オロチョン
アイヌの周辺の北辺の民族にはギリヤークのような古シベリア系だけでなく、ツングース系が多いのですが、オロチョン族もその一つ。ツングース系の代表的な民族は、と言えば、満州族やエヴェンキ族でしょう。
「イヨマンテの夜」と同じ伊藤久男さんが「オロチョンの火祭り」という歌を歌っていましたが、「イヨマンテの夜」がほとんどアイヌ伝統音楽の要素を留めていないのと同様、「オロチョンの火祭り」も元々の中国やロシア領内に居住するツングース系のオロチョンからはかけ離れた歌のようです。オロチョンは「北方民族」を指す言葉として用いられた時期があり、その名残からオロチョンの火祭りと命名されたそうです。オロチョン族自体に火祭りの儀式も無いそうです。
北辺の諸民族と日本との関係を調べていると、たまにこういう不思議なエピソードを見かけるように思います。アイヌの周辺にエヴェンキは確かにいましたが、オロチョンはもしかしたら大分離れていたのかも知れません。
オロチョンの火祭り 伊藤久男
オロチョン娘 三門順子
三門さんがこんな歌を歌っていました。作曲は「同期の桜」の作曲で有名な大村能章
ウデゲ族の村にて
オロチョン族の映像が見当たらないので、アイヌとの共通性も見出されるウデゲ族の映像を一本上げておきます。(以下はビデオの解説)
ドルミンの森のベースからスノーモービルで確か1時間のところ。グバシュウギ村を訪れました。車でもいけないことはないのですが、2-3倍の時間がかかるため、スノーモービルでタイガの冬の森を走り、この村に辿り着きました。
ウデゲ族はナナイ族同様、この周辺のツングース系民族と言われ、日本のアイヌと近い風習を持っています。私はアメリカ・インディアンを想像しました。まさか現在に向かいながらの生活が残っているとは思えませんが、何らかの発見を求めてこの地への旅をリクエストしました。
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コメント
オロチョンと言うのは、大陸の民族なのに、どうして聞く機会が割とある言葉なのかと思ったことがあります。
1曲目は舞台がオタス(サハリン)ですけど、2曲目は、ツンドラのある大陸の様ですね。
1曲目1953年のオロチョンはサハリン(または網走)の北方諸民族、2曲目の昭和15年のオロチョンは、大陸の北方諸民族を思い浮かべての作詞なのでしょうか?
投稿: 百本八本 | 2011年5月10日 (火) 22時34分
以前、ギリヤークの回に出ていた細い長いらっぱ、今回の3曲目にも出てましたね。
投稿: 百本八本 | 2011年5月10日 (火) 22時42分
百本八本様
いつも有難うございます。北海道やオホーツク周辺諸民族の音楽にお詳しいのですね。戦前から戦中戦後すぐくらいの歌謡曲に表れている、ロシアとか北方へのイメージ(憧憬も多分に含まれているのでしょう)については、いつも面白いと思うと同時に、不思議な印象を覚えます。
ウデゲはウデヘとするのが正しいようです。ギリヤークは古シベリア、ウデヘはツングースですが、楽器は共通しているようです。この大型の葉笛のような管楽器の定まらない音程を聞くと、ユダヤのショーファル(牡羊の角笛)を思い出します。どこか用途も似ているようにも思います。騒音としか思えない音の中に、清めとか聖別の意味合いがあるのではと。
投稿: Homayun | 2011年5月12日 (木) 00時57分