チャールダーシュの踊り
そろそろハンガリーの方へ戻ります。大晦日にブラームスのハンガリー舞曲を見ましたが、それらの原曲はその頃実際に演奏されていたハンガリーの民族舞曲チャールダーシュが多かったようです。ユダヤ系ヴァイオリニストのエドゥアルト・レメーニの伴奏者として演奏旅行に同行したブラームスは、レメーニからロマの民族音楽を教えられて魅了され、その時に採譜したメロディを元にピアノ連弾のハンガリー舞曲集を書いたのでした。ブラームスがハンガリーの民族舞曲と信じて採譜したそれらの曲は、実は純粋なジプシー音楽でも純粋なハンガリー(マジャール)音楽でもなく、その両方が混合した音楽でしたが。(それぞれの純粋な音楽については、また後日取り上げる予定)他にも同様なジプシー風主題の入った例としては、ピアノ四重奏曲1番の終楽章(シェーンベルクの管弦楽編曲でも有名)もよく知られていると思います。
《ハンガリー舞曲集》ですが、ウィキペディアによると、第11曲、第14曲、第16曲の主題は、完全にブラームスの創作であったらしいとのこと。これは初めて知りました。と言う事は、先日取り上げた5番、1番、17番には原曲があったのだろうと推測されます。しかし、チャールダーシュというのは作者不詳の形で伝承されているメロディが多いようで、19世紀にブラームスが聞いた頃のメロディを辿るのは、今では難しそうです。1番や17番を愛好する者としては、残念ですが(笑)
今日はチャールダーシュの踊りが実際どんな風に踊られているか、を少し追ってみました。
Hungarian Dance
コーラスも入った組曲風なステージで様々な踊りが披露されます。チャールダーシュや例のポントゾーらしき踊りも。ここではロマ音楽はハンガリー民族音楽の中に渾然一体となっています。
Cigánycsárdás (Gypsy Csárdás)
Archival film of the Gypsy Csárdás from the village of Nagypalad.とあります。そんなに古いかどうかは不明ですが。3本目がマジャール化するとこんな感じになるのでは。
Cigány tánc (Gypsy dance)
こういうジプシー・ダンスがチャールダーシュのルーツなのでしょう。ブラームスの曲のような「ハンガリーらしさ」はここにはほとんど感じられません。むしろ東欧諸国のロマ音楽との共通性が感じられます。
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