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2012年1月 4日 (水)

Sicilienne

新年明けて早4日になりました。おめでとうございます。去年はかつてない災害に襲われた辛い年でしたが、今年は何とか平穏な一年になって欲しいものです。

年末には再び(三度?)ハンガリーに戻ってきていました。そして松の内は邦楽か、と予告していましたが、ちょっとそんな気分ではなくなったので、突然ですがフォーレのシシリエンヌ(シチリアーナ)を。何故なら、この曲をローゼン先生のクラス・コンサート(チェロ発表会)で8日に弾くことになりまして、年末からぐるぐるとこの美しいメロディが頭の中を廻っています。今日の2,3本目を参考にして、指と弓使いがようやく固まってきたところです。こんな時は邦楽の入り込む余地がほとんどないようです(笑)
「クラシックからは大分遠ざかっていて・・」とZeAmiを始めた15年前頃はよく言っていたのですが、そんな中でもずっと聞き続けているクラシック・ジャンルがありまして、それは室内楽と器楽ということになると思います。ドイツ3大B(J.S.バッハ、ベートーヴェン、ブラームス)と並んで今でもよく聞くのがフォーレ。ドビュッシーやラヴェルなどより先輩格の作曲家で、フランス詩ならヴェルレーヌやランボーと同時代の人です。
ヴェルレーヌと言えば、上田敏訳の「秋の日のヰ゛オロンのためいきの……」、堀口大學訳では「秋風のヴィオロンの附節ながき啜泣……」や、「巷に雨の降るごとく……」などの訳詩がよく知られていると思いますが、この「秋の歌」で詩人がイメージしたヴィオロン(ヴァイオリン)の曲は何だったのか?というのは、ずっと興味の的でした。ヴィオロンではなくヴィオロンセル(チェロ)ですが、シシリエンヌは、そんな秋のイメージにぴったりの曲です。
シチリアーノの8分の6拍子はとても印象的で、J.S.バッハ(例えばゴールドベルク変奏曲のシチリアーナ)を初めとして沢山の作曲家が名曲を残しています。この8分の6拍子という拍子は世界中あちこちに見出されますが、いずれも非常に各地で人気の高い舞曲です。(例えばイランのレング、コーカサスのレズギンカやイスラメイ、等々) 8分の6拍子(通称ハチロク)には、人の心を捉えて離さない、あるいは絶えず脳裏を駆け巡る曲が多いように思います。

フォーレのシシリエンヌは元々チェロとピアノのために書かれて、その後「ペレアスとメリザンド」に組み込まれました。この劇中音楽ではフルートで演奏されているので、どちらかと言えばフルートのイメージが強い曲です。2,3本目のチェロの演奏も素晴らしいですが、本田美奈子さんの歌は、クラシックの歌唱的にはまだまだでも、曲の核心を掴んでいる名唱だと思います。この映像の翌年、白血病で亡くなった事が、大変に惜しまれます。

Sicilienne by Faure - Minako Honda

Sicilienne Op. 78 (Fauré)



A rendition of Sicilienne with Erica Goodman on harp and Coenraad Bloemendal on cello. 名前から推測するに、オランダ系の奏者でしょうか。開放弦をほとんど使わず、ハイポジションを多用し、フランス近代ものにふさわしい柔らかい音色を出しています。

Gabriel Fauré Sicilienne. David Louwerse, violoncelle ; François Daudet, piano



こちらはフランスの奏者らしい芳醇かつ洒脱な演奏。

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