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2016年10月

2016年10月31日 (月)

シリアの伝統音楽

ゼアミdeワールド30回目の放送、日曜夕方に終りました。11月2日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

今回は混迷を極めているシリアの音楽です。シリアと言えば、イスラムの4番目の聖地ダマスカスや、日本なら京都や奈良に相当するような古都アレッポ、セレウコス朝シリアの首都だったアンティオキアがよく知られている町です。アンティオキアは新約聖書にアンテオケの名で登場するキリスト教史上の重要都市で、現在はトルコ領アンタキアになっています。このように世界遺産も数多い歴史的に重要な国ですが、平和が再び訪れることがあるのだろうかという状態になってしまっているのが、非常に悲しいことです。

シリアのアラブ古典音楽では、遠く後ウマイヤ朝下の15世紀以前のスペインからの影響とされるアラブ・アンダルース音楽系統のワスラという組曲のような形式がよく知られています。ムワッシャハという形式の歌が頻繁に出てきますが、アラブ・アンダルシア音楽起源のムワッシャハ(本来は恋愛詩を歌う形式)は、15世紀のレコンキスタでスペインから北アフリカ西部(マグレブ)に中心が移った後、18世紀頃からは中東一帯に広まり、特にシリアのアレッポでは深く根付いたと言われます。
これからかけますのは、シリアのアラブ古典音楽の最も優れた伝承者と言われるサブリ・ムダッラルの歌唱と彼の楽団の演奏です。イスラム教の礼拝を呼びかけるアザーンを唱える人をムアッジンと言いますが、ムダッラルはアレッポのモスクの最高のムアッジンという称号を得ている人です。楽器はウード、カーヌーン、ナイ、ダフです。
冒頭のサマーイ・ナハーヴァンドから、ムワッシャハまで続けてかけてみます。

<Sabri Moudallal / Wasla d`Alep - Samai Nahawand, Mouachah>
wasla tarab- sabri mdallal

真ん中の赤い帽子のお爺ちゃんがサブリ・ムダッラルです。

サマーイ・ナハーヴァンドと同じ名の楽曲は、大分前に日本のウード奏者加藤吉樹さんの演奏でもかけたと思いますが、作曲者は異なってもマカームと形式が同じなので、非常に似た雰囲気を持っています。
もう一曲、別な盤からムダッラルの名唱をかけてみましょう。こちらではアンサンブルではなく、彼の歌から始まり、よりフロントに強く出てきます。

<Sabri Moudallal / Chants d`Alep - Ya uyuna ramiyat>
Sabri Mudallal

とにかく素晴らしい燻し銀の歌声!

次に、アラブ・アンダルース系のワスラの流れを汲んでいる、シリア歌謡界の大歌手サバー・ファクリの歌唱です。歌謡とは言っても古典色が強く、自身ウードを弾き語ることもあるようです。彼は1933年のアレッポ生まれで、欧米盤はこのディスクアラブ盤と数点のみのようです。何と10時間無休で歌い続け、ギネスブックに載ったというカラカスでのライヴが伝説となっているという人です。確かに非常にエネルギッシュな歌声です。

<Sabah Fakhri / Au Palais des Congres - Al Foul Wil Yassmine>
Sabah Fakhri --Mawal-- AlFul Yal Yasmeen.


器楽関係も少し聞いておきましょう。1950~60年代の録音で、インドの民族音楽学者デベン・バッタチャリアのダマスカスでの現地録音シリーズの一枚です。現在は聞くことの難しいタイプの音楽もあると思います。ウードとカーヌーンのバシュラフ・サマーイ・ターチュス、アラブ式調弦のヴァイオリンのタクシーム、7月にマタル・ムハンマドの名演をかけました弦楽器ブズクのアジャムを続けてかけてみます。ブズクはマタル・ムハンマドに比べると、随分大人しい演奏です。

<シリアのマカーム~バシュラフ・サマーイ・ターチュス、ヴァイオリンのタクシーム、ブズクのアジャム>
Syriac Orthodox Maqam

シリア正教会でのマカーム演奏のようですが、冒頭のヴァイオリンなどは上記バッタチャリア音源に少し似ていますので、とりあえずこちらをアップ。50、60年代の動画はさすがにないようです。

次に、先ほど出てきたアンティオキアのキリスト教音楽ですが、ユネスコ・コレクションから音源がありましたので、サンクトゥスとコロをかけてみます。現在はトルコ領になっているアンタキアのシリア正教会の録音です。西洋のサンクトゥスと一味も二味も違う古風な無伴奏の混声合唱です。

<Syrian Orthodox Church / Antioch Liturgy - Sanctus、Qolo>
Syriac Orthodox - Qurobo Alohoyo - Abuna Aziz Can - Übersetzung - Oromoyo HD
アンティオキアの教会の映像がありました。教会の雰囲気や装飾まで分って、非常に興味深いものがあります。西洋の教会よりも歌や朗誦の重要性が高そうに見えますが、これはユダヤ教に近い部分かも知れません。

駆け足で色々なシリアの音源をご紹介してきましたが、最後にユネスコ・コレクションの「アレッポのスーフィー音楽ジクル」を聞きながら今回はお別れです。男声の独唱とコールアンドレスポンス、枠太鼓ダフで、熱いイスラーム神秘主義の宗教儀礼の歌を聞かせる実況録音です。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Syria / Islamic Ritual Zikr 抜粋>
Sufi Islam: Hadrah Zikr Tariqa Syadziliyah In Syria (Must Watch)

ダフ以外の歌の部分。段々と熱く高揚して行きます。

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2016年10月28日 (金)

Fairouz - Wa Habibi

甘美極まりないファイルーズのワ・ハビービの動画がありました! マロン派かシリア正教か不明ですが、どちらかと思われる教会での歌唱です。この曲の入ったファイルーズのアルバム「聖金曜日 東方教会の聖歌」の初出は、1962年のようですから、かなり前です。余りに美しいこの旋律は、このアルバムで異彩を放っています。しかしこのメロディ、どこかで聞いたような気もするのですが?
水曜の収録ではシリアの音楽を特集しました。アラブ・アンダルシア系のアラブ古典音楽ワスラ、サバー・ファクリ、アンティオキアのシリア正教会の聖歌、アレッポのスーフィー音楽などかけております。日曜18時の放送です。

Fairouz - Wa Habibi

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2016年10月27日 (木)

モロッコのマリー・ケイルーズ

レバノンのマリー・ケイルーズの演奏も、89年の「ビザンティンの聖歌」の頃はいかにもビザンツ聖歌的でしたが、最近はどんどんアラブ的な伴奏の映像が上がってきています。仏Harmonia Mundiでも「マロン派の伝統聖歌」での伴奏は、静謐なアラブ音楽という印象でした。今日の映像などは、モロッコのもしかしたらアンダルース音楽の楽団かも知れないメンバーと演奏しています。東ローマ的だったファーストから、地中海周辺の中でですが随分と時間と空間を移動して、中東のキリスト教音楽を色々な側面から探究しているように見受けられます。マグレブのアンダルース音楽の場合、ユダヤ人音楽家の活躍は比較的知られていますが、キリスト教徒がどういう風に関わっていたのか、これまで盲点だったかも知れません。それにしても、素晴らしい歌唱とアンサンブルです。

Sister Marie Keyrouz - Maroc - Ya Sourouri

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2016年10月25日 (火)

マリー・ケイルーズの動画

マリー・ケイルーズの動画も色々上がっていまして、アラブの楽器伴奏の場合は当然ですが、ピアノ伴奏でも中東の節回しを存分に利かせた聖なる歌声を披露していて、圧倒的な歌唱力に驚くばかりです。

Sœur Marie Keyrouz - Assalamu 3alayki - Ave Maria

Religious Special - Soeur Marie Keyrouz Recital - 15/08/2014

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2016年10月24日 (月)

中東のキリスト教音楽

ゼアミdeワールド29回目の放送、日曜夕方に終りました。26日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

キリスト教の祭のハローウィーンやクリスマスが近づいているということで、今回は中東のキリスト教音楽です。 この2回は中東レバノンの歌姫ファイルーズを中心にご紹介していましたが、まずここでレバノンと言う国について少し見てみましょう。とても複雑な歴史が重層的に重なった土地であることが分ります。

現在のレバノンに相当する地域は、古代においてはフェニキア人のルーツの地で、その後は順にアッシリア帝国、新バビロニア、アレクサンダー大王のマケドニア王国、セレウコス朝シリア、ローマ帝国、ビザンツ帝国(東ローマ帝国)と続き、続いて7世紀にはアラブ人に征服されてイスラム世界に組み込まれ、住民のアラブ化が進みました。
レバノンは歴史的にはシリアの一部でしたが、山岳地帯は西アジア地域の宗教的マイノリティの避難場所となり、キリスト教マロン派(マロン典礼カトリック教会)、イスラム教のドゥルーズ派の信徒らがレバノン山地に移住して、近世以降のオスマン帝国からも自治を認められて独自の共同体を維持してきたそうです。
現在のレバノンでは、40パーセントがキリスト教徒、それ以外の大多数がイスラム教徒ということなので、相当キリスト教徒が多く、音楽家でもファイルーズやマジダ・エル・ルーミーなどクリスチャンが目立ちます。他にマロン派の有名人には、日産の社長のカルロス・ゴーンさんがいます。中東と言うとイスラム教だけなのでは、と思ったりする傾向もあるかも知れませんが、古代にキリスト教が生まれたのは中東のパレスティナであり、現在も古代以来の、あるいはビザンツ帝国以来の、西洋を介さない古いキリスト教の文化が、音楽に限らず古来の伝統を伝えていることは、特に日本では余り知られてないことだと思います。

これからかけます曲を歌っている人は、マリー・ケイルーズという修道女にして宗教歌の歌手で、ファイルーズと名前も似ています。89年に出た「ビザンティンの聖歌 受難と復活」というアルバムから、アレルヤをまずお聞き下さい。タイトルからすぐお分かりかと思いますが、西洋のハレルヤと同じで、「神を賛美する」という意味です。

<Marie Keyrouz / Chant Byzantin ~Alleluia>
Sister Marie Keyrouz - Alleluia


ファイルーズはトルコ石という意味でしたから、偶然かも知れませんが、名前がそっくりなこともありますし、東方的なコブシをきかせた神聖な歌唱に89年のリリース当初かなり衝撃を受けまして、当時勤めていた六本木ウェイブのクラシックコーナーで、この盤を中心に90年に企画を組んだことがあります。タイトルの多さとボリュームから目立っていたのはギリシアのレーベルOrataからのビザンチン音楽シリーズでしたが、それよりも実はケイルーズの歌唱に惹かれての企画立案でした。古楽などに注目盤の多いクラシック名門レーベル、フランスのHarmonia Mundiの名盤の一つで、今も現役盤という多分数少ない一枚です。リリースから大分経って2003年にはGramophone Awardsを受賞したようです。
一時「キーロウズ」という表記が割と一般的になっていましたが、フランス語の場合Keyは「ケイ」と発音するでしょうし、後半のrouzはファイルーズのフランス語綴り後半と同じですから、総合的に考えて「ケイルーズ」ではないかということで、ケイルーズとしております。

これまでに何度か名が出ましたが、2002年刊の音楽之友社「世界の民族音楽ディスクガイド」に書いたこの盤の拙稿レビューを読み上げてみます。この本は今治市立図書館に寄贈してありますので、是非ご覧下さい。

「1989年リリースなので大分前の盤だが、未だに型番も変らず生き続けているので、フランスでも定評のある盤なのだろう。レバノン出身の修道女にして宗教歌の歌手であるマリー・ケイルーズが歌う、ビザンツの受難と復活の聖歌集。歌詞はギリシア語やアラビア語。この国は宗教の博物館といわれるように、シリア正教会やマロン派等のキリスト教各派がひしめいている。男声のドローンをバックに歌われる節はメリスマティック(つまりコブシが豊か)で、同国のアラブ世界を代表する歌姫ファイルーズの歌声にも何処か似ている。彼女は東方教会のみならず西方教会の単旋律聖歌も研究し、マルセル・ペレスのアンサンブル・オルガヌムのメンバーでもある。」

次に聖木曜日の日課からアポスティコン(マグダラのマリアの祈り)という曲をかけてみましょう。「主よ、多くの罪を犯した女が」と副題のあるアラビア語の歌です。

<マリー・ケイルーズ / 聖木曜日の日課からアポスティコン(マグダラのマリアの祈り)>
soeur Marie Keyrouz ''priere de marie -madeleine''(Mercredi saint)


マリー・ケイルーズは、その後同じ仏Harmonia Mundiから他にも「マロン派の伝統聖歌」「メルキート教徒の聖歌」など、数枚の中東キリスト教音楽のアルバムを出していますが、「マロン派の伝統聖歌」からクリスマスの聖歌をかけてみます。この盤ではアラビア語やシリア語の原文歌詞と英独仏訳まで載った解説が付いていましたが、残念ながら廃盤になったようです。またこの演奏ではカーヌーンやウードのような中東の伝統楽器が伴奏に使われています。マロン派の起源は7世紀頃に遡ると言われ、レバノンのキリスト教では多数派です。曲名はSchubho-Ihaw qoloで、英訳がGlory to the Word of Godとなっています。

<マリー・ケイルーズ/マロン派の伝統聖歌 Schubho-Ihaw qolo Glory to the Word of God>
Sister Marie Keyrouz: Traditional Maronite Chants from Lebanon


比較で、前々回かけましたファイルーズのアルバム「聖金曜日 東方教会の聖歌」からWa Habibiと言う曲をどうぞ。非常に甘美な旋律です。

<Fairuz / Good Friday-Eastern Sacred Songs ~Wa Habibi >
Fairuz - Wa Habibi


最後にマリー・ケイルーズの「ビザンティンの聖歌」から聖木曜日のリトルギアからキノニコン(聖体拝領唱)というアラビア語の歌を聞きながら今回はお別れです。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<マリー・ケイルーズ / 聖木曜日のリトルギアからキノニコン(聖体拝領唱)>
youtube無しのようです。

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2016年10月20日 (木)

فريد الأطرش のウード

アスマハーンの兄ファリド・エル・アトラシュのウードですが、ローマ字のFarid El Atrashよりも、アラビア文字のفريد الأطرشで検索した方が、動画が多く出てきました。歌手がこんなにウードが上手いのかと昔初めて聞いた時は非常に驚きましたが、その妙技がよく確認できる映像です。タクシームに専念している演奏がほとんどのようですが、2本目の長い方では途中で弾き語りが出てきます。聴衆の熱狂的な反応が良いですね。

تقاسيم على العود...فريد الأطرش

حفلة الربيع (كاملة) فريد الأطرش.

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2016年10月19日 (水)

アスマハーンの動画

31歳の若さで1944年に夭折した美貌の歌姫アスマハーンの動画も結構あります。2本とも映像は、確かエジプトRotanaから出ていたDVD「アラブ歌謡の黄金時代 Vol.1」に収録されていたと思います。古い時期のモノクロフィルムではありますが、非常にクリアな映像で、不世出の歌姫の艶美な姿と歌声が収められています。シリアのドゥルーズ派部族出身で、兄のファリド・エル・アトラシュも歌手でしたが、ウードの名手としても知られていました。

Asmahan Emta Hataraf english subtitles HD

Asmahan Layali El Ouns Fe Vienna

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2016年10月18日 (火)

2emi namet 3a bakkir-Fairuz

今日の曲はこれまた採譜意欲を刺激されるエキゾチックなメロディで、サビの部分を音符に書いて、ヴァイオリンで弾いてみました。先日のDakhlak Ya Tayr Al Werwarとか、今日の曲とかはとても惹かれるメロディですが、皆さんはいかがでしょうか。いくら名歌手とは言え、西洋クラシックの旋律(「愛しきベイルート」でのアランフェス協奏曲とか)に歌詞をつけていたり、ファイルーズに似合ってしっとりメロウだけど西洋的な旋律だったりすると、余り興味は持てないのですが、先の2曲のようなオリエンタルな曲調には激しく惹かれます。おそらくダブケの一種だと思いますが、どういう由来の曲なのかも気になります。タイトルの2émi namet 3a bakkirというのは、おそらく数字の部分は文字化けしているのではと思います。元の綴りが分らないのが残念です。また、30代くらいと思しきファイルーズと、周りのレバノン美女達の美しいこと! この曲の入っている盤を探してみようかと思います。

2émi namet 3a bakkir-Fairuz

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2016年10月17日 (月)

レバノンとシリアのアラブ歌謡

ゼアミdeワールド28回目の放送、日曜夕方に終りました。19日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。昨日確認しましたが、「不屈なる瞳の輝き」の瞳を鐘と読んでいました。失礼致しましたm(_ _)m 催しのお知らせの時間は、夕方と読み上げましたが、その後午後3時過ぎくらいと分りました。

レバノンの歌姫ファイルーズですが、その後ZeAmiブログの方でも補足的に色々と見ておりました。ZeAmiHPにリンクしておりますので、是非併せてご覧下さい。民族音楽で検索すると大体1ページ目にZeAmiHPが出てきます。 ファイルーズのyoutubeを見てブログで取り上げた曲ですが、Tayr Al Werwarという曲は、オリエンタルな魅力を振り撒きながらも、実に明るくキャッチーなメロディで、ファイルーズの歌で耳について離れない名旋律は幾つもありますが、これも間違いなくその一曲だと思いました。Voix De L'OrientのFairuz in Concert at the Olympia-Parisの2枚組に収録されていますので、その部分をかけてみましょう。

<Fairuz / Tayr Al Werwar>
Fairuz - Dakhlak Ya Tayr Al Werwar


ファイルーズと言う名は、「トルコ石」の意味であることは前回言いましたが、この名を付けたのは、レバノンの後輩女性歌手マジダ・エル・ルーミーの父でした。ハリーム・エル・ルーミーは、ラジオ局の職員で、自身優れた音楽家で、音楽プロデューサーでもありました。彼の娘マジダ・エル・ルーミーは、ファイルーズの次世代の歌手として既に大御所の地位を築いています。先日のケーシーさんとの話で彼女の名も出てきましたので、一曲かけてみましょう。ヘドニ・ハビービというタイトルですが、確か話題に上ったのはこの曲だったと思います。伝統的なアラブ歌謡のメドレー形式に現代的な音楽性を取り入れた素晴らしい一曲です。

<マジダ・エル・ルーミー / ヘドニ・ハビービ>
majda roumi* khedni Habibi


次にシリアのドゥルーズ派部族出身で、エジプトで主に活躍し、31歳の若さで1944年に亡くなったアスマハーンです。美貌の歌姫として知られるアスマハーンは、兄のファリド・エル・アトラシュと共に戦前の混乱した中東の歴史に翻弄されながらも、素晴らしい歌唱を残していました。それほど年の違わないエジプトのウム・カルスームのライバルと言われることも多かった人です。
まず彼女のヒットソングとして知られ、ラテン調のリズムを大胆に取り入れた親しみやすいYa Habibi Taala Elhaaniと言う曲を聞いてみましょう。和訳は「恋人よ来ておくれ」となっています。

<Asmahan / Ya Habibi Taala Elhaani>
Asmahan - Ya Habibi Taala Elhaani


次にかけますのは、先の曲とは対照的な一曲です。イスラム以前(5世紀頃)の昔に望まぬ結婚を迫られ、運命と闘いながら生きたレイラ・アフィーファという女性が残したとされる詩の一部に、エジプトの歌姫ウム・カルスームの楽団のウード奏者兼作曲者でもあったムハンマド・アル・カサブジが曲をつけたLayta Lel Barrakという曲です。「不屈なる瞳の輝き」と訳されているこの曲は、マカーム・ラストの旋律に乗せて歌われる格調高い古典的趣きの一曲です。

<Asmahan / Layta Lel Barrak>
Asmahan - Layta lel barrak


ここで催しのお知らせを少し致します。
10月23日の今治中央公民館での今治芸能祭(洋舞)に、ダンススタジオ108&近藤博隆(チェロ)で出演することは、15分枠の最後にお知らせしましたが、10月29日夕方にもう一度同じ演目をやることになりました。30日にあるサイクリングのイベントの前夜祭?のようなのですが、ジャズトランペットの近藤等則さんの前座という噂もあります。 場所は、しまなみアースランドで、時間は午後としか、まだ分っておりませんが、宜しければ是非お越し下さい。この日の「竜の河」では、J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲3番サラバンド、3番ジーグ、5番ジーグ、3番サラバンドを、この順で弾きます。音楽はチェロのみです。

アスマハーンの兄のファリド・エル・アトラシュは、夭折した妹より長生きして1974年に64歳で亡くなっています。正に美男美女兄妹で、兄もダンディな美声で聴衆を魅了しましたが、彼はウードの名手でもありました。彼のウードのタクシームを聴きながら、今回はお別れです。

<Farid El Atrash / Takssim Oud>
The Master Farid El-Atrash

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2016年10月14日 (金)

ファイルーズの舞台劇ルールー

ファイルーズのミュージカル仕立ての舞台劇ルールー(Loulou)のDVDと同内容そのものが上がっていました。どういう流れでロシア民謡やナポリ民謡(サンタ・ルチア)が入っているのか分りませんが、分らなくても何となく楽しめる映像です。ポーリュシカ・ポーレはファイルーズ自身歌っていて、コロブチカはコサック・ダンスの所で出てきます。冒頭のインスト曲が最初から気になっていて、ヴァイオリンで弾いてみたりしたこともありました。長尺の映像、週末にでもお楽しみ下さい。

Loulou Fairuz

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2016年10月13日 (木)

LoulouからFi Ahweh al Mafrak

この映像はDVDで出ていたファイルーズのルールー(Loulou)からの一幕のようです。1974年にベイルートで初演されたミュージカル仕立ての舞台劇を、そのままスタジオで演じ撮影されたと思われるカラー作品で、アラブの歌からロシア民謡(ポーリュシカ・ポーレ、コロブチカ)、イタリア民謡(サンタ・ルチア)、ポップ~ロックテイストの入った曲まで歌っていました。このyoutubeのFi Ahweh al Mafrakという曲は、しっとりしたファイルーズらしい歌唱を堪能できる彼女の代表曲の一つです。

Fairouz - Fi Ahweh 3al Mafrak
https://www.youtube.com/watch?v=3aeQqN94clg
埋め込み禁止でした。

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2016年10月12日 (水)

初期のファイルーズ

今日のYaba LaLaという歌は、ファイルーズの初期のヒット曲だそうです。この曲によってアラブ世界で知名度が広がったとか。さりげない小曲ながら、独特なピアノと打楽器の使い方と、コール&レスポンス、印象的な曲です。コメントにthis is an old palestinian songとありますが、本当でしょうか?

Yaba LaLa - Fairouz

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2016年10月11日 (火)

映画でのファイルーズ

ファイルーズと言う名は、「トルコ石」の意味であることは前に書きましたが、そう名を付けたのは、レバノンの後輩女性歌手マジダ・エル・ルーミーの父でした。トルコ石のように美しく滑らかな声だと言う印象から付いたようです。今日の映像は、ミュージカル映画のようなものでしょうか。結構こういうタイプがあって、少し中東離れしたようにも見えるレバノンの山岳風景をバックに、ファイルーズらしい美しい歌声を披露しています。メロディ自体がそれ程エキゾチックでなくても、ダブケ(あるいは時にベリーダンス風にも聞こえるような)のリズムが乗ると、えもいわれぬオリエンタル・ムードを帯びて聞こえてきます。60年代の、まだ30代と思しきファイルーズが、また美しいこと!

فيروز علموني .... رائعه.

فيروز - نسم علينا الهوى

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2016年10月 7日 (金)

فيروز - طير الوروار

今日のطير الوروار(Tayr Al Werwar)という曲は、オリエンタルな魅力を振り撒きながらも、実に明るくキャッチーなメロディ。躍動感に溢れた良い曲ですね。Voix De L'OrientのFairuz in Concert at the Olympia-Parisの2枚組に収録されていましたが、他にも入っている盤はあるでしょうか? ファイルーズの歌で耳について離れない名旋律は幾つもありますが、これも間違いなくその一曲。youtubeは2本目が44歳の頃のようです。1本目はもっと後でしょうか。大スターのオーラが凄いです。دخلك يا طير الوروار(Dakhlak Ya Tair El Werwar)がフルタイトル。動画の下は、アラビア語歌詞とそのローマ字表記、英訳で、http://lyricstranslate.com/en/Ya-Tair-El-Werwar-I-Beg-You-Bee-Eater.htmlから。

دخلك يا طير الوروار، فيروز

فيروز - طير الوروار

فيروز - دخلك يا طير الوروار

دخلك يا طير الوروار
رحلك من صوبن مشوار
و سلملي عالحبايب
و خبرني بحالن شو صار
عاتلال الشمس المنسيي
على ورق الدلب الأصفر
إنطرونا هنا شويي شويي
إنطرونا هنا شويي شويي
و تصير الدنيي تزغر
و بكروم التين ينده تشرين يا حبيبي
ياما بسكوت الأمريي بسمع صوتك يندهلي
ليليي و خوفي
ليليي يعوا شي مرا أهلي
و تتعب أسرار تحزن أسرار يا حبيبي


Ya Tayr El Werwar

fayaruz - dakhlak yatir alwarwar
dakhlak ya tayr alwarwar
rahulak min ssubin mishwar
w salamali ealhbayb
w khabarni bihalin shw sar
eatilal alshshams almansiiy
ealaa waraq alddalb al'asfar
'iintaruna huna shwyy shwyy
'iintaruna huna shwyy shwyy
w tasir alddnniiy tazghar
w bkurum altyn yandah tishrin ya habibi
yama bisikut al'umrii bisame sawtik yndhly
liliy w khawfi
lylyy yeu shy marraan 'ahli
w tattaeib 'asrar tahzan 'asrar ya hbyby


I Beg You Bee Eater

I beg you oh bee eater bird
Your journey is from the direction of the roads
Say hi to my loved ones for me
And tell me how they are and what happened

On the hills of the forgoteen sun
On the leaf of the yellow sycamore
We fly and soar higher little by little
While the world becomes smaller
And with the fig orchards October calls my darling
So often with the silence of the turtle doves I hear your voice call me
My night and my fear
My night howls something before my family
And secrets tire and secrets sadden my darling

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2016年10月 5日 (水)

ファイルーズのダブケとシェヘラザード3楽章

ゼアミdeワールド27回目の放送、水曜21時に終りました。今回は無事放送されました。3日にお知らせしましたように、来週の9日と12日の2回もこの初回分が流れます。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

今回で27回目の放送になりました。4月から26回は木曜夕方に15分の枠で放送してきましたが、10月から放送の日時が変わりました。こちらでも宜しくお願い致します。

4月からイラン、イラクと中東の音楽を廻って、8月はオリンピック期間中ということでブラジル音楽特集をして、その後は日本民謡などを少し取り上げました。

民族音楽と言うと、真っ先に思い浮かべるのがシルクロード各地の音楽だったもので、中東の音楽から始めましたが、この後は東西南北ヨーロッパやロシア、その他のアジア、アフリカ、南北アメリカにも回っていく予定です。

アラブ音楽と言うのは、アラビア語が日常的に使われているアラブ民族中心の国々の音楽ですから、まだ中近東にはヨルダン、シリア、レバノンがありますし、アラビア半島にはサウジアラビア、イエメンなど、北アフリカにはエジプト、リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、西サハラ、モーリタニアに、それぞれ注目すべき音楽が多数ありますので、しばらくはそれらをじっくり取り上げる予定です。

まずは、レバノン出身の女性歌手ファイルーズの歌唱です。アラブ世界では、エジプトの往年の女性歌手ウム・カルスームと並んで、最も人気のある歌姫です。7月にレバノンのブズク名人のマタル・ムハンマドを取り上げて、次にはファイルーズをと思っておりましたが、ちょうどそんなところに、ラヂバリの長寿番組、続・音楽狂時代のケーシーさんからのリクエストもありました。
私が聞いた中ではオリエンタル色の最も強いアルバムのOriental EveningからTebka Beldenaと言う曲をかけてみましょう。男性歌手のワディ・アル・サフィなどと共演したオペレッタスタイルの演奏の中に、アラブ音楽のエッセンスがぎゅっと詰まった一曲です。とりわけ、西洋の音階にない微分音程に外れるところが聞きものです。

<Fairuz / Oriental Evening ~Tebka Beldena>

فيروز نصري شمس الدين وديع الصافي

3分28秒辺りからがTebka Beldenaと同じ音源。写真はファイルーズとナスル・シャムスッディンです。

Dabket Lebnan - Fairuz and Nasri Shamseddine

モノクロなので、下の1976年よりは古い映像では。Tebka Beldenaの中の曲が聞き取れます。躍動感が凄いです。

دبكة لبنان - فيروز و نصرى شمس الدين .حديقة الأندلس6 197

1976年の男性歌手ナスル・シャムスッディンとのステージ。ここでもTebka Beldenaの中の曲が聞き取れます。

Tebkaと言うのは、レバノン辺りの舞曲のダブケのことかと思いますが、メドレーで様々なアラブ音楽の要素を散りばめた魅惑的な一曲です。列を作って腰を動かしながらステップを踏むリズミカルな民族舞曲のダブケが、ベイルートのような都市で発展し、国際的に知られるようになったのがベリーダンスという説もありますが、確かにエジプト南部のガワジーの踊りなどと並んでルーツの一つだと言えると思います。

「ファイルーズ」とはアラビア語で「トルコ石」の意味で、この表記はレバノン辺りのアラビア語の口語に由来するものだそうですが、エジプト方言ではフェイルーズと表記されます。80年代末頃に彼女のアルバム「愛しきベイルート」が大ヒットした頃は、フェイルーズの表記の方が広く使われていました。1935年生まれですから、もうかなりのご高齢ですが、妖艶な美しさは余り変らないように思います。彼女はムスリムではなく、東方教会の一つであるマロン派キリスト教徒の家庭に育ったので、キリスト教音楽のアルバムも幾つか出しています。歌詞はアラビア語で歌われています。50年代にプロデューサー兼作曲作詞家のアーシー・ラハバーニーと結婚してからは、同じ東方教会の一つであるギリシア正教に改宗しているそうです。
これからかける曲がマロン派とギリシア正教のどちらかは不明ですが、リリース年が1962年と言う事は、79年の離婚より前なので、ギリシア正教になるでしょうか? 彼女のアルバム「聖金曜日 東方教会の聖歌」からAnal Oum el-Hazinaと言う曲をどうぞ。

<Fairuz / Good Friday-Eastern Sacred Songs ~Anal Oum el-Hazina>
Ana Al Oum ElHazina - Good Friday- Fairouz


最後に、一日も早く中東に平和が訪れることを願って、前々回取り上げた童謡名曲「月の沙漠」をかけた際に、テーマ的な類似性から引き合いに出しましたリムスキー=コルサコフの交響詩「シェヘラザード」の第3楽章「若い王子と王女」をかけてみましょう。どちらもアラビアン・ナイトを連想させるロマンティックな名曲です。このメロディは最近、平原綾香さんが日本語の歌詞を付けて歌われていたのを聞きましたので、耳にされた方も多いのではと思います。中盤に出てくる8分の6拍子のリズミカルな部分は、ペルシアの舞曲レングやコーカサスのレズギンカにそっくりです。そういう所は、また追々お話します。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。ではまた来週

<リムスキー=コルサコフ 交響詩「シェヘラザード」 第3楽章「若い王子と王女」トーマス・ビーチャム指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 抜粋>
Rimsky-Korsakov: Scheherazade - Celibidache, RSS (1982)

チェリビダッケ指揮の全曲がありました! 25分40秒過ぎからが第3楽章。

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2016年10月 4日 (火)

レバノンのダブケ

やはりかけた音源と同じ曲の入ったyoutubeは水曜の放送後に上げることにします。ネタバレになりますので(笑) 同じレバノンの民族舞曲ダブケの他の曲を探してみました。列を作って腰を動かしながらステップを踏むリズミカルな民族舞曲のダブケが、ベイルートのような都市で発展し、国際的に知られるようになったのがベリーダンスとも言われますが、確かにルーツの一つであることは確かなのでしょう。しかし2本目などを見ると、イスラエルのホラ(3本目)や、コーカサスに近いトルコ北部の黒海沿岸の踊りにもかなり似ているようにも見えます。

Old lebanese Dabke mix Fairuz & Sabah & Nasri Shamsedine

Lebanese Dabke - Mijwiz 1978

Israeli Hora

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2016年10月 3日 (月)

Fairuz - Tele'li Al Biki Ya Leyl

いきなりゼアミdeワールド初回本放送が飛んだので、5日の再放送に加え、9日と12日にも初回分を放送してもらうことになりました。初回で少し大事な話もしておりますので。2回目収録分の放送は16日と19日に順延になります。
2日の18時には歌謡曲が流れていましたが、原因はラヂバリさんでの登録ミス(漏れ?)だったようです。カモメスタジオではMP3の録音データを作ってUSBに入れて持って行くだけで、オンラインで本部と繋がってないので、一抹の不安はありました。初回に的中しました。今後はこのようなことがありませんように。
レバノンの歌姫ファイルーズですが、今回も番組でかけたのとは別音源です。明日はかけた音源に近づいてみたいと思います。

Fairuz - Tele'li Al Biki Ya Leyl

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2016年10月 2日 (日)

Fairuz فيروز - Al Bosta

今日18時からのゼアミdeワールド30分枠初回本放送は、手違いで流れなかったようですが、5日20時半の再放送は流れるようです。今回取り上げていたのは、ケーシーさんと先日の飲み会で盛り上がったレバノンの歌姫ファイルーズです。秘蔵音源をかけましたので、是非!(このyoutubeは別な曲です)

Fairuz فيروز - Al Bosta

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