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2012年2月

2012年2月29日 (水)

ザンフィルのオルテニア・ナンバー

続いて、70年代頃までパンフルートの代名詞的存在だったゲオルゲ・ザンフィルと彼の楽団の演奏で、オルテニアの曲を見てみましょう。(80年代からでしょうか、「ジョルジュ」とフランス名を名乗るようになってからルーマニア音楽から離れていたように思いますが) 彼もムンテニア側の出身ですが、オルテニアの音楽の演奏はとりわけ素晴らしいように思います。ツィンバロムのトニ・イオルダッケとか、当時の名手の名前が見えます。(彼は確か80年前後に芥川也寸志&黒柳徹子のクラシック番組にゲストで出たように思いますが) 特にタラフ以降でしょうか、ムンテニアの方に注目が集まっているようにも思いますが、こうして聞くと、オルテニアのドイナなどは「ドイナの中のドイナでは」と思ったりもします。クレズマーにも取り込まれたドイナの雛形がはっきり見えます。3本目には、おまけでザンフィルのチョカリーア(ひばり)をどうぞ。

Suita Olteneasca - Zamfir and his ensemble in concert - Paris

Gheorghe Zamfir - Nai (Panpipe)
Ion Laceanu - Fluier (Shepherd-pipe)
Toni Iordache - Tambal (Cymbalum)
Mihai Tudor - Contrabas (Contrebass)
Cornel Niculescu - Vioara (Violon)
Ion Milu - Taragot

Doina Olteanului, Hora Lautareasca - Zamfir and his ensemble in concert - Paris

Toni Iordache (cymbalum) plays "Doina Olteanului" in authentic Oltenian style and Hora Lautareasca (Hora din Bildana, village at 30km from Bucharest, where Toni Iordache was born),variations on a ritualic dance on the second day of marriage (Friday)

Gheorghe Zamfir - Nai ( Panpipe)
Toni Iordache - Tambal (Cymbalum)
Mihai Tudor - Contrabas (Contrebass)
Cornel Niculescu - Vioara ( Violon)
Ion Laceanu - Fluier (Shepherd's Pipe)
Ion Milu - Taragot

Gheorghe Zamfir, Ciocarlia

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2012年2月28日 (火)

オルテニア音楽

オスマン・トルコやブルガリアの文化の浸透したドブロジャも興味深い土地ですが、ワラキア巡りの途中でしたので、西ワラキアとも呼べそうなオルテニアに視点を戻します。オルテニアと言えば、ザンフィルのエレクト盤(70年代にビクターから国内LPもありました)の一曲目をオルテニアの音楽が飾っていて、その背景を少しでも当たってみたいというのが個人的に動機としてあります。その曲は非常に速いテンポで演奏されていました。ムンテニアの音楽との差は小さいと思いますが、強いて言えば極度に速いテンポかも知れません。ドイナもこの地で盛んですが、いかにもドイナらしい深い哀しみの表情が印象的です。
オルテニアの音源ですが、VDE-Galloから近年2枚出ていて、いずれもオルテニア(ゴルジュ県とドルジュ県)の録音でした。ルーマニアの音楽の中では比較的マイナーに思えるこの地方に光を当てているのは、ルーマニアの民族音楽を研究していた民族音楽学者Constantin Brailouの志を継いでいるこのレーベルならではでしょう。彼 が1944 年にジュネーヴに設立した、フィールド・レコーディングのアーカイブ機関の音源をリリースしてきたのが、スイスのVDE-Galloでした。このレーベル初期のルーマニアの古い録音の3枚組(ワラキア、モルドヴァ、トランシルヴァニア)も素晴らしいセットでした。

Cântec oltenesc / Song from Oltenia

Doină oltenească / Song from Oltenia

Doină oltenească / Song from Oltenia

Doina Oltului / Olt river song

Doină / Song from Oltenia

Romanian Traditional Dance - Oltenia

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2012年2月27日 (月)

CernaとCirnaの違い ドブロジャ

昨日はcomuna Cernaの動画を3,4本目に上げましたが、後でパート1を最後まで見ていてcomuna CernaとComuna Cirnaは別な場所だと分りました。そっくりなので紛らわしいですが、チェルナの方はドブロジャ地方北部(ドナウ河口近くの黒海沿海部)でした。コムナ・チルナの方は確かにオルテニア南部ですが、さすがにこの場所のyoutubeはなかったようです。オルテニアにここまでトルコ的な音楽があるかな?と思いましたが、やはり違っていました。
今日はパート3を上げておきましたが、タンブーラはもちろん、子供達の踊りではルーマニアとトルコの要素が混在して見えます。ドブロジャでは、このようにとても同じルーマニアとは思えないほど、トルコ~バルカン的文化が顔を覗かせています。

Prezentare comuna Cerna partea 3

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2012年2月26日 (日)

鉄門からオルテニア南部にかけて

前から少し調べてみたいと思っていたのが、西部の鉄門の辺りでした。鉄門はドナウ川がカルパチア山系を横切る所にある長い渓谷で、景勝地として知られています。DANUBE CANYON という異名?も見えます。youtubeもかなり見つかりました。写真ではウィキペディアにアイアン・ゲートの絶景が出ていました。ルーマニアのドナウ川流域では、何年か前に河口あたりのドブロジャの方は取り上げたことがありました。今日は鉄門からオルテニア南部にかけてグーグル・マップを見ていたら、不思議な地形の場所を発見。実にそそられる地形です(笑) それはドナウ川が一部分岐して湖になったような箇所のComuna Cirna辺りの場所でしたが、youtubeでComuna Cirnaと検索したところ、オスマン時代以来とおぼしき長棹弦楽器弾き語りも出てきました。こういう発見があるから、youtubeは面白いです。ブカレスト辺りとは全く対照的な、鄙びた風景と素朴な人々の暮らしが垣間見えます。この辺りはオルテニアのドルジュ県に入るようですが、この県の6%ほどの地域はオルテニア・サハラと呼ばれる砂漠地帯だそうで。またまた驚きました(笑) youtubeにもそういう荒涼とした風景が出てきます。ドナウの対岸はブルガリアになります。

Lower Danube / Iron gate

DANUBE CANYON (SERBIA - ROMANIA) 1/9

Prezentare comuna Cerna partea 2

Prezentare comuna Cerna partea 1

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2012年2月24日 (金)

カルパチアン・ホルン

ずっとルーマニアのラウタルの音楽を見てきましたが、ちょっと気分を変えて、山地の方の音楽です。音楽と言うより、音具でしょうか。
アラン・ローマックス・コレクションのルーマニア編でジャケットを飾っていた通り、アルペン・ホルンに似た管楽器が、カルパチアやトランシルヴァニアでも吹かれてきたようです。カルパチアやトランシルヴァニアと言えば、ドラキュラの影響でしょうか、「ヨーロッパの辺境」のイメージが強かったと思いますが、地図で見てみるとアルプスとカルパチアは、日本で言えば東北と九州ほどの距離。同種の楽器があっても不思議ではありません。こういう楽器があると何かホッとするのは私だけでしょうか(笑)
それと、この楽器の発する倍音は、スロヴァキアのフヤラを思い出させる部分もあります。更には南アのブブゼラとか、ユダヤのショファル、日本の法螺貝も、倍音豊かなことだけでなく、本来は交信道具であったであろう点では共通していると言えるかも。飄逸な快音が心のモヤモヤ?を吹き飛ばしてくれます。では、オーストラリア・アボリジニーのディジリドゥーはどうでしょうか?(笑)
3本目はアルペン・ホルンです。比較のために。

Şipotul - Zdârnâita în doi - Rogojana / Suite of carpathianhorns tunes

Bucium / Moldavian carpathianhorn tune

Alpine Horn Band

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2012年2月23日 (木)

Grigoras Dinicu - Ciocarlia

ディニクのチョカリーア(ひばり)は何年か前にもアップしたように思いますが、素晴らしい貴重映像ですので、再度上げておきましょう。タラフ・ドゥ・ハイドゥークスだけでなく、ザンフィルのようなパンフルート(ナイ)奏者まで、ルーマニアのラウタルで、この曲を演奏しない人はいないのでは?と思われる名曲中の名曲です。しかし、この曲がグリゴラシュ・ディニクによって書かれた事は、意外に知られていないように思います。ディニクと言えば、どちらかと言えばヴァイオリンの難曲として有名なホラ・スタッカートで有名でしょう。ディニク~ハイフェッツ編曲という風に呼び馴らされています。
2本目は昨日のイオン・ドラゴイのおまけとして。パンフルートの名手ラドゥ・シミオンの楽団に途中から豪快にソロで参入。こうして並べるとディニク直系のようにも見えてきます。バグパイプの妙技、コントラバス奏者の技にも驚きました。往年の楽士のレベルの高さに驚嘆する一本です。

Grigoras Dinicu - Ciocarlia

Formatia Radu Simion, Ion Dragoi, Ion Laceanu - Potpuriu

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2012年2月22日 (水)

Ion Dragoi

今日のラウタルは、ワラキアではなくモルドヴァの名人、イオン・ドラゴイです。20年余り前に亡くなった人ですが、youtubeが結構あります。ワラキアのラウタルとは一味違う演奏を披露しています。4本目は、女性のナレーションですぐ分かりましたが、TVRのルーマニア民謡番組Tezaur Folcloricの映像。
1928年モルドヴァのバカウ生まれ、60歳で亡くなった往年の名フィドラー。東部のモルドヴァらしい心地よい快速と細かい装飾テクニックを駆使。かつモルドヴァらしい明朗快活な諧謔味と郷愁が混在。こういう素晴らしい音源はエレクト以外にはなかなかありません。
というのがエレクト盤につけた私のコメントでした。余談ですがバカウと言えば、ナディア・コマネチの故郷に近い町で、ヴァイオリニストのシルヴィア・マルコヴィッチの生まれたところ。ジャンルを問わず、ヴァイオリン名人を生む土地なのでしょうか。

Ion Dragoi - Joc

Ion Dragoi --- Suita de Melodii Populare

Ion Dragoi - Suita

Ion Dragoi - Suita de melodii

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2012年2月21日 (火)

Ion Albesteanu2

別なラウタルをアップしようかと思っていましたが、昨日のイオン・アルベシュテアヌの演奏で素晴らしい映像が更に見つかりましたので、今日はそれらを上げておきましょう。やっぱりヴァイオリンの演奏でも凄い人です。表現の引き出しの多さ、音色の豊かさには目を見張ります。2本目ではコブサ奏者が弾き語っていますが、バックで演奏するアルベシュテアヌのヴァイオリンは、ヴィオラのように低い音でビックリ。調弦を下げているのでしょうか?
いずれもTVRの映像のようですが、この局の民謡番組(Tezaur Folcloricなど)でタラフ・ドゥ・ハイドゥークスは見たことがないです。同じロマの楽士なのに音楽性以外にも、こんなに違うものでしょうか。確かに、クレジャニの音楽のような、ちょっと恐いほどのワイルドさは感じられず、東欧一の速さを誇るルーマニア音楽の疾走感も控えめだとは思いますが、アルベシュテアヌの音楽には、もっと表現の芳醇さを感じます。

Ion Albesteanu si Marin Cotoatna - Breaza lui Matache

Mihai Calusaru - Bob de roua, bob de roua

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2012年2月20日 (月)

Ion Albesteanu

今日はタラフ・ドゥ・ハイドゥークスと同じムンテニアの名ラウタル、イオン・アルベシュテアヌの演奏を見てみましょう。彼の音源はフランスのBudaの「ルーマニア南東部ムンテニア地方のジプシー音楽~ルーマニア音楽集成第3集」がよく知られていると思いますが、ルーマニアのElectrecordからも出ていました。ヴァイオリンだけでなく歌の素晴らしさでも特筆すべき人です。Buda盤にも写っていますが、彼のタラフ(楽団)には、コブサがよく入っていたようです。琵琶やウードに似たルーマニア~ハンガリーの弦楽器です。
一本目の冒頭にはクラシックの名ヴァイオリニスト、ユーディ・メニューインが出てきますが、彼はオスタッド・エラーヒ(イランのクルディスタンのスーフィー音楽)など、各国の民族音楽の名人の音楽に賛辞を送っていた人でもありました。アルベシュテアヌのタラフが演奏する、チョカリーア(ひばり)の一部が続いて出てきます。

Ion Albesteanu - vioara

Ion Albesteanu - Ursitoare,ursitoare

Petrecere cu lautari - Ion Albesteanu

Ion Albesteanu - Foaie verde trei spanace

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2012年2月19日 (日)

チェロとマリオネット タラフ今昔

金曜は津留崎直紀さんのチェロリサイタルに行っておりまして(@隣町の新居浜)、帰ったら10時半で十分アップ可能な時間ではありましたが、メインPCを落としていてXPのサブマシンを久々に立ち上げたもので、アップデートがわんさか入ってきて更新している内に日付をまたいでしまい、そのままブログお休みとなりました。m(_ _)m 
リサイタルはとても素晴らしかったです。フランスで長く活動されてたからでしょうか、フランス的な柔らかく落ち着きのある音色で、実に美しかったです。J.S.バッハ(無伴奏チェロ組曲第1番全曲)、フォーレ(シシリエンヌ、夢の後に)、ラヴェル(亡き王女のためのパヴァーヌ)、ピアソラ(オブリビオン、リベルタンゴ)のようなポピュラーな曲の他に、黛敏郎の文楽など現代曲や自作曲も。文楽では、あの耳馴染みの義太夫三味線の節から始まります。新居浜のマリオネット劇のために書かれた自作曲も優しく綺麗な曲でした。見かけはちょっと恐いけど(笑)、新居浜弁で和ませる魔女のマリオネット芸も、秀逸でした。新内と八王子車人形という組み合わせも良かったけど、チェロとマリオネットというのも実に興味深いものがあります。今夏上演される予定の「星の王子様」のテーマ曲も一昨日演奏されました。どこか宮沢賢治ワールドを感じさせるような一曲でした。新居浜の背後はすぐ1500メートル級の山々が聳え、この週末はとりわけ寒かったので、中腹より上は冠雪していました。
youtubeを何か上げたいところですが、どちらもyoutubeデータは見当たらないので、ここ数日ずっと見てきましたタラフの今昔の映像を2本上げておきます。バルトーク作品などを取り上げ話題になった07年のアルバム「仮面舞踏会」と、彼らの名前が大きくクローズアップされることになった映画「ラッチョ・ドローム」から。どちらも素晴らしいのは言うまでもないことですが、芸風の変化がよく分かります。

Taraf de Haidouks : "Ostinato" music video

Latcho Drom - Taraf de Haidouks

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2012年2月16日 (木)

コスティカの歌声

カリウと並ぶタラフ・ドゥ・ハイドゥークスのトップ・ヴァイオリニスト、コスティカは歌の名手でもあり、探してみると色々出てきました。ネアクシュのような語り歌のタイプは余り歌っていないようですが、この人はおそらくルーマニアの民謡歌手としても一流でしょう。細かく美しいコブシを聞かせてくれますが、それをそっくりそのままヴァイオリンで模倣できるテクニックの持ち主でもあります。
フルネームにはConstantin Lăutaruと、名前にははっきりラウタル(職業楽士)と入っています。 ニックネームが"Costică Boieru"ですから、コスティカはコンスタンティンの略のようです。ボイエルというのは名誉という意味があるようです。
Costica Boieruのシリーズ、特に IIが良いと思いました。2本目はヴェテラン歌手Ilie Iorgaとの共演。イリエ・ヨルガはクレジャニではなく、近くのMârşă出身とのこと。3本目はタラフ以外のグループの伴奏で歌っています。

Taraf de Haidouks - Costica Boieru II

Concert Taraf de Haidouks #1

COSTICA BOIERU-AUZI MANDRO CAND TE STRIG.MPG

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2012年2月15日 (水)

タラフ名演集

タラフ・ドゥ・ハイドゥークスのシリーズ、結構好評のようですので、もう少し名演集ということで上げておきましょう。今日のも全てそうですが、このモノクロ映像のシリーズは初来日前後のものと思われますが、この頃のアンサンブルの凄みは只事ではないです。オールド世代もまだ元気でした。
ジプシー・フィドリングの特徴は沢山見出せますが、いつも思うのは、上げ弓で始まることも多い、楽器をトランペットのように高く上げる、等でしょうか。西洋クラシックではアウフタクトとか拍の裏から始まる時以外は、圧倒的に下げ弓で始めることが多いので、かなり目立ちます。

Taraf De Haidouks - Rustem si suite

Rustemはタラフの代表曲と言えるでしょう。ライヴでも圧倒されました。

Taraf De Haidouks - Turceasca

5分40秒辺りのカリウのトレモロ入りの超絶プレイは、しばしば引用される箇所です。Turceascaは、トルコ風のような意味では。

Taraf De Haidouks - Doina, hora si briu

数日前にも取り上げたドイナと、ルーマニアの代表的舞曲ホラが続けて演奏されています。ファルカルのフルートとコスティカのヴァイオリンは、ベスト・マッチ。トレモロの多いカリウの超絶技巧よりコスティカのプレイの方が、このドイナには合うでしょう。

Taraful din Clejani - Cintec de dragoste

ネアクシュ、カクリカ亡き後、ほとんど一人だけ、オールド世代では元気でダンディなPaul Guiclea叔父さん。大きな腹をゆすって歌って踊ってヴァイオリン弾いて(笑)。コスティカの歌心溢れるフィドリングは、カリウより正統派かも。ここでは彼の歌も聞けます。

TARAFUL DIN CLEJANI-PE DEASUPRA CASEI MELE

ネアクシュやカクリカ(歌、ツァンバル)など、仏Ocoraの「ワラキアのジプシー音楽」に入っていた頃からのメンバー中心の味わい深い演奏。爺ちゃんたちの味のある演奏、最高です。

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2012年2月14日 (火)

ネアクシュの弾き語り

それでは昨日の内容を受けて、タラフ・ドゥ・ハイドゥークスの今は亡きニコラエ・ネアクシュの弾き語りを一本目に上げておきましょう。TV収録は93年ですから、まだ世界的な大ブレークよりは前で、ベルギーのCramWorldの数枚が一部のワールドミュージックファンの間で話題になっていた頃でしょう。
この人の歌唱を聞いていると、日本の節談説経に近いものを感じます。語りと歌の境が不明瞭になるような、語るように歌い、歌うように語るという、吟遊詩人の一つの理想形のように思います。
2本目にカリウと並んで出てきますが、タラフのヴァイオリン2トップの一人、大柄なコスティカも、たまに甘い歌声を披露していました。しかし語るように歌うタイプではなかったように思いました。色の浅黒いいかにもジプシーという風貌のカリウは、もっぱらヴァイオリン専門で、彼の歌声は聞いたことがありません。聞いてみたい気もしますが(笑)
2本目はタラフの新旧世代の揃った素晴らしい演奏で、ネアクシュも出てきます。若手の中でも負けずにエネルギッシュに弾いているネアクシュ翁の姿が確認できます。老いてもダンディで格好良いですね! この映像を見て、DVDに収められていたアンサンブルを指導する姿を思い出しました。
タラフの芸風の変遷(やっぱりあるように思いますが)を、彼はどう思っていたのでしょうか。気になるところです。

Taraf de Haidouks TV 1993 - Balada lu Corbea

Taraf De Haidouks - Tot Taraful

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2012年2月13日 (月)

1950年代のクレジャニ村

昨日は眠気に勝てずアップ出来ませんでしたm(_ _)m
タラフ・ドゥ・ハイドゥークスの住むクレジャニ村の古い映像が見つかりました。これは貴重映像では。現在のタラフの面々の演奏にそっくりで、1950年代からほとんど何も変わってないなという印象です。おそらく弾き語りだと思いますが、エモーショナルな語り口だけでなく、合間に弾くヴァイオリンの終止形(ピツィカートの後すぐに弓弾き)は、すぐさまネアクシュ爺さんの演奏を想起させます。最近のタラフですが、バルカン・ブラスとの超絶コラボのカラーが強く、器楽的に厚みもあり強化されていますが、ネアクシュのように昔ながらのメッセージ性の強い、渋い弾き語りをする人が少ないように思えるのが気になるところです。ロマ吟遊詩人の燻し銀の語りをまた聞かせて欲しいものです。

Cântec de dragoste ca pe Neajlov: Lunca Obedeanului / Love song from Vlasca

"Cântec de dragoste ca pe Neajlov: Lunca Obedeanului" performed by Gheorghe Moţoi (vocal), field recording from 1951. Romanian tradional love folk song from Clejani village, Wallachia, Vlașca area.

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2012年2月10日 (金)

Hora batraneasca

昨日はチェックしていた動画が行方不明になって、探している内に日付をまたいでしまいました(^^;(笑) ですので、10日付けで2回目のアップになります。
今日は大昔にザンフィルの演奏で聞いたホラ。タイトルは「古いホラ」という意味になるようですが、オルテニアとモルドヴァという離れた土地の音楽の共通性を感じさせます。一本目の1分過ぎから出てくるのが、そのザンフィルが吹いてたホラですが、一聴忘れられない印象を残す曲です。陰鬱でひね曲がった感じのメロディですが、ブラックユーモアのようにも聞こえます。2本目の「ハイドゥーク(アウトロー)の歌」はこの曲にそっくりな部分があります。
この両地方の間にあるムンテニアの音楽は、タラフなどロマの演奏で聴く限り、どこか南方的なムードも感じますが、これはスラヴ世界から遠いからでしょうか? 一方オルテニアはセルビアに近いからでしょうか、セルビアの時に取り上げたあの「吸血鬼を祓う笛の響き」に近いものを感じる時があります。(一本目の前半がオルテニア、後半のホラとハイドゥークの歌はモルドヴァ~ベッサラビア系のようです)

Ca din caval & Horă bătrânească / Two shepherd's pipe tunes

"Ca din caval & Horă bătrânească" performed by Marin Chisăr at shepherd's pipe ("caval"), Marin Cotoanță at folk lute ("cobză") , & Paraschiv Oprea Orchestra. Romanian traditional folk songs from Oltenia & Moldova areas.

Haiducească / Outlawry song

"Haiducească" performed by a shepherd's pipe ("caval") duo. Romanian traditional folk song from Moldova, Basarabia area.

Dans din caval / Shepherd's pipe dance

同じ曲だと思いますが、はっきり確認できるのは後半部分で、前半はブレイヴ・オールド・ワールドが演奏していたバサラビエにそっくりだという点については、大分前にこの動画入りで指摘したように思います。"Dans din caval" performed by "Mărţişorul" Ensemble, Chişinău. Romanian traditional folk dance song from Moldova, Basarabia area version.

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ドイナ オルテニアとマリア・タナセ

今日は何で行こうかと迷うほど、ワラキアの音楽関係は豊富です。今日はゲオルゲ・ザンフィルやタラフの演奏だけでなく、クレズマー音楽でも有名なドイナです。極めて速く動くツィンバロムなどのバックとは対照的に、まるで慟哭するようにすすり泣くヴァイオリンやパンパイプ(ナイ)のフレーズは、聞き手の心を鷲掴みにします。ドイナもおそらく地方別、演奏家別に星の数ほどパターンがあると思いますが、それらの中からオルテニアと、往年の名歌手マリア・タナセの歌唱で。
例のタラフ・ドゥ・ハイドゥークスの住むクレジャニ村ですが、ブカレスト郊外と言って良い位の場所にありますので、ムンテニアになるようです。オルテニアはセルビア寄りで、思ったより狭いことを確認しました。余談ですが、グーグル・マップを見ていたら、ブカレストの南の方にヴラド・ツェペシュという町があることを確認しまして、大変に驚きました(笑)

Doina Oltului / Olt river song

Maria Tanase sings Doina din Dolj

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2012年2月 8日 (水)

オルテニアとムンテニア

ワラキアと聞くと、オスマン帝国から祖国を守るために戦ったヴラド・ツェペシュ公(ドラキュラのモデル)を思い出しますが、この地名は元々「ヴラフ人の国」という意味。元々はルーマニアを含むバルカンのラテン系民族を総称していましたが、自国を持つルーマニア人以外のアルマニア人などのラテン系少数民族を指すことが多くなっていることは、大分前に触れたことがあります。
トランシルヴァニア山中から発してドナウ川までワラキアを南北に流れるオルト川で東西を分け、東部をムンテニア、西部をオルテニアと呼ぶそうです。タラフ・ドゥ・ハイドゥークスのクレジャニ村は、地図を記憶で辿った限りでは、オルテニアではなくムンテニア側でしょうか。音楽上、大した違いはないのかも知れませんが、気になる点ではありますので、正確なことが分ったらまた書きたいと思います。
今日は一本目はオルテニア、二本目がムンテニアの民謡。ムンテニアの方は葬送歌のようですが、タラフの演奏で聞いたような記憶がありますが・・。これら一連の古い映像は、絶妙にマッチした古い音源共々非常に素晴らしいと思います。

Nevestică tinerică / Young wife

"Nevestică tinerică" performed by Nicu Cercel (vocal & fiddle), field recording from 1940. Romanian traditional folk song from Chilia village, Olt, Wallachia, Oltenia area.

Ioane, Ioane

"Ioane, Ioane" performed by Viorica Sandu, field recording from Voluntari village, Ilfov. Romanian traditional funeral ("bocet") ballad, dedicated to killed in war husband, from Wallachia, Muntenia area.

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2012年2月 7日 (火)

オルテニアの舞踊曲 Calusul oltenesc

カントールの素晴らしい歴史的録音なども沢山出てきましたが、ユダヤ関係はまたの機会に回して、ルーマニア音楽に戻ります。南部のワラキアですが、確か震災前にコマネチ関連で取り上げた曲がありました。再びその曲から始めましょう。オルテニア地方のCălușulという遊戯性溢れるような諧謔的な曲で、床運動に使われたり、彼女のドキュメンタリーに使われていたのを覚えています。しかし、何しろ1976年頃の話ですので、かなりうろ覚えになっています(笑) この曲、確かタラフも演奏していたような・・。ルーマニアがラテン系の飛び地であることを思い出させてくれるような陽気な一曲です。
オルテニアとかムンテニアという地方名は、当時ゲオルゲ・ザンフィルのLPで知りましたが、いずれもワラキアの中の地方名で、ブカレストから左程離れてなかったと思います。タラフ・ドゥ・ハイドゥークスの住むクレジャニ村は、ブカレストの南方方向でした。上記地方のどちらかに入るかも知れません。
と言う訳で、少しずつワラキア内で地方色を見ていければと思います。

Călușul oltenesc / Ritual dance

Calusul oltenesc al Ansamblului Profesionist Doina Oltului din Slatina la Favorit TV.mpg

'' C A L U S U L II '' Romanian Folk Dance Nr 100

Căluşul / Spring time ritual

Calusul, possibly the fastest folk dance in the world!

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2012年2月 6日 (月)

Ani Maamin

そうは言っても、なかなか元のトランシルヴァニアのユダヤ・メロディを探るのは容易なことではないので、本題のルーマニア音楽そのものに戻ろうと思いますが、その前にユダヤ教典礼歌の華、カントールの名唱を幾つか上げておきましょう。すぐに思い浮かぶ曲は、クラシックに編曲されて有名なコル・ニドレ(ドイツ語風な「コル・ニドライ」の呼称で広く知られています)ですが、大分前に取り上げたことがありますので、今日は中世スペインのユダヤ哲学者マイモニデスが詩を書いたとされているアニ・マアミンにしましょう。これはユダヤ絶唱と言って過言でない崇高な美しさを湛えた曲で、例のムジカーシュのマラマロシュにも入っていました。ジプシー音楽家の耳に聞こえたアニ・マアミン(「我は信ず」というような意味)の元歌として、そのまま聞けると思います。
この有名な詩にはメロディが幾つもあって、シュロモ・カルリバッハのものもありました。中世スペインでも歌われたのだろうとは思いますが、その旋律はおそらくもう分らなくなっているのでは。しかし、一つだけ心当たりの音源がありまして、西Pneumaから出ている「マイモニデス アル=アンダルースにおけるセファルディムの黄金時代 [モーゼス・マイモニデス没後800年記念]」には、作曲者不詳:イグダール「マイモニデスの信仰宣言」(モロッコ伝承曲)という曲が入っていました。これは該当の旋律になるのかも知れません。

Chazzan Helfgott - Ani Maamin At the Kinus Hashluchim Banquet

Ani Ma'amin - Rabbi Shlomo Carlebach

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2012年2月 5日 (日)

Meshorerim Choir sings at Siebenburgen Kollel Dinner

ムジカーシュの「マラマロシュ」(トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽)に聞くハシディック・メロディは、やっぱりジプシー音楽家の耳を通したものなのかなとも思いますので、元のトランシルヴァニアのユダヤ・メロディは、どんなだったか、というのがどうしても気になります。そこで、現在のハシディーム(ユダヤ教敬虔派)の歌う、トランシルヴァニア(ドイツ語では以前に取り上げたようにSiebenburgen)系ユダヤの流れを少しでも汲んでいるのでは、という歌唱を拾ってみました。彼らの黒ずくめの装いには驚かれるかも知れませんが、意外にも日本人の耳にすんなり馴染むメロディが多いことにも驚かれるのでは。メショレリームというのは、現在のNYブルックリンの彼ら正統派ユダヤ教徒を指すのでしょうか?

Meshorerim Choir sings at Siebenburgen Kollel Dinner

Meshorerim Choir Live

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2012年2月 3日 (金)

Jod - Ieud

昨日は最高気温3度しかなく、更に今朝は零下3度まで下がり、この辺りでも朝方3センチほど雪が残っていました。あまりの寒さにストーヴに腰を下ろしたいような衝動に駆られたことも(笑) これが寒さの底かと思いきや、来週また寒波が来るそうで(^^; 今年は一体どうなっているんでしょうか? 皆様も風邪などにはお気をつけ下さい。
昨日のカトリックの歌の収録された町は、マラムレシュのイエウドという所ですが、ここの録音がハンガリーのFono から出ているUj Patriaというシリーズにありました。youtubeに正にその一部がアップされていましたので、同じ町のフォークミュージックのサンプルとして上げておきましょう。ウイ・パトリア(「私達の祖国」のような意)はトランシルヴァニアの農村音楽の珠玉のシリーズですが、7巻目のイエウドの盤にもマラムレシュの生々しい音が詰まっています。

invartita lui mihai.Original Village Music from Maramureş.Budapest, Fonó 1998

de mars la cununie si de stragat.Original Village Music from Maramures.Budapest, Fonó 1998

batranescul.Original Village Music from Maramures.Budapest, Fonó 1998

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2012年2月 2日 (木)

Greco-Catholic church

今日はしかし大変な寒さでした。雪こそ降りませんが最高気温は3度か4度。夜9時くらいからずっと零下1度で止まっていますが、早朝は一体何度まで下がるのでしょうか。
今日もマラムレシュ関係ですが、先日目に留まった宗教歌の映像です。女性の独唱で、ルーマニア正教会ではなくカトリック系の歌のようです。解説にあるGreco-Catholic church(ギリシア・カトリック教会)は東方典礼カトリック教会系列に入りますが、日本ではほとんど知られていないように思います。Marie Keyrouzの歌っているマロン派も、カトリック系に入るようです。「東方」と聞くと正教会をすぐに連想し勝ちですが、カトリック系もあることを忘れてはいけないですね。

Religious folk song from Ieud

Nitsa Dancus sings a religious folk song from Ieud, Maramures, Romania. Nitsa is a treasure chest of folklore from the arch conservative village of Ieud and a strong supporter of old Greco-Catholic church traditions. This particlular religious song has a strong resemblence to many older Yiddish ballad folk song traditins, a legacy of cross cultural shared musical tradition in the Carpathian Basin.

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2012年2月 1日 (水)

Chasid lakodalmi tancok

ムジカーシュのマラマロシュについては、2曲目のSzól A Kakas Márを集中的に取り上げたことがありました。同アルバム一曲目のChasid lakodalmi táncok(今日の一本目)も大分前に取り上げまして、その中でムジカーシュのメンバーと共演していたのが、例のGheorghe Covaciだったようです。ハシッド・ラコダルミ・タンツォクとは、「ハシッド派の結婚式の踊り」という意味になりますが、29日に発見したNicolae Covaciの演奏していたのは同アルバム11曲目のChosid tanc(ハシッド派の踊り)のようですから、同じハシディック・メロディの系統ということになります。Gheorgheさんの方がテクニックが確かですが、これは古い映像だからなのか、Nicolaeさんより年下なのか、その辺がよく分かりませんが、いずれもマラムレシュの古いユダヤ音楽のノリをよく残している演奏なのでしょう。と言う訳で、少々くどいですが(笑)、ニコラエ・コヴァチさんの映像に3度目の登場願いました。どちらもワクワクするような素晴らしい映像だと思いますが、いかがでしょうか。

Muzsikas: Chasid Dances with Cioata

Muzsikas collect old tunes from an old Gypsy village musician Gheorghe Covaci, "Cioata". He was a great musician played together with Jewish musicians before the War. He remembered numerous Jewish tunes, many of them considered to be unknown earler.

Maramures Jewish Tunes: Jake Shulman-Ment and Nicolae Covaci

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