Ani Maamin
そうは言っても、なかなか元のトランシルヴァニアのユダヤ・メロディを探るのは容易なことではないので、本題のルーマニア音楽そのものに戻ろうと思いますが、その前にユダヤ教典礼歌の華、カントールの名唱を幾つか上げておきましょう。すぐに思い浮かぶ曲は、クラシックに編曲されて有名なコル・ニドレ(ドイツ語風な「コル・ニドライ」の呼称で広く知られています)ですが、大分前に取り上げたことがありますので、今日は中世スペインのユダヤ哲学者マイモニデスが詩を書いたとされているアニ・マアミンにしましょう。これはユダヤ絶唱と言って過言でない崇高な美しさを湛えた曲で、例のムジカーシュのマラマロシュにも入っていました。ジプシー音楽家の耳に聞こえたアニ・マアミン(「我は信ず」というような意味)の元歌として、そのまま聞けると思います。
この有名な詩にはメロディが幾つもあって、シュロモ・カルリバッハのものもありました。中世スペインでも歌われたのだろうとは思いますが、その旋律はおそらくもう分らなくなっているのでは。しかし、一つだけ心当たりの音源がありまして、西Pneumaから出ている「マイモニデス アル=アンダルースにおけるセファルディムの黄金時代 [モーゼス・マイモニデス没後800年記念]」には、作曲者不詳:イグダール「マイモニデスの信仰宣言」(モロッコ伝承曲)という曲が入っていました。これは該当の旋律になるのかも知れません。
Chazzan Helfgott - Ani Maamin At the Kinus Hashluchim Banquet
Ani Ma'amin - Rabbi Shlomo Carlebach
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