チーデム・アスランのクレツマー、ペシュレヴ、クルド・ダンス
チーデム・アスランのMortissaを聞いて気になった曲の一つに、6曲目のTrava vre manga kai alaniがありました。明らかにクレズマー音楽風の演奏ですが、それもそのはず例のシコヨフ・クレツマー・アンサンブルの伴奏でした。この曲は往年の名レベティカ歌手、ローザ・エスケナージがヒットさせたそうです。エスケナージの名の通りユダヤ系の歌手だからでしょうか、メロディ・ラインはそのままクレズマーにぴったり嵌る感じです。
アスランの歌唱であれば良かったのですが、他の歌手の映像のみのようです。これを一本目に、二本目はアスランの歌唱で、トルコ古典音楽のペシュレヴ(前奏曲のような形式)がありましたので、そちらを。ヴァイオリンはおそらくソルディーノ(弱音器)をかけていると思いますが、そのこもった音がトルコの擦弦楽器ケメンチェのように響きます。そして三本目は、彼女のルーツ音楽の一つなのでしょう、クルドの舞踊曲です。
レベティカ、ペシュレヴ、クルドと、いずれも旧オスマン帝国内の音楽ということでは共通しています。彼女はおそらくそれぞれの言葉で歌っているのだろうと思いますが、ユニークな出自を生かしたポリグロット(多言語使用)環境の人なのでしょう、しかも見事に歌い分けていると思います。
ΤΡΑΒΑ ΡΕ ΜΑΓΚΑ ΚΑΙ ΑΛΑΝΙ (Λευκοθέα Φιλιππίδη)
Cigdem Aslan - Rast Peshrev
KURDISH DANCE "Parwaneh"
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