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2011年2月

2011年2月28日 (月)

メータ

メータと言うとクラシック・リスナーの方は、真っ先にパールシー(インドのゾロアスター教徒出身)の指揮者ズビン・メータを思い浮かべると思いますが、ハンガリーのメータはタンツハーズ運動後に登場した結成20年以上になるグループ。ムジカーシュやテーカなどと並んで老舗グループの一つです。
CDですが、古くはARC、数年前にFolk Europaから20周年記念の20 Ev Meta - Eljott Az Oromがありました。特に後者での歯切れ良い演奏と優秀録音は特筆ものだったと思います。女性プリマーシュ(ヴァイオリンのトップ)が目を引きますが、この人はハンガ リー国立民族舞踊団の舞台での演奏を担当しているそうです。曲によってクラリネットやバグパイプが入って、地方色を出しています。

Szabad madár - MÉTA együttes - DunaTV Élő népzene - részlet - 3.

エルデーイ音楽のベーシックな編成。

A MÉTA zenekar koncertje 1

Méta - Ördöngös-füzesi muzsika

Salamon Beáta & MÉTA - Sárközi - Élő népzene - DunaTV - részlet 4.

méta zenekar táncház-1992-10-30.

1992年のタンツハーズでの演奏。

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2011年2月27日 (日)

ハシッド・ラコダルミ・タンツ with Cioata

そろそろ他のグループか、西シベリア(ハンガリーの言語的ルーツ)も考えていますが、ムジカーシュで出てくる映像にまだまだ興味深いものがありまして、特に今日の一本目などは絶対外せない素晴らしい内容でしたので、関連映像と一緒に上げておきます。
93年のムジカーシュ&マルタ・セバスチャンの名盤「マラマロシュ~トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽」については何度も触れていますが(近くでは2月13日)、出てきた曲としてはSzol a kakas marについてがほとんどでした。今日の一本目は同アルバムの一曲目Chasid lakodalmi táncokの映像。訳せば「ハシッド派の結婚式の踊り」となります。戦前まではトランシルヴァニア北部のマラマロシュ(マラムレシュ)には多くのユダヤ人楽士(クレズマー 複数はクレズモリーム)がいて、彼らのほとんどはホロコーストで亡くなってしまいましたが、当時彼らと一緒に演奏していたゲオルゲ・コヴァーチ(Gheorghe Covaci)と数人のロマ音楽家がクレズマー達のユダヤ・ナンバーを現在も記憶していて、ムジカーシュのメンバーが彼らから伝授された曲を元に「マラマロシュ」は生まれました。中でもこのChasid lakodalmi táncokが、一番ハシディックらしい律動を感じさせる曲です。

Muzsikas: Chasid Dances with Cioata

ムジカーシュのシポシュ・ミハーイと向き合ってのワンポイントレッスン風景? 青いセーターの老人がGheorghe Covaci氏で"Cioata"は愛称。ゲオルゲ叔父さん、笑顔がもう最高! Muzsikas collect old tunes from an old Gypsy village musician Gheorghe Covaci, "Cioata". He was a great musician played together with Jewish musicians before the War. He remembered numerous Jewish tunes, many of them considered to be unknown earler.

Muzsikás - Chasid Wedding Dances

アルバム「マラマロシュ」からChasid lakodalmi táncok

Tropotita / Dance from Maramures

こちらもGheorghe Covaciの演奏ですが、マラムレシュのルーマニア音楽のようです。これも大変に素晴らしい演奏。

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2011年2月25日 (金)

ムジカーシュとサトゥマール

ムジカーシュのサトゥマール音楽があればと思って探してみました。Muzsikas Szatmariで2本出てきましたが、確かにサトゥマール関係なのかどうか今ひとつ分かりません。しかし、どちらも興味深い映像でしたので、上げておきます。
一本目は確かにヴェルブンクにも聞こえますし、男性の踊りはそのもののように思えます。カロタセグやジメシュとは音楽、踊り共に、まるで違うなという印象です。それにツィンバロムがエルデーイでは入ることが少ないように思います。これまで何故か見当たらなかったムジカーシュとマルタ・セバスチャンの共演映像、そこにバラネスク・カルテットのアレクサンダー・バラネスクが加わっています。これも見物。バルトーク・アルバムの頃のセッションのようです。
2本目は前にサトゥマールで見ていた時に楽器名の分からなかったツィター系の楽器の弾き語りです。この楽器の名前はツィテラ(citera)でした。フィンランドのカンテレやオーストリアのツィターに近い楽器だと思いますが、弾き語るところは日本の筝弾き語りともイメージが幾分ダブります。

Sebestyen Marta 02

Sebestyén Márta, Muzsikás és Alexander Balanescu a Bartók Album túrnéja alkalmából Franciaországban is bemutatott rövidfilm egy részlete.

Baranyai Népdalok

Berta Alexandra citera, ének
Here is some amazing new Hungarian vocal talent. Hungary is the only country in Central and Eastern Europe to teach its oral and folklore tradition in a prestigious institution of higher learning such as the Liszt Ferenc Academy. This is especially important today since increasing urbanization means we are now in the 24th hour for preserving centuries of tradition and culture.

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2011年2月24日 (木)

イフユ・ムジカーシュ

イフユ・ムジカーシュ(Ifju Muzsikas)は英語ならヤング・ムジカーシュとなり、ハンガリー・トラッドの雄ムジカーシュのメンバー、チョーリ・シャーンドル中心に、彼の息子を含む4人のメンバーからなるグループです。98年にFonoからEgyというアルバムが出ていました。
ジュニア世代が芸をしっかり継承してくれるとは、お父さんたちもさぞ喜んだことでしょう。1本目は一番古い映像でしょうか。演奏も硬いし、見た目はまだ少年という感じです。しかし、こんな小型のコントラバスがあるんですね。チェロと大して変わらないです。ついそんなことが気になってしまいました(笑)

Ifj. Muzsikás Együttes: Ördöngős füzesi táncdalok

Ifjú Muzsikás együttes: Székvárosi halastó ..., Nem loptam én ...

09年のタンツハーズでの演奏風景。

Ifjú Muzsikás együttes - Lenn a Tiszán / Magyar Vár

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2011年2月23日 (水)

飛べよ、孔雀よ Repülj páva repülj

ないなと思っていた代表的なハンガリー民謡「飛べよ、孔雀よ」の映像がひょんなことから見つかりました。筆者がこの歌を初めて聞いたのは70年代末頃の谷本一之氏のラジオ放送で、その不思議な曲名がずっと頭にありましたが、例の横井さんのダンスハウス(タンツハーズ)に関しての著作で、タンツハーズ運動前夜の69年に「飛べよ、孔雀」コンクールという民謡の合唱コンクールがあったことを知りました。シェベーとハルモシュも出場したそうですが、このコンクール以降、その流れを汲む民謡を合唱で歌う動きは「孔雀サークル」と呼ばれるようにもなったとのこと。
「飛べよ、孔雀よ」は、マジャール人の故地に近いヴォルガ中流域のチェレミスの民謡にも似た印象の淡々とした五音音階の民謡で、言語面だけでなく音楽的にもアジアに繋がる民族であることを証明する例として知られ、コダーイはこの曲を元に管弦楽曲「孔雀の主題による変奏曲」を書いています。谷本氏の放送によると、「政治犯が牢獄の窓から自由の証しとしての孔雀が舞い降りるのを見る」という内容の歌とのことで、現在もハンガリー人の心を象徴している代表的なハンガリー民謡なのでしょう。
ムジカーシュで見ていると、この民謡にそっくりなタイトルの歌(4本目)を見つけました。訳すと「飛べよ、鳥よ」となるでしょうか。どちらも日本人にもどこか懐かしげに感じられる、かなり似た雰囲気のメロディのように思います。

Csík János, Szokolay Dongó Balázs - Repülj páva repülj

長尺のフルヤ伴奏による「飛べよ、孔雀よ」

Röpülj páva...

Palya Bea & Szokolay Dongó Balázs - 2010.09.25. - Fonó
一緒に検索結果に上がってきました。曲調は似ていますが、どうでしょうか。

Muzsikás: Repülj madár, repülj (Fly Bird, fly) + pics of Hollókő (read the info)

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2011年2月22日 (火)

ムジカーシュのエルデーイ音楽

昨日はバルトーク関係のムジカーシュの演奏を見ましたが、今日は他の映像で特徴的なところを拾ってみました。ハンガリー・トラッドで一番有名なグループですから、youtubeも500近くあります。これまで見てきたように、ジメシュもカロタセグも、エルデーイのハンガリー文化の中心地で、ムジカーシュの演奏はやはりエルデーイが多いようですが、サトゥマール関係などもあったら見てみたいものです。

Gyimesi népzene - Muzsikás, Szentendre, 2009. aug. 8.

近年は彼らのジュニア世代のイフユ・ムジカーシュ程には定期的に活動してないようですが、これは09年ですから最近の映像です。ガルドン伴奏のジメシュ民族音楽ということですが、冒頭ラコッツィー行進曲の一節から始まります。この演奏、シポシュ・ミハーイ氏のフィドルの音がいつにも増して美しく聞こえます。いつも思うことですが、彼はちょっと大泉滉に雰囲気が似てるような(笑)

Muzsikas with fantastic violinist "Neti" : Kalotaszeg music -1

2月10日にアップしましたカロタセグのロマのフィドル名人フォドル・シャーンドル(ニックネームはネッティ)との共演。こちらが一本目。ムジカーシュもネッティなどエルデーイの名人の模倣から入ったのだと思いますから、師匠と弟子の共演と言えるのかも。

Muzsikás együttes - Kalotaszegi legényes

ムジカーシュの演奏するカロタセグ音楽。

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2011年2月21日 (月)

ムジカーシュとルーマニア民俗舞曲

いよいよハンガリー・トラッドの代表的なグループとして知られるムジカーシュの番です。前にマラマロシュ(副題「トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽」)については度々触れましたが、同じ90年代前半に出た彼らのもう一つの代表作に、「バルトーク・アルバム」がありました。現在行方不明で詳細がすぐに分かりませんでしたが(笑)、あの作品以来バルトークの曲と彼らの原曲演奏のジョイント・ステージが度々催されたようで、youtubeもいくつかあります。今日はそれらを上げてみました。
有名なルーマニア民俗舞曲も、エルデーイ(現ルーマニア領のトランシルヴァニア)のハンガリー音楽が元になっているようです(もしかしたら同地のルーマニア人の音楽も入っているのかも知れませんが)。だから、タイトルに「ルーマニア」とあるからと言って、ワラキアのタラフ・ドゥ・ハイドゥークスにとってよりも、ハンガリーのムジカーシュの方がより身近なのだろうと思います。私事ですが、中学頃にこの曲辺りから民族音楽の旅に出た訳ですから、大変に思い出深い一曲です。

Muzsikás: Gyimes music and Bartók: Dance Suite

ジメシュのハンガリー音楽とバルトークの舞踏組曲の比較。前に見たように、フィドルとガルドンのスタイルはジメシュ音楽の典型でした。

Muzsikás: Bota and Invertita / Themes from Bartók's Rumanian Folk Dances

当店でも何度かルーマニア民俗舞曲の原曲の音源はないか?と問い合わせを受けたことがありますが、これはその原曲の一つ。6曲からなる組曲ですが、冒頭の棒踊りの原曲とバルトークのルーマニア民俗舞曲が続けて演奏されます。

Muzsikás and Jenő Jandó: Romanian Folk Dances

この曲はやはりピアノ版でよく知られていると思います。イェネー・ヤンドーのピアノとムジカーシュの共演。中で出てくる笛はフルヤ。

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2011年2月20日 (日)

更にSebő együttes

そろそろムジカーシュとかの方に行こうと思っていましたが、Sebő együttesが予想以上に素晴らしく、更に面白い映像が見つかりましたので、3日連続ですがアップしておきます。ハンガリーのタンツハーズ運動の御大二人と言って良いのだろうと思いますが、ハンガリーだけにこだわらず、広い音楽的視野を持っているのがよく分かります。しかも単なるミクスチャーに終わらず、一本筋が通っています。シェベーの多芸振り、ハルモシュのエルデーイの現地フィドル名人張りの演奏、どちらにも目を見張ります。マルタ・セバスチャンが右に座っているのを忘れるほどの存在感(笑) 彼らの年代故でしょうか。70年代を濃厚に感じさせる部分が今でも残っているように思います。

Sebő együttes - Szerelem, szerelem & Hol jártál az éjjel

冒頭のアカペラ二重唱から聞かせます。

Sebő együttes - Ugrótáncot jókedvemből

シェベーはここではハーディーガーディー(手回しヴァイオリン)を披露。タパンのような打楽器が入っていますが、これも一時オスマン帝国に入っていたハンガリーですから、おかしくはない訳です。

Sebő együttes - Tiszta szívvel

ルーマニアのパンパイプ(ナイ)も入った一曲ですが、これはどこの音楽になるのでしょう?

Sebő Ferenc / József Attila - Hetedik

75年のシェベーとヨーセフ・アッティラ。この頃から強烈です(笑)

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2011年2月18日 (金)

シェベーとハルモシュ

シェブー・フェレンツと ハルモシュ・ベーラの映像は、シェベー(こちらの表記の方が近いように思います)のグループ(エジュッテシュ)での映像はまだまだありましたので、今日はそれらを中心にアップしておきます。タンツハーズ初期の重要人物ですが、最近の歌手との共演も色々あります。シェベー氏は、立てて弾く伴奏ヴァイオリン(もしくはヴィオラ)だけでなく、ギターや口琴まで聞かせるマルチインストゥルメンタリストでした。特に口琴のテクニックと美しい音色には驚きました。

Sebő együttes - Lydiához

若手実力派女性歌手ベアタ・パヤとの共演。

Sebő együttes - Úgy néztem

口琴ソロに始まり、マルタ・セバスチャン(シェベシュティエーン・マールタ)登場。ハンガリーの歌姫と言えば、まずこの人です。よく見るとシェベーの左にいるフィドル走者はハルモシュのようです。

Sebő együttes - Harmatocska

年末に見た女性ヴォーカル・トリオの一人Bognár Szilviaが歌、マルタは笛(フルヤ?)担当。ブズーキやバグラマのような弦楽器も見えますが、その通りのバルカン的な音楽です。

Sebő együttes - Este fél kilenckor

そして、これはオリエンタルまたはスパニッシュな印象の一曲。あるいはセファルディーの歌でしょうか?

 

4 halmos bela

昨日の一本目でフィドルを弾いていた長髪のハルモシュの、若い頃の映像でしょうか? ここではジョン・ケールには似てませんが(笑) イスラエル・フォークに少し似た感じの歌唱です。

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2011年2月17日 (木)

シェブー・フェレンツと ハルモシュ・ベーラ

20世紀初頭からのエルデーイでのフィールドワークの時期~パートリア音源の登場を経て、70年代のタンツハーズ運動に入っていきましたが、このムーヴメントの中心となっていたバル トーク舞踊団のゼネカル(楽団)の二人、シェブー・フェレンツ(Sebo Ferenc) と ハルモシュ・ベーラ(Halmos Bela)の映像はないか、探してみました。若干ですがありました。彼らはタンツハーズ運動のパイオニアで、ムジカーシュやテーカ、メータより先輩の音楽家になります。バルトーク舞踊団には、マルタ・セバスチャンも参加していたようです。
パートリアのシリーズの新しいものと思われる地方別ハンガリー伝統音楽集、ウイ(新)・パートリアというシリーズがFonoから出ています。タンツハーズについては、横井さんの昨日上げた著作に加えて、2月10日に少し触れましたパプリカ通信の鈴木仁氏の記事が大変参考になります。

Sebo - Halmos, Eri, Sebo

どこかVUのジョン・ケールに似た雰囲気が漂っています(笑)

Halmos Béla: Legényes

Sebő Ferenc - Sólyomének (Falcon Song) by Márta Sebestyén

独唱の一人にマルタ・セバスチャンも出ています。

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2011年2月16日 (水)

コダーイ・メソード

では、コダーイ・メソードの教育法とは何かについて少し見てみたいと思いますが、ハンガリー音楽の専門家、横井雅子氏の著書「伝統芸能復興」(アーツアンドクラフツ)によると、「人間が持つ声という“楽器”をしっかり訓練することで内的な耳を養い、同時に声によって音楽的表現をさせようというもの」であり、「母語を最もよく表現する民謡、もともと身の回りにあった音楽である民謡、自分が住む社会と関わってきた音楽としての民謡」が最重要と考えました。そこでは何よりも母語のハンガリー語で歌われることが重要になってきます。
コダーイは自作の中にハンガリーの真の民謡を取り入れた合唱曲も沢山書いていますので、戦後ハンガリーの音楽教育の中では合唱や歌うことを中心とした教育法が推し進められ、結果多くの国民が沢山の民謡を記憶しているという状況が生まれました。前に少し触れたハンガリー民謡によるコダーイの作品「飛べよ、孔雀よ」もその中で歌われた代表的な一曲です。
しかし、発声は地声ではなく西洋式であったり、平均律にない微妙な音程(微分音)もなくなっていたり、本物の香りが薄れていましたから、本物の演奏を求めてエルデーイなどでのフィールドワークで出会った各地の筋金入りの音楽家の演奏からは強烈なインパクトを受けることにもなり、それがフォーク・リヴァイヴァルの大きな起爆剤になった面もあるようです。
コダーイ・メソードと同じ方法が戦後日本でも取られていたら・・(もちろん日本の場合は日本の民謡で)、と楽しい想像してみたりもしますが、今よりは色々と良い方向に向かっていたのかも知れません。小中学校の音楽教育に邦楽器が取り入れられたり、最近阿波踊りが少し話題になったりしているのも、方向性としては喜ばしいことだと思います。

Kodaly: Magyarokhoz

Kodály: Magyarokhoz

Kodály: Túrót eszik...

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2011年2月15日 (火)

ダンスハウス(タンツハーズ)

ハンガリーのフォーク・リヴァイヴァルの中心になったダンスハウス運動についても、色々と映像があります。ムジカーシュやメータ、テーカなどの有名なトラッド・グループも、ダンスハウスの伴奏グループとして登場しました。1970年代に興ったこのムーヴメントは、もちろん何もない所に急に出ててきた訳ではなく、バルトークやコダーイの流れを汲む音楽活動がベースに脈々と行き続けていたからこそのもので、とりわけコダーイ・メソッドの教育システムが大きい役割を果たしたようです。ダンスハウスのコンピレーションがハンガリーのレーベルHAGYOMANYOK HAZAから毎年出ていますが、新人グループの登竜門にもなっているのでしょうか。地方別に特色のある踊りが披露され、各地方の専門の踊り手がいるかと思えば、全くの一般人が踊っている映像も沢山あります。

Gyimes tanchaz

ジメシュのダンスハウス

Tanchaz Szilagyzovany 2010.05.08

Dances from Magyarpalatka-MetroFolk-Tanchaz, apr. 13, 2008

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2011年2月14日 (月)

Szatmári verbunkos

またサトゥマールか、と言われそうですが、この地方の音楽はとても魅力的で更に色々見つかりますので、今日もサトゥマールで(笑) 何度も取り上げているこの長調のヴェルブンクですが、都会のチャールダーシュと聞き紛うような洗練された旋律だなぁといつも思います。それが北東部の田舎で踊られているという事実。実に興味深いです。
グループによって装飾やアーティキュレーションが異なり、続けて演奏される曲も異なり、飽きさせません。サトゥマールのますらお振りとでも形容できそうな、男踊りの似合うカッコイイ曲だと思いますが、いかがでしょうか。ヴァイオリンなら冒頭はスルG(一番下のG線のみ)で弾きたいメロディです。

Szatmári táncok - Tisza-Folk Nyári Népzenei Tábor 2010

最近アップされたばかりの舞踊付き映像。ツィターのような楽器が気になりますが、少年少女の踊りがまた良いです。床が響くので、ステップの強調する箇所がよく確認できました。後半は「エチェル村の結婚式」収録の曲が登場。

Szatmári verbunkos, csárdás és ugrós

Tükrös Együttes(テュクレーシュ・エジュッテシュ)の演奏。ここではヴェルブンコシュとなっています。このグループのCDはいくつかハンガリーコーナーに出ております。Együttesはゼネカル(楽団)と近い意味合いだったと思います。タイトルは訳せば「サトゥマールのヴェルブンコシュ、チャールダーシュとウグローシュ」ですが、ウグローシュというのが不明。

Szatmári verbunk

似てますが、少しパラフレーズされた感じの旋律です。

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2011年2月13日 (日)

サトゥマールのフィドルとSzól a kakas már

サトゥマールの音楽と言えば、フンガロトンの「サトゥマール地方のハンガリー音楽 Szatmari Bandak」(残念ながら廃盤のようです)をどうしても思い出しますが、その中には一昨日の一本目のヴェルブンク(チャールダーシュとも言えるようです)が2曲目に入っていて、更にはムジカーシュ&マルタ・セバスチャンのハンニバルからの名盤「マラマロシュ(トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽)」の白眉ソール・ア・カカシュ・マールも入っています。マラマロシュ(現在のルーマニア北部のマラムレシュ辺りのようです)に伝わっていたユダヤの哀歌は、迫害によって歌そのものの主を失ったようですが、この地のロマの音楽家によって記憶されていたというもの。この余りに印象的なメロディは、西に隣接するサトゥマールでも伝承されたのでしょう。一昨日見た舞踊も古いスタイルを保っているように思いました。
この地方、ハンガリーの民族音楽学者の間では「Hungary`s Transylvania」と形容もされるようです。その位この地方には古いハンガリー音楽の伝統が残っている所として知られています。
Szól a kakas márについては、ちょうど一年程前にもユダヤ音楽枠で取り上げました。「サトゥマール地方のハンガリー音楽 Szatmari Bandak」のライナーノーツは、Brave Old Worldのマイケル・アルパートも書いています。これは見逃せないポイントでしょう。
一昨日書いた「ウクライナのカルパチア西麓の地方名」とは、ルテニアでした。2008年2月12日にブログにも書いていました。

Keller Dániel - Szatmári egyveleg

素晴らしいテクニックのプリマーシュです。II. Prímásverseny Kecskemét 2009. Keller Dániel - Szatmári egyveleg. Folk Band Leader Violinist Competition, Kecskemét Hungary 2009. Hungarian music from Szatmar.

Bara zenekar - Szatmári muzsika

年末にハンガリーシリーズを始めた時に見た女性フィドラー(グループ名はバラ・ゼネカル)。サトゥマールのグループなのか、この地方の音楽をやっているのか、どちらかは不明ですが。

Muzsikás & Sebestyén Márta: Szól a kakas már - Pe loc

ムジカーシュ&マルタ・セバスチャンのSzól a kakas már 

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2011年2月11日 (金)

サトゥマールとサトゥ・マーレ

長らくハンガリー関係を見てきて、北東部のサトゥマール地方の男性の踊りのメロディが耳について離れません。沢山ありますので、いくつか秀逸なものを上げておきます。この地方はルーマニア北西部のサトゥ・マーレと向き合っていて、元は同じ地方だったのでしょう。ルーマニア側にはハンガリー系とルーマニア系の両方の音楽や踊りが確認できます。今日はその見比べになります。気になっているのがサトゥマールの東に接するウクライナのカルパチア西麓の地方名で、30年程前に覚えていたのに忘れてしまいまして・・(笑) その東のブコヴィナと接していたように思います。当ブログの初期にアップしましたTecsoi Bandaは確かこの辺りのグループ。ハンガリー系の音楽も聞かれる場所です。サンプルが見つかりましたらまた取り上げます。

SZATMÁRI CSÁRDÁS

これが件の曲。ここではチャールダーシュとなっていますが、下のようにヴェルブンクになっている場合もあります。

Szatmári verbunk

Tündérkert Néptáncegyüttes - Szatmári táncok

Szatmári táncok (Dances from Satu Mare County, Transylvania)

サトゥ・マーレのハンガリー系の踊りと音楽。これは珍しい映像でしょう。

Cecilia Bogza, la Satu Mare, 2010

こちらは明らかにルーマニア系の音楽です。

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2011年2月10日 (木)

カロタセグのフィドル・マエストロ

カロタセグに今は亡き2人のロマのフィドル・マエストロ、ラカ・アラダルとフォドル・シャーンドルがいましたが、フォドル・シャーンドルだけyoutubeが見つかりました。CDが現地で出ていまして、Laka "kicsi" Aladar Es Fodor Sandor "neti" / Kalotaszegi Nepzeneというタイトルで、カロタセグの伝承曲を演奏しています。kicsiとnetiというのは、それぞれのニックネームのようです。彼についてはパプリカ通信の2005年1月号が詳しいです。どこも長老の演奏というのは味がありますが、ネッティも正にエルデーイのハンガリー音楽の真髄を聞かせていた人です。

Kalotaszegi hajnali és csárdás - Fodor Sándor /Neti/

Fodor Sándor - "Neti Sanyi"

Fodor Sándor "Neti" - Kalotaszegi legényes mp3

Muzsikás: Kalotaszegi hajnali csardas es szapora

一本目と同じカロタセグのハイナリ?とチャールダーシュ、サポラを演奏するムジカーシュ。ハイナリとサポラというのが、どういうジャンルか不明です。

Fodor "Neti" Sandor & Muzsikas (ii)

そしてムジカーシュとの共演もありました。言うまでもなく、ムジカーシュはダンスハウス(タンツハーズ)運動の中から生まれた最も有名なゼネカル(楽団)。ワラキアのタラフとその長老だったネアクシュの共演を思わせる光景です。

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2011年2月 9日 (水)

カイ・ヤグ

今日は80年代末頃からハンガリーのジプシー音楽グループとして広く知られていたカイ・ヤグの映像を見てみます。当時はアルファエンタープライズからフンガロトンの盤が国内発売されていたと思います。あの頃は他に比較する同種の音源もなかったと思いますが、一貫してケレマスキ・ジリなどの農村ジプシー音楽のスタイルで歌っているグループです。缶の口を叩く音、口ベース(ダバッ、ディビッ....)が何と言っても特徴的。90年代から人気のアンド・ドゥロムとほぼ同じスタイルで、彼らの先駆と言えるでしょう。ただ、カイ・ヤグの方が、よりフォーク的な歌作りを強く感じさせます。
ところで、「東京の夏音楽祭」で来日した頃の「O Suno」(1995年)以来、カイ・ヤグの名前を聞かないような気がしますが。フンガロトン盤も入手難で、廃盤になったかも知れません。
彼らが北東部のサトゥマールのグループだというのは今回初めて確認しました。北東部出身という所が妙にひっかかります。それから、同じハンガリー・ジプシー音楽でも昨日のポッタ・ゲザとはまるっきり異なるタイプの音楽であることは、今日の映像でよく分かっていただけるかと思います。

Kalyi Jag Gypsy Song Romany Gypsy Culture

2 kalyi jag rolled song from szathmar

Kalyi Jag - Mori Shej, Sabina

Ando Drom - Na Kamel Ma

前に一度アップしましたが、アンド・ドゥロムも一本上げておきます。

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2011年2月 8日 (火)

Potta Gézaの至芸

チャールダーシュは都会(ブダペスト)で演奏される音楽というイメージが強いですが、田舎にもケレマスキ・ジリのような素朴な農村ジプシー音楽ではなく、チャールダーシュやヴェルブンコシュ系の音楽を演奏する人がいて、それがかなり印象的だと思います。そんなジプシー・ヴァイオリンの名手の一人にポッタ・ゲザという人がいます。Folk Europaから出ていたアルバムSzulettem mint primasは、とても素晴らしい内容でした。彼はスロヴァキアの国境に近い村に1933年に生まれたジプシー・ヴァイオリイストで、youtubeでも田舎の小編成のチャールダッシュやヴェルブンクが聞けます。正に歌うようなヴァイオリンですが、弾き語りも聞かせています。ヴァイオリン弾き語りと言えば、チェコのイヴァ・ビトヴァを思い出させますが、こういう伝統はこの辺りに昔からあったのでしょう。

Potta Géza és Pimasz

Potta Géza és zenekara - Csárdások simán (Születtem mint prímás)

上記のFolk Europa盤から

416 Potta Géza: györkei verbunk

Potta Géza mókázik a Zsigulival

418 Potta Géza: brácsásáról Pimaszról beszél

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2011年2月 7日 (月)

ビハリ・ヤーノシュ

フバイを取り上げたので、やはり19世紀に活躍したビハリ・ヤーノシュの音楽も見ておこうかと思います。ヤーノシュ・ビハリ (1764-1827)は、ジプシー・ヴァイオリン中興の祖にして後期ヴェルブンコシュ音楽の代表的作曲家。割と知られている話だと思いますが、90年代から大人気のロビー・ラカトシュは、ビハリ の直系の末裔の一人です。今日の一本目の映像は、ビハリが残した80曲余りの作品の中から5曲を選んでまとめられた「ビハリの思い出」(チャーンパイ編)という曲。この曲も例の「エチェル村の結婚式」に収録されています。ウィーン風のロマンティックな旋律とハンガリー音楽のエキゾチシズムが入り混じった魅力が感じられるかと思います。チャールダーシュ成立前の古き良き時代のハンガリー音楽と言えるでしょうか。

100 Violins - Hail to János Bihari - Live on an Hungarian TV

In Memoriam:Janos Bihari 3/1

ハンガリーのドキュメンタリー番組のようです。3本組

VERBUNKOS

ヴェルブンコシュの踊り。ビハリの曲ではなさそうですが。

Roby Lakatos kallai kettos

ロビー・ラカトシュがコダーイのカーロー民族舞曲(1月17日にアップしました)を弾いている映像がありました。日本でのライヴのようです。90年代にはこの辺はノーマークだったもので、知りませんでした。

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2011年2月 6日 (日)

バラトン湖の波 (フバイ~シゲティ)

ハンガリーのジプシー音楽を聴いていて時々はっとするような曲に出会うことがありますが、今日の「バラトン湖の波 (Hullamzo Balaton)」も哀愁味溢れるメロディがとても印象的な佳曲です。CDでもいくつか記憶がありますが、シャーンドル・ラカトシュなどが確か吹き込んでいたと思います。
作曲したのは19世紀の名ヴァイオリニスト&作曲家のイェネー・フバイで、本人はユダヤ系ドイツ人のようですが、名前もハンガリー風な表記に改め、書いていた曲がこれまたハンガリーの民族色豊かな曲が結構あります。彼はブラームスとの音楽活動で有名なヨーゼフ・ヨアヒムの高弟で、弟子にはあの名ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・シゲティもいます。
タイトルのバラトン湖はハンガリーだけでなく、中央ヨーロッパ最大の湖で、湖水浴を楽しむ観光地として知られますが、そういう面と、この曲の哀感とはイメージがかなり違うように思います。英語で「バラトンの思い出」と訳されていたこともあったので、その辺に秘密がありそうです。

Bokor János: Hullámzó Balaton tetején

バラトン湖畔でのジプシー楽団の演奏。歌入り。

Joseph Szigeti- Hubay: Hullamzo Balaton Op.33

何とシゲティの映像がありました。

Hubay Czardas No.3 for violin & orchestra

フバイはチャールダーシュも書いていました。弟子のヨーゼフ・シゲティの演奏。

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2011年2月 4日 (金)

H mol Csardas

昨日は「エルデーイとハンガリー本国のフィドル・テクの比較」と題しながら、本国の方が少なかったので、チャールダーシュの代表曲の映像で追ってみたいと思います。今日のタイトルは「ロ短調のチャールダーシュ」という意味ですが、これは例の「エチェル村の結婚式」収録のチャールダーシュで、作曲者不詳ですがジプシー達の間で弾き継がれてきた有名な旋律です。この盤の中ではハ短調で演奏されています。youtubeも探せばかなりあります。ヴァイオリンの名人芸の切れ味もさることながら、低弦のビートと迫力も聞きもの。
こういうジプシー楽団の名人芸的演奏は、本当のハンガリー音楽(5音音階の民謡に代表される)でも、また本当のジプシー音楽(ケレマスキ・ジリやメセラキ・ジリ)でもないとバルトークやコダーイが主張するまでは、フランツ・リスト(ハンガリー狂詩曲を書いた名ピアニスト&作曲家)の誤った見解が通用していた訳ですが、それでも一種の混成音楽としてのチャールダーシュ自体の魅力は、これはこれでいささかも変わることはないと思います。哀愁美が迸る深い表情は、この音楽特有のものでしょう。
18世紀頃からヨーロッパ中を演奏旅行していたジプシー楽団の妙技を聞いて衝撃を受けたスペインのサラサーテがツィゴイネルワイゼン(これはもろチャールダーシュ)を書き、ドイツのブラームスがハンガリー舞曲集を書き、そしてイタリアのモンティが「チャールダーシュ」を書いた、それらは確かな事実です。
この曲は、ツェー・モル(ハ短調)で弾かれることが多い曲ですが、ハー・モル(ロ短調)や、アー・モル(イ短調)で弾かれることもあるようです。

c-moll csárdás

これは唯一「エチェル村の結婚式」の演奏に近いアレンジ。

Gipsy music c moll csárdások

H mol csardas (Budapest Gypsy Symphony Orchestra)

これだけ大編成の演奏も珍しいでしょう。

Roby Lakatos Galaspektakel Gypsy Csardas

ロビー・ラカトシュがいないのが残念ですが、ツィンバロム中心でこのチャールダーシュを演奏しています。

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2011年2月 3日 (木)

エルデーイとハンガリー本国のフィドル・テクの比較

色々見てくると、ハンガリー音楽においては、やはりフィドル・テクニックの面白さが際立ちます。それぞれ似ているようで、地方によってその違いは万華鏡のように変わります。エルデーイの素朴で荒削りなテクニックが、どういう風にブダペスト中心のチャールダーシュにおいてあのように洗練されていったのかが興味の焦点ですが、それを解明するのは難しいのかも知れません。おそらくオーストリアなどのドイツ語圏の音楽の影響を受けたのでしょうが、そのブレンド具合が絶妙だと思います。(不思議なことにラカトシュ以外の本場チャールダーシュは日本では余り人気がないように思いますが、何故でしょうか。思うに、歌入りが多いので歌詞が重要になってくる点かも知れません)
と言う訳で、今日はエルデーイとハンガリー本国のフィドル(ヴァイオリン)テクニックをなるべくソロ中心に少し見比べてみましょうか。これまでこのシリーズで見てきたグループや地方名、踊りの名前などが続々と登場します。

Székely verbunk Levestől (Szászcsávás band) - XVI. Székelyföldi népzene- és néptánctábor

サースチャーヴァーシュ・バンドのメンバーによるセーケイのヴェルブンク。この磨きぬかれたテクニックを間近で見ると、凄いとしか言いようがないです。ヴェルブンクのあの激しいステップとヴェルブンコシュの勇ましい様子もダブって聞こえます。

Kommandó Kocsma Part 3 of 4

これも凄いですが、ここまで松脂をこびりつかせてるのも滅多に見ません。上の方は真っ白です(笑) Csányi Sándor accompanied by his son Alin (viola) (members of the Szászcsávás Band from a village in Erdély (Transylvania) と解説にあります。チャーニ・シャーンドルがサースチャーヴァーシュ・バンドのメンバーなのでしょう。立てて構える伴奏のヴィオラ(ヴァイオリンのことも多いですが)は強烈な重音を出し易いように変則調弦らしいです。

Verbunk - Alcsíki prímás / Szekler Hungarian fiddler

セーケイ(チークかも)のフィドラーが演奏しているのは、チークのヴェルブンク他。フレーズ的に少しユダヤのクレズマーに似ています。解説にverbunk tunes from Csík County and Homoródalmás/Mereşti (Udvarhely County)とあります。後者については不明。

Prímásverseny - Boda Gellért

これは都会のチャールダーシュ風な演奏ですが、エルデーイを思わせる小編成になっています。チャールダーシュの洗練された憂愁美の後ろに、ルーツの荒削りなフィドリングの片鱗が見えます。ハンガリー中部のケチケメトでの09年のコンペティションの模様のようですが、何とハンガリー系住民の多いスロヴァキアのAbaújszinaのハンガリー音楽でした。

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2011年2月 2日 (水)

セークのフィドルと踊り

非常に紛らわしいのですが、セークとセーケイは異なる場所になります。どちらも同じエルデーイ(トランシルヴァニア)のハンガリー系住民の多い所で、youtubeもたっぷりとアップされています。
セークはビストリツァの近くでしょうか。交通不便の地のため、最も古くて正統的なハンガリー文化が豊かに継承されている所として知られます。セークと言えば、例の「エチェル村の結婚式」に、セークの音楽(グヤーシュ編)という秀逸な組曲がありました。この中の曲は、1940年代にライタ・ラースローが現地収録したセーク・コレクションから選ばれています。谷本一之さんの解説によると、セークはエルデーイの首都コロジュヴァールに近い塩田のある村だそうです。
しかし、セークのラッスーとブダペストのチャールダーシュのラッスー、どちらも同じルーツにあるのでしょうが、相当に異なる印象を受けます。フィドルの音色とエルデーイらしいメロディアスなフレーズは特徴的です。

370 Slow hungarian dance music Szék "lassú" tánc

セークのフィドラーによるラッスー(ラッサン)。木彫り細工のような荒削りな味わいがエルデーイのハンガリー音楽にはあります。

Széki: tempó, magyar, lassú
セークのラッスーの踊り。何本かだけ見て判断するのは難しいとは思いますが、踊りの動きだけでなく、セーケイとは衣装も随分違った感じに見えます。杯のような男性の帽子が特徴的です。「エチェル村の結婚式」収録の「セークの音楽」に入っていたと思われる曲も出てきます。

Szalmakalap táncegyüttés Szék - porka és hétlépés

こちらもカラフルなセークの踊りが間近で見られる一本。ポルカとヘートレーペーシュとありますが、後者はSeven Stepsの意味のようです。

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2011年2月 1日 (火)

セーケイの音楽と踊り

ジメシュの西隣のセーケイ地方の音楽を見てみたいと思います。大分前にアップしたことのあるポントゾーのような男性の踊りが目立ちます。その陽気さは、トランシルヴァニアについての一般的な先入観を覆すものかも。
セーケイ人(ルーマニア語ではセクイ人)はトランシルバニア東部のセーケイ地方に住んでいるハンガリー系住民ですが、彼等の起源は諸説あって、アッティラが率いたフン族の子孫という古い説、また別な遊牧民族アヴァール起源説というのも登場しているようですが、どれも伝説の域を出ず、いずれにしても彼らは自他共に“ハンガリー人の中のハンガリー人”と呼ばれているとのこと。マジャールの古い文化を最も色濃く残す場所の一つです。
そもそもハンガリーのフン族語源説(Hun-gariaの綴りから明白なように)がある位ですから、フン族の子孫という説が出てきても不思議でないような気もします。セーケイについての説は小説「ドラキュラ」にも記述がありまして(つまりドラキュラ冒頭の舞台でもありますが)、「セーケイ人自らフンの後裔だと語っている」とありました。この辺りは19世紀末には知られていた話なのでしょう。マジャールとフンは、実際は別な民族で、前者がウラル系~フィン・ウゴル~ウゴルと枝分かれする系統なのは前にも書いたように明らかですが、フンは民族の系統が分かっていないようです。

Szekely

Felcsíki székely verbunk és féloláhos Táncháztalálkozó 2010 / Szekler Man's Dances

セーケイのヴェルブンク。ここでもガルドンが使われています。

Kodály Zoltán Székely fonó (A csitári hegyek alatt)

セーケイ民謡に基づくコダーイの声楽作品。

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