月に憑かれたピエロ by グレン・グールド
いきなり飛躍しますが、新ウィーン楽派の音楽を少し聞いてみたいと思います。今日初めて知ったのですが、あのグレン・グールド(J.S.バッハのゴールドベルク変奏曲で鮮烈なレコードデビューを飾った鬼才)がシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」(ピエロ・リュネール)のピアノを弾いた録音があったのでしょうか? これには驚きました。しばらくクラシックを離れている間に、色々出ていて驚くことがよくあります。
語るように歌われる女声独唱のシュプレッヒ・シュティンメと、独特な室内楽編成が特徴的で、浄夜やグレの歌などの後期ロマン派の極限まで行ったような作品の後、無調時代に入ってから(そして、12音技法に突入するまで)の代表作として知られています。作品は、表現主義的ともいえるでしょうか、幻想的かつ怪奇なイマージュの溢れた曲で、好き嫌いがはっきり分かれそうですが、私はスコアを見ながら聞く程、一時どっぷりはまっていました(笑) 最初はピエール・ブーレーズ指揮イヴォンヌ・ミントン他で聞きましたが、その後シュプレッヒ・シュティンメをヘルガ・ピラルツィクが歌った(語った?)録音が一番!と思ってからもう30年余りになります。同じくピラルツィクだったと思いますが、指揮をシェーンベルク自身がやっている演奏もLPでありました。(あれはCD化されてるでしょうか?) この曲のグールドの録音があれば是非聞きたいものです。
優雅なシュランメルからは大きく飛躍しましたが、こちらもウィーンが生んだ音楽文化であることには違いありません。同時代の絵画に喩えれば、浄夜がクリムト、ピエロ・リュネールはアンリ・ルソー、12音時代はカンディンスキー(ブーレーズのウェーベルン全集のジャケットにもなっていました)でしょうか。ではエゴン・シーレは? とすぐ問われそうですが、「ペレアスとメリザンド」辺りでしょうか?
Glenn Gould plays Schoenberg Pierrot Lunaire,Op.21 - 1 ; Monderstrunken
一曲目の「月に酔える」
Glenn Gould plays Schoenberg Pierrot Lunaire,Op.21 - 2 ; Colombine
Glenn Gould plays Schoenberg Pierrot Lunaire,Op.21 - 4 ; Eine Blasse Wascherin
4曲目の「青ざめた洗濯女」。この静謐な室内楽書法も幻想的な美しさがあると思いますが・・
Glenn Gould plays Schoenberg Pierrot Lunaire,Op.21 - 5 ; Valse de Chopin
Schoenberg: Pelleas und Melisande / Thielemann · Berliner Philharmoniker
ベルリン・フィルの鮮烈な演奏でシェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」。こうして聞いてみると、この曲もイメージとしてはやはりクリムトか?
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