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2016年11月 7日 (月)

パレスティナのサーブリーン ヨルダンのチェルケス

ゼアミdeワールド31回目の放送、日曜夕方に終りました。9日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

近東の音楽をレバノン、シリアと回って、次はパレスティナとヨルダンです。近東というのは、中近東の中でヨーロッパに近い地域を指し、トルコやレバノン、シリア辺りが入ると思います。ヨルダンはアラブ遊牧民ベドウィンの録音がフランスのIneditからありましたが、現物がないので、北コーカサス系移民の音楽を終わりの方でご紹介します。

まず、パレスティナですが、最初にご紹介したいのがサーブリーンというグループで、彼らの1992年の「パレスティナ・インティファーダ世代の音と映像」での来日公演が鮮烈な印象を残しました。私はライブには行けなくて非常に残念な思いをしたのですが、その頃リリースされたファースト・アルバムの「預言者の死」には非常に強い感銘を受けました。インティファーダ(イスラエルに対する民衆蜂起)世代の、父祖の土地への熱い思いが、アラビック・ブルースと形容された歌から痛いほどに伝わってきます。そのアルバムから「故郷を愛する歌」をどうぞ。

<サーブリーン / 預言者の死 ~「故郷を愛する歌」>
Sabreen - A Patriotic Song


2002年に出た音楽之友社「世界の民族音楽ディスクガイド」に書いたサードアルバム「何処へ」の拙稿レビューを読み上げてみます。何度も言っておりますが、この本は今治市立図書館に寄贈してありますので、是非ご覧下さい。

何より女性歌手カミリア・ジュブラーンのマウワル的とも言えそうなコブシ豊かな歌声とアラビア語の響きが素晴らしく美しい。「アラビック・ブルース」とも形容される独自のスタイルを深化させたパレスティナ人グループの3作目。ウードやカーヌーン、ヴァイオリンといったアラブ古典でお馴染みの楽器に、コントラバスやチェロ等が入る編成で、歌手ジュブラーンのカーヌーンとブズクの演奏まで聞けるのが嬉しい。そして、ポップで洗練された装いの中に、アラブの詩と歌の伝統が脈々と生き続けていることに驚かされる。92年の「パレスティナ・インティファーダ世代の音と映像」での鮮烈な来日公演から早10年、本作が録音されたのは2000年9月で、あの大事件のちょうど一年前である。古典音楽色、アラブ歌謡色は最も強い新作。(1stと2ndアルバムは現在入手不可)

1stと2ndアルバムは現在入手不可と書きましたが、今ではApple Musicで全て聞くことが出来ます。次にこのサード・アルバムの「何処へ」(Ala Fein)からIn the Silence of the NightとKohlを2曲続けてどうぞ。

<Sabreen / Ala Fein ~In the Silence of the Night, Kohl>
Sabreen - Kohl


ヴォーカルの女性歌手カミリア・ジュブランは、歌だけでなくウード演奏も素晴らしく、ソロ名義でもMakanなど3作品ほどリリースしています。それらもかけられればと思いますが、現物が完売して手元になく、データのみになっていますので、解説は参照できていませんが、マカンからYadayとRafifという2曲をどうぞ。

<カミリア・ジュブラン/Makan ~Yaday, Rafif>
كاميليا جبران في سكوت الليل


Kamilya Jubran .... Lafz


パレスティナには、他にもウード・トリオのル・トリオ・ジュブランや、パレスティナ人とユダヤ人の混成グループ、ブスタン・アブラハムとジルヤブ・トリオ、ウードとヴァイオリンの名手シモン・シェヘーンなどがいますが、ブスタン・アブラハムはやはり大分前に完売して現物が無い状態で、シモン・シャヘーンについてはエジプトやオスマン・トルコの古典的な音楽をよく取り上げているので、また後日ご紹介できると思います。トリオ・ジュブランについては、また機会があればにしたいと思います。苗字は同じですが、カミリア・ジュブラーンとは直接には関係ないようです。

では、最後にヨルダンの北コーカサス系移民の音楽に移ります。フランスのAd Vitam Recordsから「チェルケスの音楽 サーカシア」と題して出ている盤には、ハチャトゥリアンの「剣の舞」で有名なバレエ音楽「ガイーヌ」のコーカサス系舞曲レズギンカでお馴染みの、急速な8分の6拍子のリズムが登場しますが、youtubeなどでも確認して、寒い北コーカサスの音楽がヨルダンで聞こえるという不思議さを強く感じました。

ロシア連邦南西部の北カフカス西部に位置するコーカサス諸語に属するチェルケス、カバルダ、アディゲの3民族は、サーカシアとも総称されますが、彼らの一部は中東のヨルダンに移民していて、このアルバムはそのヨルダンでのサーカシアの人々の伝統音楽が録音されています。移住の頃のロシアは帝政の時代、トルコはオスマン朝の時代で、当時のヨルダンはオスマン領でしたから、ロシアの圧政を逃れ同じムスリムの国へは移住しやすかったのかも知れません。
レズギンカの別称のイスラメイやカーファなどの伝統的な舞曲のリズムがアコーディオンやカフカス地方の打楽器などによって演奏されています。北コーカサスの音楽は、また後日チェチェンなども含め取り上げる予定です。では、この盤からEslameh, Kabarley Eslameh, Qafaを時間までどうぞ。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Circassia - Musique Tcherkesse ~Eslameh, Kabarley Eslameh, Qafa>
Ensemble Circassien de Jordanie - Eslameh

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