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2016年6月 8日 (水)

ネイとセタールの巨匠

ゼアミdeワールド10回目の収録に行ってきました。イランの楽器紹介シリーズに戻りました。
今日は葦で出来た縦笛のネイと、弦楽器のセタールですが、実はどちらも98年頃入手して手元に一本ずつあります。セタールはタールと違って全て木製なので、日本の気候でもある程度大丈夫かと思い、タールにも心惹かれながらセタールを入手しました。開放弦を鳴らすだけでも、うっとりするような繊細で魅力的な音の楽器です。フレットが一部微分音の位置についているのと、アリザーデさんの教本の記譜(実際の音よりかなり低く書かれています)にもなかなか慣れず、独習は進まないままです。ネイの方は11年前の引越の際に荷物の中で割れてしまいまして、何とかオクターブ鳴らせるくらいにはなっていたので、残念至極です。
今日はペルシア音楽で最も代表的なダストガーのシュール旋法で揃えてみました。<>内がかけた音源ですが、youtubeにはないようですので、別の演奏です。エバーディーの動画は初めて見るように思います。動画があったのか!と驚愕しました。夢のような一本です。

<Hassan Kassai / Dastgah Shour - Pishdaramad>

Hassan Kasaei


中世ペルシアの神秘主義詩人ルーミーの「葦笛の歌」に歌われている通り、ネイはトルコの旋回舞踏のようなスーフィー音楽にとっては最も重要な楽器です。ルーミーの時代には今のトルコからイランまで一つの国だったので、ルーミーが興したメヴレヴィー教団はトルコのコンヤに本拠地があります。ネイは、ただの筒状の葦に真鍮の筒をはめただけの歌口になっています。ただの筒状なので、鳴らすのさえ難しく、前歯の隙間と舌を有効に利用して音を作ります。トルコのネイと似ていますが、吹き口が違います。日本の尺八のように侘び寂感を強く感じさせますが、その細さからは信じられないような多彩な音を出せる笛です。
昔からイランの古都イスファハーンに名手がいて、現代最高の名人ハッサン・キャサイもイスファハーンの出身です。1928生まれでしたが、2012年に亡くなっていたことは、今日知りました。彼のシュール旋法の演奏を初めて聞いたのは、1980年に柘植元一氏がイランから帰国されて初めてのNHKFM「世界の民族音楽」出演の際でした。オープニングにかかりましたが、その深い音色に、いきなり圧倒されました。トンバク伴奏はジャハンギール・ベヘシュティです。柘植先生は小泉文夫氏の教え子の一人で、2001年から芸大の名誉教授をされています。

続いてかけましたセタールの名手、アフマッド・エバーディー(1907-1992)は、カージャール朝ペルシアの伝説的な大音楽家ミルザー・アブドゥッラーの最後の息子で、故に彼は19世紀のペルシア古典音楽を最も正当に継承していた一人とされている巨匠です。おそらく晩年の録音。

<Ahmad Ebadi / Shur>

Ahmad Ebadi plays Setar


タールの紹介の際に少し名前が出ていましたが、セタールはタールよりはずっと細身で、表に皮も貼ってなくて全て木で出来た楽器です。Tarはペルシア語で「弦」の意味ですが、ペルシア語のイェク・ド・セ・チャハール(1,2,3,4)のセが頭に付いたセタールは、その名の通り三絃の意味で、三味線のルーツとも言われますが、現在のセタールは四弦あります。タールと同じで三味線の二上がりの調弦(ドソド)ですが、低い方から2番目に一番高い弦と同じ音の弦を入れています。これは掻き鳴らしに有利なためと思われますが、どうでしょうか。北インドのシタール(Sitar)だけでなく、アラブを介してスペインに生まれたギター(Guitar)の名にもTarは入り込んでいます。13世紀頃北インドがイスラーム王朝支配下だった頃にイランから入ったセタールが、ヴィーナなどインド古来の弦楽器の影響で徐々にインド化してシタールが生まれたと考えられています。パキスタンなどに、シタールとセタールの中間のような楽器が残存していますが、それらはまた追々取り上げたいと思います。

放送局 FMラヂオバリバリ
番組名 ゼアミdeワールド
パーソナリティ名 ほまーゆん
毎週木曜 17:15~17:30
再放送 毎週日曜 15:00~15:15

今治以外でも、スマホのアプリTuneinや、PCのサイマルラジオを使えば、世界中どこででも聞けます。よろしければ是非お聞き下さい。民族音楽、クラシック、純邦楽など、色々かけております。
サイマルラジオは以下になります。 http://www.jcbasimul.com/

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コメント

こんにちは。
『ゼアミdeワールド』を毎週楽しみに拝聴しております。
このような番組は今現在 私の知るかぎり他になく、希少かつ濃い内容にただただ感謝しつつ聴いております。
説明のお話も、楽曲も、やはり15分間に収まるはずもなく、部分的なものだけになっているのがなんとも惜しいです(願わくば時間枠の拡大を…)。
こちらのブログで番組を補足してくださっているので嬉しく思っています。
ありがとうございます。

投稿: たこ | 2016年6月11日 (土) 12時53分

たこ様
毎回お聞き頂いているそうで、有難うございます。嬉しい限りです。リクエストもお受けできますので、宜しければどうぞ。
番組へのご要望は、直接バリバリにメッセージ頂けましたら10月以降に叶うかも知れません。
http://www.baribari789.com/
大分15分枠にも慣れてきました。9月まではこの枠で頑張ります。今後とも宜しくお願い致します。m(_ _)m

投稿: Homayun | 2016年6月11日 (土) 23時52分

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