ヴィソーツキーとコージンの歌うマガダン
本道からまた逸れますが、シベリアで是非触れておきたい町とロシアの歌があります。ウラディーミル・ヴィソーツキーがその荒涼とした様子を歌い、往年のロマ系のロシア・ロマンスの名歌手ワジム・コージンが後半生住んだことでも知られる、マガダンという町です。カムチャツカ半島の付け根の西に面し、サハからオホーツク海北部に抜けた所にあるこの町は、極東の強制収容所や強制労働の拠点になったことで知られています。スターリンの時代には、流刑者はまずこのマガダンに送られてからシベリアの各地へ送られていったそうです。そんな歴史を持つこの町も、今ではモスクワよりも治安の良い町と聞きます。
コージンの歌に惚れ込んだガルガンチュア(新宿ゴールデン街にある居酒屋)店主の歌手・石橋幸(みゆき)さんは毎年マガダンの町を訪れ、自身のアルバム「友よ祈りを」が出ているレーベルはマガダンと名づけられています。辛く悲しい歴史を刻んだ町だからこそ惹きつけるものが強そうです。私もマガダンと聞くと、コージンの歌、ヴィソーツキーの歌が自然と耳の奥で鳴ります。ヴィソーツキーの深く激しい歌、それとは対照的なコージンの切なく甘美な歌声と分かちがたくイメージがダブっています。
V.Vysotsky "Мой друг уехал в Магадан" (другу И.Кохановскому)
オウマガトキからLPの頃から出ていた「大地の歌」には「俺はマガダンに行ったぜ」という歌がありますが、こちらは別な曲でした。ウイェーハル・ヴ・マガダン(уехал в Магадан)という部分だけは一緒ですが。どちらも前にヴィソーツキーを取り上げた時にはアップしてなかったと思います。
Высоцкий - Про Магадан - Я уехал в Магадан (1968)
こちらが「大地の歌」に入っていた曲、「俺はマガダンに行ったぜ」。さびでは「お前はナガーイ湾を見てない。馬鹿野郎、ただ何となく行けるとこじゃねえぜ ~」と吐き捨てるように、ヴィソーツキーの激情調で歌われます。
Вадим Козин "Осень"/Vadim Kozin "Autumn"
コージンの歌のタイトルは「秋」ですが、石橋さんは「行かないで」というタイトルで歌われてます。
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