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2017年1月

2017年1月31日 (火)

Священная Война

赤軍合唱団の聖戦(Священная Война スヴャシェンナヤ・ヴァイナー)ですが、色々なキーで演奏されるようです。女性が主唱者の演奏もありました。今日の一本目が、昨年12月25日にソチ沖で起きたロシア軍機ツポレフの墜落事故で団員のほとんどが亡くなったことを報じたスプートニクのサイトで紹介されていました。1998年の結成70周年の演奏です。確か80年代にベラルーシでの過酷を極める戦闘を描いた映画がありまして、そのタイトルは忘れてしまいましたが、そんなベラルーシでのナチスとの死闘を彷彿とさせる悲壮感溢れる美しい旋律。忘れられない一曲です。

Священная Война (Sacred War) - Ансамбль Александрова

Священная война (The Sacred War) - MVD Ensemble

Священная война (The Sacred War) - Alexandrov Ensemble

Елена Ваенга - Священная Bойна (Elena Vaenga - The Holy War)

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2017年1月30日 (月)

追悼 赤軍合唱団

ゼアミdeワールド42回目の放送、日曜夕方に終りました。2月1日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。
余談ですが、先ほど月曜夜の弦楽合奏の練習に、桑原さんがヴィオラで初参加! 楽しい練習でした。

長らく中東の音楽巡りが続いておりまして、まだまだアラブ圏だけでもエジプト南部やマグレブと続きますので、この辺りで少し寄り道しようかと思います。寒い時期は、寒い所の音楽が似合うということで、去年の2月にちろりんさんの番組に呼んで頂いた際にロシアのバルド(吟遊詩人)の音楽を取り上げたのですが、その内容をもう一度じっくりと思っていたら、ちょうどびっくり仰天するニュースが飛び込んできましたので、ちろりんさんの番組での内容は次回以降にする予定です。
  しばらくロシアや東欧の音楽の方に目を向けることにしまして、中東の音楽は暖かくなった頃にまた取り上げたいと思います。

そのびっくりしたニュースと言うのは、「ロシアの誇り」と言われるロシア軍合唱団(古くは赤軍合唱団、後にアレクサンドロフ・アンサンブルに改名)のほぼ全員が昨年12月25日にソチ沖で起きたロシア軍機ツポレフの墜落事故で亡くなったと言う知らせで、チェロと男声合唱もされる知人から教えて頂きました。圧倒的な迫力と低音の魅力、憂いに満ちた旋律美を聞かせる男声合唱の頂点とも言える素晴らしいグループで、その文化的損失は想像もつかないものだと言われます。今回は彼らへの追悼という事で、1928年のソ連時代に始まる歌声を聞いて行きたいと思います。まず赤軍合唱団時代の1930~40年代の歌声で「ポーリュシカ・ポーレ」をどうぞ。ロシア革命後続いた国内戦当時の赤軍の勇姿を描いた1934年のソビエト歌曲です。作曲者のクニッペルはストラヴィンスキーの影響も受けて前衛的な曲も書いていたそうです。

<赤軍合唱団の1930~40年代録音から「ポーリュシカ・ポーレ」 3分8秒>
Red Army Choir: Polyushka Polye

録音年は不明ですが、一本貼っておきます。ライブ映像が無さそうで残念。

私の世代では、いわゆる「うたごえ運動」から間もない時期なので、小中学校の音楽の教科書によくロシア民謡が載っていて、その影響は確実にあったと思います。民族音楽をクラシックと平行して早くから聞き始めたのもロシアやハンガリーの音楽からでした。ロシア民謡と言っても、本当の民謡に該当する作者不詳の古い伝承歌は少数で、大体は19世紀か20世紀に入ってからの流行り歌とか戦時歌謡や軍歌が多いです。ロシアに興味を持ったりするのは、左傾化してきたのかと思われたりも、し勝ちですが、そうではなくて、イデオロギーは抜きにして、旋律やロシア語の響きの美しさから入りました。
ロシア語は代々木にあったミール・ロシア語研究所に、ZeAmiの業務の合間を縫って99年に1年通いまして、寺子屋のようなスパルタの学校だったので辞書を引き引き読めるくらいにはなりました。ロシアはヨーロッパとアジアの間にあるということから、文化に限らず色々な面でその両方が混在していて、その面白さもありますし、旧ソ連の中央アジアやコーカサスについて調べようとすると、必ずロシア語が付いてまわるというのも、ロシア語に目を向けた動機の一つでした。
では次に赤軍合唱団のパリでの1960年のライブから、もう一度「ポーリュシカ・ポーレ」をどうぞ。

<赤軍合唱団 パリでの1960年のライブ / ポーリュシカ・ポーレ 3分26秒>

次も軍歌ですが、1941年にナチス・ドイツと戦う前線で響き渡ったと言う「聖なる戦い」(スヴャシェンナヤ・ヴァイナー)という曲をどうぞ。アレクサンドロフ・アンサンブルに変ってからの歌唱で、リアルに戦時中を連想させるとても熱い歌です。1948~65年の間のソ連時代の録音のようです。

<アレクサンドロフ・アンサンブル 道 / 聖なる戦い 3分17秒>
Священная война (The Sacred War) - Alexandrov Red Army Choir (SUBTITLES)


次は正真正銘のロシア民謡で、日本でも昔から知られているカリンカです。婚礼に際して歌われた踊り歌です。アレクサンドロフ・アンサンブルのソ連時代の歌声です。

<アレクサンドロフ・アンサンブル / カリンカ 4分28秒>
Red Army Choir - Kalinka (SUBTITLES)


次も赤軍合唱らしい一曲で、1825年に専制君主制に反対して結局失敗に終った蜂起を企てたロシア最初の革命家たち(デカブリスト)を描いたシャポーリン作曲のオペラ「デカブリスト」の中の「兵士の合唱」と言う曲です。放送でうっかり12月革命と言ってしまいましたが、それは間違いで、december~decabristと容易に類推できる通り、12月に由来しているというだけでした。

<ソビエト赤軍合唱団 / デカブリスト 兵士の合唱 3分26秒>
The Decembrists (In Memory of the Alexandrov Ensemble)


では、最後に赤軍合唱団のパリでの1960年のライブから「兵士の旅路」という曲を聞きながら、今回はお別れです。ソロヴィヨフ=セドイ作曲の1955年の映画「マクシム・ペレペリツァ」の挿入歌で、戦場に向かう兵士たちを描いた行進曲です。勇ましい中に哀愁の迸る名曲です。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<赤軍合唱団 パリでの1960年のライブ / 兵士の旅路 3分54秒>
В путь (Let's go) - Red Army Choir (2016)

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2017年1月27日 (金)

パリサーのホマーユン

男性歌手が続きましたので、ペルシア音楽シリーズのとりあえずの最終回として(次週からロシア東欧に廻りますので)、女性歌手ではやはり最高の実力を誇るファーテメ・パリサーの歌唱を聞いておきたいと思います。ゼアミdeワールドの最初の方でかけたホマーユン旋法は、この録音の歌唱でした。抜粋でしかかけられていなかったので、じっくりご鑑賞下さい。ビクターの「ペルシア絶唱」に入っていた1978年東京での伝説のライブです。私のHNのホマーユンも、この最高に美しい歌唱をイメージしてのことです。ダストガー・ホマーユンの最高の歌唱の一つと言って過言でないと思います。21年前のZeAmiカタログの1号の表紙を飾ったのも、パリサーのカルテックス盤でした。なお、ここでネイを吹いているのは、先日のモハンマド・ムーサヴィーです。

Fatemeh Vaezi Parisa sings Hamayun: Poem of Hafez

Parisa : Tasnif-e Dashti

ライブのダシュティ旋法のタスニーフ(歌曲のような楽曲)も一つ

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2017年1月26日 (木)

シャヒーディーの秘蔵映像

シャヒーディーの古い時期の凄い映像がありました。一本目はインタビュー中心ですが、15分辺りから素晴らしいウード独奏、18分辺りからNegah Garme Toの一節をウード弾き語りで聞かせてくれています。こんな近い映像はなかなか他になく、その至芸の凄さがひしひしと伝わります。2本目は大分前にあった映像のダビングでしょうか、画像はモノクロで悪いですが、演奏者はオコラ盤と同じで、パイヴァール(サントゥール)、アスガール・バハーリー(ケマンチェ)、ジャリール・シャフナーズ(タール)、ホセイン・テヘラーニ(トンバク)のような70年前後のトッププレイヤーが一同に会しています。そしてシャヒーディーの燻し銀の歌声。凄すぎて、まばたきができない位です(笑)

Abdol Vahab Shahidi ICC

Payvar Shahidi concert segah

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2017年1月25日 (水)

タールでnegahe Garme To

タールの独奏でシャヒーディーのnegahe Garme Toを弾いている映像がありました。シャヒーディーは1920年代の生まれですから、もう結構前の音楽家になると思います。今の若い世代のイランの音楽家がどう捉えているのかよく分かりませんが、現代の古典として引き継がれて行くことを願いたいです。

Mahur - An negahe Garme To

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2017年1月24日 (火)

シャジャリアン、ムーサヴィー、ナリマンのホマーユン

シャヒーディーが続きましたので、今週は他のペルシア音楽関係を見てみようかと思います。今日の一本はペルシアのウードが入っているので、シャヒーディーのリンクに出てきたのだろうと思いますが、現役最高峰の名歌手シャジャリアンの若き日の歌声が出てくる貴重な映像でした。あの特徴的な女性の詩の朗読が入るので、ゴルハー関連の映像かと思います。ネイはモハンマド・ムーサヴィーでしょうか。やはり若いので、誰なのか分り難かったです(笑) ウードはマンスール・ナリマンでしょうか? 17分辺りからシャジャリアンが登場します。ケマンチェとトンバクが誰か分りませんが、歌だけでなく、いずれの楽器も(特にネイとウード)素晴らしいです。ダストガーはホマーユンだと思います。

شجریان، ساقی‌نامه | اجرا شده در تلویزیون ملی ایران

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2017年1月23日 (月)

シャヒーディーのライト・クラシカル

ゼアミdeワールド41回目の放送、日曜夕方に終りました。今回は放送事故もなく無事かかりまして、ほっとしました。25日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。
動画ですが、Negah Garme Toは繰り返しになりますし、もう一曲のダストガー・セガーのyoutubeは見当たらないので、今日はシャヒーディーがライト・クラシカルを歌っている映像を上げておきます。

Abdolvahab Shahidi Tanha Biya Vahshi Bafghi


17日のZeAmiブログに書きましたが、もう一回アブドルワハブ・シャヒーディーの歌唱をじっくり鑑賞してみたいと思います。15日の本放送の中間部分で放送事故の曲が度々出てしまったのは、オコラの方のダストガー・マーフールの中間部の静かなところで片チャンネルになる部分がありまして、その間もう一方が無音になることから起きたようです。お聞き苦しくなってしまいまして、申し訳ありませんでした。中間部の聞かせどころがちゃんとかからず残念でした。

いつもオープニングにかけているオコラ盤と、別テイクの入っているカルテックス盤の両方とも一曲目はダストガー・マーフールの同じ曲(Negah Garme To)ですが、演奏者は異なっているようです。オコラ盤のように左右に分かれてしまわないので、大丈夫だとは思いますが、所々楽曲が変るところでナレーションを入れながら今日はカルテックスの別テイクの方をかけてみます。
オコラの方は1970年頃の各楽器の巨匠が、これ以上望めないくらいに勢揃いしていたので、シャヒーディーも少し遠慮があったのでしょうか、中間部のフリーリズムのアーヴァーズの歌唱が抑え気味のようにも思います。カルテックスの方では、トンバクなどオコラ盤でのホセイン・テヘラーニ程の閃きは無くて少し一本調子のようにも思いますが、シャヒーディーは2曲共より素晴らしい歌唱を聞かせているように思います。

<Abdolwahab Shahidi / Negah Garme To ~Dastgah Mahour 22分58秒~15分ほど>
冒頭~ ピシュダルアーマド
3分40秒~ サントゥールとトンバクのチャハールメズラブ
5分41秒~ ネイ伴奏でのウード弾き語り
13分30秒~ 歌入り合奏 (5分ほど)

オコラとカルテックス共に2曲目はダストガー・セガーですが、違う曲が入っています。どちらもエキゾチックな微分音程の目立つ短調系のセガー旋法ですが、前奏曲に当るピシュダルアーマドから異なります。どちらも躍動感溢れる曲調という点では共通しています。前回もラストにかけましたが、まずオコラの方からピシュダルアーマドの部分をかけてみます。冒頭のホセイン・テヘラーニの神業のようなドラミングに耳が釘付けになります。

<Iran - Musique Persane ~Dastagh Segah 1分15秒まで>

続いてカルテックスの方のセガーのピシュダルアーマドです。17日のZeAmiブログに上げたyoutubeと同じ曲ですが、そこではシャヒーディーを囲んで珍しい楽器が色々と見えました。胴がくびれた擦弦のゲイチャクや、アフガン・ルバーブに似たシュルアンギーズ、更にはウードに似た丸い楽器はおそらくバルバットのようですが、これらが合奏に加わっていました。この録音にも入っているかどうかは不明です。

<Abdolwahab Shahidi / Negah Garme To ~Dastgah Segah 3分30秒ほど>

では、最後にカルテックスの方のダストガー・セガーの終わりの方を聞きながら、今回はお別れです。ケマンチェとタールそれぞれの単独の伴奏でシャヒーディーがタハリールの入った絶品の歌唱を聞かせ、その後歌入りの合奏に戻るまでをおかけします。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Abdolwahab Shahidi / Negah Garme To ~Dastgah Segah 15分30秒~アーヴァーズ、18分17秒~合奏 4分ほど>

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2017年1月20日 (金)

シャヒーディーのダシュティ&ペルシアン・ピアノ

今日の映像では、まず大御所の面々が集ったゴルハー・オルケスタルの写真が出ているので彼らの前奏でしょうか、その後は詩の朗読があって、モルタザー・マハジュビーと並ぶペルシアのピアノ名人ジャヴァッド・マアルフィー(جواد معروفی)の演奏が出てきます。やはり微分音調律されていると思います。そして、アブドルワハブ・シャヒーディー(عبدالوهاب شهیدی )がマアルフィーの伴奏で11分の辺りで歌っているのは、あの有名なデイラーマン。小泉文夫さんも絶賛していたダシュティ(دشتی)旋法の中の白眉の部分です。彼のデイラーマンが見つかるとは、何とラッキーなのでしょうか。ゴルハーイェ・ターゼー(گل های تازه 「新しい花」の意)のラジオ放送シリーズにシャヒーディーの録音がありました。確かTaranehから出ていた彼のラジオ放送シリーズの3枚にも入ってなかったと思いますが、今手元で一枚だけになってしまっているので、確認出来ませんでした。
シャヒーディーがライト・クラシカルを歌っている映像もありまして、日本で喩えれば純邦楽の歌い手が演歌を歌うようなイメージですが、今日はそういうタイプを上げようかと思いましたが、デイラーマンが出てきたので、変更しました。しかし、美しいですね。聞き惚れてしまいました。

گل های تازه شماره ۱ (جدایی) - جواد معروفی و عبدالوهاب شهیدی

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2017年1月19日 (木)

シャヒーディーのアフシャーリー

アブドルワハブ・シャヒーディーとファラマルズ・パイヴァールの連名で、アフシャーリー(افشاری)旋法の演奏もありました。モノクロ映像ですが、Negah Garme Toと同じ面々による演奏です。CDでも確か聞いたことがなかったように思います。渋いアフシャーリーが聞けるとは、これは貴重です。2本目はアフシャーリーではないと思いますが、ルーミーの有名な詩を詠んでいるようにも聞こえます。こちらはオコラ盤でタールを弾いていたジャリール・シャフナーズの伴奏。シャヒーディーのアーヴァーズ(歌声)がとにかく最高!

آواز افشاری : عبد الوهاب شهیدی ، فرامرز پایور

Asil Music

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2017年1月17日 (火)

シャヒーディーのセガー

引き続きアブドルワハブ・シャヒーディーですが、オコラとカルテックスの両盤とも一曲目はダストガー・マーフールの同じ曲(Negah Garme To)ですが、2曲目にはダストガー・セガーの違う曲が入っています。同じ旋法ですが、前奏曲に当るピシュダルアーマドから異なります。しかし、どちらもエキゾチックな躍動感溢れる曲調という点では共通しています。今日の映像は、カルテックスの2曲目と同じですが、シャヒーディー御大を囲んで珍しい楽器が色々と見えます。ケマンチェと並んで見える、胴がくびれた擦弦のゲイチャクや、アフガン・ルバーブに似たシュルアンギーズと思しき楽器が合奏に加わっています。ウードに似ている丸い楽器はおそらくバルバットでしょうか。
昨日のコメントに書きましたが、15日の本放送の中間部分で放送事故の曲が度々出てしまったのは、この曲の録音の中間部の静かなところで片チャンネルになる部分があって、一方が無音になることから起きたようです。次回もテイク違いとセガーをちゃんと取り上げようかと思っていて、この件があったのでどうしようかと思いましたが、そういう部分で私の解説ナレーションを入れることに決めました。色々な曲を数多くやみくもに流すのではなく、この美しい曲を深く聞くことから、ペルシア音楽への理解も深まると思いますので。

Abdolvahab Shahidi - Afsaneh Shod

Zendegi - Ostad Abdolvahab Shahidi

曲の終わりの方ですが、昨日の一本よりも、こちらの方が番組オープニングにかけている曲と同じであることが、よりはっきり分ると思います。

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2017年1月16日 (月)

シャヒーディーの番組オープニングの曲

ゼアミdeワールド40回目の放送、日曜夕方に終りました。40回記念と言うことで、いつもオープニングにかけている往年のイランの名歌手シャヒーディーの曲を全曲かけました。テイク違いとの聴き比べも。ただ昨日の本放送では、「間」や弱音の多い中間部で、放送事故の際に流れるチェッカーズの曲が度々流れてしまっていました。原因を問い合わせ中です。音楽も音声も流れてない、とか音楽が終っているなど、機材はエラーと判断したようです(^^; 11日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

今回が新年初収録で、40回目記念と言うことで、いつもオープニングにかけているアブドルワハブ・シャヒーディーのダストガー・マーフールを全曲かけたいと思います。春らしい晴れやかなマーフール旋法の名演と言うことで、この曲をオープニングに選びましたが、新春ということでこの曲をフルに取り上げることにしました。
古代ペルシア生まれのバルバットが、アラブのウードや西洋のリュート、日本の琵琶のルーツに当ることは、15分枠の最初の方でお話しました。その時もこの曲を少しかけましたが、全曲が24分程ありますので、15分の時には抜粋でかけておりました。30分でしたら、ぎりぎり入りますので、終わりまでお楽しみ下さい。
シャヒーディー作の器楽合奏ピシュダルアーマドに続いて、サントゥールとトンバクの名人芸を披露するチャハールメズラブが来て、その後サントゥールやケマンチェのみの伴奏でシャヒーディーの歌が入ってきます。小泉文夫氏が「世界一美しい歌」と賞賛したペルシア古典声楽の最も美しいフリーリズムの部分がこの辺りになります。その後はタハリールを交えたシャヒーディーの素晴らしいウード弾き語りを経て、今度は歌入りの合奏に戻ります。

<Iran - Musique Persane ~Dastagh Mahur 24分11秒>
Zendeghi - Abdolvahab Shahidi

左から2番目のウード弾き語りのめがねに髭のおじさんがシャヒーディー。この人、立つと他の人より頭一つ背が高いです。左端が楽団リーダーのサントゥール奏者ファラマルズ・パイヴァール、右端はトンバク奏者のエスマイリー。オープニングにいつもかけているオコラ盤では、トンバクの神様と言われるホセイン・テヘラーニです。

今日オープニングにかけましたのは、この曲の別テイクでしたが、気付かれたでしょうか? いつものオープニングのテイクが入っている仏Ocora盤ではなく米Caltexから出ていたCD「Negah Garme To」の一曲目でした。この盤にメンバーのクレジットはありませんが、シャヒーディー以外の演奏者は明らかにオコラ盤とは異なっていると思います。楽団リーダーのサントゥール奏者ファラマルズ・パイヴァールは変わりないですが、少なくとも冒頭から出てくる片面太鼓トンバクはホセイン・テヘラーニではなく、彼の弟子のモハンマド・エスマイリーだと思います。

では、最後にオコラ盤のもう一曲、ダストガー・セガーを聞きながら、今回はお別れです。マーフールとは打って変わってエキゾチックな微分音程の目立つ短調系の旋法です。冒頭のテヘラーニのドラミングから聴かせます。 ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Iran - Musique Persane ~Dastagh Segah 25分14秒 冒頭のみ抜粋>

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2017年1月12日 (木)

エリック・ドルフィーOut to LunchのGazzelloni

宮城数江の筝と「春の海」を演奏していたガッゼローニについては、その名を聞くとジャズ好きの方は、ぴんと来るはずです。ジャズの鬼才エリック・ドルフィーのフルートの師匠としても知られ、ドルフィーのアルバムOut to LunchにGazzelloniと言うオマージュ曲が入っていました。今日の一本がその曲です。フリージャズすれすれのドルフィーらしい洒脱な一曲と言えるでしょう。ウィキペディアには以下のようにありました。現代音楽の演奏家として有名ですが、私もドルフィーのアルバムに登場する名前と言うのが何よりも印象として強かったです。
「RAI管弦楽団の首席フルート奏者を30年にわたって続け、ソリストとして現代音楽の作曲家から多くの作品を献呈された。ストラヴィンスキー、ピエール・ブーレーズ、ルチアーノ・ベリオらから献呈された作品を初演しただけでなく、ヴァレーズの《密度21.5》を普及させ、福島和夫に新作を依嘱し、その《瞑》を初演したなどの功績もある。シエナのキージ音楽アカデミーやダルムシュタット夏季現代音楽講習会での活躍により、フルート教師としても著名である。ジャズ奏者のエリック・ドルフィーは門下の一人である。」

Eric Dolphy - Gazzelloni

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2017年1月11日 (水)

春の海 (箏とヴァイオリンによる)

9日にはオリジナルの筝とヴァイオリン版がすぐに見当たりませんでしたが、ありました。フランスの女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと宮城道雄のこの1932年の共演から、「春の海」が広く知られるようになりました。会場で聞いていた小説家の川端康成が、初演の感動の光景を記したと言う小説「化粧と口笛」も非常に気になりますが、文庫には入っていないようです。シュメーのヴァイオリンの音は、今ではオールドスタイルのようにも思いますが、それが返ってこの曲にはあっているようにも思います。ヴァイオリンでは広く弾かれている曲で、実は手元に楽譜がありまして、去年はこの曲でヴァイオリンの弾き初めをしました。筝曲関連にしては、音階が地唄と違って民謡的なところ、それなのに泥臭くはならず、雅びさが溢れている点がユニークな曲だと思います。

宮城道雄:春の海 シュメー Chemet

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2017年1月 9日 (月)

春の海 自作自演

ゼアミdeワールド39回目の放送、日曜夕方に終りました。11日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。と新年のご挨拶をしましたが、ラヂオバリバリが元旦から5日までお正月休みですので、実は12月28日に収録しております。選曲のために一足早いお正月気分を味わっておりました(笑)

お正月と言えば、宮城道雄の「春の海」を思い出す方が多いのではと思います。正月中はどこに行っても耳にする曲ですが、この曲だけの色々な編成の録音を集めた「春の海 大響演」という2枚組が出ておりますので、こちらからご紹介して行きます。筝と尺八のオリジナルに始まり、筝とヴァイオリン、筝とフルート、筝と南米のケーナ、筝と二胡、スコットランド人とのハーフの往年の名テノール歌手藤原義江のオーケストラ伴奏など、様々な演奏が入っております。

まず宮城道雄の自作自演でどうぞ。尺八は初演を勤めた吉田晴風です。
<春の海(オリジナル) 6分30秒>
春の海 宮城道雄自作自演


宮城道雄の父の出身地である広島県福山市鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれていますが、吉田晴風との1930年の初演の評判は芳しくなかったそうです。
この曲が一躍有名になったのは、1932年に演奏旅行で来日していたフランスの女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと共演してからと言われています。日本音楽に触れるために宮城道雄を訪ねた彼女が一番感動したのが、この「春の海」で、早速尺八パートをヴァイオリン用に編曲して宮城道雄とコンサートで演奏したら、大喝采を受けたそうです。会場で聞いていた小説家の川端康成が、その感動の光景を小説「化粧と口笛」に記しています。その宮城道雄とルネ・シュメーの演奏を次にどうぞ。

<春の海(箏とヴァイオリンによる) 6分13秒>

宮城道雄の筝とヴァイオリンでの演奏は、他に黒柳徹子の父である黒柳守綱などとの演奏も入っておりまして、この方はN響などでコンサートマスターを勤めた人です。一曲が6分余りずつありますので、余りかけられませんが、次にフルートのガッゼローニと三代目宗家の宮城数江の1972年録音をかけてみましょう。1956年の宮城道雄の没後では、最初のこの曲の録音です。ガッゼローニと言えば、ジャズの鬼才エリック・ドルフィーのフルートの師匠としても知られ、ドルフィーのアルバムOut to LunchにGazzelloniと言うオマージュ曲が入っていました。

<春の海(箏とフルートによる) 7分1秒>

ここで、少し宣伝を入れたいと思います。
2月5日に今治中央公民館で第10回今治総合芸能祭がありまして、私もチェロで出ます。時間は1時からですが、開演前のウェルカム演奏を私が担当することになりました。緞帳前でのウェルカム演奏が12時半からで、1演目目が1時過ぎからの予定です。1演目目の「序の舞」にもチェロで出ます。お能の橙黄会、未来演劇Kプロジェクトジュニア、山田逸朗さんの写真に、私のチェロのコラボです。宜しければ是非お越し下さい。ウェルカムでハイドンの皇帝第2楽章のチェロパート、エルネスト・ブロッホの祈り、J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲3番サラバンド、5番ジーグ、「序の舞」では、春をイメージさせる序の舞の能管をベースに、J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲1番からサラバンド、アルマンド、プレリュードをこの順に弾く予定です。

では、最後に宮城道雄の演奏で、筝の代表的名曲として有名な六段を聞きながら、今回はお別れです。この侘び寂感溢れる美しい曲を書いたのは、江戸時代前期の近世筝曲の祖、八橋検校とされています。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。また来週

<宮城道雄 / 六段 5分52秒 抜粋>

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2017年1月 6日 (金)

三味線での六段

地唄筝曲の三味線による六段もありました。三味線独奏と、三味線二重奏と尺八の2種類ありますが、筝の奏法を模しているような部分もかいまみえます。2本目の尺八は当店でCDの扱いがある善養寺惠介さんです。14年ほど前にトッパンホールでの独奏を聞きに伺ったことがあります。虚無僧尺八の枯淡の世界でした。
三曲の合奏になるのでしょうか、筝、三味線、尺八の合奏もありましたが、元の筝曲の深い味わいが薄まるようにも思いました。

地唄箏曲美緒野会 - 六段の調  MIONOKAI - Rokudan-no-Shirabe

地唄箏曲美緒野会 - 六段の調  Mionokai - Rokudan no Shirabe 2016/04/10

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2017年1月 5日 (木)

尺八での六段

「春の海」なら、編成は筝と尺八と分っていますが、六段でも結構尺八との二重奏があって、更には尺八だけでの六段というスタイルもyoutubeがかなり上がっています。名人山口五郎の二重奏や、山口籟盟の独奏、何とロシア人の演奏などもありました。尺八ですから、雅びさは控えめで、侘び寂感が前面に出るようにも聞こえます。

Goro Yamaguchi et al - Rokudan

六段(Rokudan)山口籟盟

сякухати , shakuhachi , 尺八 Рокудан 六段 ( Rokudan ) in Moskow

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2017年1月 4日 (水)

六段

明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。ゼアミdeワールドの初放送は8日で、辛うじて松の内なので(15日まで取る場合もあるようですので)、あの曲を取り上げています。非常にベタなので、これだけですぐにお分かりかと思います(笑) 正月に因んだ曲ではないですが、最も有名な筝曲ということで、八橋検校作曲とされている六段の宮城道雄の演奏を最後にかけました。去年も確か松の内邦楽として取り上げましたので、違う演奏で上げておきます。優しく美しく優雅な演奏です。

この和の美しさの極致のように聞こえる名曲が、江戸時代初期の17世紀にキリシタン音楽との出会いによって生まれたと言う説があり、箏曲『六段』とグレゴリオ聖歌『クレド』という盤が出て、結構話題になりました。真偽がどちらか気にはなりますが、そんなことは忘れてしまうような、日本人の心に直に響く、侘び寂の美をよく味わいたい曲です。

筝曲「六段の調」Atsuko Yoshida 2012.1.3

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