謡曲と新内
ゼアミdeワールド14回目の収録に行ってきました。
6月末からラヂオバリバリが新スタジオ、ハーバリーに移動しまして、今度から放送の3日前までに収録しないといけなくなりましたので、スケジュールの都合上22日に2回分収録しました。30日と来月3日に放送されるのは13回目の収録分です。今日は私のウード・ソロで新内流し(ちろりん出演時の録音)、加藤さんのウード・タクシーム、「ジャリラのラクス・シャルキVol.3」からアリフ・ライラ・ワ・ライラ(千夜一夜)をかけました。14回目の本放送は、7月7日七夕です。
フライヤーではチェロやヴァイオリンの生演奏もたまにはと書きましたし、純邦楽もかけると言いながら、これまでかけていませんでしたので、13回目は私の歌唱と演奏を拙演でお恥ずかしいですが、かけてみました。収録は一人で全て行っていますので、実際チェロなどの楽器を弾きながらというのはまだ余裕がない状態です。ミキサー操作に慣れてきたらトライしてみたいと思います。PCのソフトで録っていますが、若干デジタルノイズが入っております。また少しミスしている部分もあります。どうか、その点はご了承下さい。
去年の12月10日に木曜夜8時からの西川さんの番組「ぽれぽれちろりんごーるど」に呼んで頂いた際の録音ですが、ウードの新内流しを入れて3曲流しました。西川さんとの対話になっている部分もあります。youtube2本は歌った箇所とは違いますが、参考まで。
まず、能楽の詩の部分の謡曲からです。私が喜多流の謡曲を習ったのは、95年でもう20年以上経ちます。お能には昔からとても関心はありましたが、謡曲(謡い)に関しては、習うまでは「お爺さんのやる芸」というイメージが強かったのですが、やってみるとこれが大違いで、大和魂が呼び覚まされたとでも言えましょうか。古典文学のパッチワークのような美しい文句は、意外な程に頭にすっと入ってきて、無本(暗記)でやらせる先生でしたから、それがまた良かったと思います。小中学校で邦楽器を学ばせているそうですが、是非謡曲も取り入れたら、言葉の乱れも正せるし、精神修養にもなり、大きな声を出すので健康に良いです。
まず謡曲「経正」(つねまさ)からです。
平家の若き武将の経正は琵琶の名手でもありましたが、一の谷の合戦で討ち死にします。僧都行慶が彼の琵琶の名器「青山(せいざん)」を仏前に供えて管弦講(かげんこう)をしていると、経正の霊が現われ、弔いの有り難さを述べるシーンです。能の合唱にあたるような地謡で歌われる同音の部分です。「生をこそ隔つれども、我は人を見るものを」の辺り、とても切なく泣ける箇所です。
幻の常無き世とて経正の、常無き世とて経正の、もとの浮世に帰り来て、それとは名のれども其の主の、形は見えぬ妄執の、生をこそ隔つれども、我は人を見るものを、げにや呉竹の、筧の水はかわれども、住み飽かざりし宮の中に、幻に参りたり、夢幻に参りたり
金剛流 能「経正」 Noh performance TSUNEMASA
新内節については、民族音楽研究の大御所・小泉文夫さんが「死ぬ前に2曲聞けるなら、まずペルシアの歌、次に新内を聞きたい」と言っていましたので、ずっと気になっていました。謡曲をやったことで邦楽に目が向いていた時期でしたから、家元(富士松鶴千代さん)の音源を聞いて非常にはまりまして98年に入門しました。歌、三味線、上調子の3つとも教わりましたが、「あなたは三味線の音締め(ねじめ)も良いけど、笛(喉)が良いから歌を頑張んなさい」と宗家に言って頂いて、富士松千嘉太夫(ちよしだゆう)の名を頂きました。ZeAmiの業務の合間を縫って、よく広尾の料亭などの宴席でも新内流しをさせて頂いたものです。歌っている部分は新内一の有名曲「蘭蝶」の虫尽くし~四谷の段の部分で、一番のサワリの箇所四谷の部分は最近ほとんど歌ってないので、無理と思い、その前までです。江戸の庶民に愛された新内節は、吉原の遊女の悲恋、心中話が多く、正に江戸の粋の芸の極致です。
[Shin-nai]人間国宝・鶴賀若狭掾師 『蘭蝶』[Ranchou]
放送局 FMラヂオバリバリ
番組名 ゼアミdeワールド
パーソナリティ名 ほまーゆん
毎週木曜 17:15~17:30
再放送 毎週日曜 15:00~15:15
今治以外でも、スマホのアプリTuneinや、PCのサイマルラジオを使えば、世界中どこででも聞けます。よろしければ是非お聞き下さい。民族音楽、クラシック、純邦楽など、色々かけております。
サイマルラジオは以下になります。
http://www.jcbasimul.com/
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