ボックス・チェロ ガルドン
やはりガルドンに注目が集まったようですので、他の映像も少し見ておきたいと思います。西洋音楽を知っていれば驚くことは必至だと思います。私もチェロを弾く者として最初大変に驚きました(笑) このチェロの形の不思議な打楽器について、私も一部執筆担当したユーロ・ルーツ・ポップ・サーフィン(音楽之友社)の茂木健氏の解説に以下のように出ていました。楽器の由来と調弦などについての抜粋です。
異形の美姫
ガルドンを使用してきたのは、トランシルヴァニア東部のチーク県の人々、そしてカルパチア山脈を越えた東側、モルダヴィア(モルドヴァ)に長く孤立してきたハンガリー人の集団だという。チャーンゴーと呼ばれる後者は、カトリック信仰を持ち、ハンガリー語の古い形態と独特の習俗を伝承してきたことでも知られている。~まったく丸みのない低いブリッジの上に、同じ太さの弦が3本乗せられ、同音にチューニングされる。やや細い4本目の弦は、他の3本の弦のオクターブ上だ。この4本目の弦は、ブリッジに乗せられず、ブリッジの脇に落とされながらテイルピースに直結されている。~右手に持った棒で、3本の弦を曲のビートに合わせて叩きながら、左手で4本目の弦をはじいてアフター・ビートを強調する。~
指板があって弦を張ってあるのに、押さえることを全くしないのは何とも不可解です。チェロにも弦を叩く奏法はありますが、低音で響きが豊かなことから思いついたのでしょうか。チーク県とチャーンゴーで、ということですが、ジメシュは近くになると思います。前に取り上げたグループ、チーク・ゼネカルのチークと思われますが、セーケイの別名か、少し西に位置するセークのことなのかと思ったりもしましたが、どちらでもないようです。チーク県とは、トリアノン条約以前のオーストリア・ハンガリー帝国時代の県名でしょうか。今の行政区分で言えばHarghitaの東部辺りになるのではと思われます。ジメシュとは、一昨日の解説とずれますが、チークの中心(あるいはそのもの)なのでしょうか。
428 Gyimesbükk Slow Czardas "Tatros partján" Lassú csárdás
ジメシュのスロー・チャールダーシュとあります。
Lakodalmi muzsika Gyimesben / Hungarian Wedding in Gyimes
ジメシュの結婚式でのフィドルと肩掛けガルドン
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