団の芸の迫力と柔軟性を感じます。

Szászcsávás Band (1994?)

Szászcsávás Band - Szekely verbunk -

サースチャーヴァーシュがセーケイにあるのかどうか不明ですが、タイトルには「セーケイのヴェルブンク」とあります。

Szászcsávás Band 2 ('Csávás 2010)

若手世代の荒削りな演奏も。

Szászcsávás énekesek

これはサースチャーヴァーシュ・バンドではなく、サースチャーヴァーシュ村の多声コーラス(ポリフォニー)。こんな音楽があるとは驚き。トランシルヴァニアではここだけで聞かれるようです。

Szászcsávás sings "a cappella"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月30日 (日)

ボックス・チェロ ガルドン

やはりガルドンに注目が集まったようですので、他の映像も少し見ておきたいと思います。西洋音楽を知っていれば驚くことは必至だと思います。私もチェロを弾く者として最初大変に驚きました(笑) このチェロの形の不思議な打楽器について、私も一部執筆担当したユーロ・ルーツ・ポップ・サーフィン(音楽之友社)の茂木健氏の解説に以下のように出ていました。楽器の由来と調弦などについての抜粋です。

異形の美姫
ガルドンを使用してきたのは、トランシルヴァニア東部のチーク県の人々、そしてカルパチア山脈を越えた東側、モルダヴィア(モルドヴァ)に長く孤立してきたハンガリー人の集団だという。チャーンゴーと呼ばれる後者は、カトリック信仰を持ち、ハンガリー語の古い形態と独特の習俗を伝承してきたことでも知られている。~まったく丸みのない低いブリッジの上に、同じ太さの弦が3本乗せられ、同音にチューニングされる。やや細い4本目の弦は、他の3本の弦のオクターブ上だ。この4本目の弦は、ブリッジに乗せられず、ブリッジの脇に落とされながらテイルピースに直結されている。~右手に持った棒で、3本の弦を曲のビートに合わせて叩きながら、左手で4本目の弦をはじいてアフター・ビートを強調する。~

指板があって弦を張ってあるのに、押さえることを全くしないのは何とも不可解です。チェロにも弦を叩く奏法はありますが、低音で響きが豊かなことから思いついたのでしょうか。チーク県とチャーンゴーで、ということですが、ジメシュは近くになると思います。前に取り上げたグループ、チーク・ゼネカルのチークと思われますが、セーケイの別名か、少し西に位置するセークのことなのかと思ったりもしましたが、どちらでもないようです。チーク県とは、トリアノン条約以前のオーストリア・ハンガリー帝国時代の県名でしょうか。今の行政区分で言えばHarghitaの東部辺りになるのではと思われます。ジメシュとは、一昨日の解説とずれますが、チークの中心(あるいはそのもの)なのでしょうか。

428 Gyimesbükk Slow Czardas "Tatros partján" Lassú csárdás

ジメシュのスロー・チャールダーシュとあります。

Lakodalmi muzsika Gyimesben / Hungarian Wedding in Gyimes

ジメシュの結婚式でのフィドルと肩掛けガルドン

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月28日 (金)

ゼルクラ・ヤーノシュ

FolkEuropaから2枚CDが出ていたベテラン・フィドラー、ゼルクラ・ヤーノシュの映像がありました。そう言えば、この人はジメシュの演奏家でした。彼は1927年生まれで、隣で伴奏している弦を叩いて奏するボックス・チェロはガルドンという楽器です。ガルドンはゼルクラの故郷ジメシュでは普通使わないらしいですが、youtubeを見る限りゼルクラはどんどん使っているようです。2本目のような弾き語りの詠唱は最も彼らしい演奏だと思いますが、さすがにこういうフリーリズムの時はガルドンは入れないようです。彼の録音はFonoのUj Patriaシリーズにもありましたが、これはとてもディープなシリーズ。ハンガリー各地の貴重録音に混じって、ジメシュの老語り部の歌声もしっかり記録されています。

Zerkula

Zerkula Janos - Baszom aki hova valo

Zerkula János - Gyimesi lassú magyaros (1984)

Zerkula Janos: Gyimes Fiddle

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2011年1月27日 (木)

カルパチア周辺 ジメシュとチャンゴー

ルーマニアは大きく分けて南部のワラキアと北東部のモルドヴァ、北西部のトランシルヴァニアの3つになりますが、トランシルヴァニアは更にその中の東部のジメシュとその西隣のセーケイがハンガリー系が多い地方として知られています。昨日出たビストリツァはそのいずれからも外れているようで、この町は現代ではルーマニア人が多く、次いでロマ、ハンガリー人やザクセン人(ドイツ系)は極少数のようです。カロタセグも上記の地方には入らないようです。ハンガリー北東部のサトゥマール地方のトランシルヴァニア側はサトゥマーレと呼ばれ、やはりハンガリー人の多い所。
今日はジメシュと、モルドヴァに住むハンガリー系少数民族チャンゴーの音楽を少し見てみます。ジメシュとモルドヴァはカルパチア山脈を挟んで隣接していると思われます。セーケイやサトゥマーレも後日見てみて、それぞれの特徴が浮かび上がって来ればと思っています。チャンゴーの音源はいつものハンガリーコーナーのすぐ上です。

Takács Éva: Gyimesi népdal (Hungarian folk song)

ジメシュがトランシルヴァニアの東部に位置しているのがよく分かるかと思います。

Takács Éva - "Cseres erdőn ..."

一本目と同じ民謡歌手のタカーチ・エヴァの独唱。とてもマジャールらしいメロディです。

Csángó Népdal - E Kertemben

ウードに似たリュート系弦楽器のコボスがリズムセクションのように入るのがチャンゴーの音楽の特徴。

CSÁNGÓ HIMNUSZ(moldvai)

チャンゴーには、こういうしっとりとした女性の独唱が多いのですが、タイトルにヒムの文字が見えますので、宗教的な内容の歌なのでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月26日 (水)

ルーマニア民俗舞曲

バルトークのピアノ曲で最も有名と思われるルーマニア民俗舞曲については、これまでにも何度か書きましたが、この曲に出てくる「ルーマニア」とは、この曲の作曲当時はハンガリー王国の一部だったトランシルヴァニアを指しているものと思われます。ハンガリー語でエルデーイと呼ばれるこの地方に、ハンガリー文化の古層が豊かに残っていることは、カロタセグの時にも見た通りです。
この地方で個人的に思い出すのが、ブラム・ストーカーの小説「ドラキュラ」の中でパプリカ料理が出てきたこと。そんなことからもハンガリー系が多い土地柄がうかがえます。場所は確かビストリツァ辺りだったと思いますが、この辺りもハンガリー系が多いようです。
このバルトークの名曲、実はラテン系のルーマニア人の音楽ではなく、エルデーイのハンガリー人の音楽に基づいて書かれているのでしょう。

Romanian Folk Dances

最近この曲で検索するとトップに表示される演奏。アンプ?をつけていて低音が強調されるのが面白いです。表情豊かな良い演奏だと思います。

Taraf de Haïdouks: "Romanian Folk Dances"

タラフ・ドゥ・ハイドゥークスの「仮面舞踏会」が出た頃の映像。冒頭アコーディオンで弾かれているのはフィギュアでお馴染みのハチャトゥリアンの仮面舞踏会のワルツ。その後がルーマニア民俗舞曲ですが、タラフらしいひねりを聞かせた楽しい演奏。ルーマニア南部ワラキアの彼らにはトランシルヴァニアの音楽はどう感じられるのでしょうか。

Béla Bartók at the piano Rumanian Folk Dances

最後にバルトーク自身のピアノ独奏で。

| | コメント (9) | トラックバック (0)

2011年1月25日 (火)

バルトークの動画

何とバルトーク自身の動画が、しかもカラー映像で見つかりましたので、彼の演奏家としての面を少しアップしておきます。1945年に白血病で亡くなっているので、戦前と言うことにになりますが、割としっかりした映像です。多分最晩年でしょうか。ピアノ作品の自作自演を初めとして、名ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・シゲティとのベートーヴェンのクロイツェル・ソナタなど、名演の記録が結構残っています。youtubeも色々ありますが、今回特に驚いたのが一本目。動くバルトークは初めて見ました。もうそれだけで興奮冷めやらないという状態です(笑) マジャールの旋律を素材に、単なる民族主義の音楽に止まらず、同時代性をも兼ね備えた芸術的高みにまで持って行った彼の力量は、ピアニストの面からも感じられるのでは。日韓戦が気になって仕方ないので、今日はこの辺で。短くて済みませんm(_ _)m

BARTÓK BÉLA

Béla Bartók plays Scarlatti

前に何人かの演奏を確かスペイン枠で取り上げたD.スカルラッティのソナタもありました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月24日 (月)

更にホルトバジーから

ジプシーの音楽も入っていてマジャールのみではなかったのですが、昨日の一本目はわくわくするような映像でした。似た路線で、やはり出来るだけマジャール色の濃いものを選んでみました。ホルトバジー含むプスタはハンガリーの農村文化を豊かに育んでいたことが映像からよく分かります。この農村風景は今も保たれているのでしょうか。気になるところではあります。
ウィキペディアのプスタの解説に「元々は広大な森林地帯が広がっていたが、ハンガリーがオスマン帝国に領有されていた時代に木々が伐採され、湿地帯と化し、洪水が絶えなかった。そのため、河川を改良したことで、結果的に乾いた大地へと変貌した。ハンガリーの東部では、ホルトバージ国立公園などのように国立公園に指定されている場所もある。」とありました。オスマン帝国時代に伐採されたという点は初めて知りました。森林のままだったら、ハンガリーの民謡も全然違ったものになったかも知れません。
表記についてですが、Hortobágyはホルトバジーと70年代頃は書かれることが多かったと思いますが、忠実に発音すれば確かにホルトバージです。プスタを代表するイメージが強いので、今日はHortobágyをタイトルに入れました。

502 Hortobágy "Lóra csikós lóra" archive photographs and singing from the Hungarian plain

これはj純マジャールの民謡だと思います。解説にもThe melody is a fine example of the Ugrian(ウゴル語派) descending styleとありました。バルトークの蝋管録音や作品では聞いた記憶のない歌ですが。

Nem úgy van most, mint volt régen

Én az éjjel nem aludtam egy órát ( Hungarian folk music )

いずれグループ別でも取り上げますが、来日歴もあるムジカーシュとマルタ・セバスチャンの演奏。この歌はマジャール的に聞こえます。ムジカーシュは確か90年前後に来日(@クラブ・クアトロ)して私も聞きに行きました。キングのユーロ・トラッドのシリーズが出た後位でしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月23日 (日)

マジャールの民謡

ハンガリーの自称は「マジャール」ですが、彼らのルーツの地がウラル山脈周辺であることは、当ブログを始めたころに触れたことがあります。これからしばらくジプシー音楽をできるだけ外して、ハンガリー古来の民謡、マジャールの民謡を探してみたいと思います。マジャールの民謡と言えば、バルトークのピアノ曲などに出てくるように、五音音階が目立ち、その印象からアジア的とのイメージを持ちますが、そう簡単な話でもなさそうです。ウラル民族は人種的にはやはりノルディーデに近いようですから、外面的にはヨーロッパ人に近い風貌が元々多かったのではと思われます。ウラル民族の国と言えば、ハンガリー以外ではフィンランド、エストニアが代表格で、彼らもハンガリー人と近い関係になりますが、両方が収まっているフィン・ウゴル系民族の中でウゴル系の方にハンガリーは入ります。フィン・ウゴル諸語が集中しているのが、ヴォルガ中流域のマリ(旧称チェレミス)周辺で、この辺りの五音音階の民謡とマジャール民謡の類似は古くから指摘されていましたが、ハンガリー語により近いのは西シベリアのウゴル諸語になります。音的にはフィン系のヴォルガ中流域、言語では西シベリアというのがユニークなところではと常々思っていました。そんなマジャールの歴史は興味尽きないものがあります。

679 Hortobágy 1936. Hungarian folk music. Magyar népzene.

これは素晴らしい映像です。戦前のホルトバジーでの映像でしょうか。例の「エチェル村の結婚式」に出てくる民謡があります。ロマの楽士も出てきています。

Art of Klara Takacs (Klára Takács) 031/03 Bartók B.: Five Hungarien Folk Songs for Voice & Piano

バルトークの歌曲ですが、2曲目は古いハンガリー民謡の引用例として有名。いかにもマジャール的な民謡です。バルトークの蝋管録音にも入っていました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月21日 (金)

Palya Bea

アンド・ドゥロムにいたミツーについてもyoutubeは色々ありますが、結構ミクスチャものが多くて、う~んと考えてしまいます(笑) 代わりにベアタ・パヤの歌にしましょうか。Palya Beaは、トニ・ガトリフの映画「トランシルヴァニア」にも出ていた女性歌手で、ハンガリー・ジプシーのケレマスキ・ディリのような歌から、ブルガリア、遠くはペルシアの歌(しかもタハリール入り)まで、色々な言葉を操って聞かせる実力派だと思います。インタビューでは英語やフランス語も流暢に操っています。ズルゴ、カルパチア、マカーム、フォルケストラなどのハンガリーの実力派グループで歌ってきたそうですが、ソロ作品では、様々なトラッド・ナンバーの素晴らしい歌唱が聞けるÁgról, ágraが一番良かったように思います。

Palya Bea - Sáros-pataki polgár leány

Ágról, ágraからの一曲。これはケレマスキ・ディリ風の歌。この人の名前はBeataと書かれたりBeaとなったりしてますが、最近はベアの方が多いようです。

Palya Bea - Sziget Koncert

意外に動画が少ないので、このモンドミックスは嬉しい一本。

Úton - Palya Bea (bulgária)

こちらもÁgról, ágraから。この曲はブルガリア語

Palya Bea - Transylvania

映画「トランシルヴァニア」の出演シーン。Party time! Crazy transylvanian party in the new Tony Gatlif movie. Palya Bea and her Quintet are performing

Palya Bea (és Etnofon Zenei Társulás) - Szőke Anni balladája

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月20日 (木)

アンド・ドゥロム

昨日の3本の中ではケリマスキ・ディリの2本は数々のロマ楽士の演奏を通して耳にすることも増えたと思いますが、3本目のメセラキ・ディリの、叙情歌というかラメント(哀歌)的な面は比較的知られていない方ではないかと思います。メセラキ・ディリは、スペインのジプシー音楽で喩えるなら、カンテ・フラメンコに近いものだと思いますが、メセラキ・ディリでは、ハンガリーのロマらしい、うら寂しいような、更にはちょっと恐い位の雰囲気をこそ味わって聞きたい歌です。残念ながらそういう「辻のロマ歌手」の歌声は昨日の一本だけのようです。
さて、それらのハンガリーのロマ音楽をプロフェッショナルな音楽家としてステージで聞かせてきたグループの代表格が、84年から活動しているアンド・ドゥロムです。来日は何年か前と思っていましたが、もう10年位にはなるでしょうか。来日公演は聴きに行けませんでしたが、ビデオは見たことがあります。CDでは、Network MedienからのPhari Mamoが、やはり一番農村ロマ音楽本来の姿に近いように思いますが。

Ando Drom - Zsa Mo

4分くらいから出てくる女性歌手はミツーでしょう。 pic taken from the film 'Gadjo dilo' (1997) by Tony Gatlif

Ando Drom - Na Kamel Ma

Ando Drom - Zöld az erdő

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月19日 (水)

ケリマスキ・ディリとメセラキ・ディリ

もう少しコダーイについてと、そろそろバルトークのハンガリー民謡がらみの曲もと思っていますが、まだちょっと調べないといけませんので、先に他のトピックを入れておきます。とにかくハンガリー関係はネタは豊富ですね。
これまで都会のジプシー楽団のチャールダーシュなどを見ましたが、その構成はラッサン(あるいはラッスー)とフリスカ(あるいはフリッス)と呼ばれる緩やかな部分と急速な部分に分かれることは、割と広く知られていると思います。
その緩急の構成は、農村ジプシーの音楽にもありまして、緩やかな部分(叙情歌)はメセラキ・ディリ、速い部分(踊り歌)はケリマスキ・ディリと呼ばれます。都会ジプシーのラッサンとフリスカは、農村ジプシーの2つのパターンの反映と考えられます。数年前に来日したグループにAndo Dromがいましたが、牛乳缶を叩きながら「ッダバ、ッディビ」と口拍子を取るのは正にケリマスキ・ディリの典型例になると思います。こういう農村ジプシーの音楽は、チャールダーシュやヴェルブンコシュのようなマジャールの要素と融合した都会音楽と違って、純ハンガリー・ジプシー音楽と言っていいものです。音源として、古くは小泉文夫の素晴らしい録音がありましたが、Ando Dromなどのようにショウアップされる前の生のジプシーの声が聞ける現地録音で、現在のキングのワールドルーツミュージックライブラリーに入っています。「農村ロマの音楽

Khelimaski dyili from Gyöngys village (Hungary)

Khelimaski dhyili from Piricse village.

Meselaki dyili from Kétegyháza village.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月18日 (火)

コダーイの無伴奏チェロ

コダーイの音楽を知る重要なキーとなる声楽作品「飛べよ孔雀よ」辺りを探してみましたが、なかなか見つからず、そうこうする内に時間が来ましたので、前に一度アップしていますが、無伴奏チェロのためのソナタを上げておきます。前に上げたのは、ヤーノシュ・シュタルケルでしたが、今日は併せてピエール・フルニエの演奏も。
フルニエと言えば、J.S.バッハの無伴奏などの古典作品での気品溢れる演奏のイメージが強すぎて、ハンガリー民族音楽を豊富に盛り込んだコダーイの音楽ではどうなるのか想像がつきませんでしたが、見てみてびっくり。考えてみればコダーイとフルニエは20歳ほどの違い。ほぼ同時代のチェロ音楽の傑作として屹立しているコダーイの作品を尊敬し、真正面から取り組んだ完璧な演奏でした。一方シュタルケルのコダーイの凄さは言わずもがなですが、個性の違いがはっきり出ていて面白いです。今回は一楽章のみにしておきます。
ウィキペディアによると、バグパイプ、太鼓、ターロガトー(クラリネットの一種)、ツィンバロムのような民族楽器を模倣しており、民族舞曲ヴェルブンコシュの様式を踏襲しているとのこと。

Janos Starker - Kodály Cello Solo Sonata I. Mvt

P.Fournier - Kodály Sonata Op.8, 1st mov

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月17日 (月)

カーロー民族舞曲(コダーイ)

先日チーク・ゼネカルを見ていて偶然見つけた映像が二本目ですが、この曲は聞き覚えがあると思ったら、コダーイ作曲のカーロー民族舞曲でした。独唱から入るユニークなアレンジになっていますが、この曲は何度かアルバム名を上げていた「エチェル村の結婚式」というLP(洪HungarotonからCD有り)でハンガリー国立民族舞踊団が演奏していた曲で、アルバムの冒頭を飾っていました。77年に初めて聞いたハンガリー音楽のアルバムで、個人的に非常に懐かしく聞きました。ハーリ・ヤーノシュや無伴奏チェロと並んでコダーイで思い出す曲の筆頭です。
この曲の原題はKállai kettősと言いますが、この名で検索するだけでも夥しい数の映像が見つかります。同じ70年代からの一連のタンツハーズ(ダンスハウス)運動を通して継承されていた曲なのでしょう。個人的には冒頭のラッサン?部分の旋律美に昔まずやられました(笑)

以下に上記LP掲載の谷本一之氏の解説を引用しておきます。

1951年にコダーイがこのアンサンブルのために作曲したもので、ジプシー楽団の演奏スタイルを念頭に書かれた、ジプシー楽団を一回り大きくしたアンサンブルと混声合唱のための舞踊曲です。原題のKállai kettősはカーロ地方のペアの踊りと言った意味で、男女二人が向き合って踊るのが古い形ですが、今は男女の群舞で踊られています。使われている民謡は、コダーイが1938年にハンガリーの東部サボーチ・サツマール(Szabolcs-Szatmar.m)県のノジュカーロ(Nagykallo)で収集したものです。曲は単純な三部形式で、第一部はいかにもジプシー的装飾の多いヴァイオリンの旋律に乗って、女声と男声が交互に歌うゆるやかな舞曲、第二部はバグパイプの音の動きをもった速いテンポの舞曲、第三部は、はずむリズムで一気に駆け抜ける急速調の舞曲で曲をしめくくります。

Csillagszemű - Kállai kettős

これは演奏はハンガリー国立民族舞踊団のアンサンブルと合唱団でしょう。上記と同じ音源と思われます。一方、踊っているのは現代の踊り手でしょう。

Csík Zenekar - Kállai kettős dallamai

こちらがチーク・ゼネカルの演奏。

Kállai kettős

Kodály Z.: Kállai kettős

Lakatos Vilmo:Zenekai est: Kodály : Kállai kettős

これはジプシー楽団の演奏。器楽のみで聞かせる技の凄みが、やっぱりあります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月16日 (日)

暗い日曜日

ハンガリーの音楽を巡るからには、避けられないかなと思っていた曲を取り上げてみます。 「暗い日曜日」は戦前のハンガリーで作られた歌で、一般にはシャンソン歌手のダミアの歌唱で知られているかと思います。この曲を聴いて自殺する人が続出するので、放送禁止になったという逸話は余りに有名でしょう。99年には映画にもなりましたので、そちらで知られた方も多いようです。
この陰鬱なメロディは、チャールダーシュのラッサン(ラッスーとも言われる緩徐部分)から来たものかと思ったこともありましたが、戦前のハンガリーで作曲された歌で、チャールダーシュではないようです。しかし、この歌の生まれたブダペストのレストランと言うのは、チャールダーシュが盛んに演奏される所ですので、似た曲調のように思えます。確かジプシー楽団が演奏した録音もあったように記憶しています。
1930年代という時代の重苦しい雰囲気を映した名歌として、内外の名歌手が歌っていまして、youtubeにはそれらが沢山アップされていました。

Sombre Dimanche - Damia

これが上記の都市伝説を生んだダミアの歌声。素晴らしい歌唱ですが、いつ聞いても余りに悲しくてやりきれないです・・

暗い日曜日  淡谷のり子

淡谷さんの歌は、晩年の「雨のブルース」位しかTVでは聴いたことがない世代ですが、暗い日曜日を歌っていたことを知って、カセットを探したことが昔ありました。

Miwa Akihiro sings gloomy sunday

美輪明宏の歌唱

浅川マキ Maki Asakawa / 暗い日曜日 Gloomy Sunday (1992)

浅川マキも歌っていたのですね。ディアマンダ・ガラスとイメージがだぶる歌唱です。

東海林太郎 暗き日曜日 Szomoru vasarnap - Taro Shoji

東海林さんも歌っていました。これは今回初めて知りました。

the Melancholy melody

上記の映画Gloomy Sundayから。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月14日 (金)

ヴェルブンコシュとヴェルブンク

ヴェルブンコシュ音楽は、チャールダーシュとして都会的に洗練される前にハンガリーで流行った音楽で、募兵活動で使われた男性の踊り、ヴェルブンクが中心になっています。新兵を募集する踊りや行進曲の伴奏音楽が元にあるので、ヴェルブンコシュの流れを汲むチャールダーシュにもマーチ的に感じられる部分があると思います。どちらもジプシーの極度に技巧的なヴァイオリンが中心に演奏されますが、ヴェルブンコシュの素朴で荒削りな魅力と言うのは、現代のヴェルブンクにもたっぷりと感じられます。特に一本目の踊りは、グルジアの踊り以来の驚きでした。

Romafest Gypsy Dance Theater - Verbunk

Szatmári verbunk

こちらはハンガリー北東部サトゥマール地方のヴェルブンク。

SZATMÁRI CSÁRDÁS

12日にアップしたサトゥマールのチャールダーシュ映像ですが、上のサトゥマールのヴェルブンクと同じ曲です。ステップなどが違うのでしょう。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2011年1月13日 (木)

モンティ以外のチャールダーシュ

モンティ以外の都会のチャールダーシュをどうしても見てみたくて探しましたら、若干ですがチャールダーシュでの検索上位からも見つかりました。

Orosz Zoltán - Csárdás - Czardas - Harmonika - Accordion - Fisarmonica

いくつかのチャールダーシュ・メロディのメドレー(おそらく2曲)だと思いますが、オロス・ゾルタンの超絶アコーディオンとギターのみのデュオで。1分頃からの曲は1977年のハンガリー国立民族楽団のLP「エチェル村の結婚式」に入っていました。(HungarotonからCD化もされています)作者不詳のハ短調のチャールダーシュという曲名でした。仄暗いパッションの迸りが聞き物。良い曲です。

Csárdás gitáron. Id. és ifj. Bernáth Ferenc

上記の作者不詳のチャールダーシュを2本のギターで。

Virtuoso of the Gypsy Music,Csardas (Sándor Lakatos)

モンティのチャールダーシュを有名にしたのはロビー・ラカトシュか日本のGクレフだったと思いますが、そのロビー・ラカトシュの叔父のシャーンドル・ラカトシュのヴァイオリン演奏。ラカトシュと言えば、メジャー・デビューしたロビーが有名になりましたが、80年代までは叔父のシャーンドルを指していたと思います。これも時々耳にする長調のチャールダーシュです。

Berki Béla csárdások (Hungarian csardas music)

こういうスタイルがブダペストで聞かれるジプシー楽団のチャールダーシュの典型例だと思います。

Zigeunermuziek, zigeunerorkest, Frysk Csárdás, Roman Cyganydal, Gypsy music

これはクレズマー演奏でも聞いたことのあるような曲ですが、どうやらルーマニアのジプシー音楽のようです。フリスク・チャールダーシュというのはグループ名。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月12日 (水)

カロタセグとサトゥマールのチャールダーシュ

チャールダーシュの検索結果は、上位はほとんどがモンティのようです(笑) もしかしたら、「チャールダーシュ」とはモンティ作曲の固有の曲名、と勘違いされているのかと思うほど。まさかそんなことはないとは思いますが、びっくりです。
と言うことで、今日は他のチャールダーシュを上げておきます。それもとびきり鄙びた地方のものを(笑) ハンガリー文化の古層が残るエルデーイ(トランシルヴァニア地方)のカロタセグと、ハンガリー北東部のサトゥマール地方のチャールダーシュです。
サトゥマールも古いハンガリー音楽が残っており、チャールダーシュのような都市部の印象の強い音楽の比較サンプル(農村版)が聞こえてくるだけでなく、この地のロマの音楽家が古えのユダヤメロディを共有していて、その録音がフンガロトンから出ていたのも、ハンガリー音楽マニアの方はよくご存知と思います。そのユダヤ音楽家の多くはホロコーストで亡くなったので、ロマ楽士が記憶していることで辛うじて現代の我々の耳にも入ることになりました。残念ながら廃盤になりましたが、そんな貴重録音がフンガロトンには色々あります。

Kalotaszegi legényes és friss csárdás

SZATMÁRI CSÁRDÁS

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月11日 (火)

モンティとハンガリー舞曲第1番のチャールダーシュ

チャールダーシュで調べると、上位に出てきているのはほとんどモンティのチャールダーシュのようで、さすがに少々うんざりしてきます(笑) この曲も30年ほど前まではほとんど知られてなかったと思いますが、ここ10年余りはチャールダーシュの代名詞のようになっているようです。もっと良いチャールダーシュは一杯あるのですが。。
そんなモンティのチャールダーシュの飛び切りの熱演と、古いチャールダーシュの面影を残すブラームスのハンガリー舞曲第1番のめぼしい映像を今日は上げておきます。

József Lendvay - Monti: Csárdás

Brahms Hungarian Dance No.1.

Békés County Symphonic Orchestraの演奏。もっと上手い演奏は色々ありますが、地元のオケらしい「ハンガリーの心」を感じさせる演奏です。

Brahms-Hungarian dance 1 Lilit Rushanyan

名前から推察するにアルメニア系ヴァイオリニストでしょうか。

HUNGARIAN DANCE No. 1, Brahms, SOLO VIOLIN SOUND SAMPLE, Eboyinc student violinist

前に一度上げたヴァイオリン聞き比べ映像も一本。ドイツ製ヴァイオリンによる演奏。テクニックがよく分かります。.A very nice, old German violin circa 1870. Sound sample is an excerpt of Brahms Hungarian Dance No. 1 being played by a violin student.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月10日 (月)

ブラームスのピアノ四重奏曲1番終楽章のツィゴイネル風味

クラシックのジプシー音楽風作品と言えば、ブラームスのハンガリー舞曲や、リストのハンガリー狂詩曲、サラサーテのツィゴイネルワイゼン(スペインの作曲家なのにハンガリー風音楽)がやはり筆頭ですが、他にもシューマンの「流浪の民」、モンティのチャールダーシュ、カールマンのオペレッタ「チャールダッシュの女王」辺りが割と広く知られてきたのではと思います。
19世紀後半のヨーロッパでは、一種のエスノ音楽(異国趣味)としてジプシー音楽の要素を入れると人気が出る傾向があったようです。ブラームスの場合、ハンガリー舞曲集が作曲家として名声を上げるのに一役買ったのも事実のようですが、彼はジプシー音楽に深く共鳴する所が元々あったのではと推察されます。なぜなら、彼独自の純音楽の中にもジプシー風のメランコリックな主題が組み込まれる場合がいくつか見られるためで、その例として、ブラームスのピアノ四重奏曲1番の終楽章が上げられるかと思います。現代音楽の幕を開けた作曲家シェーンベルクが管弦楽編曲したことからも、大衆に迎合するような外面的効果に留まらないブラームス独自のテクスチャ的な充実度がうかがえます。ブラームス本来の深く渋い音楽性にジプシー音楽が組み込まれ、それをあのシェーンベルクが編曲するという注目の一曲です。
オケ版は色々候補がありますが、原曲はやはりGidon Kremer, Martha Argerich, Mischa Maisky & Yuri Bashmetのドイツ・グラモフォン盤でしょうか。

Brahms: Piano Quartet No. 1 (orch. Schoenberg) / Simon Rattle · Berliner Philharmoniker

サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルの演奏で。

Brahms Piano Quartet Nr. 1 G minor Opus 25 Camerata Busoni

こちらは原曲のピアノ四重奏曲版。カメラータ・ブゾーニとはまた良い名前です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月 9日 (日)

チャールダーシュの踊り

そろそろハンガリーの方へ戻ります。大晦日にブラームスのハンガリー舞曲を見ましたが、それらの原曲はその頃実際に演奏されていたハンガリーの民族舞曲チャールダーシュが多かったようです。ユダヤ系ヴァイオリニストのエドゥアルト・レメーニの伴奏者として演奏旅行に同行したブラームスは、レメーニからロマの民族音楽を教えられて魅了され、その時に採譜したメロディを元にピアノ連弾のハンガリー舞曲集を書いたのでした。ブラームスがハンガリーの民族舞曲と信じて採譜したそれらの曲は、実は純粋なジプシー音楽でも純粋なハンガリー(マジャール)音楽でもなく、その両方が混合した音楽でしたが。(それぞれの純粋な音楽については、また後日取り上げる予定)他にも同様なジプシー風主題の入った例としては、ピアノ四重奏曲1番の終楽章(シェーンベルクの管弦楽編曲でも有名)もよく知られていると思います。
《ハンガリー舞曲集》ですが、ウィキペディアによると、第11曲、第14曲、第16曲の主題は、完全にブラームスの創作であったらしいとのこと。これは初めて知りました。と言う事は、先日取り上げた5番、1番、17番には原曲があったのだろうと推測されます。しかし、チャールダーシュというのは作者不詳の形で伝承されているメロディが多いようで、19世紀にブラームスが聞いた頃のメロディを辿るのは、今では難しそうです。1番や17番を愛好する者としては、残念ですが(笑)
今日はチャールダーシュの踊りが実際どんな風に踊られているか、を少し追ってみました。

Hungarian Dance

コーラスも入った組曲風なステージで様々な踊りが披露されます。チャールダーシュや例のポントゾーらしき踊りも。ここではロマ音楽はハンガリー民族音楽の中に渾然一体となっています。

Cigánycsárdás (Gypsy Csárdás)

Archival film of the Gypsy Csárdás from the village of Nagypalad.とあります。そんなに古いかどうかは不明ですが。3本目がマジャール化するとこんな感じになるのでは。

Cigány tánc (Gypsy dance)

こういうジプシー・ダンスがチャールダーシュのルーツなのでしょう。ブラームスの曲のような「ハンガリーらしさ」はここにはほとんど感じられません。むしろ東欧諸国のロマ音楽との共通性が感じられます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月 7日 (金)

松井須磨子の歌声

今年の松の内邦楽は今日までにしますが、最後に松井須磨子の歌声で締めましょうか。カチューシャの唄や、ゴンドラの唄などで有名な人で、それらの曲は演歌師の中心的なレパートリーにもなっていたようです。女優・松井須磨子(1886-1919)の歌声はコロムビアの音源に何曲か残されていて、何度かSP復刻音源で登場しました。大体が無伴奏で、一聴ぶっきらぼうとも思える歌い方ですが、何とも言えないオーラがあるのも確かで、この人の音源を探し出した時は宝物を見つけたような気持ちになったものです。そんな「日本初の歌う女優」の歌声までも、youtubeではSPが回る映像と一緒に聞けるようになっています。
昨日の続報になりますが、診察結果は、風邪から来る気管支炎でした。養生は必要ですが、インフルでなくて一安心でした。

復活(カチューシャの唄)松井須磨子

さすらいの唄  芸術座劇(生ける屍)  松井須磨子

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月 6日 (木)

演歌師のレパートリー

演歌師がレパートリーにしていた明治以降の流行り唄をもう少し見てみましょうか。最後の2本は実際の演歌師の歌唱で、SPの針音が曲自体のビートのようにも聞こえて、それも味です。大道楽から出ていた書生節のアルバム(これも廃盤)に入っていたと思います。
今日は一時熱が38度まで上がったので、明日は再び病院にいかねばなりません。インフルでないと良いのですが。松の内邦楽は、幾分朦朧としながらのアップになりましたm(_ _)m

宮さん宮さん(トコトンヤレ節)

明治最初の流行り唄とも言われる「宮さん宮さん」。作曲が大村益次郎だったというのは初めて知りました。序奏の部分は昭和40年代頃の、ドリフが出ていたムヒのCMに使われていました(笑) 耳に残っている人は多いハズ。

「メドレー ラッパ節~どんどん節」小沢昭一

日本の放浪芸についての素晴らしいセットものをリリースした、小沢昭一氏の歌唱。このシリーズは拙宅では家宝級のものです。

美しき天然/ソウル・フラワー・モノノケ・サミット

神戸の震災後の慰問の頃でしょうか。ソウル・フラワー・モノノケ・サミットの96年の演奏。曲はサーカスでもお馴染みの「美しき天然」。私も97年に東京での彼らのライヴを見に行きましたが、とても楽しめました。

あきらめ節 書生節

ヤッコラヤノヤー    書生節

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月 5日 (水)

バイオリン演歌 オッペケペー等

今日は往時の廓でも聞かれた演歌師の演奏を見てみましょうか。またもや驚きの映像がぞろぞろと見つかりました。2,3年前までは邦楽関係は全くお寒い状況でしたが、確実にyoutubeも増えてきました。タイトルのバイオリンと言うのは、正確にはヴァイオリンですが、どこかチープさの感じられる前者が似合っているように思います。松の内純邦楽の予定でしたが、どちらかと言えば流行り唄的な内容になりました(笑)

桜井敏雄「東京節」

最後の演歌師と言われた桜井敏雄氏のバイオリン演歌。92年頃にソニーから出たアルバム(残念ながら廃盤ですが)で、フォークシンガーのなぎら健壱氏と共演&対談していましたが、その頃のテレビ映像のようです。新旧の日本の語り芸の共演です。

バイオリン演歌(桜井敏雄)

桜井敏雄「オッペケペー節」

無伴奏ですが、演歌師の唄の代名詞のような、この曲を外す訳には行きません。

川上音二郎一座 [明治の流行歌]オッペケペー節[日本人最古の歌声]

こちらはオッペケペーの元祖川上音二郎一座の演奏。10年ほど前にSPから復刻されましたが、これも廃盤になってしまいました。川上音二郎一座には座長の妻、貞奴さん(マダム・サダヤッコ)もいました。以下はyoutubeの解説

1997年東芝EMIから発売「甦るオッペケペー」より
三代目桂藤兵衛/作 川上音二郎/演出 『オッペケペー節』
1900年(明治33年)パリ万博での川上音二郎一座の公演をイギリスのグラモフォン­社が録音したもの。川上音二郎の声ではありません。
イギリスのEMIに保管され埋もれていたものが、1995年に再発見されました。
日本人最古の録音と言われていましたが、これより一ヶ月前に録音されたものが後に見つ­かったので、二番目に古い録音となってしまいました。しかし日本人の歌声としては最古­のものではないでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月 4日 (火)

ドーコレ・トンエリオ 景夜の廓

ちょっと前からおかしかったのですが、本格的に風邪を引いてしまいましたので、新内関係の軽めのネタを上げておきます。廓ありし頃のイマジナリー・サウンドスケープとして。

雑曲 廓の夜景  書生節新内声色、色々入

オリエント・レコードのSPから、書生節と新内、声色(こわいろ)など。新内は真ん中辺りから。明治の末頃まではそれらが廓(くるわ)で普通に聞かれたようです。例えば、永井荷風の名作「濹東綺譚」の映画化作品(監督は新藤兼人)に演歌師が出てきてました。ヴァイオリン(略称オリン)で弾かれていたのは古賀メロデーの「酒は泪か溜息か」で、新内の節にそっくり。昭和初期の設定の同作では新内は出てこなかったと思いますが、それは荷風が新内を余り評価してなかったからかも知れません。一方、清元や歌沢は習ったりもしていたそうですが。岡本文弥さんは濹東綺譚を題材にした自作新内「お雪」(同作のヒロインで、玉の井の私娼)を書いていて、CDもありました。

都々逸 by 美空ひばり & 古賀政男(三味線)
上の一本の証明として、何と古賀政男本人が三味線を弾いて、美空ひばりが歌っている映像がありました! これは凄い! 都々逸のアンコ(中間に挟まれる小曲)として「酒は泪か溜息か」を歌っています。

新内流し連れ弾き  春 吉村伊十七 SHINNAI NAGASHI YOSHIMURA ISOSHICHI

もう一度、新内流しをどうぞ。映像も美しく、良く合ってます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月 3日 (月)

新内流し

早くも3日になりました。遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
今年も松の内の間は邦楽(あるいは和物)で行こうかと思っていましたが、毎年恒例のナツメロではなく純邦楽で行きましょうか。新内(しんない)については、このブログを始めた頃に一度書いたことがありました。その後youtubeも幾つか出てきて、新内は江戸の粋な浄瑠璃(語り物)として大分知られてきたのかなとも思います。ただその内容はと言うと、遊郭の話だったり心中物も多かったりで、正月にふさわしくはないかも知れませんが(笑) 新内の音は昔の時代劇ではよく登場したものですが、最近はほとんど見かけません。
一本目の富士松延治太夫さんの演奏では、新内流しの二挺三味線から始まって、新内についての解説、3種類の前弾き(中甲、江戸、鈴虫)まで、解説は分かりやすいし演奏も素晴らしいです。地の三味線と上調子の二挺で、地の方は大きな違いはありませんが、枷(カポタストのような小道具)で音を上げる上調子の音は、流派や奏者によって(弾く時によっても)色々で、その変化を聞くのも一つの楽しみのように思います。私自身、新内流しで催しに出た時は上調子を弾くことが多かったのですが、地方では最近すっかり弾く機会もなくなり、とても懐かしく聞きました。新内流しでは、ひんやりとした江戸の夜風を思わせるような転調の部分が特に良いと思いますが、いかがでしょうか。出来れば延治太夫さんの蘭蝶の一節も聞いてみたいものです。

新内流し.mp4

新内流しⅡ

新内流し

新内とありますが、こちらは都々逸ですね。よく新内をアンコで入れていた柳屋三亀松(みきまつ)の芸を思い出させます。

滝の白糸(新内入り) 石川さゆり 1988年
泉鏡花の「滝の白糸」と言えば、岡本文弥さんが曲を付けていましたが、石川さゆりさんのこの歌は小説とは直接関係ないように思います。冒頭で歌われているのは「蘭蝶」のサビの部分(縁でこ)の一節。泉鏡花には新内の曲が付けられた作品が幾つかあります。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2010年12月 | トップページ | 2011年2月 »