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2016年11月14日 (月)

イスラエルの音楽 イエメン系、ドゥダイーム、マイム・マイム他

ゼアミdeワールド32回目の放送、日曜夕方に終りました。16日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

近東の音楽をレバノン、シリア、パレスティナ、ヨルダンと来ると、隣のイスラエルも避けて通れませんので、アラブ音楽巡りの途中ですが、少し見ておきましょう。ユダヤ音楽の音源は非常に多いので、何回でも出来ますが、今回は1,2回に収めたいと思います。

現在のイスラエルの場所で、ダヴィデ、ソロモンの時代に栄華を誇ったユダヤ人が、ローマ帝国に亡ぼされて世界中に離散(ディアスポラ)を余儀なくされたのは紀元1世紀のことです。離散場所によって大きく3つに分れまして、ドイツ辺りの中欧から東欧方面に散ったユダヤ人をアシュケナジーム、まずスペインに離散して、15世紀のレコンキスタ後はスペインの地からも追放され、対岸の北アフリカ(マグレブ)やトルコ、バルカン半島などに移動したユダヤ人をセファルディー、それ以外のイラクやイラン、イエメン、エチオピア、中央アジアなどに移動したグループをミズラヒーム(東方系)と言います。

ユダヤの民族文化の中心にあるユダヤ教と典礼でのヘブライ語は維持したまま、アシュケナジームはドイツ語をベースにしたイディッシュ語を話すようになり、イディッシュの民謡や婚礼音楽などでのクレズマー音楽が現在でも広く演奏されています。セファルディーでは、スペイン語をベースにしたラディノ語を用い、セファルディーの民謡が各地に伝わっています。80年代にエステル・ラマンディエのハープ弾き語りでも一時注目されました。
以上、概論的な話を少ししましたが、これらアシュケナジームとセファルディームの音楽と、各地のミズラヒームの音楽については、膨大な音源がありますので、またそれぞれの場所に回ってきた時に取り上げることにしまして、今回は現在のイスラエルの音楽を聞いてみたいと思います。世界各地に離散していたユダヤ人たちが19世紀末のシオニズム運動後イスラエルの地に「帰還」しましたが、それぞれの離散先で長年身につけた音楽伝統がイスラエルで様々に融合され、メルティング・ポットとでも言えるような状況の中、魅力的な音楽が沢山生まれました。

80年代のワールドミュージックブームに火を付けた歌手の一人に、オフラ・ハザという女性歌手がいました。彼女はイスラエルのイエメン系ユダヤ人の歌手でしたが、当時はエキゾチシズムにだけ目が向いて、余りイスラエルのユダヤ人歌手という面は認識されてなかったようにも思います。まず彼女のデビュー作Fifty Gates of WisdomからTour Menti / Se'i Yona / Sapri Tamaのメドレーをどうぞ。この盤は80年代には「イエメン・ソングス」というアルバムタイトルで出ていたと思います。

<Ofra Haza / Tour Menti / Se'i Yona / Sapri Tama>
Ofra Haza Medley- Tzur Menati, Se'i Yona, Sapritama


次に比較でイエメン系ユダヤ人の伝統音楽そのものをかけてみましょう。伝承歌謡のディワンというジャンルになりますが、いかに似ているかがよく分ると思います。2曲目の「神はわが居場所」はオフラ・ハザの歌っていたTour Mentiと同じ曲です。打楽器として用いられているのは石油缶で、オフラ・ハザの歌でもそのまま使われていました。

<イエメン・ユダヤの伝統音楽ディワン(Unesco盤) ~主よ、我らの放浪を終らせてください、神はわが居場所>
Shalom Sabari- Sapri Tama Tmima


次にイスラエルの名フォークグループ、ドゥダイームの歌を聞いてみたいと思います。イスラエル移住後の2世3世をサブラ(さぼてんの意味)と言いますが、彼らサブラたちの間で大きな人気を博したデュオで、クレズマーにも入ったルーマニア起源の舞曲ホラや、イエメン系などの音楽の要素が溶け合い、ギターだけを用いたデュオで巧みに表現されています。まず優美な「バラの夕べ」と言う曲をどうぞ。

<Dudaim / Erev shel Shoshanim>
The Dudaim הדודאים - special recording (France, 1959)


続いて、同じくドゥダイームの歌で、「羊飼いの歌」です。男女の羊飼いが、山の中でちりぢりになった羊達を集めながら歌う美しいメロディの愛の歌です。

<Dudaim / Shir Nokdim>
上のyoutubeの5曲目にあります。

ドゥダイームの歌で、最後に「私の畑」と言う曲ですが、古代ユダヤ的な朗唱旋律を感じさせる印象的な歌です。ユダヤ系の作曲家エルネスト・ブロッホの作品を聞くような感じがあります。

<Dudaim / Shedemati>
The Dudaim - Shedematy (video of 1973)


彼らハ・ドゥダイームは、1957年に結成され、メンバーの一人Benny Amdurskiが94年に亡くなる前年の93年まで活動したフォークデュオで、ヘブライ語でユニークなハーモニーを聞かせる歌を数多く歌い、サブラのフォーク界に君臨しました。今回かけた音源は30周年記念盤でした。2009年にBenny Amdurskiの息子さんと再結成されているようです。

では、次にイスラエルのフォークダンスで有名な、マイム・マイムとハヴァ・ナギラを続けてかけます。マイム・マイムは日本でも昔はよく踊られたと思いますが、歌詞は旧約聖書のイザヤ書の詩句「あなたがたは喜びの内に、救いの泉から水を汲む」のヘブライ語原文です。旋律はイエメン系風で、リズムは東欧のホラやハシディック・ソングの風味があり、その組み合わせがユニークだと思います。

<Effi Netzer & Beit Rothschild Singers / Maim Maim>
Maim Maim - This is Israel - Israeli folk songs and dances


ハヴァ・ナギラも最近何かのCMで聞いた覚えがありますが、この曲は増2度音程が特徴的な東欧系ユダヤの典型的な旋法であるアハヴォ・ラボ旋法のメロディで、リズムはルーマニア起源のホラですが、南ロシアのブコヴィナからユダヤ移民によってエルサレムにもたらされた敬虔派ユダヤ教徒のハシディック・ダンスの曲です。

<Effi Netzer & Beit Rothschild Singers / Hava Nagila>
HAVA NAGILA DANCE


では、最後にナオミ・シェメル作詞作曲でシュリ・ナタンによって歌われ大ヒットした「黄金のエルサレム」で締めたいと思います。エルサレムの市歌になり、世界中のユダヤ人に愛唱されている曲で、映画「シンドラーのリスト」のラストにも出てきました。それでは、時間までどうぞ。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Shuly Nathan / Yerushalaim Shel Zahav>
Shuly Nathan - Yerushalayim shel zahav (live in France, 1968)

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