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2011年2月16日 (水)

コダーイ・メソード

では、コダーイ・メソードの教育法とは何かについて少し見てみたいと思いますが、ハンガリー音楽の専門家、横井雅子氏の著書「伝統芸能復興」(アーツアンドクラフツ)によると、「人間が持つ声という“楽器”をしっかり訓練することで内的な耳を養い、同時に声によって音楽的表現をさせようというもの」であり、「母語を最もよく表現する民謡、もともと身の回りにあった音楽である民謡、自分が住む社会と関わってきた音楽としての民謡」が最重要と考えました。そこでは何よりも母語のハンガリー語で歌われることが重要になってきます。
コダーイは自作の中にハンガリーの真の民謡を取り入れた合唱曲も沢山書いていますので、戦後ハンガリーの音楽教育の中では合唱や歌うことを中心とした教育法が推し進められ、結果多くの国民が沢山の民謡を記憶しているという状況が生まれました。前に少し触れたハンガリー民謡によるコダーイの作品「飛べよ、孔雀よ」もその中で歌われた代表的な一曲です。
しかし、発声は地声ではなく西洋式であったり、平均律にない微妙な音程(微分音)もなくなっていたり、本物の香りが薄れていましたから、本物の演奏を求めてエルデーイなどでのフィールドワークで出会った各地の筋金入りの音楽家の演奏からは強烈なインパクトを受けることにもなり、それがフォーク・リヴァイヴァルの大きな起爆剤になった面もあるようです。
コダーイ・メソードと同じ方法が戦後日本でも取られていたら・・(もちろん日本の場合は日本の民謡で)、と楽しい想像してみたりもしますが、今よりは色々と良い方向に向かっていたのかも知れません。小中学校の音楽教育に邦楽器が取り入れられたり、最近阿波踊りが少し話題になったりしているのも、方向性としては喜ばしいことだと思います。

Kodaly: Magyarokhoz

Kodály: Magyarokhoz

Kodály: Túrót eszik...


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