ムジカーシュとルーマニア民俗舞曲
いよいよハンガリー・トラッドの代表的なグループとして知られるムジカーシュの番です。前にマラマロシュ(副題「トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽」)については度々触れましたが、同じ90年代前半に出た彼らのもう一つの代表作に、「バルトーク・アルバム」がありました。現在行方不明で詳細がすぐに分かりませんでしたが(笑)、あの作品以来バルトークの曲と彼らの原曲演奏のジョイント・ステージが度々催されたようで、youtubeもいくつかあります。今日はそれらを上げてみました。
有名なルーマニア民俗舞曲も、エルデーイ(現ルーマニア領のトランシルヴァニア)のハンガリー音楽が元になっているようです(もしかしたら同地のルーマニア人の音楽も入っているのかも知れませんが)。だから、タイトルに「ルーマニア」とあるからと言って、ワラキアのタラフ・ドゥ・ハイドゥークスにとってよりも、ハンガリーのムジカーシュの方がより身近なのだろうと思います。私事ですが、中学頃にこの曲辺りから民族音楽の旅に出た訳ですから、大変に思い出深い一曲です。
Muzsikás: Gyimes music and Bartók: Dance Suite
ジメシュのハンガリー音楽とバルトークの舞踏組曲の比較。前に見たように、フィドルとガルドンのスタイルはジメシュ音楽の典型でした。
Muzsikás: Bota and Invertita / Themes from Bartók's Rumanian Folk Dances
当店でも何度かルーマニア民俗舞曲の原曲の音源はないか?と問い合わせを受けたことがありますが、これはその原曲の一つ。6曲からなる組曲ですが、冒頭の棒踊りの原曲とバルトークのルーマニア民俗舞曲が続けて演奏されます。
Muzsikás and Jenő Jandó: Romanian Folk Dances
この曲はやはりピアノ版でよく知られていると思います。イェネー・ヤンドーのピアノとムジカーシュの共演。中で出てくる笛はフルヤ。
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コメント
フルヤ。
声を出しながら吹くというのは、こうやるんですね。
この笛、見たことがあると思って、探してみたら、前に見たことがある、ブログに同じような笛がありました。
http://blog.goo.ne.jp/futsufutsu_taro/e/5cd165670c25cd4cf93040fe38ce80df
「ブコヴィナのカヴァル」と、書かれてありました。
また、今回の動画の1:58あたりでは、管裏に「風路」の出口が見えたようです。
それでまた、感じいってしまいました。「風路」つきの笛で、こんなタイプの演奏、素晴らしいですね。
投稿: 百本八本 | 2011年2月22日 (火) 22時14分
百本八本 様
ブコヴィナ(ルーマニア北東部)ではフルヤとカヴァルが混在しているのでしょうか。あるいは呼び名が曖昧になっているということでしょうか。ハンガリー系の間ではフルヤ、ルーマニア人の間ではカヴァルが一般的な呼び名でしょうが、両方がいるブコヴィナらしいように思います。しかし構造的にどう違うか、実物を見たことがないので今ひとつ分かりません。カヴァルでもダブルトーンの演奏は結構あるのでは。
投稿: Homayun | 2011年2月24日 (木) 23時14分